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平成24年4月 月例労働経済報告

1 概況

  1. (1)一般経済の概況
     景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している。
    • 生産は、緩やかに持ち直している。輸出は、横ばいとなっている。
    • 企業収益は、減少している。設備投資は、このところ持ち直しの動きがみられる。
    • 企業の業況判断は、大企業製造業で下げ止まっており、全体としては小幅改善となっている。
    • 雇用情勢は、 持ち直しの動きもみられるものの、東日本大震災の影響もあり依然として厳しい。
    • 個人消費は、底堅く推移している。
    • 物価の動向を総合してみると、下落テンポが緩和しているものの、緩やかなデフレ状況にある。
     先行きについては、各種の政策効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が確かなものとなることが期待される。ただし、欧州政府債務危機や原油高の影響、これらを背景とした海外景気の下振れ等によって、我が国の景気が下押しされるリスクが存在する。また、電力供給の制約や原子力災害の影響、さらには、デフレの影響、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。
  2. (2)労働経済の概況
     労働経済面をみると、雇用情勢は、持ち直しの動きもみられるものの、東日本大震災の影響もあり依然として厳しい第1図)。

     完全失業率は、2月は前月比0.1%ポイント低下し、4.5%となった。また、15〜24歳層の完全失業率は、前月比0.3%ポイント低下し、9.2%となった。労働力人口、就業者数は増加し、完全失業者数は減少した。雇用者数はこのところ持ち直しの動きがみられる。
     新規求人数が増加傾向にあることなどから有効求人倍率は上昇している。製造業の残業時間は、このところ持ち直しの動きがみられる。
     賃金をみると、定期給与、現金給与総額は横ばい圏内で推移している。
     企業の雇用人員判断は、3月は製造業では横ばいとなっているものの、全産業では過剰感が弱まっている。
     先行きについては、東日本大震災の影響や生産の動向に留意する必要がある。

2 一般経済

  1. (1)鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、緩やかに持ち直している。
     2012年 2月の鉱工業生産(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、1.2%低下した(第2図)。
     業種別にみると、 一般機械工業、輸送機械工業、情報通信機械工業等が低下し、電子部品・デバイス工業、鉄鋼業、化学工業(除.医薬品)等が上昇した。
     出荷は 前月比1.1%の上昇。在庫は前月比0.1%の上昇であった。
     生産の先行きについては、内需の底堅さや電子部品の需給改善等を背景に、緩やかな持ち直し傾向が続くものと期待されるが、海外景気の下振れリスクや電力供給制約等に留意する必要がある。
     なお、製造工業生産予測調査においては、3月は前月比2.6%の上昇、4月も同0.7%の上昇が見込まれている。
  2. (2)最終需要の動向をみると、
    1. (1)個人消費は、底堅く推移している。
       二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、 1月0.1% 減の後、2月1.8% 増となった。うち勤労者世帯では、1月0.2%増から、2月2.7%増となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は1月73.7%の後、2月72.3%となった(第3図)。
       消費者態度指数(季節調整済前月差)の推移をみると、2月は0.5ポイント下落し、39.5となった。
       2月の小売業販売額(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、2.0%増、大型小売店販売額は3.4%増となった。また、国内新車(乗用車のみ)登録・届出台数(前年同月比)は、2月31.7%増の後、3月76.3%増となった。
       先行きについては、政策効果もあって、引き続き底堅く推移すると見込まれる。ただし、雇用・所得環境や電力供給の制約には留意が必要である。
    2. (2)設備投資は、このところ持ち直しの動きがみられる。
       財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2011年7〜9月期に季節調整済前期比0.9%低下した後、10〜12月期同11.9%上昇(うち製造業同4.2%上昇、非製造業同16.5%上昇)となっている。また、資本財出荷指数(除く輸送機械)をみると、2012年2月は季節調整済前月比1.4%上昇した。
       今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)では、2012年度の設備投資計画(前年度比)は、全規模では1.3%の低下、製造業では0.4%上昇、非製造業は2.2%低下となっている(第4表)。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、1月に季節調整済前月比3.4%上昇した後、2月も同4.8%上昇した。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、1月は季節調整済前月比14.2%上昇の後、2月は同10.0%低下した。
       先行きについては、東日本大震災からの復旧・復興需要が引き続き見込まれることから、持ち直し傾向が続くことが期待される。
    3. (3)住宅建設は、このところ持ち直しの動きがみられる。
       新設住宅着工戸数をみると、1月は季節調整済前月比5.0%の上昇、2月も同11.6%上昇し、年率91.7万戸となった(第5図)。
       着工床面積は、1月は季節調整済前月比3.0%の上昇、2月も同9.9%の上昇となった。
       先行きについては、持ち直していくことが期待される。ただし、雇用・所得環境に加え、建設労働者の需給状況に注視が必要である。
    4. (4)公共投資は、堅調に推移している。
       公共機関からの建設工事受注額は、1月は前年同月比27.2%の上昇、2月も同20.2%の上昇となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、2月は16.8%の上昇、3月も8.0%の上昇となった。
       先行きについては、補正予算による押し上げ効果が引き続き見込まれる。
    5. (5)輸出は、 横ばいとなっている。
       通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、1月に4.2%低下したが、 2月は7.0%上昇した。四半期別では、2011年7〜9月期に5.0%上昇の後、10〜12月期は4.5%低下した(第6図)。
       地域別にみると、アジア向けの輸出は、横ばいとなっている。アメリカ向けの輸出は、緩やかに増加している。EU向けの輸出は、下げ止まりつつある。先行きについては、アメリカ経済の回復等を背景に、当面横ばい圏内で推移すると見込まれるが、海外景気の下振れリスク等に留意する必要がある。
      輸入は、横ばいとなっている。
       通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、 1月に2.8%の上昇、 2月は5.5%の低下となった。四半期別では、2011年7〜9月期は0.8%上昇、10〜12月期も2.0%の上昇となった(第6図)。
       地域別にみると、アジアからの輸入は、横ばいとなっている。アメリカからの輸入は、横ばいとなっている。EUからの輸入は、弱含んでいる。先行きについては、当面、横ばい圏内の動きとなることが見込まれる。
  3. (3)国内企業物価は、このところ横ばいとなっている。消費者物価は、このところ横ばいとなっている。
     2月の国内企業物価(確報)は、前月比0.2%上昇(前年同月比0.6% 上昇)となり、輸出物価は同2.8%上昇(同3.5%下落)、輸入物価は同2.3%上昇(同2.5%上昇)となった。
     2月の消費者物価は、生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合(コアコア)では前年同月比0.4%下落(季節調整済前月比0.3%上昇)となった。総合が 同0.3%上昇(同0.3%上昇)となり、生鮮食品を除く総合は同 0.1%上昇(同0.2%上昇)となった(第7図)。
     先行きについては、消費者物価(コアコア)は、当面、横ばい圏内で推移すると見込まれる。
     なお、消費者物価(コアコア)が前年比で引き続き下落していることなども含め、物価の動向を総合してみると、下落テンポが緩和しているものの、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレ状況にある。
  4. (4)企業収益は、減少している。企業の業況判断は、大企業製造業で下げ止まっており、全体としては小幅改善となっている。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。
     財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2011年7〜9月期8.5%の低下、10〜12月期10.3%の低下(製造業21.5%低下、非製造業4.3%低下)、季節調整済前期比で2011年7〜9月期5.3%の上昇、10〜12月期は2.1%の低下(製造業9.4%低下、非製造業1.2%上昇)となった。
     また、日本銀行「全国企業短観経済観測調査」(3月調査)によれば、企業の全規模の2012年度の経常利益計画(前年度比)は、通期では全規模2.1%の増益、 製造業3.5%の増益、非製造業1.2%の増益となっている(第8表)。
     企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)をみると、規模計で、全産業 ▲6ポイント(1ポイント改善)、製造業 ▲7ポイント( 2ポイント悪化)、非製造業▲5ポイント(2ポイント改善)となっている(負の数には▲を付した。)(第9表)。
     倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、2012年3月は1,161件で、前年同月比1.8%の低下となった。
  5. (5)2011年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比0.2%減(年率0.7%減)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.5%増、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.6%減となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比0.5%減(年率1.8%減)となった(第10図)。

3 雇用・失業

  1. (1)[1] 2月の就業者数(季節調整値)は、6,288万人となった。

     就業者数(季節調整値)は、2月は前月差29万人増の6,288万人(原数値は6,226万人、前年同月差40万人 減)となった。男女別には、男性が3,630万人(前月差6万人増)、女性が2,658万人(同23万人増)となった(第11表)。
     2月の雇用者数(季節調整値)は、5,512万人となった。
     雇用者数(季節調整値)は2月は前月差5万人増の5,512万人(原数値は5,488万人、前年同月差43万人減)となった(第12図)。男女別には、男性が3,159万人(前月差6万人減)、女性が2,352万人(前月差10万人増)となった。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,727万人(前年同月差2万人減)、臨時雇・日雇が761万人(前年同月と同水準)となった。
     2月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済指数、速報)は、前月と同水準なった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は同0.6%増、パートタイム労働者は同1.8%減となった。

  2. [2]2月の完全失業率(季節調整値)は、4.5%となった。
     完全失業率(季節調整値)は 2月は 前月差0.1%ポイント減少の4.5%(原数値は4.4%、前年同月差0.2%ポイント低下)となった。男女別には、男性が4.7%(前月差0.2%ポイント減)、女性が4.2%(同0.2%ポイント減)となった。
     2月の完全失業者数(季節調整値)は、298万人となった。
     完全失業者数(季節調整値)は、 2月は前月差7万人減の298万人(原数値は289万人、前年同月差14万人減)となった。男女別には、男性が181万人(前月差5万人減)、女性が118万人(同2万人減)となった。
     なお、求職理由別(原数値)にみると、 2月は非自発的理由による離職失業者は101万人(前年同月差14万人減)、自発的理由による離職失業者は103万人(同1万人増)、学卒未就職者は14万人(前年同月と同水準)、その他の理由による失業者は67万人(同2万人減)となった(第11表)。
  3. [3]2月の労働力人口(季節調整値)は、6,588万人となった。
     労働力人口(季節調整値)は、 2月は 前月差23万人増の6,588万人(原数値は6,515万人、前年同月差55万人減)となった。
     2月の非労働力人口(季節調整値)は、4,513万人となった。
     非労働力人口(季節調整値)は、2月は前月差24万人減の4,513万人(原数値は4,582万人、前年同月差40万人増)となった。男女別には、男性が1,543万人(前月差6万人減)、女性が2,969万人(同19万人減)となった。
     労働力人口比率(原数値)は、 1月は58.7%(前年同月差0.3%ポイント低下)となった。男女別には、男性が70.5%(前年同月比0.5%ポイント低下)、女性が47.6%(同0.3%ポイント低下)となった(第11表)。
     就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、2月は56.1%(前年同 月差0.2%ポイント低下)となった。
  4. (2)月間有効求人数(季節調整値)は、前月比2.1%増と11か月連続で増加した。
     月間有効求職者数(季節調整値)は、前月比0.2%減と8か月連続で減少した。
     2月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.75倍と前月 より0.02ポイント上昇した。
     新規求人数(季節調整値)は、前月比0.3%減と5か月ぶりに減少した。
     新規求職者数(季節調整値)は、前月比5.8%減と 2か月ぶりに減少した。
     2月の新規求人倍率(季節調整値)は、1.27倍と前月より0.07ポイント上昇した第13表)。
     正社員の有効求人倍率は、0.49倍(前年同月差0.09ポイント上昇)となった。
     新規求人数(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、2月は一般は前月比 2.3%増と3か月ぶりに増加し、パートについては同0.6%減と10か月ぶりに減少した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比7.2%減と2か月ぶりに減少し、パートについては同2.9%減と4か月連続で減少した。
  5. (3)産業別にみると、2月の就業者数(原数値)は、医療・福祉は前年同月差30万人増、教育,学習支援業は同10万人増,その他サービス業は3万人増,情報通信業は同2万人増と増加したのに対し、建設業は同22万人減、卸売業,小売業は同21万人減、宿泊業,飲食サービス業は同20万人減、運輸業,郵便業は同16万人減、生活関連サービス業,娯楽業は同9万人減、学術研究,専門・技術サービス業は同8万人減、製造業は5万人減であった。
     また、 2月の新規求人(原数値)は、建設業は前年同月比36.5%増、宿泊業,飲食サービス業は同24.0%増、その他サービス業は同21.8%増、生活関連サービス業,娯楽業は同21.4%増、医療,福祉は同15.8%増、運輸業,郵便業は同13.1%増、卸売業,小売業は同13.0%増、情報通信業は同11.1%増、学術研究、専門・サービス業は同8.4%増、製造業は同8.1%増、教育,学習支援業は同3.6%増と全ての主要産業で増加した。
  6. (4)雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、速報)は、製造業では 1月に前月比 0.8%減となった後、2月は同4.1%増、調査産業計では 1月に前月比2.0%減となった後、2月は同0.1%減となった。
     日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(3月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では1%ポイント(12月調査より1%ポイント低下)となり、14四半期連続で過剰超過となった(第14図)。
     厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2011年10〜12月期に雇用調整を実施した事業所割合は33%となり7〜9月期と同水準であった(第15図)。また、1〜3月期に実施予定の事業所割合は32%、4〜6月期に実施予定の事業所割合は29%となっている。

4 賃金・労働時間

  1. (1)2月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、速報、以下同じ)は265,497円で、前年同月比0.7%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.4%増、パートタイム労働者は同2.4%増となった。
     内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.7%増(一般労働者同0.4%増、パートタイム労働者同2.4%増)となったほか、所定外給与は同3.4%増、特別給与は同17.7%減となった(第16図)。
     また、きまって支給する給与は前年同月比0.9%増(一般労働者同0.6%増、パートタイム労働者同2.4%増)となった。
  2. (2)2月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、速報、以下同じ)は148.0時間で、前年同月比3.0%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比3.3%増、パートタイム労働者は同2.1%増となった。
     内訳をみると、所定内労働時間は137.7時間で前年同月比3.2%増(一般労働者同3.5%増、パートタイム労働者同2.2%増)、所定外労働時間は10.3時間で同1.4%減(一般労働者同0.5%減、パートタイム労働者同2.0%減)となった。なお、月間出勤日数は19.3日で前年同月差0.7日増となった。
     2月の製造業の所定外労働時間は15.3時間で、前年同月比0.3%増となった。
     規模別にみると、500人以上規模で前年同月比2.3%増、100〜499人規模で同6.4%減、30〜99人規模で同2.6%増、5〜29人規模で同6.1%増となった(第17図)。

4月の主要変更点

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