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おわりに

 以上、個人が生涯にわたり尊厳をもって充実した人生を送れるようにするために、そして、社会の活性化のために求められる支援のあり方について考察してきた。
 個人が、家族や職場といった何らかの「場」とつながりの中で、個性を発揮し生き生きと活動することは、個人の幸せはもちろん、社会の活性化にもつながる。現実には家族や職場に埋没して個性を発揮できずにいた個人が少なからず存在していたものとみられるが、昨今は、自己の価値観と責任に応じ、複数の「場」に関わろうとする個人が増えている。
 また、「場」を通じて個性を発揮できるようにするためには、これを支える基盤として、心身ともに健康で生活すること、経済的に自立することが重要である。
 以上を踏まえつつ個人の自立支援のあり方について考えてみると、心身の健康に関しては、心の問題の予防や対応のための研究を推進していくとともに、早期に発見して適切な支援を行っていくことが重要である。また、障害のある人の生活の質の向上を図るためには機能障害を原因とする能力障害や社会的不利をいかに除去又は軽減するかが重要であり、そのためには、より実用的な福祉用具の開発・普及等を進めていくことが望まれる。
 経済的自立に関しては、雇用創出が重要となっており、労働力需要面、労働力供給面及び労働力需給調整面の三方向からの政策のベストミックスが必要である。また、年齢にかかわりなく働ける社会を実現していく必要がある。
 「場」を通じて個性を発揮することに関しては、多くの女性にとって仕事と家庭の両立が負担になっており、保育サービスの充実・両立のための雇用環境の一層の整備が求められる。また、若年者の中には大学卒を含め就業意識が希薄な者もおり、就職支援を積極的に行うことが望まれる。

 厚生労働省としては、これらに関する施策の充実を通じて、自己の能力を最大限に発揮し、個性を活かして生きていこうとする個人を、生涯にわたり支援していきたいと考えている。



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