事業評価書( |
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・事後) |
評価対象(事務事業名) | 食品中のカビ毒および微生物毒素の高感度迅速試験法の標準化 | |
担当部局・課 | 主管課 | 大臣官房厚生科学課(国立医薬品食品衛生研究所) |
関係課 | 医薬局食品保健部 |
番号 | ||
基本目標 | 2 | 安心・快適な生活環境づくりを衛生的観点から推進すること |
施策目標 | 1 | 食品の安全性を確保すること |
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食品中には、耐熱性を有し、食品製造工程を経てもその毒性を失わない有害物質が多く存在する。その中のいくつかの物質に関しては基準値を設け定期的に監視している。しかし、現在行われている分析法は多くの費用と時間を費やし、あまり効率的とはいえず、またこれらの分析にかかる費用は、すべて食品の価格に反映してくる。 本事業では、健康被害が懸念されるカビ毒や有毒微生物毒素の検出法としてすでに開発されている高感度かつ迅速な測定法の妥当性を詳細に検討し、広く標準法として推奨できるかを評価することを目的とする。 |
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予算額 | (単位:百万円) | |||||||
H11 | H12 | H13 | H14 | H15 | ||||
− | − | − | − | 158 |
(1)現状分析 現在規制値の設定されている耐熱性の微生物毒素は、カビ毒の中のアフラトキシン(規制値)及びディオキシニバレノール(暫定基準値)のみである。これらの分析は、ガスクロマトグラフィー質量分析器で行われており、多大な費用と時間が費やされている。食品製造工程でも毒性を失わないブドウ球菌が産生するエンテロトキシンなどは大規模な食中毒を起こしながらも基準値は未だ設定されていない。 (2)原因分析 日本においてこれらの物質の標準化が検討された当時は、抗原抗体反応を用いた測定法の信頼性が低く、機器分析の値が絶対であったが、現在分子構造からより親和性の高い抗体を純度よく大量に生産することが可能になった。しかし、標準化の検討がなされていないことから、標準法として設定することは難しい。 (3)問題点 従来の測定法でも同様であるが、それぞれの食材において分析に対しての妨害物質が異なる。親和性の高い抗体を使用することにより妨害物質の影響を少なくできるが、個々の食材について適切な測定法を確立することが必要である。 (4)事務事業の必要性 現在基準値の設定されている物質に関しては、その分析法を高感度かつ迅速にすることが、安価な食品の安定供給に重要である。また、健康被害が懸念されているにもかかわらずその基準値が設定されていない物質では、その設定が速やかに行われ、混乱なき行政指導を行うために標準化された測定法を確立しておくことが必須である。 |
目標達成年度(又は政策効果発現時期) | ||||||
アウトプット指標 | H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | 目標値/基準値 |
標準法として評価した数 | ||||||
(説明) 標準法として評価した測定法の数 |
(モニタリングの方法) 厚生科学課調べによる。 |
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から) |
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(理由) 高感度かつ迅速な測定法が標準化されると、従来高いコストを必要としていた分析費用の削減が可能となり、食品の安全性の確保と低価格化が両立することになり、公益性は極めて高い。 |
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国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から) |
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(理由) 検査命令を行う有害物質や今後行政指導を行うであろう有害物質の分析法の標準化は国で構築する必要がある。 |
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民営化や外部委託の可否 |
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(理由) 上記の理由により不可能である。 |
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緊要性の有無 |
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(理由) 食品の安全性に対して国民の関心は未曾有の高さにある。またその信頼性の失速も大きな社会不安を引き起こしている。これらの背景には価格競争に走ったがゆえに安全性をおろそかにしたことが挙げられる。本事業は、高感度かつ迅速な測定法の標準化を早急に進め、国民に安定した安全な食品の供給を約束するために緊要性を要す。 |
政策効果が発現する経路 |
本事業で高感度迅速検査法が標準化されると、基準値の設定されている有害物質および今後基準値が設定される物質を含む多検査項目を一度に多検体検査することが可 能になるので、検査に要した費用や時間が大幅に縮減され、消費者利益として安全性の向上、価格の安定などに効果が発現される。 |
これまで達成された効果、今後見込まれる効果 |
それぞれのカビ毒及び微生物毒素を迅速高感度に測定するために必要な抗体の開発はすでに完成されている。さらに高感度に測定するための光学的手法も確立されている。今後はすでに開発されているこれらの測定法及び手法が標準化するのに妥当かどうかを検討することが必要である。標準化されれば、検査に費やされる費用及び時間が縮減され、それに伴う経済的効果は種々の分野で期待できる。 |
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項 |
本事業は、カビ毒及び微生物毒素の検出法の標準化を行うもので、これらの項目を検査しただけでは食の安全性を確保したことにはならない。他の食品の安全性に関する研究事業との連携が必須である。 |
手段の適正性 | ||||
なし | ||||
効果と費用との関係に関する分析 | ||||
本事業の目的である高感度迅速測定法の標準化は、一度に多項目多検体検査を可能にするため、今まで個々の項目に費やしていた費用及び時間が大幅に縮減され、かつ安全性の確保された食品を供給できる効果が期待できる。 | ||||
他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無 |
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(有の場合の整理の考え方) |
食品の安全性に関する研究は、「科学技術」における重点分野の1つである「ライフサイエンス」のうちの主要な項目として例示されている。本件は、食品中のカビ毒及び微生物毒素による健康被害を防止するために必要な試験法の研究を行うものであり、「安心で安全に暮らせる社会」を目指す施政方針演説の内容と、その実現を図るための新重点4分野の趣旨に、合致するものである。 |
(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項 なし (2)各種政府決定との関係及び遵守状況 なし (3)総務省による行政評価・監視等の状況 なし (4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等) なし (5)会計検査院による指摘 なし |