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第3章 物価、勤労者家計の動向

 消費者物価はコスト低下や消費の低調から4年連続の下落、国内企業物価は下落幅が縮小したものの2年連続の下落となり、デフレの傾向が鮮明になった。
 家計消費は、消費者心理に持ち直しの動きがみられたものの、厳しい雇用・所得環境が続く中で5年連続の減少となった。

(物価の動向)
 2002年の物価は、消費者物価が4年連続で下落するなど、デフレの傾向が鮮明になった。物価がデフレ傾向となったのは、技術革新や安い輸入品との競合等によりコストが低下したこと、消費が引き続き低調であったこと等によるものと考えられる。
 国内企業物価は、2002年も引き続き下落傾向で推移した。ただし、原油価格の上昇により石油・石炭製品価格が上昇したことや前年は下落した鉄鋼が在庫調整の一巡により横ばいになったことなどから、下落幅は前年に比べて縮小した。
 2002年の消費者物価は、前年比0.9%下落と、4年連続の下落となった。これは、輸入品との競合や技術革新等により、パソコンや家電といった耐久消費財や衣料品等の繊維製品などの工業製品が傾向的に下落を続けていることが主因である(第9図)。

(勤労者家計の動向)
 2002年の勤労者世帯の消費支出は、実収入の伸び悩みなどから、前年比名目1.3%減、実質0.2%減と、減少幅は前年より縮小したものの、ともに1998年以降5年連続の減少となった(第10表)。
 2002年の平均消費性向は、消費者心理が7〜9月期までは緩やかに回復したものの、年末に大きく冷え込んだことなどにより、73.1%と前年差1.0%ポイントの上昇となった。
 2002年6月末時点での一世帯当たりの平均貯蓄保有額は、2年連続で前年を下回った。厳しい雇用情勢の中で、収入の減少が貯蓄保有額にも影響を与えているとみられる。
 供給側に着目した統計をみると、2002年の小売業における販売額が、前年比3.9%減と6年連続で減少し、減少幅も前年に比べて拡大するなど、全体的に弱い動きとなった。


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