2010年４月の鉱工業生産（季節調整済前月比、確報、以下同じ）は、1.3％増と２か月連続で上昇した（第２図）。

業種別にみると、2010年４月は一般機械工業、金属製品工業、石油・石炭製品工業等が上昇し、情報通信機械工業、電気機械工業、鉄鋼業等が低下した。

出荷は前月比1.4％増と上昇した。在庫は前月比0.6％増と上昇した。

今後の動向については、製造工業生産予測調査によると、製造工業生産は平成22年５月0.4％増の後、６月は0.3％増となっている。

先行きについては、輸出の増加傾向などから、当面、持ち直しが続くことが期待される。

二人以上の世帯の実質消費支出（季節調整済前月比、速報、以下同じ）は、
３月5.9％増の後、４月6. 3％ 減となった。うち勤労者世帯では、３月7.0％増から、４月6.7％減となった。勤労者世帯の平均消費性向（季節調整値）は３月78.1 ％の後、４月72.7％となった（第３図）。

消費者態度指数の推移をみると、2010年１〜３月期（季節調整済前期差）は0.8ポイント上昇し、40.7となった。なお、５月（原数値前年同月差）は7.1ポイント上昇し、42.8となった。

４月の小売業販売額（季節調整済前月比、確報、以下同じ）は、0.5％増、大型小売店販売額は0.8％増となった。また、乗用車（軽を含む）の新車登録台数（原数値前年同月比）は、４月26.4％増の後、５月23.0％増となった。

先行きについては、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、各種の政策効果もあって底堅く推移することが期待される。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の設備投資は、2009年10〜12月期季節調整済前期比0.3％増の後、2010年１〜３月期同2.6％減(うち製造業同6.1％減、非製造業同0.9％減）となっており、全産業、製造業、非製造業で減少している。

今後の動向については、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」（３月調査）をみると、全規模の2009年度の設備投資計画（前年度比）は、全産業で17.8％減、製造業は30.9％減、非製造業は11.1％減となっている（第４表）。また、機械受注（船舶・電力を除く民需）は、季節調整済前月比で2010年３月は5.4％増の後、４月は4.0％増となっている。国土交通省「建築着工統計」による非居住用建築物（民間）の工事予定額をみると、2010年３月は季節調整済前月比0.5％減の後、４月は同26.6％減となっている。

先行きについては、設備過剰感が依然高いものの、企業収益が改善するなかで、持ち直しに向かうことが期待される。

新設住宅着工戸数をみると、2010年３月は季節調整済前月比7.5％増、４月は同7.2％減の6.6万戸（年率79.3万戸）と２か月ぶりに低下した（第５図）。

新設住宅着工床面積は、2010年３月は季節調整済前月比6.1％増の後、４月は同4.9％減となった。

先行きについては、雇用・所得環境が安定的に推移するなかで、各種の政策効果もあって底堅く推移することが期待される。

公共機関からの建設工事受注額は、前年同月比で、2010年３月は10.9％減の後、４月は15.3％減となった。また、公共工事請負金額（「公共工事前払金保証統計」）をみると、４月は0.1％減となった後、５月は5.9％減となっている。

先行きについては、国、地方の予算状況などを踏まえると、総じて低調に推移していくものと見込まれる。

通関輸出（数量ベース、季節調整済前期比）は、月別で2010年３月は3.0％増となった後 、 ４月は5.2％増となっており、四半期別では、2009年10〜12月期7.5％増の後、2010年１〜３月期5.9％増となった（第６図）。

地域別には、アジア向けの輸出は、緩やかに増加している。アメリカ向けの輸出は、横ばいとなっている。ＥＵ向けの輸出は、持ち直している。

先行きについては、世界の景気が緩やかに回復していることから、当面、増加傾向が続くとみられる。

輸入は、緩やかに持ち直している。

通関輸入（数量ベース、季節調整済前期比）は、月別で2010年 ３月は5.4％ 減の後、 ４月は5.3％増となっており、四半期別では、2009年10〜12月期3.0％増の後、2010年１〜３月期4.0％増となった（第６図）。

地域別には、アジア、アメリカからの輸入は、ともに緩やかに増加している。ＥＵからの輸入は、横ばいとなっている。

５月の国内企業物価（速報）は、前月比0.1％上昇（前年同月比0.4％上昇）となり、輸出物価は同2. 2％下落（同1.3％下落）、輸入物価は同0.2％下落（同13. 3％上昇）となった。

４月の消費者物価は、総合が前年同月比1.2％下落（前月比横ばい）となり、生鮮食品を除く総合は同 1.5％下落（同0.3％下落）となった（第７図）。

先行きについては、消費者物価（コアコア）は、引き続き緩やかな下落傾向で推移すると見込まれる。

こうした動向を総合してみると、持続的な物価下落という意味において、緩やかなデフレ状況にある。

財務省「法人企業統計季報」によると、全産業の経常利益は、四半期別前年同期比で、2009年10〜12月期102.2％増の後、2010年１〜３月期163.8％増（製造業については、前期の季節調整値が負数のため算出できない。、非製造業5.2％増）、季節調整値で2009年10〜12月期35.8％増の後、2010年１〜３月期10.9％増（製造業56.3％増、非製造業11.8％減）となった。

また、日本銀行「全国企業短観経済観測調査」（３月調査）によれば、企業の全規模の2010年度の経常利益計画（前年度比）は、2010年度通期では全産業21.5％の増益、 製造業50.8％の増益、非製造業9.0％の増益となっている。なお、2010年度上期（計画）では、全産業33.1％の増益、製造業2.6倍の増益、非製造業7.1％の増益の後、下期（計画）では全産業13.0％の増益、製造業16.1％の増益、非製造業11.0％の増益が見込まれている（第８表）。

企業の業況判断D.I.（「良い」−「悪い」）について日本銀行「全国企業短期経済観測調査」（３月調査）をみると、規模計で、全産業 ▲24ポイント（７ポイント改善）、製造業 ▲23ポイント（ 10ポイント改善）、非製造業▲25ポイント（５ポイント改善）となっており、全産業、製造業、非製造業で改善となっている（負の数には▲を付した。）（第９表）。

倒産件数（東京商工リサーチ調べ）は、2010年５月1,021件で、前年同月比15.1％減となった。

就業者数（季節調整値）は、３月に前月差５万人減となった後、４月は同28万人減と減少し、6,245万人（原数値は6,269万人、前年同月差53万人減 ）となった。男女別には、男性が3,615万人（前月差９万人減）、女性が2,630万人（同21万人減）となった（第11表）。

４月の雇用者数（季節調整値）は、２ヶ月ぶりに前月差で減少した。

雇用者数（季節調整値）は、３月に前月差11万人増となった後、４月は同43万人減と減少し、5,442万人（原数値は5,451万人、前年同月差13万人減）となった（第13図）。男女別には、男性が3,132万人（前月差12万人減）、女性が2,310万人（同33万人減）となった。雇用形態別（原数値）にみると、常雇が4,708万人（前年同月差21万人減）、臨時雇・日雇が742万人（同８万人増）となった。

４月の常用雇用指数（事業所規模５人以上、季節調整済指数、確報）は、前月比0.2％減となった。また、一般とパートの別にみると、一般労働者は前月比0.2％減、パートタイム労働者は同0.4％増となった。

完全失業率（季節調整値）は、３月に前月差0.1ポイント上昇の 5.0％となった後、４月は前月差0.1ポイント上昇の 5.1％（原数値は5.4％、前年同月差0.2ポイント上昇）となった。男女別には、男性が5.5％（前月差0.1ポイント低下）、女性が4.7％（同0.4ポイント上昇）となった。

４月の完全失業者数（季節調整値）は、２ヶ月連続で前月差で増加した。

完全失業者数（季節調整値）は、３月に前月差10万人 増となった後、４月は同８万人増の339万人（原数値は356万人、前年同月差10万人増）となった。男女別には、男性が210万人（前月差３万人減）、女性が129万人（同10万人増）となった。

なお、求職理由別（原数値）にみると、 ４月は非自発的理由による離職失業者は151万人（前年同月差３万人減）、自発的理由による離職失業者は102万人（同１万人減）、学卒未就職者は21万人（同１万人増）、その他の理由による失業者は77万人（同12万人増）となった（第11表）。

労働力人口（季節調整値）は、 ３月に前月差７万人増となった後、４月は22万人 減の6,586万人（原数値は6,625万人、前年同月差43万人減）となった。

４月の非労働力人口（季節調整値）は、２ヶ月ぶりに前月差で増加した。

非労働力人口（季節調整値）は、３月に前月差８万人減となった後、４月は同25万人増の4,454万人（原数値は4,411万人、前年同月差34万人増）となった。男女別には、男性が1,507万人（前月差14万人増）、女性が2,947万人（同９万人増）となった。

労働力人口比率（原数値）は、 ４月は60.0％（前年同月差0.4ポイント低下）となった。男女別には、男性が72.0％（前年同月差0.6ポイント低下）、女性が48.8％（同0.1ポイント低下）となった（第11表）。

就業率（15歳以上人口に占める就業者の割合、原数値）は、４月は56.8％（前年同月差0.4ポイント 低下）となった。

月間有効求職者数（季節調整値）は、前月比0.5％減と２ヶ月ぶりに減少した。

４月の有効求人倍率(季節調整値)は、0.48倍と前月より0.01ポイント低下した。

新規求人数（季節調整値）は、前月比0.9％増と２ヶ月連続で増加した。

新規求職者数（季節調整値）は、前月比3.1％減と３ヶ月ぶりに減少した。

４月の新規求人倍率(季節調整値)は、0.88倍と前月より0.04ポイント上昇した（第12表）。

正社員の有効求人倍率は、0.26倍（前年同月差0.01ポイント低下）となった。

新規求人数（季節調整値）を一般（除パート）とパートの別でみると、４月は一般は前月比 6.7％増と２ヶ月連続で増加し、パートについては同3.7％減と２ヶ月ぶりに減少した。新規求職者数（季節調整値）は、一般は前月比3.0％減と３ヶ月ぶりに減少し、パートについては同5.9％減と３ヶ月ぶりに減少した。

なお、４月の就業者数（季節調整値）は、卸売業，小売業（前月差18万人増）運輸業,郵便業（同11万人増）、情報通信業（同９万人増）等で増加し、医療，福祉（同15万人減）、製造業（同14万人減）、宿泊業，飲食サービス業（同11万人減）等で減少した。

また、 ４月の新規求人（原数値）は、製造業は前年同月比36.9％増、運輸業,郵便業は同21.0％増、その他サービス業は同12.8％増、教育,学習支援業は同12.4％増、学術研究,専門・技術サービス業は同5.1％増、情報通信業は同3.8％増、医療,福祉は同2.7％増と増加したのに対し、建設業は同10.1％減、宿泊業,飲食サービス業は同3.3％減、生活関連サービス業，娯楽業は同3.0％減、卸売業,小売業は同0.6％減と減少した。

日本銀行「全国企業短期経済観測調査」（３月調査）によると、雇用人員判断D.I.（「過剰」-「不足」）は、全産業では13％ポイント（12月調査より３％ポイント低下）となり、６四半期連続で過剰超過となった（第14図）。

厚生労働省「労働経済動向調査」によると、2010年１〜 ３月期に雇用調整を実施した事業所割合は44％となり2009年10〜12月期から１％ポイント上昇した（第15図）。また、2010年４〜６月期に実施予定の事業所割合は41％、2010年７〜９月期に実施予定の事業所割合は36％となっている。

内訳をみると、所定内給与は前年同月比0.2％減（一般労働者同0.1％増、パートタイム労働者同0.9％増）となったほか、所定外給与は同12.4％増、特別給与は同46.1％増となった（第16図）。

また、きまって支給する給与は前年同月比0.6％増（一般労働者同0.9％増、パートタイム労働者同0.8％増）となった。

内訳をみると、所定内労働時間は141.7時間で前年同月比0.8％増（一般労働者同1.2％増、パートタイム労働者同1.1％増）、所定外労働時間は10.4時間で同11.9％増（一般労働者同14.6％増、パートタイム労働者同3.6％減）となった。なお、月間出勤日数は19.7日で前年同月差0.1日増となった。

４月の製造業の所定外労働時間は13.8時間で、前年同月比53.4％増となった。規模別にみると、500人以上規模で前年同月比74.9％増、100〜499人規模で同48.2％増、30〜99人規模で同46.2％増、５〜29人規模で同47.4％増となった（第17図）。