平成21年6月8日 大臣官房統計情報部雇用統計課 課長 本川 明 課長補佐 上園 敬一 (担当・内線)労働経済第一係(内線7622) (電話代表) 03(5253)1111 (ダイヤルイン) 03(3595)3145 |
労働経済動向調査(平成21年5月)結果の概況
1 生産・売上額等、所定外労働時間、雇用(1) 生産・売上額等判断D.I.の平成21年4月〜6月期の実績見込は、製造業とサービス業でマイナス幅が縮小した。(表1、第1図) (2) 所定外労働時間判断D.I.の平成21年4月〜6月期の実績見込は、製造業とサービス業でマイナス幅が縮小した。(表2、第2図) (3) 正社員等雇用判断D.I.の平成21年4月〜6月期の実績見込みは、製造業でマイナス幅が縮小した。(表3、第3図) 2 労働者の過不足状況、雇用調整、中途採用(1) パートタイム労働者過不足判断D.I.は過剰超過から不足超過に転じた。(表5、表6、第5図) (2) 雇用調整の平成21年1月〜3月の実績は47%と前期(35%)より、12ポイント上昇した。雇用調整の実施方法では、残業規制が30%と前期(21%)より9ポイント上昇した。(表7、表8、第6図) (3) 中途採用の実績は昨年より減少した。(表9,第7図) 3 平成22年新規学卒者の採用計画等平成22年新規学卒者の採用予定数は、平成21年新規学卒者の採用者に比べ各学歴とも「減少」とする割 合が「増加」を上回った。(表10、第8図) |
I 調査の概要
1 調査の目的
この調査は、景気の動向、労働力需給の変化等が雇用、労働時間、賃金等に及ぼしている影響や今後の見通し等について調査し、労働経済の変化や問題点を把握するため、2月、5月、8月、11月の四半期ごとに実施している。
2 調査の対象期日及び実施時期
5月調査は平成21年5月1日現在の状況について、平成21年5月1日〜5月15日に実施した。
3 調査の対象
日本標準産業分類(平成19年11月改定)の建設業、製造業、情報通信業、運輸業,郵便業、卸売業,小売業、金融業, 保険業、不動産業,物品賃貸業、学術研究,専門・技術サービス業、宿泊業,飲食サービス業、生活関連サービス業,娯楽業、医療,福祉、サービス業(他に分類されないもの)に属する事業所規模30人以上の全国の民営事業所5,835事業所を調査の対象とした(回答事業所数2,873、回答率49.2%)。
4 調査事項
事業所の属性に関する事項、生産・売上等の動向と増減(見込)理由に関する事項、雇用、労働時間の動向に関する事項、労働者の過不足感に関する事項、雇用調整等の実施状況に関する事項、新規学卒者の採用計画等に関する事項。
5 調査の方法
通信調査方式(調査票(紙)による報告方式(郵送)またはインターネットを利用したオンライン報告方式)により実施した。
II 結果の概要
1 生産・売上額等、所定外労働時間、雇用
(1) 生産・売上額等《製造業とサービス業の実績見込でマイナス幅縮小》
生産・売上額等判断D.I.は21年1〜3月期実績で製造業ではマイナス61ポイント、卸売業,小売業でマイナス26ポイント、サービス業でマイナス30ポイントとなった。21年4〜6月期実績見込では、製造業ではマイナス7ポイント、卸売業,小売業でマイナス22ポイント、サービス業でマイナス34ポイントとなっている。21年7〜9月期見込は製造業でマイナス4ポイント、卸売業,小売業でマイナス23ポイント、サービス業でマイナス19ポイントとなっている。(表1、第1図)
(2) 所定外労働時間《製造業とサービスの実績見込でマイナス幅縮小》
所定外労働時間判断D.I.は21年1〜3月期実績で製造業ではマイナス59ポイント、卸売業,小売業でマイナス12ポイント、サービス業でマイナス15ポイントとなった。21年4〜6月期実績見込では、製造業ではマイナス20ポイント、卸売業,小売業でマイナス20ポイント、サービス業でマイナス25ポイントとなっている。 21年7〜9月期見込は製造業でマイナス9ポイント、卸売業,小売業でマイナス19ポイント、サービス業でマイナス17ポイントとなっている。(表2、第2図)
(3) 正社員等雇用《製造業の実績見込でマイナス幅縮小》
正社員等雇用判断D.I.は21年1〜3月期実績で製造業ではマイナス15ポイント、卸売業,小売業で4ポイント、サービス業でマイナス6ポイントとなった。21年4〜6月期実績見込では、製造業ではマイナス1ポイント、卸売業,小売業でマイナス3ポイント、サービス業でマイナス11ポイントとなっている。21年7〜9月期見込は製造業でマイナス2ポイント、卸売業,小売業でマイナス4ポイント、サービス業でマイナス3ポイントとなっている。(表3、第3図)
(4) パートタイム雇用《製造業の実績見込でマイナス幅縮小》
パートタイム雇用判断D.I.は21年1〜3月期実績で製造業ではマイナス17ポイント、卸売業,小売業でマイナス2ポイント、サービス業でマイナス10ポイントとなった。21年4〜6月期実績見込では、製造業ではマイナス11ポイント、卸売業,小売業でマイナス13ポイント、サービス業でマイナス18ポイントとなっている。 21年4〜6月期見込は製造業でマイナス9ポイント、卸売業,小売業でマイナス9ポイント、サービス業でマイナス3ポイントとなっている。(表4、第4図)
付属統計表 第1表
2 労働者の過不足状況
(1) 正社員等労働者《過剰超過が続く》
21年5月1日現在の正社員等労働者過不足判断D.I.により、雇用過不足感の動向をみると、調査産業計でマイナス15ポイントとなり、過剰超過となった(表5、第5図)。
(2) パートタイム労働者《過剰超過から不足超過に転じた》
21年5月1日現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.により、雇用過不足感の動向をみると、調査産業計で1ポイントとなり、不足超過となった(表6、第5図)。
3 雇用調整等
(1) 実施割合
雇用調整を実施した事業所の割合(21年1〜3月期実績)は、調査産業計で47%と前期(35%)と比べると12ポイント上昇した(表7、第6図)。
(2) 実施方法
雇用調整等の実施方法は、調査産業計では残業規制(30%)の割合が高く、前期(21%)と比べると9ポイント上昇した。前期と比べ最も上昇の幅が大きかったのは一時休業(一時帰休)(13%)で、前期(2%)に比べ11ポイント上昇した。(表8)
付属統計表 第4表
4 中途採用《減少している》
「中途採用あり」とした事業所(21年1〜3月期実績)は、調査産業計で44%と前年同期(20年1〜3月期実績)より減少した(表9、第7図)。
付属統計表 第5表
(以下は今回調査の特別項目となります。)
5 平成22年新規学卒者の採用計画等
(1) 採用計画
22年新規学卒者の採用予定数について、各学歴とも21年に比べ「減少」とする事業所割合が「増加」とする事業所割合より多くなっている(表10、第8図)。
(2) 採用予定数の増加理由
22年新規学卒者の採用予定数を「増加」とする理由(複数回答)を学歴別にみると、高校卒では「年齢等人員構成の適正化」及び「長期的に育成することが必要な基幹的業務を行う者の確保」が最も多くなっており、高専・短大卒では「年齢等人員構成の適正化」、大学卒(文科系)、(理科系)及び専修学校卒では「長期的に育成することが必要な基幹的業務を行う者の確保」の割合が最も多くなっている(表 11)。
(3) 採用予定数の減少理由
22年新規学卒者の採用予定数を「減少」とする理由(複数回答)を学歴別にみると、高校卒では「経営状態の悪化・事業の縮小」が最も多くなっている。その他の学歴では、「人件費抑制・要員管理の見直し」が最も多くなっている。(表12)
付属統計表 第6表
主な用語の説明
1 労働者
(1) 正社員等………雇用期間を定めないで雇用されている者または1年以上の期間の雇用契約を結んで雇用されている者をいい、パートタイムは除く。なお、下記の派遣労働者は含まない。
(2) 臨時……………1か月以上1年未満の期間を定めて雇用されている者及び期間を限って季節的に働いている者をいい、1か月未満の雇用契約の者及びパートタイムは除く。
(3) パートタイム……1日の所定労働時間又は1週間の所定労働日数が当該事業所の正社員のそれより短い者をいう。
(4) 派遣労働者……労働者派遣法に基づいて他社(派遣元事業所)から当該事業所に派遣されている者をいう。
2 「生産・売上額等判断D.I.」、「所定外労働時間判断D.I.」及び「雇用判断D.I.」とは、前期と比べて増加と回答した事業所の割合から減少と回答した事業所の割合を差し引いた値である。
3 「労働者過不足判断D.I.」とは、不足と回答した事業所の割合から過剰と回答した事業所の割合を差 し引いた値である。
利用上の注意
1 日本標準産業分類の改定(平成19年11月)にともない、平成21年2月調査から新産業分類に基づき表章している。さらに平成21年2月調査より「医療,福祉」を追加しているため、平成20年11月調査以前との比較は注意を要する。
(1)「建設業」、「金融業,保険業」については、それぞれ旧産業の「建設業」、「金融・保険業」と分類内容の変更がなかったため、旧分類と接続している。
(2)「製造業」の「消費関連業種」、「素材関連業種」、「機械関連業種」の区分については、それぞれ旧産業の「製造業」の区分と分類内容の変更があったため、旧分類と接続しない。
(3)「情報通信業」、「運輸業,郵便業」、「卸売業,小売業」、「宿泊業,飲食サービス業」については、それぞれ旧産業の「情報通信業」、「運輸業」、「卸売・小売業」、「飲食店,宿泊業」と分類内容の変更があったため、旧分類と接続しない。
(4)「不動産業,物品賃貸業」、「学術研究,専門・技術サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「サービス業」については、それぞれ旧産業の「不動産業」、「サービス業」の一部を分離・統合した産業であり、分類内容の変更があったため、旧分類と接続しない。平成20年11月調査以前の旧産業分類集計による「調査産業計」の数値については、旧産業の「不動産業」、「サービス業」の数値が含まれている。