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平成23年11月 月例労働経済報告

1 概況

  1. (1)一般経済の概況

     景気は、東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している。

    • 生産は、緩やかに持ち直している。輸出は、横ばいとなっている。
    • 企業収益は、減少している。設備投資は、下げ止まりつつあるものの、このところ弱い動きもみられる。
    • 企業の業況判断は、改善している。ただし、中小企業においては先行きに慎重な見方となっている。
    • 雇用情勢は、持ち直しの動きもみられるものの、東日本大震災の影響もあり依然として厳しい。
    • 個人消費は、おおむね横ばいとなっている。
    • 物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。

     先行きについては、サプライチェーンの立て直しや各種の政策効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。ただし、電力供給の制約や原子力災害の影響に加え、欧州の政府債務危機などを背景とした海外景気の下振れや為替レート・株価の変動、タイの洪水の影響等によっては、景気が下振れするリスクが存在する。また、デフレの影響や、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。

  2. (2)労働経済の概況

     労働経済面をみると、雇用情勢は、持ち直しの動きもみられるものの、東日本大震災の影響もあり依然として厳しい第1図)。

    • 岩手県、宮城県及び福島県を含めた全国の完全失業率は、9月は4.1%となった。また、15〜24歳層の完全失業率は、6.8%となった。
    • 岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の完全失業率は、9月は前月比0.2%ポイント低下し、4.1%となった。
    • 新規求人数が増加傾向にあることなどから有効求人倍率は上昇している。
    • 雇用者数は、9月は増加したものの、減少傾向にある。
    • 製造業の残業時間はこのところ横ばい圏内となっている。
    • 定期給与は横ばい圏内で推移し、現金給与総額は弱い動きとなっている。

2 一般経済

  1. (1) 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、緩やかに持ち直している。

     2011年9月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、3.3%減であった(第2図)。

     業種別にみると、輸送機械工業、一般機械工業、電気機械工業等が低下し、食料品・たばこ工業が上昇した。

     出荷は前月比2.0%減であった。在庫は前月比0.1%減であった。

     今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は平成23年10月は前月比2.3%増、11月は同1.8%増であった。

     先行きについては、サプライチェーンの立て直しに伴い、持ち直し傾向が続くものと期待されるが、海外景気の下振れリスク、円高やタイの洪水の影響、電力供給制約等に留意する必要がある。

  2. (2)最終需要の動向をみると、
    • [1]個人消費は、おおむね横ばいとなっている。
       二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、8月0.1%減の後、9月0.9%増となった。うち勤労者世帯では、8月0.2%増から、9月2.4%増となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は8月73.8%の後、9月74.3%となった(第3図)。
       消費者態度指数(季節調整済前月差)の推移をみると、9月は1.6ポイント上昇し、38.6となった。
       9月の小売業販売額(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、1.4%減、大型小売店販売額は0.8%減となった。また、乗用車(軽を含む)の新車登録台数(原数値前年同月比)は、9月2.1%減の後、10月27.6%増となった。
       先行きについては、おおむね横ばいで推移すると見込まれる。ただし、雇用・所得環境や電力供給の制約等には留意が必要である。
    • [2]設備投資は、下げ止まりつつあるものの、このところ弱い動きもみられる。
       財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2011年1〜3月期季節調整済前期比1.9%減の後、2012年4〜6月期同6.6%減(うち製造業同10.9%減、非製造業同4.1%減)となっており、全産業、製造業、非製造業のいずれも低下している。また、資本財出荷指数(除く輸送機械)をみると、2011年9月は季節調整済前月比6.0%減となった。
       今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(9月調査)では、全規模の2011年度の設備投資計画(前年度比)は、全産業では0.2%の増、製造業では10.9%増、非製造業は5.4%減となっている(第4表)。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で2011年8月は11.0%増の後、9月は8.2%減となっている。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、2011年8月は季節調整済前月比10.3%増の後、9月は同3.5%減となっている。
       先行きについては、東日本大震災からの復旧需要が見込まれることから、持ち直しに復することが期待される。
    • [3]住宅建設は、持ち直しの動きがみられる。
       新設住宅着工戸数をみると、2011年8月は季節調整済前月比2.2%減、9月は同20.2%減の年率74.5万戸となった(第5図)。
       新設住宅着工床面積は、2011年8月は季節調整済前月比3.6%減、9月は同16.4%減となった。
       先行きについては、緩やかに持ち直していくことが期待される。ただし、雇用・所得環境に加え、建設労働者の需給状況に注視が必要である。
    • [4]公共投資は、平成23年度補正予算の効果もあり、このところ底堅い動きとなっている。
       公共機関からの建設工事受注額は、2011年8月は前年同月比2.4%減、9月は同2.6%増となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、9月は3.3%増の後、10月は3.2%増となった。
       先行きについては、補正予算による押し上げ効果が見込まれる。
    • [5]輸出は、横ばいとなっている。
       通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2011年8月は前月同水準となった後、2011年9月は2.7%増となっており、四半期別では、2011年3〜6月期7.3%減の後、2011年7〜9月期7.2%増となった(第6図)。
       地域別にみると、アジア向けの輸出は、横ばいとなっている。アメリカ向け、EU向けの輸出は、ともに、このところ増勢が鈍化している。先行きについては、海外景気の下振れリスク、円高やタイの洪水の影響に留意する必要がある。
       輸入は、緩やかに増加している。
       通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2011年8月は3.4%増の後、2011年9月は2.8%減となっており、四半期別では、2011年4〜6月期1.1%減の後、2011年7〜9月期0.7%増となった(第6図)。
       地域別にみると、アジアからの輸入は、緩やかに増加している。アメリカからの輸入は、横ばいとなっている。EUからの輸入は、緩やかに増加している。先行きについては、緩やかに増加することが見込まれるものの、生産や消費の動向に留意する必要がある。
  3. (3) 国内企業物価は、緩やかに下落している。消費者物価は、緩やかに下落している。
     9月の国内企業物価(確報)は、前月比0.1%下落(前年同月比2.5%上昇)となり、輸出物価は同1.0%下落(同1.8%下落)、輸入物価は同2.0%下落(同10.7%上昇)となった。
     9月の消費者物価は、生鮮食品、石油製品及びその他特殊要因を除く総合(コアコア)では前年同月比0.5%下落(季節調整済前月比0.1%下落)となった。総合が同横ばい(同0.1%下落)となり、生鮮食品を除く総合は同0.2%上昇(同0.2%下落)となった(第7図)。
     先行きについては、消費者物価(コアコア)は、当面、緩やかな下落傾向で推移すると見込まれる。
     なお、消費者物価は下落基調が続いているなど、物価の動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレ状況にある。
  4. (4) 企業収益は、減少している。企業の業況判断は、改善している。ただし、中小企業においては先行きに慎重な見方となっている。倒産件数は、緩やかに減少している。
     財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2011年1〜3月期11.4%増の後、2011年4〜6月期14.6%減(製造業15.3%減、非製造業14.2%減)、季節調整済前期比で2011年1〜3月期7.1%減の後、2011年4〜6月期は11.9%減(製造業13.0%減、非製造業11.4%減)となった。
     また、日本銀行「全国企業短観経済観測調査」(9月調査)によれば、企業の全規模の2011年度の経常利益計画(前年度比)は、2011年度(計画)通期では全産業2.4%の減益、製造業0.2%の増益、非製造業4.1%の減益となっている。なお、2011年度上期(計画)では、全産業12.3%の減益、製造業14.6%の減益、非製造業10.7%の減益の後、下期(計画)では全産業7.4%の増益、製造業16.4%の増益、非製造業2.0%の増益が見込まれている(第8表)。
     企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(9月調査)をみると、規模計で、全産業▲9ポイント(9ポイント上昇)、製造業▲5ポイント(10ポイント上昇)、非製造業▲12ポイント(8ポイント上昇)となっており、全産業、製造業、非製造業で改善している(負の数には▲を付した。)(第9表)。
     倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、2011年10月は976件で、前年同月比14.0%減となった。
  5. (5) 2011年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比1.5%増(年率6.0%増)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は1.0%増、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.4%増となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比1.4%増(年率5.6%増)となった(第10図)。

3 雇用・失業

  1. (1)[1] 9月の就業者数(季節調整値)は、6,246万人となった。

     就業者数(季節調整値)は、9月は6,246万人(原数値は6,276万人、前年同月差33万人減)となった。男女別には、男性が3,602万人、女性が2,643万人となった(第11表)。
     9月の雇用者数(季節調整値)は、5,468万人となった。
     雇用者数(季節調整値)は9月は5,468万人(原数値は5,483万人、前年同月差28万人減)となった(第12図)。男女別には、男性が3,132万人、女性が2,335万人となった。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,690万人(前年同月差2万人増)、臨時雇・日雇が738万人(同30万人減)となった。
     9月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、前月と同水準となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は前月と同水準.、パートタイム労働者は同0.1%減となった。

  2. [2] 9月の完全失業率(季節調整値)は、4.1%となった。
     完全失業率(季節調整値)は9月は4.1%(原数値は4.2%、前年同月差0.9%ポイント低下)となった。男女別には、男性が4.4%、女性が3.6%となった。
     9月の完全失業者数(季節調整値)は、267万人となった。
     完全失業者数(季節調整値)は、9月は267万人(原数値は275万人、前年同月差65万人減)となった。男女別には、男性が167万人、女性が100万人となった。
     なお、求職理由別(原数値)にみると、9月は非自発的理由による離職失業者は105万人(前年同月差34万人減)、自発的理由による離職失業者は93万人(同18万人減)、学卒未就職者は13万人(前年同月差2万人減)、その他の理由による失業者は59万人(同11万人減)となった(第11表)。
  3. [3] 9月の労働力人口(季節調整値)は、6,512万人となった。
     労働力人口(季節調整値)は、9月は6,512万人(原数値は6,551万人、前年同月差98万人減)となった。
     9月の非労働力人口(季節調整値)は、4,518万人となった。
     非労働力人口(季節調整値)は、9月は4,518万人(原数値は4,480万人、前年同月差85万人増)となった。男女別には、男性が1,556万人、女性が2,962万人となった。
     労働力人口比率(原数値)は、9月は59.4%(前年同月差0.8%ポイント低下)となった。男女別には、男性が71.0%(前年同月差0.9%ポイント低下)、女性が48.6%(同0.6%ポイント低下)となった(第11表)。
     就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、9月は56.9%(前年同月差0.2%ポイント低下)となった。
  4. (2) 月間有効求人数(季節調整値)は、前月比0.5%増と5か月連続で増加した。
     月間有効求職者数(季節調整値)は、前月比0.5%減と3か月連続で減少した。
     9月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.67倍と前月より0.01ポイント上昇した。
     新規求人数(季節調整値)は、前月比1.5%減と3か月ぶりに減少した。
     新規求職者数(季節調整値)は、前月比6.7%減と2か月ぶりに減少した。
     9月の新規求人倍率(季節調整値)は、1.11倍と前月より0.06ポイント上昇した第13表)。
     正社員の有効求人倍率は、0.42倍(前年同月差0.09ポイント上昇)となった。
     新規求人数(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、9月は一般は前月比3.2%減と2か月連続で減少し、パートについては同1.5%増と5か月連続で増加した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比5.9%減と2か月ぶりに減少し、パートについては同9.5%減と2か月ぶりに減少した。
  5. (3) 産業別にみると、9月の就業者数(原数値)は、医療,福祉は前年同月差25万人増、教育,学習支援業は同20万人増、学術研究,専門・技術サービス業は同8万人増と増加したのに対し、宿泊業,飲食サービス業は同21万人減、製造業は同19万人減、運輸業,郵便業は同17万人減、卸売業,小売業は同9万人減、情報通信業は同6万人減、生活関連サービス業,娯楽業は同5万人減と減少し、建設業は前年と同水準であった。
     また、9月の新規求人(原数値)は、建設業は前年同月比27.0%増、その他サービス業は同15.7%増、医療,福祉は同14.9%増、学術研究,専門・技術サービス業は同13.3%増、製造業は同12.2%増、卸売業,小売業は同10.5%増、運輸業,郵便業は同10.4%増、宿泊業,飲食サービス業は同9.1%増、生活関連サービス業,娯楽業は同6.4%増、教育,学習支援業は同6.3%増、情報通信業は同4.9%増、と5ヶ月連続で全ての主要産業で増加となった。
  6. (4) 雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、確報)は、製造業では8月に前月比1.5%減となった後、9月は同0.7%減、調査産業計では8月に前月比1.0%減となった後、9月は同1.1%減となった。
     日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(9月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では3%ポイント(6月調査より5%ポイント低下)となり、12四半期連続で過剰超過となった(第14図)。
     厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2011年4〜6月期に雇用調整を実施した事業所割合は39%となり1〜3月期から2%ポイント上昇した(第15図)。また、7〜9月期に実施予定の事業所割合は36%、10〜12月期に実施予定の事業所割合は27%となっている。

4 賃金・労働時間

  1. (1) 9月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は266,958円で、前年同月比0.4%減となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.1%減、パートタイム労働者は同0.4%減となった。
     内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.3%減(一般労働者同0.1%減、パートタイム労働者同0.2%減)となったほか、所定外給与は同0.1%増、特別給与は同6.5%減となった(第16図)。
     また、きまって支給する給与は前年同月比0.2%減(一般労働者同横ばい、パートタイム労働者同0.3%減)となった。
  2. (2) 9月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、確報、以下同じ)は147.0時間で、前年同月比横ばいとなった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比0.2%増、パートタイム労働者は同0.7%減となった。
     内訳をみると、所定内労働時間は137.0時間で前年同月比0.1%減(一般労働者同0.1%増、パートタイム労働者同0.7%減)、所定外労働時間は10.0時間で同1.0%増(一般労働者同1.5%増、パートタイム労働者同横ばい)となった。なお、月間出勤日数は19.1日で前年同月差0.1日減となった。
     9月の製造業の所定外労働時間は14.6時間で、前年同月比2.1%増となった。
     規模別にみると、500人以上規模で前年同月比0.6%増、100〜499人規模で同1.2%増、30〜99人規模で同1.4%減、5〜29人規模で同10.0%増となった( 第17図)。

11月の主要変更点

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