事業評価書( |
|
・事後) |
評価対象(事務事業名) | 大規模治験ネットワーク | |
担当部局・課 | 主管課 | 医政局研究開発振興課 |
関係課 | 大臣官房厚生科学課 |
番号 | ||
基本目標 | 1 | 安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること |
施策目標 | 9 | 新医薬品・医療用具の開発を促進するとともに、医薬品産業等の振興を図ること |
III | バイオ技術、ナノ技術等の先端技術を活用し、画期的な医薬品、医療用具等の研究開発を推進すること |
|
||||||||
今後5年間で、ネットワーク事務局を中心に、疾患群毎に複数の医療機関とネットワークを形成(大規模治験ネットワーク)、治験実施基盤を整備するもの。 | ||||||||
予算額 | (単位:百万円) | |||||||
H11 | H12 | H13 | H14 | H15 | ||||
− | − | − | − | 3,500 |
(1)現状分析 我が国の治験状況は、新GCP(医薬品の臨床試験の実施基準)施行前後から、欧米での試験結果の承認申請データとしての受け入れ拡大や薬価引き下げ等の影響も受けて減少(1993年の治験届け出数160件→2000年63件(厚生省調べ))している。また、日本企業が治験を国内よりも欧米で先行させるケースが増加(1993年の日本企業開発医薬品のうち:海外先行18.3% → 2000年の日本企業開発医薬品のうち:海外先行43.2%)している(治験の空洞化)。 (2)原因分析 我が国の治験が進まない理由としては、(1)治験にかかる時間が長いこと、(2)治験の質が良くないこと、(3)治験にかかる費用も高いことが挙げられている。 (3)問題点 このような原因につながる問題点としては、治験の意義が広く国民に浸透していないことや、治験実施状況等の情報が不足していること、また、国民皆保険により経済インセンティブが低いこと、実施研究者においても治験に対する学問的評価や研究費等の経済インセンティブが低いこと、研究実施機関・治験拠点が充実していないことや医師・協力者(治験コーディネーター等)の養成が不十分であること等がある。 (4)事務事業の必要性 医薬品は上市する前に治験が必要であり、医療機関及びその医療関係者の協力が不可欠である。また、このまま国内の治験の空洞化を放置しておくと、患者にとっては、最先端医療(海外で流通している新薬等)へのアクセスが遅れること、製薬産業等にとっては、国内企業の研究開発力が低下するほか、新事業創出、雇用創出といった面でマイナスであること、医療機関や医師等にとっては、技術水準のレベルアップが遅れることなど、我が国の保健医療水準や産業の国際競争力に対してマイナスの影響が大きいことから、我が国の医療上不可欠な治験を医師主導で実施するための環境整備を実施することが必要である。 |
目標達成年度(又は政策効果発現時期) | 2010年頃 | |||||
アウトカム指標 | H15 | H16 | H17 | H18 | H19 | 目標値/基準値 |
治験の実施による医薬品の承認数の増加 | − | − | − | − | − | 数値目標の設定不可 |
(説明) 大規模治験ネットワークを活用した治験の実施及びそのデータの承認への活用 |
(モニタリングの方法) 外部委員からなる評価委員会を設置し、計画の変更や中止等も含め事前・中間・事後評価を実施 |
公益性の有無(主に官民の役割分担の観点から) |
|
||||
(理由) 医師主導の治験を実施するための環境整備(大規模治験ネットワーク)を国が行うことは、その結果として、患者にとっては、先端医療へのアクセスが可能となること、医療機関や医師等にとっては、技術水準のレベルアップにつながること等により我が国の保健医療水準の向上が期待される。 |
|||||
国で行う必要性の有無(主に国と地方の役割分担の観点から) |
|
||||
(理由) 医師主導の治験の実施については、国内の体制整備等を含めて未熟な部分が多く、当該事業を実施するうえで国が主体となって行うことは、医療上必要な画期的新薬が「治験実施→新薬開発→申請→承認→市場流通」を経て使用されることにより、我が国の保健医療水準の向上につながることから必要である。 |
|||||
民営化や外部委託の可否 |
|
||||
(理由) 補助金事業により民間団体等が実施予定。 |
|||||
緊要性の有無 |
|
||||
(理由) 「ゲノム創薬」の成果及び「テーラーメイド医療」の世界が本格的に実現する10年後において、我が国の医薬品産業が国際競争力を有しているためには、国と製薬企業が現状や課題、将来像等において認識を共有し、製薬企業にあっては競争に勝ち抜くための戦略的な経営を、国にあっては、今すぐ国家戦略として必要な支援を進めなければ間に合わない状況下で、本事業は創薬環境整備のために不可欠なものである。 |
政策効果が発現する経路 | |||||||||||||
|
|||||||||||||
これまで達成された効果、今後見込まれる効果 | |||||||||||||
平成15年度から、大規模治験ネットワークの準備・設置により、医療上必要だが不採算等の理由から企業が実施しない治験について医師主導での実施が可能になる。 また、企業主導の治験についても、医療上の必要性の高い医薬品について本ネットワークを活用することで、治験の時間が著しく短縮されるものと見込まれ、患者にとって必要な新薬へのアクセスが速くなる。 | |||||||||||||
政策の有効性の評価に特に留意が必要な事項 | |||||||||||||
|
手段の適正性 | ||||
大規模治験ネットワークが設置されることで、医薬品開発に係る期間及び費用が効率化される。 | ||||
効果と費用との関係に関する分析 | ||||
一つの医薬品の開発には200億円〜300億円の研究開発費用が必要と言われており、治験に関する部分はその30%(60億円〜90億円)と推定される。 大規模治験ネットワークにより、治験期間及び費用が半減されると、1医薬品につき、30億円〜45億円の効率化に資することとなり、ひいては、薬価が安くなる等の患者負担、医療保険負担の軽減に資する。 |
||||
他の類似施策(他省庁分を含む)がある場合の重複の有無 |
|
|||
(有の場合の整理の考え方) |
|
(1)学識経験を有する者の知見の活用に関する事項 なし。 (2)各種政府決定との関係及び遵守状況 なし。 (3)総務省による行政評価・監視等の状況 なし。 (4)国会による決議等の状況(警告決議、付帯決議等) なし。 (5)会計検査院による指摘 なし。 |