出生動向の多面的分析

 (1) 父母の結婚期間からみた出生

   第1子出生までの結婚期間別の出生割合をみると、昭和50年は結婚9か月に急増し10か月をピークに減少している。昭和60年以降では6か月と10か月に山がみられる。ただし、形状は変化してきており、昭和60年は10か月が最高なのに対し、平成7年は同じ割合になり、平成16年には6か月が最高となっている。(図13)

図13 第1子出生までの結婚期間別にみた出生構成割合 −昭和50・60・平成7・16年−

図13 第1子出生までの結婚期間別にみた出生構成割合 −昭和50・60・平成7・16年−
注:1)嫡出第1子についての数値である。
2)結婚期間不詳を除いた総数に対する構成割合である。
3)0月とは生まれた月と同居を始めた月が同じ場合である。

 (2) 結婚期間が妊娠期間より短い出生の傾向

   近年の出生状況をみると、第1子出生までの父母の結婚期間は6か月がピークとなっている。
そこで、嫡出第1子について結婚期間が妊娠期間より短い出生を考察してみる。
 ここでは、結婚期間が妊娠期間より短い出生について、以下の《仮定》に基づいて算出した。
図

   前述の仮定に基づき試算した結婚期間が妊娠期間より短い出生数及びその嫡出第1子出生に占める割合をみると、昭和55年から平成14年にかけて年々増加していたが、それ以降は減少に転じている。平成16年の母の年齢階級構成で標準化して年次推移をみると、平成14年以降も増加傾向となっている。
 なお、この割合は結婚期間が妊娠期間より短い出生の嫡出第1子出生に占める割合であって、婚姻に占める割合ではないことに注意する必要がある。(表10・図14)

表10 結婚期間が妊娠期間より短い出生数及び嫡出第1子出生に占める割合
−昭和55〜平成16年−

表10 結婚期間が妊娠期間より短い出生数及び嫡出第1子出生に占める割合−昭和55〜平成16年−
注:1)嫡出第1子出生数は、結婚期間不詳を除いた数値である。
2)標準化後の割合は、平成16年の嫡出第1子を生んだ母の年齢階級構成で標準化したものである。

図14 結婚期間が妊娠期間より短い出生の嫡出第1子出生に占める割合 −平成7〜16年−

図14 結婚期間が妊娠期間より短い出生の嫡出第1子出生に占める割合 −平成7〜16年−
注:1)点線は結婚期間を月単位でしか把握できないことにより想定される幅である。
2)標準化後の割合は、平成16年の嫡出第1子を生んだ母の年齢階級構成で標準化したものである。

   結婚期間が妊娠期間より短い出生の嫡出第1子出生に占める割合を母の年齢階級別にみると、昭和55年には「15〜19歳」で5割、「20〜24歳」で2割、25歳以降では1割に満たない割合であったが、平成16年には「15〜19歳」で8割、「20〜24歳」で6割、「25〜29歳」で2割、30歳以降で1割となっている。概ね各年齢層で増加傾向にあるが、特に、年齢層が若くなるほど多くなっている。(表11・図15)

表11 母の年齢階級別にみた結婚期間が妊娠期間より短い出生数及び嫡出第1子出生に占める割合
−昭和55〜平成16年−

表11 母の年齢階級別にみた結婚期間が妊娠期間より短い出生数及び嫡出第1子出生に占める割合−昭和55〜平成16年−
注:割合は、結婚期間不詳を除いた嫡出第1子出生数に対する数値である。

図15 母の年齢階級別にみた結婚期間が妊娠期間より短い出生の嫡出第1子出生に占める割合
−平成7〜16年−

図15 母の年齢階級別にみた結婚期間が妊娠期間より短い出生の嫡出第1子出生に占める割合−平成7〜16年−
注:割合は、結婚期間不詳を除いた嫡出第1子出生数に対する数値である。

 (3) 単産−複産の種類別にみた出生

   単産−複産の種類別に出生数をみると、ほとんどは単産であるが、出生数の減少が続くなか、複産の増加傾向がみられ、平成16年は単産の出生が109万人、複産の出生が2.5万人となっている。これは、複産の大部分を占める双子の増加によるものである。(図16)

注:単産とは単胎で生まれた出生であり、死産は含まない。また、複産とは双子・三つ子等多胎で生まれた出生であり、死産は含まない。

図16 単産−複産の種類別にみた出生数
 −昭和50〜平成16年−

図16 単産−複産の種類別にみた出生数 −昭和50〜平成16年−

 (4) 妊娠期間別にみた出生

   妊娠期間(早期−正期−過期)別の出生構成割合を昭和55年と平成16年とで比較すると、単産はともに「正期」で9割以上を占めている。昭和55年には「過期」が4.5%あったが、平成16年には0.6%に減少している。
 複産の場合、昭和55年は「早期」が3割、「正期」が7割であったが、平成16年には「早期」が「正期」を上回り、「早期」の割合が大幅に増加した。(図17)

図17 妊娠期間(早期−正期−過期)別出生構成割合 −昭和55・平成16年−

図17 妊娠期間(早期−正期−過期)別出生構成割合 −昭和55・平成16年−
注:1)割合は、妊娠期間不詳を除いた総数に対する数値である。
2)単産とは単胎で生まれた出生であり、死産は含まない。また、複産とは双子・三つ子等多胎で生まれた出生であり、死産は含まない。

 (5) 出生時の体重

   出生時の体重を単産−複産別にみると、単産の平均体重は、昭和50年には3.20kgであったが年々少なくなり、平成16年は3.03kgと0.17kg少なくなっている。また、複産も同様に、昭和50年の2.43kgから、平成16年には2.21kgと0.22kg少なくなっている。
 出生時の体重が2.5kg未満の割合をみると、単産では昭和50年には4.6%であったが、年々増加し平成16年には8.0%となっている。複産の2.5kg未満の出生は多く、昭和50年は半数を占めていたが、平成16年には7割を占めるに至った。
 1.5kg未満、1.0kg未満の割合も単産・複産ともに増加している。(表12・図18)

表12 出生時の平均体重及び体重別出生数及び
出生構成割合 −昭和50〜平成16年−
表12 出生時の平均体重及び体重別出生数及び出生構成割合 −昭和50〜平成16年−
注:1)構成割合は出生時の平均体重不詳を含んだ総数に対する数値である。
2)単産とは単胎で生まれた出生であり、死産は含まない。また、複産とは双子・三つ子等多胎で生まれた出生であり、死産は含まない。
3)平成2年までは100グラム単位で把握していたため出生子の出生時平均体重は算出平均値に0.05kgを加えた。

図18 単産−複産別出生時の平均体重
−昭和50〜平成16年−
図18 単産−複産別出生時の平均体重−昭和50〜平成16年−
注:1)単産とは単胎で生まれた出生であり、死産は含まない。また、複産とは双子・三つ子等多胎で生まれた出生であり、死産は含まない。
2)平成2年までは100グラム単位で把握していたため出生子の出生時平均体重は算出平均値に0.05kgを加えた。

   母の年齢階級別に出生時の平均体重をみると、単産は「30〜34歳」で多く、「15〜19歳」、「40〜44歳」で少なくなっており、母の年齢が低年齢層または高年齢層の階級で少なくなっている。複産では「15〜19歳」が少なくなっている。
 一方、昭和50年から平成16年にかけての変化をみると、単産・複産ともにどの年齢階級でも平均体重が少なくなっている。特に、「25〜29歳」、「30〜34歳」での減少が大きく、近年は年齢階級間の差が小さくなっている。(表13)

表13 母の年齢階級別出生時の平均体重 −昭和50〜平成16年−
表13 母の年齢階級別出生時の平均体重 −昭和50〜平成16年−
注:1)単産とは単胎で生まれた出生であり、死産は含まない。また、複産とは双子・三つ子等多胎で生まれた出生であり、死産 は含まない。
2)平成2年までは100グラム単位で把握していたため出生子の出生時平均体重は算出平均値に0.05kgを加えた。

   単産について母の年齢階級別出生時の平均体重を出生順位別にみると、昭和50年、平成16年とも「15〜19歳」以外では、第1子よりも第2子以上が多い。
 また、平成16年の第1子と第2子以上との体重差を昭和50年と比較すると、「15〜19歳」、「40〜44歳」では大きくなっているが、それ以外の年齢階級では小さくなっている。(表14)

表14 出生順位別にみた単産の母の年齢階級別出生時の平均体重 −昭和50・平成16年−

表14 出生順位別にみた単産の母の年齢階級別出生時の平均体重 −昭和50・平成16年−
注:1)単産とは単胎で生まれた出生であり、死産は含まない。
2)昭和50年は100グラム単位で把握していたため出生子の出生時平均体重は算出平均値に0.05kgを 加えた。

 (6) 出生の場所・曜日・時間別にみた出生

   平成16年の1日平均出生数をみると、出生の場所では病院、診療所の順で多くなっており、昭和50年と比較すると、助産所、自宅での出生数は大幅に少なくなっている(表15)。
 曜日別に1日平均出生数をみると、昭和50年、平成16年とも土曜日や休日に比べて平日の出生数が多いが、平日の曜日には偏りはみられなかった(表16)。
 平成16年の平均出生数を出生時間別にみると、平日は、9時以降徐々に上昇しながら、13時に急激に上昇して14時をピークに下降している。
 土曜日は、平均出生数は少ないが平日と同じように推移しており、13時をピークに下降している。
 休日は、10、11時が若干高くなっているが、1日を通じてほとんど変動がなく推移している。(表17・図19)

表15 出生の場所別にみた1日平均出生数
−昭和50・平成16年−
表15 出生の場所別にみた1日平均出生数−昭和50・平成16年−
注:昭和50年は365日、平成16年は366日で算出した。

表16 出生曜日別にみた1日平均出生数
−昭和50・平成16年−
表16 出生曜日別にみた1日平均出生数−昭和50・平成16年−
注:休日は日曜日、祝日、年末年始である。

表17 出生時間別にみた平均出生数
−昭和50・平成16年−
表17 出生時間別にみた平均出生数−昭和50・平成16年−
注:1)平日は月〜金曜日、休日は日曜日、祝日、年末年始の平均出生数である。
2)昭和50年の平日は245日、土曜日は51日、休日は69日で算出した。
3)平成16年の平日は244日、土曜日は50日、休日は72日で算出した。
4)総数には出生時間不詳を含む。

図19 出生時間別にみた平均出生数
−昭和50・平成16年−

図19 出生時間別にみた平均出生数−昭和50・平成16年−

図19 出生時間別にみた平均出生数−昭和50・平成16年−

 (7) (期間)合計特殊出生率を用いた出生数の構造分析

(期間)合計特殊出生率を用いた出生数の構造分析の図

  1) 出生数の分解

    各年の出生数は、(期間)合計特殊出生率を用いて、

    出生数=15〜49歳女子人口 × (期間)合計特殊出生率
 ―――――――――――
 35
 × (15〜49歳女子人口の)
年齢構成の違い

   と3つの要素に分解できる。「年齢構成の違い」は「実際の女子人口の年齢構成」と「どの年齢にも同数いるという標準化した女子人口の年齢構成」の違いを表す。なお、(期間)合計特殊出生率は15歳から49歳までの35個の年齢別出生率を加えたものであるため、「15〜49歳女子人口」を乗じて出生数となるよう35で除している。(「9 (期間)合計特殊出生率を用いた出生数の要素分解について」参照)

  2) 年齢構成の違いの動向

    ある年次について、「15〜49歳女子人口」に「(期間)合計特殊出生率/35」を乗じたものは、「その15〜49歳女子人口について15〜49歳のどの年齢にも同数の女子がおり、その年次の年齢別出生率で出生するとした場合に期待される子どもの数」(以下「期待子ども数」という。)に相当する。
 したがって、「年齢構成の違い」が1を下回るときは、出生率の低い年齢に女子人口が偏った年齢構成になっており、実際の出生数は期待子ども数より少ないこととなる。
 また、「年齢構成の違い」が1を上回るときは、出生率の高い年齢に女子人口が偏った年齢構成になっており、実際の出生数は期待子ども数より多いこととなる。
 「年齢構成の違い」をみると、昭和56年までは1を上回り、実際の出生数は期待子ども数より多い。特に、昭和47〜53年は1.1を上回っており、1割以上上昇効果があったこととなる。
 昭和57〜平成9年は1を下回り、実際の出生数は期待子ども数より少ない。特に、昭和63〜平成3年は0.9を下回っており、1割以上低下効果があったこととなる。
 平成10年からは1を上回り、実際の出生数は期待子ども数より多いが、最も大きい平成15年でも1.088で、昭和46〜53年より低い。

  3) 出生数の要素からみた出生数の動向

    出生数の動向を出生数の3つの要素の動向(対前年増減率)からみると、昭和46〜48年に出生数が約16万人増加しているが、「女子人口」は微増、「合計特殊出生率」は同程度で、「年齢構成の違い」が増加したことによるものである。
 昭和49〜50年に出生数が約19万人減少しているが、「女子人口」は微増であって、「年齢構成の違い」は増加しており、「合計特殊出生率」が急激に減少したことによるものである。
 昭和51〜平成2年に出生数が約68万人減少しているが、「女子人口」は微増であり、「合計特殊出生率」及び「年齢構成の違い」が減少したことによるものである。
 平成2〜8年に出生数が120万人程度で推移しているが、「女子人口」は微減であり、「合計特殊出生率」の減少を「年齢構成の違い」の増加で相殺したことによるものである。
 平成9〜15年に出生数が約8万人減少しているが、「合計特殊出生率」の減少を「年齢構成の違い」の増加で相殺しているものの、「女子人口」が平成9年から毎年1%程度減少したことによるものである。
 平成16年に出生数が約1万人減少しているが、「合計特殊出生率」は横ばいであるものの、「女子人口」が引き続き1%程度減少し、「年齢構成の違い」が昭和51年以来28年ぶりに増加から減少に転じたことによるものである。(表18)

表18 合計特殊出生率を用いた出生数の構造分析 −昭和45〜平成16年−

表18 合計特殊出生率を用いた出生数の構造分析 −昭和45〜平成16年−
注:対前年増減率(%)については、近似的に次の式が成り立つ。
出生数 = 15〜49歳女子人口 + 合計特殊出生率 + 年齢構成の違い

 (8) 嫡出子・嫡出でない子別にみた出生

   出生数を嫡出子・嫡出でない子別にみると、減少傾向にある嫡出子に対し、嫡出でない子については、増加傾向にある。
 また、出生に占める嫡出でない子の割合をみると、年々増加しており、平成16年は2.0%となっている。(表19)

表19 嫡出子・嫡出でない子別にみた出生数及び出生構成割合 −昭和50〜平成16年−

表19 嫡出子・嫡出でない子別にみた出生数及び出生構成割合 −昭和50〜平成16年−

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