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結果の概要

【事業所調査】
 
 コンピュータ機器の使用状況
(1)  使用しているコンピュータ機器の種類
 コンピュータ機器を使用している事業所の割合は96.3%となっており、使用している機器の種類(複数回答)をみると、「デスクトップ・ノート型パソコン(事業所内でのみ使用しているパソコン)」は93.1%の事業所で使用されており、その他「POS」19.3%、「ハンディーターミナル」14.5%、「携帯情報端末(携帯パソコン・PDA)」11.7%などとなっている。
 これを事業所規模別にみると、「デスクトップ・ノート型パソコン(事業所内でのみ使用しているパソコン)」を使用している事業所の割合は、すべての規模で9割を超えている。(第1表

(2)  コンピュータ機器のネットワーク化等の状況
 コンピュータ機器を使用している事業所のうち(以下同じ)、「インターネットに接続またはネットワーク化されている」とする事業所の割合は88.4%、「コンピュータ機器はあるがインターネットに接続されておらず、ネットワーク化もされていない」とする事業所の割合は11.6%となっている。
 「ネットワーク化等の状況」(複数回答)別にみると、「インターネットに接続されている」66.0%、「職場内や事業所内のコンピュータとネットワーク化されている」57.8%となっており、ともに過半数を超えている。
 これを事業所規模別にみると、30人以上のすべての規模で「インターネットに接続またはネットワーク化されている」とする事業所の割合が9割を超えており、また事業所規模が大きいほどネットワーク化の度合いが進んでいる。(第2表

(3)  コンピュータ機器の設置台数
 事務・販売等部門の労働者に対するコンピュータ機器の設置台数は、全体では「2〜3人に1台設置している」とする事業所の割合が33.0%と最も多く、次いで「1人に1台以上設置している」とする事業所の割合が30.0%となっている。
 これを事業所規模別にみると、10〜29人規模で「2〜3人に1台設置している」とする事業所の割合が最も多くなっている他は、「1人に1台以上設置している」とする事業所の割合が最も多く、特に1000人以上規模では、76.7%の事業所で「1人に1台以上設置している」としている。(第3表

 コンピュータ機器の導入等による労働面への影響
(1)  労働者数の増減とコンピュータ機器の導入
 過去5年間(平成10年11月1日から平成15年10月31日)に労働者数の増減のあった事業所について、コンピュータ機器の導入等が労働者数増減の要因となっているかについてみると、一般社員では労働者数が「増えた」とする事業所のうち76.3%がコンピュータ機器の導入等が労働者数増加の「要因となっていない」としている。また、「減った」とする事業所のうち72.3%が労働者数減少の「要因となっていない」としている。(第4−1表第4−2表

(2)  業務の性質の変化
 過去5年間にコンピュータ機器の導入にともない、労働者の業務の性質に変化があったとする事業所の割合は84.7%となっており、これを事業所規模別にみると、すべての規模で8割を超えている。
 労働者の業務の性質に変化があったとする事業所について、その変化の内容(複数回答)をみると「機器を活用するための、知識、技能が必要となった」69.7%が最も多く、次いで「データ、文章の入力等の単純作業のウェイトが大きくなった」47.2%が多くなっている。
 なお、「専門性や判断が必要な業務のウェイトが大きくなった」とする事業所の割合は全体では33.7%であるが、500人以上規模の事業所では過半数を超えている。また、「プレゼンテーション能力が要求されるようになった」とする事業所の割合についても、全体では26.0%であるが、500人以上規模では過半数を超えている。(第5表

(3)  労働条件の変更
 過去5年間にコンピュータ機器の導入等にともない「労働条件を変更した」とする事業所の割合は8.7%となっており、具体的な変更内容(複数回答)をみると、「労働時間の短縮(所定外労働時間の削減を含む)」62.8%が最も多く、次いで「業績給・能力給の採用」38.7%となっている。(第6表

(4)  衛生面に生じた問題
 コンピュータ機器の使用にともない、過去5年間に労働者の衛生面に生じた問題について、「目の疲れを訴える者が増えた」とする事業所の割合は26.8%、「肩のこり等の身体的な疲労を訴える者が増えた」は19.4%、「精神的ストレスを訴える者が増えた」は6.5%、「環境面での苦情(暑い、寒い、うるさい等)を訴える者が増えた」は3.1%となっており、いずれも「いいえ」とする事業所の割合を下回っている。
 これを事業所規模別にみると、「目の疲れを訴える者が増えた」では100人以上規模で、「肩のこり等の身体的な疲労を訴える者が増えた」では300人以上規模で、「はい」が「いいえ」を上回っている。(第7表

 VDT関連
(1)  作業環境対策
 通常の事務室、売場等の一角においてVDT作業環境対策を実施している事業所は99.5%であり、対策の内容(複数回答)をみると、「照明、採光対策」69.4%が最も多く、次いで「換気対策」67.2%、「温度・湿度に関する対策」62.8%となっている。
 また、専用の作業室、作業区画においてVDT作業環境対策を実施している事業所は54.6%であり、対策の内容(複数回答)をみると、「照明、採光対策」65.4%、「換気対策」64.3%、「温度・湿度に関する対策」63.2%となっている。
 事業所規模別にみると、「通常の事務室、売場等の一角」「専用の作業室、作業区画」ともに規模が大きいほど対策を実施している割合が多くなっている。(第8−1表第8−2表

(2)  作業時間管理対策の実施内容
 VDT作業時間管理対策を行っている事業所の割合は11.1%となっており、これを事業所規模別にみると、1000人以上規模では行っている事業所の割合が52.3%と5割を超えている。
 対策の内容(複数回答)をみると、「VDT作業の途中に他の作業を組み込んだり、他の作業とのローテーションを実施している」53.5%が最も多く、次いで「1連続作業時間と次の作業時間との間に10〜15分程度の作業休止時間を設けている」43.4%、「VDT作業時間中に1〜2分程度の小休止を設けている」23.5%となっている。(第9表

(3)  作業時間管理対策を行わない理由
 VDT作業時間管理対策を行っていない事業所の割合は88.4%となっており、これを行わない理由(複数回答)別にみると、「作業者個人の裁量に任せているから」60.9%が最も多く、次いで「長時間の連続的VDT作業を行う職場がないから」50.9%となっている。
 さらに事業所規模別にみると、「作業者個人の裁量に任せているから」はおおよそ規模が大きい事業所ほど割合が多く、逆に「長時間の連続的VDT作業を行う職場がないから」はおおよそ規模が小さい事業所ほど割合が多くなっている。(第10表

(4)  VDT健康診断の実施状況
 過去1年間にVDT健康診断を実施した事業所の割合は12.9%となっており、これを事業所規模別にみると、事業所規模が小さいほど実施した割合は少なくなっているが、500人以上規模では4割を超えている。
 検査項目(複数回答)をみると、「視力検査」は97.7%とほとんどの事業所で実施されており、次いで「ストレスに関する症状」26.2%、「上肢の運動機能、圧痛点等の検査」25.3%の順となっている。(第11表

(5)  VDT健康診断を実施しなかった理由
 VDT健康診断を実施しなかった事業所の割合は86.7%となっており、実施しなかった理由(複数回答)についてみると、「常時VDT作業に従事する労働者がいないから」49.0%が最も多く、次いで「通常の健康診断で十分と考えているから」47.7%、「VDT健康診断というものを知らなかったから」33.7%の順となっている。(第12表

(6)  労働衛生教育の実施状況
 VDT作業に関する適正な作業姿勢・作業時間、健康への影響等についての労働衛生教育をVDT作業者に対して「実施している」とする事業所の割合は9.2%、管理、監督者に対して「実施している」とする事業所の割合は9.1%となっている。
 事業所規模別にみると、1000人以上規模では「実施している」とする事業所の割合が過半数となっているが、事業所規模が小さいほど「実施している」とする事業所の割合は少なくなっている。(第13表

(7)  健康管理対策として今後取り組みたい課題
 VDT作業者の健康管理対策として、今後取り組みたい課題があるとする事業所の割合は65.5%となっており、具体的な内容(複数回答)としては、作業場所に関する対策をあげる事業所の割合が多く、「十分な作業空間の確保やレイアウトの適正化」45.5%、「机、イス、床の改善(機器の配線の整備によるつまずき等の防止)」42.8%、「照明及び採光の確保」37.4%となっている。(第14表


【労働者調査】
 
 コンピュータ機器の使用状況
(1)  コンピュータ機器使用率
 コンピュータ機器を使用している労働者の割合は86.2%となっている。
 これを年齢階級別にみると「30〜39歳」90.7%、「29歳以下」89.0%、「40〜49歳」86.6%とそれぞれ約9割となっているが、「60歳以上」では56.8%となっている。
 男女別にみると、男87.6%、女84.7%とコンピュータ機器を使用している労働者の割合は男女とも8割を超えている。
 また就業形態別にみると、コンピュータ機器を使用する労働者の割合が最も多いのは「派遣労働者」で97.2%、「一般社員」は91.6%となっている。(第15表

(2)  コンピュータ機器を使用して行う仕事
 コンピュータ機器を使用している労働者について(特にことわりのない限り以下同じ)、コンピュータ機器を使用して行う仕事の内容(複数回答)をみると、「文書や表等の作成、編集等の業務」78.1%が最も多く、次いで「データ、文章等の入力(文書の作成、分析等に伴うものを除く)」71.8%、「データの検索、照合、追加、修正」66.4%の順となっている。
 男女別にみると、男では「文書や表等の作成、編集等の業務」84.3%が最も多く、女では「データ、文章等の入力(文書の作成、分析等に伴うものを除く)」72.0%、「文書や表等の作成、編集等の業務」70.6%がほぼ同じ割合となっている。
 就業形態別にみると、一般社員では「文書や表等の作成、編集等の業務」81.4%が最も多く、派遣労働者では「データ、文章等の入力(文書の作成、分析等に伴うものを除く)」78.4%、「データの検索、照合、追加、修正」77.9%、「文書や表等の作成、編集等の業務」75.0%がほぼ同じ割合となっている。(第16表

 コンピュータ機器の導入等による労働面への影響
(1)  仕事の変化
 コンピュータ機器の導入等にともなう仕事の変化についてその内容をみると、「はい」とした労働者の割合が多いのは「機器を使用するための知識、技能が必要となった」73.1%、「業務の処理スピードが速くなった」62.3%、「データ、文章の入力等の業務が増えた」49.9%などとなっている。(第17表

(2)  仕事への適応の程度
 コンピュータ機器を使用する仕事への適応の程度をみると、「充分適応できている」とする労働者の割合は22.8%、「ある程度適応できている」64.5%となっており、「適応できている」とする労働者はあわせて87.3%となっている。
 一方、「あまり適応できていない」とする労働者の割合は9.5%、「まったく適応できていない」0.4%となっており、「適応できていない」とする労働者はあわせて10.0%となっている。
 年齢階級別にみると、年齢が高いほど「適応できていない」とする労働者の割合が多い傾向にあり、60歳以上では22.5%となっている。(第18表

 VDT関連
(1)  労働日1日あたりの平均VDT作業時間
 10月1日から31日までの間における、労働日1日あたりの平均VDT作業時間をみると、「1時間未満」17.7%、「1時間以上2時間未満」19.7%、「2時間以上4時間未満」25.1%、「4時間以上6時間未満」16.9%、「6時間以上」20.6%となっている。
 就業形態別に最も割合の多い平均VDT作業時間をみると、一般社員は「2時間以上4時間未満」26.0%、パートタイム労働者は「1時間未満」32.9%、派遣労働者は「6時間以上」49.8%となっている。(第19表

(2)  VDT作業の最長連続作業時間
 10月1日から31日までの間でVDT作業を行った日のうち、10分以上の作業休止時間をとらずに連続して作業を行った最長時間をみると、「1時間以上2時間未満」31.6%、「30分以上1時間未満」23.4%、「2時間以上4時間未満」19.5%などとなっている。
 就業形態別に最も割合の多い最長連続作業時間をみると、一般社員は「1時間以上2時間未満」31.7%、パートタイム労働者は「1時間以上2時間未満」30.8%、派遣労働者は「4時間以上」36.2%となっている。(第20表

(3)  VDT作業の中断方法
 VDT作業を行う場合にVDT作業の中断を行っている労働者の割合は67.0%となっており、具体的な作業の中断方法(複数回答)をみると、「VDT作業の途中に他の作業を組み込んでいる」61.6%が最も多く、次いで「VDT作業中に1〜2分程度の小休止をとっている」21.8%、「連続作業の合間に10〜15分程度の作業休止時間をとっている」19.4%となっている。
第21表

(4)  VDT作業を中断できない理由
 VDT作業の中断を行っていない労働者の割合は32.6%となっている。
 VDT作業の中断ができない理由(複数回答)別にみると、「VDT作業が短時間なので」45.7%が最も多く、次いで「忙しくて中断できないから」27.0%、「中断しなくても疲労を感じないから」25.9%の順になっている。(第22表

(5)  精神的な疲労やストレスの状況
 コンピュータ機器を使用することに対する精神的な疲労やストレスの程度をみると、「あまり感じない」とする労働者の割合は45.8%、「まったく感じない」16.4%となっており、「感じない」とする労働者の割合はあわせて62.1%となっている。
 一方、「やや感じている」とする労働者の割合は28.9%、「たいへん感じている」5.9%となっており、「感じている」とする労働者の割合はあわせて34.8%となっている。
 1日あたりの平均VDT作業時間別にみると、作業時間が長いほど「感じている」とする割合が多く、6時間以上では42.4%となっている。(第23表

(6)  身体的な疲労や自覚症状
 仕事でのVDT作業で、身体的な疲労や症状を感じている労働者の割合は78.0%となっている。このうち身体的疲労や症状の内容(複数回答)として最も割合が多いのは、「目の疲れ・痛み」91.6%となっており、次いで「首、肩のこり・痛み」70.4%、「腰の疲れ・痛み」26.6%となっている。
 年齢階級別にみると最も割合が多いのは29歳以下で80.9%となっており、年齢が高いほど割合は少なくなっている。
 1日あたりの平均VDT作業時間別にみると、1時間以上のすべての区分で7割を超えている。
 (第24表

(7)  教育の受講
 VDT作業に関する適正な作業姿勢・作業時間、健康への影響等についての教育を「受けたことがある」とする労働者の割合は16.8%、「受けたことがない」とする労働者の割合は82.8%となっている。(第25表

(8)  VDT健康診断の受診状況
 過去1年間にVDT健康診断を受診した労働者の割合は12.0%、受診しなかった労働者の割合は88.0%で、受診しなかった理由についてみると、「VDT健康診断が実施されなかった」67.0%が最も多く、次いで「受診する必要性を感じなかった」12.2%、「VDT健康診断の受診対象でなかった」8.8%となっている。(第26表

(9)  作業環境
 事務所内で仕事を行う場所の作業環境について労働者(コンピュータ機器を使用していない労働者を含む)の評価をみると、すべての項目で「適当」あるいは「気にならない」とする割合が5割を超え、「採光・照明」90.6%、「温度」85.2%、「湿度」77.8%となっている。(第27−1表
 VDT作業場所の作業環境についての労働者(コンピュータ機器を使用している労働者のうち、「事務所内仕事場所以外にVDT作業場所がある」とする労働者)の評価をみても、すべての項目で「適当」あるいは「気にならない」とする割合が5割を超え、「採光・照明」88.4%、「温度」85.6%、「湿度」82.5%で多くなっている。(第27−2表

(10)  作業環境の改善要望
 仕事でのVDT作業環境で「改善して欲しいことがある」とする労働者の割合は68.3%となっており、これを年齢階級別にみると、「改善して欲しいことがある」とする労働者の割合が最も多いのは29歳以下で71.9%となっている。
 また、改善して欲しいこととして、作業場所に関する対策をあげる労働者の割合が多く、「十分な作業空間の確保やレイアウトの適正化」43.8%、「机、イス、床の改善(機器の配線の整備によるつまずき防止)」36.9%、「温度・湿度の空気調和設備等による調整」31.1%などとなっており、次いで「VDT健康診断の実施とその結果に応じた保健指導などの措置」22.9%となっている。(第28表


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