厚生労働省

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1 平成19年の労働争議の概況

(1) 労働争議の種類別の状況

平成19年の労働争議は、「総争議」の件数は636件、総参加人員は61万3千人となっており、前年に比べ、件数が26件(3.9%)減、総参加人員が1万4千人(2.3%)減となった。

このうち、「争議行為を伴う争議」の件数は156件、行為参加人員は5万4千人となっており、前年に比べ、件数が45件(40.5%)増、行為参加人員が1万6千人(40.2%)増となった。(第1表第1図

第1表 労働争議の種類別件数及び参加人員の推移
年 次 総 争 議 争 議 行 為 を 伴 う 争 議 争議行為を伴わない争議
件  数 総参加人員 件  数 総参加人員 行為参加
人員
件  数 総参加人員
 
平成14年 1,002 1,004,833 304 160,088 65,892 698 844,745
15 872 1,152,562 174 95,425 42,810 698 1,057,137
16 737 710,242 173 117,306 55,174 564 592,936
17 708 646,291 129 70,007 27,295 579 576,284
18 662 627,413 111 90,661 38,595 551 536,752
19 636 612,974 156 103,133 54,105 480 509,841
対前年比(%) - 3.9 - 2.3 40.5 13.8 40.2 -12.9 - 5.0
第1図 労働争議の種類別件数の推移
(2) 争議行為を伴う争議

ア 行為形態別の状況

「争議行為を伴う争議」を行為形態別にみると、「半日以上の同盟罷業」の件数は54件、行為参加人員は20,825人、労働損失日数は33,236日となっており、前年に比べ、件数が8件(17.4%)増、行為参加人員が15,059人(261.2%)増、労働損失日数が25,322日(320.0%)増となった(第2表)。

第2表 争議行為を伴う争議の行為形態別件数、参加人員及び労働損失日数の推移
年 次 半日以上の同盟罷業及び作業所閉鎖 半日未満の
同盟罷業
怠業 その他
半日以上の同盟罷業 作業所閉鎖
件数 行為参
加人員
労働損
失日数
件数 行為参
加人員
労働損
失日数
件数 行為参
加人員
労働損
失日数
件数 行為参
加人員
件数 行為参
加人員
件数 行為参
加人員
 
平成14年 74 7,015 12,262 74 7,015 12,262 - - - 253 60,004 - - 2 42
15 47 4,447 6,727 47 4,447 6,727 - - - 145 38,862 - - - -
16 51 6,998 9,755 51 6,998 9,755 1 11 55 142 49,659 - - - -
17 50 4,119 5,629 50 4,119 5,629 - - - 99 23,746 - - - -
18 46 5,766 7,914 46 5,766 7,914 - - - 82 34,758 - - - -
19 54 20,825 33,236 54 20,825 33,236 - - - 118 34,485 - - 1 120
対前年比(%) 17.4 261.2 320.0 17.4 261.2 320.0 - - - 43.9 - 0.8 - - - -

注: 争議行為を伴う争議で、複数の行為形態を伴う争議(例えば「半日未満の同盟罷業」と「半日以上の同盟罷業」が併存する場合など)は、それぞれの形態で計上しているので、計とそれぞれの形態を積み上げた合計と一致しない場合がある。

イ 産業別の状況

「争議行為を伴う争議」を産業別にみると、件数は「情報通信業」、「医療,福祉」、「製造業」の順に多く、行為参加人員は「医療,福祉」、「公務」、「サービス業(他に分類されないもの)」、労働損失日数は「サービス業(他に分類されないもの)」、「運輸業」、「情報通信業」などの順となっている(第3表)。

第3表 産業別争議行為を伴う争議件数、行為参加人員及び労働損失日数
産  業 争議行為を伴う争議 うち半日以上の同盟罷業 うち半日未満の
同盟罷業
件  数 行為参加
人員
労働損失
日数
件 数 行為参加
人員
労働損失
日数
件 数 行為参加
人員
 
156 54,105 33,236 54 20,825 33,236 118 34,485
鉱業 - - - - - - - -
建設業 1 5 50 1 5 50 - -
製造業 33 2,650 713 12 679 713 24 2,068
電気・ガス・熱供給・水道業 - - - - - - - -
情報通信業 41 4,462 1,249 10 1,236 1,249 36 3,230
運輸業 18 7,754 8,951 16 6,999 8,951 4 755
卸売・小売業 6 2,201 82 1 66 82 5 2,135
金融・保険業 1 51 250 1 51 250 1 51
不動産業 - - - - - - - -
飲食店,宿泊業 - - - - - - - -
医療,福祉 36 12,621 198 5 137 198 34 12,560
教育,学習支援業 6 121 367 3 52 367 3 69
複合サービス事業 2 19 9 1 9 9 1 10
サービス業(他に分類されないもの) 7 11,608 21,367 4 11,591 21,367 5 994
公務 5 12,613 - - - - 5 12,613
その他 - - - - - - - -

注:  1) 第2表 注 参照。

2) 「争議行為を伴う争議」には、「同盟罷業」のほかに「作業所閉鎖」、「怠業」、「その他」の形態を含む。

3) 産業の「その他」とは、農業、林業、漁業及び分類不能の産業をいう。なお、分類不能の産業とは、複数企業の労働者で組織されている合同労組のように、産業分類が特定できないものを言う。

ウ 民営の企業規模別の状況

民営企業における「争議行為を伴う争議」をみると、企業数(延べ数)は325企業、行為参加人員は31,028人、労働損失日数は14,321日となっている。

企業規模別にみると、企業数(延べ数)は「99人以下」、行為参加人員及び労働損失日数では「1,000人以上」の企業で最も多くなっている。(第4表

第4表 企業規模別争議行為を伴う争議の企業数、行為参加人員及び労働損失日数(民営企業のみ)
企業規模 争議行為を伴う争議 うち半日以上の同盟罷業 うち半日未満の同盟罷業
企業数  (延べ数) 行為参加
人員
労働損失
日数
企業数 行為参加
人員
労働損失
日数
企業数 行為参加
人員
  企業 企業 企業
平成19年計 325 31,028 14,321 113 10,361 14,321 224 20,897
1,000人 以上 60 13,332 6,526 24 3,611 6,526 40 9,807
300〜999人 77 6,588 1,304 23 1,051 1,304 56 5,537
100〜299人 73 2,715 1,393 33 1,161 1,393 42 1,603
99人 以下 101 1,262 967 27 407 967 78 950
そ  の  他 14 7,131 4,131 6 4,131 4,131 8 3,000
平成18年計 362 27,155 7,914 95 5,766 7,914 309 23,318

注:  1) 企業数とは、労働争議を行った組合の組合員が雇用されている企業を集計したもの(「その他」を除く)である。
なお、1件の争議でも複数企業に及ぶもの(企業外連合)は対象企業ごとに計上して集計し、1企業において複数の争議があった場合は争議ごとに計上して集計しており延べ数となっている。

2) 企業規模「その他」とは、1組合が複数企業の労働者で組織されている合同労組のように、企業規模が特定できないもの等をいい、1合同労組を1企業として集計している。

エ 加盟主要団体別の状況

「争議行為を伴う争議」について加盟主要団体別に件数、行為参加人員、労働損失日数をみると、「連合」は24件、25,319人、22,526日、「全労連」は76件、18,058人、802日、「全労協」は14件、2,879人、257日となっている(第5表)。

第5表 加盟主要団体別争議行為を伴う争議の件数、行為参加人員及び労働損失日数
加盟
主要団体
争議行為を伴う争議 うち半日以上の同盟罷業 うち半日未満の同盟罷業
件  数 行為参加
人員
労働損失
日数
件 数 行為参加
人員
労働損失
日数
件 数 行為参加
人員
 
156 54,105 33,236 54 20,825 33,236 118 34,485
連 合 24 25,319 22,526 16 12,540 22,526 11 13,799
全労連 76 18,058 802 14 545 802 69 17,643
全労協 14 2,879 257 4 123 257 10 2,756
その他 48 10,553 9,651 20 7,617 9,651 34 2,991

注:  1) 「その他」とは、連合、全労連、全労協のいずれにも加盟していない労働組合をいう。

2) 複数の団体に重複加盟している労働組合があるため、件数、行為参加人員、労働損失日数の計とそれぞれの加盟主要団体を積み上げた数値とは一致しない場合がある。

(3) 労働争議の主要要求事項別の状況

「総争議」の件数を主要要求事項別にみると、「賃金及び手当」に関する事項が340件で、全体の53.5%と最も多くなっており、その内訳をみると、「臨時給与金」が138件、「その他の賃金手当」が113件と多くなっている。

また、「経営及び人事」に関する事項のうち、「解雇反対・被解雇者の復職」が135件、「組合保障及び労働協約」に関する事項のうち、「組合保障及び組合活動」が104件と多くなっている。(第6表

第6表 総争議の主要要求事項別労働争議件数
主要要求事項 総 争 議 構成比
平成19年     平成18年 平成19年 平成18年
対前年差 対前年比
   
636 -26 -3.9 662 100.0 100.0
組合保障及び労働協約 120 -43 -26.4 163 18.9 24.6
組合保障及び組合活動 104 -27 -20.6 131 16.4 19.8
労働協約の締結、改訂及び効力 21 -16 -43.2 37 3.3 5.6
賃金及び手当 340 8 2.4 332 53.5 50.2
賃金増額 109 13 13.5 96 17.1 14.5
臨時給与金 138 7 5.3 131 21.7 19.8
退職手当 28 5 21.7 23 4.4 3.5
その他の賃金手当 113 -28 -19.9 141 17.8 21.3
賃金以外の労働条件 70 17 32.1 53 11.0 8.0
労働時間の変更 10 5 100.0 5 1.6 0.8
休日・休暇 20 14 233.3 6 3.1 0.9
福利厚生・年金 2 -1 -33.3 3 0.3 0.5
その他の労働条件 39 -3 -7.1 42 6.1 6.3
経営及び人事 202 -32 -13.7 234 31.8 35.3
解雇反対・被解雇者の復職 135 6 4.7 129 21.2 19.5
事業の休廃止・合理化 14 -6 -30.0 20 2.2 3.0
定年制 10 -6 -37.5 16 1.6 2.4
配置転換 14 -18 -56.3 32 2.2 4.8
その他の経営及び人事 39 -9 -18.8 48 6.1 7.3
その他 31 2 6.9 29 4.9 4.4

注:  1) 1労働争議につき労働者側から提出された要求のうち、主なもの2つまでを主要要求事項として取り上げているため、主要要求事項「計」(総争議件数)と、個々の主要要求事項の数値の合計は必ずしも一致しない。

2) 「組合保障及び労働協約」、「賃金及び手当」等の太字で書かれている各区分の件数は、2つの主要要求事項が同一の区分内にある労働争議は1件として計上しているので、各区分の事項の合計とは一致しない場合がある。

3) 主要要求事項の具体的内容例については、P57 記入要領(抜粋)「3 主要要求事項」欄を参照されたい。

(4) 労働争議の解決状況

ア 解決方法別の状況

平成19年の「総争議」636件のうち、平成19年中に「解決又は解決扱い」になった件数は531件(労働争議全体の83.5%)となっており、「翌年への繰越」は105件(同16.5%)であった。

解決方法をみると、「労使直接交渉による解決」が185件(解決件数の34.8%)、「第三者関与による解決」が168件(同31.6%)、「その他(解決扱い)」が178件(同33.5%)となっている。

なお、「第三者関与による解決」をみると、労働委員会関与の「あっせん」が161件(同30.3%)で最も多くなっている。(第7表

第7表 労働争議の解決件数の推移

(単位:件)
年 次 総争議 解決又は
解決扱い
  翌年
への
繰越
労使直
接交渉
による
解決
  第三者
関与に
よる解決
  その他
(解決
扱い)
第三者
関与あり
労働委員会関与  
あっせん 調 停 仲 裁
平成14年 1,002 792   201 52 338 326 313 4 9 253 210
15 872 711   152 58 344 338 304 27 7 215 161
16 737 595   118 44 299 296 291 5 - 178 142
17 708 551   128 63 222 221 218 3 - 201 157
18 662 542   160 100 216 214 213 1 - 166 120
19 636 531   185 80 168 164 161 3 - 178 105
構成比(%) 100.0 83.5 (100.0) ( 34.8) ( 15.1) ( 31.6) ( 30.9) ( 30.3) (  0.6) (    -) ( 33.5) 16.5

注:  1) 「その他(解決扱い)」には、不当労働行為事件として労働委員会に救済申し立てがなされた労働争議、労働争議の当事者である労使間では解決方法がないような労働争議(例えば、支援スト、政治スト等もここに区分される。)及び解決の事情が明らかでないような労働争議が含まれる。

2) 「労使直接交渉」のうち、「第三者関与あり」とは、解決に至る過程においてあっせんや調停等の第三者関与があったが、労使の直接交渉によって解決したものをいう。

3)  ( )内は「解決又は解決扱い」に占める解決方法別構成比である。

イ 継続期間別の状況

労働争議の解決状況を継続期間(争議発生から解決に至るまでの日数をいう。)別にみると、30日以内で解決した件数は158件となっており、全体の29.8%となっている(第8表)。

第8表 継続期間別労働争議解決件数
  5日以下 6〜10日 11〜20日 21〜30日 31〜60日 61〜90日 91日以上
解決件数(件) 531 18 18 47 75 108 123 142
構成比 (%) 100.0 3.4 3.4 8.9 14.1 20.3 23.2 26.7

2 春季賃上げ争議の状況

(1) 労働争議の種類別の状況

平成19年春季賃上げ争議(2〜5月に発生し、主要要求事項に「賃金増額」を含む労働争議をいう。)の「総争議」の件数は65件、総参加人員は40,614人となっており、前年に比べ、件数17件(35.4%)増、総参加人員510人(1.3%)増となった。

総争議のうち、「争議行為を伴う争議」の件数は51件、行為参加人員は19,963人となっており、前年に比べ、件数が10件(24.4%)増、行為参加人員が4,054人(25.5%)増となった。(第9表

第9表 労働争議の種類別件数及び参加人員の推移(春季賃上げ争議)
年 次 総 争 議 争 議 行 為 を 伴 う 争 議 争議行為を伴わない争議
件  数 総参加人員 件  数 総参加人員 行為参加
人員
件  数 総参加人員
 
平成14年 149 63,813 132 62,012 27,732 17 1,801
15 83 57,539 66 49,493 22,495 17 8,046
16 82 52,758 67 51,966 23,782 15 792
17 69 32,361 55 31,687 14,810 14 674
18 48 40,104 41 39,853 15,909 7 251
19 65 40,614 51 37,382 19,963 14 3,232
対前年比(%) 35.4 1.3 24.4 - 6.2 25.5 100.0 1187.6
(2) 争議行為を伴う争議の状況

「争議行為を伴う争議」を行為形態別にみると、「半日以上の同盟罷業」の件数は22件、行為参加人員は7,684人、労働損失日数は7,763日となっており、前年に比べ、行為参加人員、労働損失日数ともに増加した。

また、「半日未満の同盟罷業」は、件数37件、行為参加人員12,335人となっている。(第10表

第10表 争議行為を伴う争議の行為形態別件数、参加人員及び労働損失日数の推移 (春季賃上げ争議)
年 次 半日以上の同盟罷業及び作業所閉鎖 半日未満の
同盟罷業
怠業 その他
半日以上の同盟罷業 作業所閉鎖
件数 行為参
加人員
労働損
失日数
件数 行為参
加人員
労働損失日数 件数 行為参
加人員
労働損
失日数
件数 行為参
加人員
件数 行為参
加人員
件数 行為参
加人員
 
平成14年 46 4,932 6,542 46 4,932 6,542 - - - 103 23,603 - - - -
15 16 2,802 3,844 16 2,802 3,844 - - - 58 20,167 - - - -
16 20 3,355 4,275 20 3,355 4,275 - - - 54 21,496 - - - -
17 20 2,691 3,381 20 2,691 3,381 - - - 41 12,546 - - - -
18 18 2,810 3,144 18 2,810 3,144 - - - 30 14,182 - - - -
19 22 7,684 7,763 22 7,684 7,763 - - - 37 12,335 - - - -
対前年比(%) 22.2 173.5 146.9 22.2 173.5 146.9 - - - 23.3 -13.0 - - - -

注: 第2表 注 参照。

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