事業評価書( |
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・事後) |
評価対象(事務事業名) | 遺伝子組換え食品及びアレルギー誘発食品の検知法の標準化に関する研究事業 | |
担当部局・課 | 主管課 | 大臣官房厚生科学課(国立医薬品食品衛生研究所) |
関係課 | 医薬局食品保健部 |
番号 | ||
基本目標 | 2 | 安心・快適な生活環境づくりを衛生的観点から推進すること |
施策目標 | 1 | 食品の安全性を確保すること |
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1)遺伝子組換え食品の定量検知法の標準化 今年度新規に安全性審査が終了したトウモロコシ、大豆、ジャガイモの各系統の検知法を、精度の良い定量検知法とするために、リアルタイムPCR装置(ABI PRISM 7000及びABI PRISM7900)を用いて、その評価及びバリデーション研究を行い、国が定める検知法とするための標準化を行う。 2)アレルゲン物質の高感度検知法の標準化 特定原材料に準ずる19品目に対するELISA法、ウエスタンプロット法及びPCR法等の検知法の評価及びバリデーション研究を行い、国の検知法とするための標準化を行う。 |
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予算額 | (単位:百万円) | |||||||
H11 | H12 | H13 | H14 | H15 | ||||
- | - | - | - | 200 |
(1)現状分析 近年、バイオテクノロジー技術を応用した遺伝子組換え食品の開発が進み、我が国でも、大豆、トウモロコシ、ジャガイモ等の遺伝子組換え食品並びに、それらを原料とする加工食品が流通するようになっている。一方、近年アレルギー誘発物質を含む食品に起因する健康危害を防止するため、食品表示による情報提供の必要性が高まり、厚生労働省は平成14年4月からアレルギー誘発物質を含む食品表示の法律を施行させた。省令で定める特定原材料5品目(卵、牛乳、小麦、そば、落花生)については、全ての流通段階での表示を義務付け、通知で定める特定原材料に準ずる19品目(あわび、いか、いくら、えび等)については表示を推奨したところである。 (2)原因分析
(3)問題点
(4)事務事業の必要性 遺伝子組換え食品及びアレルギー特定原材料等の検知法は、種類も多岐にわたって開発されている。従って開発された方法を国が定める標準法として検証し、通知として行政的に公表する必要がある。また検知法を科学的に検証し、食品表示の信頼性を確保することにより、社会的問題が発生しても、迅速な対応ができるようにする必要がある。さらに我が国及びCodexのような国際的機関における安全性評価の技術的項目の決定に寄与する必要がある。 |
目標達成年度(又は政策効果発現時期) | ||||||
アウトプット指標 | H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | 目標値/基準値 |
研究の進捗状況 | ||||||
(説明) 定性的な指標である。 |
(モニタリングの方法) 厚生科学課調べ |
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から) |
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(理由) 表示の信頼性を確保し、国民に安全で安心できる食品を供給することを目的としているため、極めて公益性が高いといえる。 |
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国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から) |
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(理由) 本研究は、厚生労働省所管の食品衛生法に基づく食品表示を監視するための検知法を検証し、地方衛生研究所、保健所等で用いる検知法を標準化し、食品表示の監視と指導にかかる根幹を築くことが目的である。現在、標準化を予定している検知法に対応した機器が各社から種々開発されているため、各機器による検知法の検証も自治体から厚生労働省へ要請されているところである。 |
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民営化や外部委託の可否 |
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(理由) 上記理由により不可能であると考える。 |
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緊要性の有無 |
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(理由) 平成13年度から遺伝子組換え食品の表示制度が既に始まっており、平成14年までに輸入の可能性のある遺伝子組換え食品については、検知法が整備されているが、平成15年度以降輸入の可能性のある遺伝子組換え食品に関しては、検知法が標準化されていない。一方、食物アレルギー表示は、平成14年4月より本格的に施行されているが、未だに特定原材料5品目の検知法に関しても標準化されていない。そのため食品表示の監視と行政措置が全国的にできないため、問題が多発する可能性があり、緊急を要すると考えられる。 |
政策効果が発現する経路 | ||||||||||||
遺伝子組換え食品の表示に関しては、必ずしも表示の違反件数は顕著に減少しないかもしれない。一方、食物アレルギー表示は、標準検知法による表示の監視制度が開始されれば、表示の違反件数が減り、それに伴い食物アレルギー患者の誤食による健康被害件数が減少することとなり、効果が示される。 | ||||||||||||
これまで達成された効果、今後見込まれる効果 | ||||||||||||
これまで達成された効果
今後見込まれる効果
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政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項 | ||||||||||||
検知法による表示の監視を行う際に、検査機関における精度管理が適切に行われていることが重要である。遺伝子組換え食品及びアレルギー特定原材料等の検知法としては、目的物質が核酸やタンパク質であるため、PCR法、ELISA法及びウエスタンプロット法等の手法が使われるが、コンタミネーションにより誤った測定結果を生じやすい。事業の効果を評価する際には、各検査機関の外部精度管理を実施することも視野に入れておかねばならない。 |
手段の適正性 | ||||
本事業が適切に行われれば、今後承認される品目の検知法の標準化だけでなく、既承認品目のうち、その検知法が標準化されていないものについての標準化、国際規格となっていない検知法の再評価、及び自治体から要請されている各社機器による検知法の検証も可能となる。 | ||||
効果と費用との関係に関する分析 | ||||
検知法の開発は厚生労働省科学研究費等で産官学の共同で実施されるが、その標準化は事業として分けることにより、検知法の標準化へ効率的な対応が可能となる。それに伴い、新規食品や輸入食品によるリスクを低減するための行政的措置が実施できる。 | ||||
他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無 |
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(有の場合の整理の考え方) |
食品の安全性に関する研究は、「科学技術」における重点分野の1つである「ライフサイエンス」のうちの主要な項目として例示されている。本件は、遺伝子組換え食品及びアレルギー誘発食品の安全性の確保に関連する研究を行うものであり、「安心で安全に暮らせる社会」を目指す施政方針演説の内容と、その実現を図るための新重点4分野の趣旨に、合致するものである。 |
(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項 なし (2)各種政府決定との関係及び遵守状況
また、アレルギー物質を含む食品については、消費者の健康危害の発生を防止する観点から、食物アレルギーを引き起こすことが明らかになったもののうち、特に発症数、重篤度から勘案して必要性の高い5品目のアレルギー物質を含む食品について、これらを含む旨の表示を義務化するものであること。 現在まで遺伝子組換え食品の表示の違反例は1件であった。また安全性審査が終了していない遺伝子組換え食品を用いた加工食品の違反例は、平成13年度に数件(4-5件)あった。 (3)総務省による行政評価・監視等の状況 なし (4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等) 自由民主党「食の安全確保に関する特命委員会」の提言では、食品表示に関する監視体制の充実強化が提言されている。 (5)会計検査院による指摘 なし |