厚生労働省

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8月月例労働経済報告

概況

(1)一般経済の概況

景気は、着実に持ち直してきており、自律的回復への基盤が整いつつあるが、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。

・輸出は、緩やかに増加している。生産は、緩やかに持ち直している。

・企業収益は、改善している。設備投資は、下げ止まっている。

・企業の業況判断は、改善している。ただし、中小企業を中心に先行きに慎重な見方となっている。

・雇用情勢は、依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる。

・個人消費は、持ち直している。

・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。

先行きについては、当面、雇用情勢に厳しさが残るものの、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、企業収益の改善が続くなかで、景気が自律的な回復へ向かうことが期待される。一方、アメリカ・欧州を中心とした海外景気の下振れ懸念、金融資本市場の変動やデフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。また、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要である。

(2)労働経済の概況

労働経済面をみると、雇用情勢は、依然として厳しいものの、このところ持ち直しの動きがみられる(第1図)。

・完全失業率は、平成22年6月は前月比0.1%ポイント上昇し、5.3%となり、高水準で推移している。

・15〜24歳層の完全失業率は、前月比0.6%ポイント上昇し、11.1%となった。

・新規求人数、有効求人倍率は持ち直しの動きがみられる。

・雇用者数はこのところ横ばいで推移している。

・製造業の残業時間は横ばい圏内となっている。

・定期給与は持ち直しの動きがみられる。現金給与総額は下げ止まりつつある。

一般経済

(1)鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産は、緩やかに持ち直している。

2010年6月の鉱工業生産(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、1.5%減と4か月ぶりに減少した(第2図)。

業種別にみると、2010年6月は輸送機械工業、電子部品・デバイス工業、化学工業(除.医薬品)等が低下し、一般機械工業、繊維工業が上昇した。

出荷は前月比0.2%減と低下した。在庫は前月比0.7%増と上昇した。

今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は平成22年7月0.2%減の後、8月は2.0%増となっている。

先行きについては、輸出の増加傾向などから、当面、持ち直しが続くことが期待される。

(2) 最終需要の動向をみると、
[1]個人消費は、持ち直している。

二人以上の世帯の実質消費支出(季節調整済前月比、速報、以下同じ)は、5月0.37%増の後、6月6.4% 増となった。うち勤労者世帯では、5月1.0%減から、6月4.1%増となった。勤労者世帯の平均消費性向(季節調整値)は5月72.8%の後、6月71.0%となった(第3図)。

消費者態度指数の推移をみると、2010年4〜6月期(季節調整済前期差)は2.5ポイント上昇し、43.2となった。なお、6月(原数値前年同月差)は5.9ポイント上昇し、43.5となった。

6月の小売業販売額(季節調整済前月比、確報、以下同じ)は、0.4%増、大型小売店販売額は0.6%増となった。また、乗用車(軽を含む)の新車登録台数(原数値前年同月比)は、6月18.1%増の後、7月12.9%増となった。

先行きについては、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、各種の政策効果もあって底堅く推移することが期待される。

[2]設備投資は、下げ止まっている。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2009年10〜12月期季節調整済前期比0.3%増の後、2010年1〜3月期同2.6%減(うち製造業同6.1%減、非製造業同0.9%減)となっており、全産業、製造業、非製造業で減少している。

今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)をみると、全規模の2010年度の設備投資計画(前年度比)は、全産業で0.5%増、製造業は2.8%増、非製造業は0.4%減となっている(第4表)。また、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、季節調整済前月比で2010年4月は4.0%増の後、5月は9.1%減となっている。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物(民間)の工事予定額をみると、2010年5月は季節調整済前月比17.4%減の後、6月は同18.3%増となっている。

先行きについては、設備過剰感が依然残るものの、企業収益が改善するなかで、持ち直しに向かうことが期待される。

[3]住宅建設は、持ち直してきたが、このところ横ばいとなっている。

新設住宅着工戸数をみると、2010年5月は季節調整済前月比7.0%減、6月は同1.7%増の6.2万戸(年率75.0万戸)と3か月ぶりに増加した(第5図)。

新設住宅着工床面積は、2010年5月は季節調整済前月比5.2%減の後、6月は同3.1%増となった。

先行きについては、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、各種の政策効果もあって底堅く推移することが期待される。

[4]公共投資は、総じて低調に推移している。

公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で、2010年4月は15.3%減の後、5月は18.5%減となった。また、公共工事請負金額(「公共工事前払金保証統計」)をみると、5月は5.9%減となった後、6月は5.8%減となっている。

先行きについては、国、地方の予算状況などを踏まえると、総じて低調に推移していくものと見込まれる。

[5]輸出は、緩やかに増加している。

通関輸出(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2010年5月は0.2%減となった後 、 6月は1.2%減となっており、四半期別では、2010年1〜3月期5.9%増の後、2010年4〜6月期6.7%増となった(第6図)。

地域別には、アジア向けの輸出は、このところ増勢が鈍化している。アメリカ向けの輸出は、横ばいとなっている。EU向けの輸出は、持ち直している。

先行きについては、世界の景気が緩やかに回復していることから、当面、増加傾向が続くとみられる。

輸入は、緩やかに持ち直している。

通関輸入(数量ベース、季節調整済前期比)は、月別で2010年5月は2.3%増の後、 6月は1.3%増となっており、四半期別では、2010年1〜3月期4.0%増の後、2010年4〜6月期3.5%増となった(第6図)。

地域別には、アジア、アメリカからの輸入は、ともに緩やかに増加している。EUからの輸入は、横ばいとなっている。

(3)国内企業物価は、緩やかに上昇している。消費者物価は、緩やかな下落が続いている。

6月の国内企業物価(速報)は、前月比0.4%下落(前年同月比0.5%上昇)となり、輸出物価は同1. 2%下落(同3.6%下落)、輸入物価は同2.7%下落(同8.0%上昇)となった。

6月の消費者物価は、総合が前年同月比0.7%下落(前月比横ばい)となり、生鮮食品を除く総合は同 1.0%下落(同横ばい)となった(第7図)。

先行きについては、消費者物価(コアコア)は、引き続き緩やかな下落傾向で推移すると見込まれる。

こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレ状況にある。

(4)企業収益は、改善している。企業の業況判断は、改善している。ただし、中小企業を中心に先行きに慎重な見方となっている。倒産件数は、おおむね横ばいとなっている。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2009年10〜12月期102.2%増の後、2010年1〜3月期163.8%増(製造業については、前期の季節調整値が負数のため算出できない。、非製造業5.2%増)、季節調整値で2009年10〜12月期35.8%増の後、2010年1〜3月期10.9%増(製造業56.3%増、非製造業11.8%減)となった。

また、日本銀行「全国企業短観経済観測調査」(6月調査)によれば、企業の全規模の2010年度の経常利益計画(前年度比)は、2010年度通期では全産業19.7%の増益、 製造業45.0%の増益、非製造業7.5%の増益となっている。なお、2010年度上期(計画)では、全産業38.0%の増益、製造業2.9倍の増益、非製造業3.7%の増益の後、下期(計画)では全産業8.2%の増益、製造業4.6%の増益、非製造業10.7%の増益が見込まれている(第8表)。

企業の業況判断D.I.(「良い」−「悪い」)について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)をみると、規模計で、全産業 ▲15ポイント(9ポイント改善)、製造業 ▲10ポイント( 13ポイント改善)、非製造業▲19ポイント(6ポイント改善)となっており、全産業、製造業、非製造業で改善となっている(負の数には▲を付した。)(第9表)。

倒産件数(東京商工リサーチ調べ)は、2010年7月1,066件で、前年同月比23.0%減となった。

(5)2010年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、季節調整済前期比1.2%増(年率5.0%増)となった。内外需別にみると、国内需要の寄与度は0.6%増、財貨・サービスの純輸出の寄与度は0.7%増となった。また、名目GDPの成長率は季節調整済前期比1.3%増となった(第10図)。

雇用・失業

(1)[1]6月の就業者数(季節調整値)は、5ヶ月ぶりに前月差で増加した。

就業者数(季節調整値)は、5月に前月差24万人減となった後、6月は同4万人増と増加し、6,225万人(原数値は6,280万人、前年同月差20万人減 )となった。男女別には、男性が3,617万人(前月差22万人増)、女性が2,608万人(同18万人減)となった(第11表)。

6月の雇用者数(季節調整値)は、3ヶ月ぶりに前月差で増加した。

雇用者数(季節調整値)は、5月に前月差25万人減となった後、6月は同1万人増と増加し、5,418万人(原数値は5,447万人、前年同月差8万人減)となった(第13図)。男女別には、男性が3,131万人(前月差16万人増)、女性が2,287万人(同14万人減)となった。雇用形態別(原数値)にみると、常雇が4,691万人(前年同月差17万人減)、臨時雇・日雇が756万人(前年同月差9万人増)となった。

6月の常用雇用指数(事業所規模5人以上、季節調整済指数、速報)は、前月比0.1%減となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は前月比0.2%減、パートタイム労働者は同0.1%増となった。

[2]6月の完全失業率(季節調整値)は、4ヶ月連続で前月差で上昇した。

完全失業率(季節調整値)は、5月に前月差0.1ポイント上昇の5.2%となった後、6月は前月差0.1ポイント上昇の 5.3%(原数値は5.2%、前年と同水準)となった。男女別には、男性が5.6%(前月差0.1ポイント上昇)、女性が4.9%(前月差0.2ポイント上昇)となった。

6月の完全失業者数(季節調整値)は、4ヶ月連続で前月差で増加した。

完全失業者数(季節調整値)は、5月に前月差1万人 増となった後、6月は同7万人増の347万人(原数値は344万人、前年同月差4万人減)となった。男女別には、男性が213万人(前月差3万人増)、女性が134万人(同3万人増)となった。

なお、求職理由別(原数値)にみると、 6月は非自発的理由による離職失業者は136万人(前年同月差25万人減)、自発的理由による離職失業者は105万人(同8万人増)、学卒未就職者は19万人(同6万人増)、その他の理由による失業者は79万人(同5万人増)となった(第11表)。

[3]6月の労働力人口(季節調整値)は、3ヶ月ぶりに前月差で増加した。

労働力人口(季節調整値)は、5月に前月差25万人減となった後、6月は9万人 増の6,570万人(原数値は6,624万人、前年同月差24万人減)となった。

6月の非労働力人口(季節調整値)は、3ヶ月ぶりに前月差で減少した。

非労働力人口(季節調整値)は、5月に前月差30万人増となった後、6月は同8万人減の4,476万人(原数値は4,422万人、前年同月差23万人増)となった。男女別には、男性が1,505万人(前月差27万人減)、女性が2,971万人(同19万人増)となった。

労働力人口比率(原数値)は、 6月は59.9%(前年同月差0.3ポイント低下)となった。男女別には、男性が72.1%(前年同月差0.1ポイント低下)、女性が48.6%(前年同月差0.3ポイント低下)となった(第11表)。

就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値)は、6月は56.8%(前年同月差0.2ポイント低下)となった。

(2)月間有効求人数(季節調整値)は、前月比2.7%増と2ヶ月連続で増加した。

月間有効求職者数(季節調整値)は、前月比1.2%減と3ヶ月連続で減少した。

6月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.52倍と前月より0.02ポイント上昇した。

新規求人数(季節調整値)は、前月比5.8%増と2ヶ月ぶりに増加した。

新規求職者数(季節調整値)は、前月比0.2%減と2ヶ月ぶりに減少した。

6月の新規求人倍率(季節調整値)は、0.88倍と前月より0.05ポイント上昇した(第12表)。

正社員の有効求人倍率は、0.28倍(前年同月差0.04ポイント上昇)となった。

新規求人数(季節調整値)を一般(除パート)とパートの別でみると、6月は一般は前月比 3.8%増と2ヶ月ぶりに増加し、パートについては同8.8%増と3ヶ月ぶりにで増加した。新規求職者数(季節調整値)は、一般は前月比0.3%増と2ヶ月連続で増加し、パートについては同0.2%減と2ヶ月ぶりに減少した。

(3)産業別にみると、6月の就業者数(原数値)は、医療,福祉は前年同月差24万人増、情報通信業は同18万人増、運輸業,郵便業は同8万人増、宿泊業,飲食サービス業は同1万人増、学術研究、専門・技術サービス業は同3万人増と増加したのに対し、製造業は同16万人減、建設業は同19万人減、教育,学習支援業は同4万人減、その他サービス業は同1万人減、卸売業,小売業は同20万人減、生活関連サービス業,娯楽業は同1万人減と減少した。

なお、6月の就業者数(季節調整値)は、金融,保険業(同4万人増)、教育、学習支援業(同5万人増)、学術研究、専門・技術サービス業(同10万人増)等で増加し、卸売業,小売業(同12万人減)製造業(同9万人減)、情報通信業(同3万人減)等で減少した。

また、 6月の新規求人(原数値)は、製造業は前年同月比42.2%増、教育,学習支援業は同11.7%増、その他サービス業は同14.1%増、運輸業,郵便業は同12.7%増、医療,福祉は同11.3%増、学術研究,専門・技術サービス業は同10.3%増、生活関連サービス業,娯楽業は同11.6%増、卸売業,小売業は同14.4%増、情報通信業は同29.8%増、建設業は同3.4%増と増加したのに対し、宿泊業,飲食サービス業は同0.5%減と減少した。

(4)雇用に先行して動くと考えられる指標についてみると、所定外労働時間(事業所規模5人以上、季節調整済指数、速報)は、製造業では5月に前月比0.6%増となった後、6月は同0.6%減、調査産業計では5月に前月比1.2%減となった後、6月は同1.2%減となった。

日本銀行「全国企業短期経済観測調査」(6月調査)によると、雇用人員判断D.I.(「過剰」-「不足」)は、全産業では11%ポイント(3月調査より2%ポイント低下)となり、7四半期連続で過剰超過となった(第14図)。

厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2010年1〜 3月期に雇用調整を実施した事業所割合は44%となり2009年10〜12月期から1%ポイント上昇した(第15図)。また、2010年4〜6月期に実施予定の事業所割合は41%、2010年7〜9月期に実施予定の事業所割合は36%となっている。

賃金・労働時間

(1)6月の現金給与総額(事業所規模5人以上、産業計、速報、以下同じ)は437,677円で、前年同月比1.5%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比2.1%増、パートタイム労働者は同0.7%増となった。

内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.2%減(一般労働者同横ばい、パートタイム労働者同0.8%増)となったほか、所定外給与は同11.6%増、特別給与は同3.3%増となった(第16図)。

また、きまって支給する給与は前年同月比0.4%増(一般労働者同0.8%増、パートタイム労働者同0.7%増)となった。

(2)6月の総実労働時間(事業所規模5人以上、産業計、速報、以下同じ)は151.1時間で、前年同月比0.7%増となった。就業形態別にみると、一般労働者は前年同月比1.0%増、パートタイム労働者は同0.4%増となった。

内訳をみると、所定内労働時間は141.5時間で前年同月比0.1%増(一般労働者同0.3%増、パートタイム労働者同0.5%増)、所定外労働時間は9.6時間で同9.2%増(一般労働者同10.7%増、パートタイム労働者同横ばい)となった。なお、月間出勤日数は19.7日で前年同月差横ばいとなった。

6月の製造業の所定外労働時間は13.5時間で、前年同月比43.7%増となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比53.1%増、100〜499人規模で同35.0%増、30〜99人規模で同40.1%増、5〜29人規模で同54.5%増となった(第17図)。

8月の主要変更点

月例労働経済報告のポイントPDF版(PDF:99KB)

月例労働経済報告PDF版(PDF:498KB)

月例労働経済報告参考表

データ取得エクセルでダウンロードできます。(参考表 (Excel:179KB))

データ取得エクセルでダウンロードできます。(図表 (Excel:5,207KB))

問合わせ先

政策統括官付 労働政策担当参事官室 分析第二係

電話 03(5253)1111 内線7732

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