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1 はじめに

     本報告は、日本において発生したすべての人口動態事象について取りまとめたものである。
 現在公表されている我が国の人口動態統計の数値は、日本国籍を有する者について日本国内で発生した人口動態事象を集計している。したがって、日本国内において日本国籍を有しない者(外国人)、及び日本国籍を有していても海外で発生した事象は含まれていない。ただ、これらの事象についてもデータの収集は行っており、別途基本的な表が作成・公表されている。
 このうち、日本における外国人の事象を、従来からの日本における日本人の人口動態統計に合わせて表示したものが、今回の特殊報告である。

 我が国の人口動態調査は、明治32年から近代的な統計調査として確立され、以来100年余にわたって我が国の主要統計の一つとして整備が図られてきた。人口動態調査は、多くの国と同様、人口動態事象の登録、すなわち日本では戸籍法などの規定による各種届出に基づいて作成されている。なお、外国人についても、戸籍法で届出が義務づけられており、人口動態調査の対象となっている。しかし、集計段階では、原則として、日本の戸籍のある者のみを対象としていた。つまり、第二次世界大戦前は、内地における内地人、すなわち、沖縄を含む現在の日本(内地)に在住し、内地に本籍がある者を集計の対象としていた。戦後においても、過去からの経緯、国内の外国人の割合が小さいこと、事象発生の把握の容易性と完全性といったことから、現在のような形での公表となっている。これまでの人口動態調査の観察対象の範囲をまとめたものが表1である。

表1 観察対象の範囲

  出生・死亡 死産 婚姻・離婚
地域範囲 昭和18年以前 沖縄を含む旧内地
昭和22〜25年 北海道根室支庁の一部、東京都小笠原支庁、島根県竹島、鹿児島県大島郡十島村北緯30度以南、沖縄全県を除く地域
昭和26〜47年
昭和26年12月5日以降: 鹿児島県大島郡十島村北緯29〜30度(吐喝喇列島)を含む
昭和28年12月25日以降: 同村北緯29度以南(奄美群島)を含む
昭和43年6月26日以降: 東京都小笠原村を含む
昭和48年以降 沖縄を含む。北海道根室支庁の一部、島根県竹島を除く地域
観察対象の
  人的範囲
昭和18年以前 出生子もしくは死亡者の本籍が旧内地にあるもの 母親の本籍が旧内地にあるもの 夫妻双方又は夫妻のいずれか一方の本籍が旧内地にあるもの
昭和22〜57年 出生子もしくは死亡者の本籍が北海道(根室支庁の一部を除く)、本州、四国、九州及び沖縄にあるもの 母親の本籍が北海道(根室支庁の一部を除く)、本州、四国、九州及び沖縄にあるもの 夫妻双方又は夫妻のいずれか一方の本籍が北海道(根室支庁の一部を除く)、本州、四国、九州及び沖縄にあるもの
昭和58〜
   平成6年
出生子もしくは死亡者の本籍が北海道、本州、四国、九州及び沖縄にあるもの 母親の本籍が北海道、本州、四国、九州及び沖縄にあるもの 夫妻双方又は夫妻のいずれか一方の本籍が北海道、本州、四国、九州及び沖縄にあるもの
平成7年以降 父親又は母親の本籍が北海道、本州、四国、九州及び沖縄にあるもの

     一方、特に1990年代から国内に在住する外国人の増加が顕著になってきており、総人口に占める割合も現在では1%を超えている。また、国連の「人口動態統計に関する原則と勧告」によると、原則として、当該国内で発生した事象はすべて集計対象とするようにされており、国際的には国土全体の発生数を取っているところが多い。さらに、外国人の人口動態事象の発生状況は日本人のそれとやや異なっていること等により、今回、外国人を含めた、日本全体での人口動態統計を取りまとめることとした。

 なお、人口動態調査は、前述したように戸籍法などによる届出に基づいており、日本における外国人が居住する市区町村に届出するかどうかという問題がある。特に婚姻や離婚については、実態と届出件数との間にかい離があると考えられる。

 参考は、本特殊報告及び人口動態統計で主な集計をした範囲についてまとめている。外国における日本人の集計については、届出義務が課せられているが、届出の程度は不明である。また、届出の到着が遅れるため、前年以前の発生として処理される場合も多い。

  

【参考】集計客体

【参考】集計客体



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