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平成24年6月 月例労働経済報告

1 概況

  1. (1)一般経済の概況
     景気は、依然として厳しい状況にあるものの、復興需要等を背景として、緩やかに回復しつつある。
    • 生産は、緩やかに持ち直している。輸出は、持ち直しの動きがみられる。
    • 企業収益は、持ち直している。設備投資は、緩やかに持ち直している。
    • 企業の業況判断は、大企業製造業で下げ止まっており、全体としては小幅改善となっている。
    • 雇用情勢は、持ち直しているものの、東日本大震災の影響もあり依然として厳しい。
    • 個人消費は、緩やかに増加している。
    • 物価の動向を総合してみると、下落テンポが緩和しているものの、緩やかなデフレ状況にある。
     先行きについては、復興需要等を背景に、景気回復の動きが確かなものとなることが期待される。ただし、欧州政府債務危機を巡る不確実性が高まっており、こうしたこと等を背景とした金融資本市場の変動や海外景気の下振れ等によって、我が国の景気が下押しされるリスクが存在する。また、電力供給の制約、デフレの影響等にも注意が必要である。
  2. (2)労働経済の概況
     労働経済面をみると、雇用情勢は、持ち直しているものの、東日本大震災の影響もあり依然として厳しい第1図)。

     完全失業率は、4月は前月比0.1%ポイント上昇し4.6%となった。また、15〜24歳層の完全失業率は、前月比0.6%ポイント上昇し、9.2%となった。労働力人口、就業者数は減少し、完全失業者数は増加した。雇用者数はこのところ横ばい圏内で推移している。
     新規求人数が増加していることなどから有効求人倍率は上昇している。製造業の残業時間は、持ち直しの動きがみられる。
     賃金をみると、定期給与、現金給与総額は底堅く推移している。
     先行きについては、引き続き厳しさが残るものの、持ち直していくと見込まれる。

2 一般経済

  1. (1)鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、緩やかに持ち直している。
     2012年 4月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、0.2%低下した(第2図)。
     業種別にみると、電子部品・デバイス工業、情報通信機械工業、食料品・たばこ工業等が低下し、輸送機械工業、電気機械工業、化学工業等が上昇した。
     出荷は 前月比0.6%の上昇。在庫は前月比2.0%の上昇であった。
     生産の先行きについては、内需の増加等を背景に、持ち直し傾向が続くものと期待されるが、海外景気の下振れリスクや電力供給制約、自動車販売の今後の動向等に留意する必要がある。
     なお、製造工業生産予測調査においては、5月は前月比3.2%の低下、6月は同2.4%の上昇が見込まれている。
  2. (2)最終需要の動向をみると、
    1. [1]個人消費は、緩やかに増加している。
       二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、3月0.1% 減の後、4月0.8% 減となった。うち勤労者世帯では、3月1.5%減から、4月0.2%増となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は3月72.9%の後、4月73.0%となった(第3図)。
       消費者態度指数(季節調整済前月差)の推移をみると、4月は0.3ポイント下落し、40.0となった。
       4月の小売業販売額(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、0.4%減、大型小売店販売額は0.3%増となった。また、国内新車(乗用車のみ)登録・届出台数(前年同月比)は、4月99.5%増の後、5月68.6%増となった。
       先行きについては、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、政策効果もあって、緩やかな増加傾向が続くと見込まれる。ただし、電力供給の制約や自動車販売の今後の動向には留意が必要である。
    2. [2]設備投資は、緩やかに持ち直している。
       財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2011年10〜12月期に季節調整済前期比11.8%上昇した後、2012年1〜3月期同1.7%低下(うち製造業同3.6%上昇、非製造業同4.5%低下)となっている。また、資本財出荷指数(除く輸送機械)をみると、2012年4月は季節調整済前月比1.6%低下した(第4表)。
       今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)では、2012年度の設備投資計画(前年度比)は、全規模では1.3%の低下、製造業では0.4%上昇、非製造業は2.2%低下となっている。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、3月は季節調整済前月比2.8%低下したが、4月は同5.7%上昇した。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、3月は季節調整済前月比10.6%低下、4月は同17.0%上昇した。
       先行きについては、企業収益が持ち直すなかで、復興需要もあって、引き続き持ち直していくと見込まれる。
    3. [3]住宅建設は、持ち直している。
       新設住宅着工戸数をみると、3月は季節調整済前月比7.6%低下したが、4月は同5.7%上昇し、年率89.6万戸となった(第5図)。
       着工床面積は、3月は季節調整済前月比8.5%低下したが、4月は同5.2%上昇した。
       先行きについては、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、復興需要もあって、引き続き持ち直していくことが期待される。ただし、建設労働者の需給状況に注視が必要である。
    4. [4]公共投資は、堅調に推移している。
       公共機関からの建設工事受注額は、3月は前年同月比12.2%の上昇、4月も同30.2%の上昇となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、4月は5.4%の上昇、5月は36.7%の上昇となった。
       先行きについては、関連予算の執行により、強めの動きとなることが見込まれる。
    5. [5]輸出は、 持ち直しの動きがみられる。
       通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、4月に2.0%上昇し、5月は1.7%低下した。四半期別では、2011年10〜12月期に4.1%低下したが、2012年1〜3月期は0.3%上昇した(第6図)。
       地域別にみると、アジア向けの輸出は、このところ横ばいとなっている。アメリカ向けの輸出は、増加している。EU向けの輸出は、横ばいとなっている。先行きについては、アメリカ経済の緩やかな回復傾向等を背景に、持ち直しの動きが続くことが期待されるが、海外景気の下振れリスクや円高の影響等に留意する必要がある。
       輸入は、持ち直しの動きがみられる。
       通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、4月は2.0%低下したが、5月は1.9%上昇した。四半期別では、2011年10〜12月期は0.6%上昇、2012年1〜3月期も0.2%上昇した(第6図)。
       地域別にみると、アジアからの輸入は、持ち直しの動きがみられる。アメリカからの輸入は、緩やかに増加している。EUからの輸入は、横ばいとなっている。先行きについては、底堅く推移することが見込まれる。
  3. (3)国内企業物価は、このところ上昇テンポが鈍化している。消費者物価は、このところ横ばいとなっている。
     4月の国内企業物価(確報)は、前月比0.2%上昇(前年同月比0.3%下落)となり、輸出物価は同0.9%下落(同3.0%下落)、輸入物価は同0.2%上昇(同1.3%上昇)となった。
     4月の消費者物価は、生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合(コアコア)では前年同月比0.4%下落(季節調整済前月比0.1%下落)となった。総合が 同0.4%上昇(同横ばい)となり、生鮮食品を除く総合は同 0.2%上昇(同0.1%上昇)となった(第7図)。
     先行きについては、消費者物価(コアコア)は、当面、横ばい圏内で推移すると見込まれる。
     なお、消費者物価(コアコア)が前年比で引き続き下落していることなども含め、物価の動向を総合してみると、下落テンポが緩和しているものの、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレ状況にある。
  4. (4)企業収益は、持ち直している。企業の業況判断は、大企業製造業で下げ止まっており、全体としては小幅改善となっている。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。
     財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2011年10〜12月期10.3%の低下、2012年1〜3月期9.3%の上昇(製造業3.6%上昇、非製造業11.8%上昇)、季節調整済前期比で2011年10〜12月期1.8%の上昇、2012年1〜3月期は9.5%の上昇(製造業17.4%上昇、非製造業6.1%上昇)となった。
     また、日本銀行「全国企業短観経済観測調査」(3月調査)によれば、企業の全規模の2012年度の経常利益計画(前年度比)は、通期では全規模2.1%の増益、製造業3.5%の増益、非製造業1.2%の増益となっている(第8表)。
     企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)をみると、規模計で、全産業 ▲6ポイント(1ポイント改善)、製造業 ▲7ポイント( 2ポイント悪化)、非製造業▲5ポイント(2ポイント改善)となっている(負の数には▲を付した。)(第9表)。
     倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、2012年5月は1,148件で、前年同月比7.1%の増加となった。
  5. (5)2012年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比1.2%増(年率4.7%増)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は1.0%増、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.1%増となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比1.2%増(年率4.9%増)となった(第10図)。

3 雇用・失業

  1. (1)[1] 4月の就業者数(季節調整値)は、6,255万人となった。

     就業者数(季節調整値)は、4月は前月差16万人減の6,255万人(原数値は6,275万人、前年同月差27万人 減)となった。男女別には、男性が3,605万人(前月差9万人減)、女性が2,650万人(同7万人減)となった(第11表)。
     4月の雇用者数(季節調整値)は、5,481万人となった。
     雇用者数(季節調整値)は4月は前月差5万人減の5,481万人(原数値は5,477万人、前年同月差15万人減)となった(第12図)。男女別には、男性が3,131万人(前月差8万人減)、女性が2,351万人(前月差4万人増)となった。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,732万人、臨時雇・日雇が744万人となった。
     4月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、前月比0.1%減となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は同0.3%減、パートタイム労働者は同0.6%増となった。

  2. [2]4月の完全失業率(季節調整値)は、4.6%となった。
     完全失業率(季節調整値)は 4月は 前月差0.1%ポイント上昇の4.6%(原数値は4.8%、前年同月差0.2%ポイント低下)となった。男女別には、男性が4.8%(前月差0.1%ポイント低下)、女性が4.2%(同0.1%ポイント上昇)となった。
     4月の完全失業者数(季節調整値)は、299万人となった。
     完全失業者数(季節調整値)は、4月は前月差2万人増の299万人(原数値は315万人、前年同月差14万人減)となった。男女別には、男性が183万人(前月差1万人減)、女性が117万人(同4万人増)となった。
     なお、求職理由別(原数値)にみると、4月は非自発的理由による離職失業者は116万人(前年同月差14万人減)、自発的理由による離職失業者は108万人(同6万人増)、学卒未就職者は24万人(前年同月と同水準)、その他の理由による失業者は62万人(同5万人減)となった(第11表)。
  3. [3]4月の労働力人口(季節調整値)は、6,554万人となった。
     労働力人口(季節調整値)は、4月は 前月差13万人減の6,554万人(原数値は6,591万人、前年同月差39万人減)となった。
     4月の非労働力人口(季節調整値)は、4,547万人となった。
     非労働力人口(季節調整値)は、4月は前月差13万人増の4,547万人(原数値は4,504万人、前年同月差23万人増)となった。男女別には、男性が1,570万人(前月差11万人増)、女性が2,977万人(同2万人増)となった。
     労働力人口比率(原数値)は、4月は59.4%(前年同月差0.2%ポイント低下)となった。男女別には、男性が71.1%(前年同月比0.5%ポイント低下)、女性が48.5%(前年同月比0.1%ポイント上昇)となった(第11表)。
     就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、4月は56.5%(前年同 月差0.2%ポイント低下)となった。
  4. (2) 月間有効求人数(季節調整値)は、前月比2.7%増と13か月連続で増加した。
     月間有効求職者数(季節調整値)は、前月比1.9%減と2か月ぶりに減少した。
     4月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.79倍と前月 より0.03ポイント上昇した。
     新規求人数(季節調整値)は、前月比3.6%増と2か月連続で増加した。
     新規求職者数(季節調整値)は、前月比3.8%減と 2か月ぶりに減少した。
     4月の新規求人倍率(季節調整値)は、1.28倍と前月より0.09ポイント上昇した第13表)。
     正社員の有効求人倍率は、0.44倍(前年同月差0.10ポイント上昇)となった。
     新規求人数(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、4月は一般は前月比 3.0%増と2か月ぶりに増加し、パートについては同1.2%増と2か月連続で増加した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比5.4%減と2か月ぶりに減少し、パートについては同0.5%減と2か月ぶりに減少した。
  5. (3)産業別にみると、4月の就業者数(原数値)は、医療・福祉は前年同月差35万人増、建設業は同20万人増、情報通信業は同8万人増、その他サービス業は同8万人増と増加したのに対し、卸売業,小売業は同30万人減、製造業は同23万人減、運輸業,郵便業は同19万人減、学術研究,専門・技術サービス業は同10万人減、生活関連サービス業,娯楽業は同9万人減、宿泊業,飲食サービス業は同2万人減、教育,学習支援業は同1万人減であった。
     また、4月の新規求人(原数値)は、宿泊業,飲食サービス業は前年同月比30.5%増、卸売業,小売業は同19.6%増、その他サービス業は同17.7%増、生活関連サービス業,娯楽業は同17.4%増、運輸業,郵便業は同14.1%増、建設業は同13.7%増、医療,福祉は同12.1%増、情報通信業は同10.1%増、製造業は同9.8%増、学術研究、専門・サービス業は同9.6%増、教育,学習支援業は同4.9%増と全ての主要産業で増加した。
  6. (4)雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、製造業では 3月に前月比 0.3%減となった後、4月は同0.3%減、調査産業計では 3月に前月比1.0%増となった後、4月は同1.3%減となった。
     日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では1%ポイント(12月調査より1%ポイント低下)となり、14四半期連続で過剰超過となった(第14図)。
     厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2012年1〜3月期に雇用調整を実施した事業所割合は33%となり2011年10〜12月期と同水準であった(第15図)。また、4〜6月期に実施予定の事業所割合は31%、7〜9月期に実施予定の事業所割合は27%となっている。

4 賃金・労働時間

  1. (1)4月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は272,470円で、前年同月比0.2%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.7%増、パートタイム労働者は同2.0%増となった。
     内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.2%減(一般労働者同0.1%増、パートタイム労働者同1.7%増)となったほか、所定外給与は同5.7%増、特別給与は同2.1%増となった(第16図)。
     また、きまって支給する給与は前年同月比0.3%増(一般労働者同0.6%増、パートタイム労働者同1.8%増)となった。
  2. (2)4月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は150.4時間で、前年同月比0.4%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.5%増、パートタイム労働者は同1.8%増となった。
     内訳をみると、所定内労働時間は139.6時間で前年同月比横ばい(一般労働者同横ばい、パートタイム労働者同1.4%増)、所定外労働時間は10.8時間で同5.3%増(一般労働者同6.3%増、パートタイム労働者同13.7%増)となった。なお、月間出勤日数は19.5日で前年同月差は横ばいとなった。
     4月の製造業の所定外労働時間は15.2時間で、前年同月比16.8%増となった。
     規模別にみると、500人以上規模で前年同月比27.4%増、100〜499人規模で同10.1%増、30〜99人規模で同11.7%増、5〜29人規模で同26.1%増となった(第17図)。

6月の主要変更点

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