厚生労働省発表

平成20年 6 月

厚生労働省大臣官房統計情報部

担当係:雇用統計課労働経済第一係

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労働経済動向調査(平成20年5月)結果の概況

I 調査の概要

この調査は、生産、販売活動及びそれに伴う雇用、労働時間などの現状と今後の短期的見通しなどを把握するため、年4回実施(通信調査方式)しているもので、本概況は平成20年5月に実施した調査の結果である。調査対象は、日本標準産業分類の建設業、製造業、情報通信業、運輸業、卸売・小売業、金融・保険業、不動産業、飲食店,宿泊業及びサービス業(他に分類されないもの)に属する事業所規模30人以上の全国の民営事業所5,664事業所である。(回答事業所数3,014、回答率53.2%)

II 結果の要旨

1 生産・売上額等、所定外労働時間、雇用

(1) 生産・売上額等《製造業とサービス業の実績でマイナスになった》

生産・売上判断D.I.(20年1〜3月期実績)は、製造業ではマイナス5ポイントとマイナスになり、卸売・小売業で0ポイントとなり、サービス業でマイナスになり、マイナス3ポイントとなった。先行きは、20年4〜6月期実績見込では、製造業ではマイナス5ポイント、卸売・小売業で2ポイント、サービス業でマイナス9ポイントとなっている。20年7〜9月期見込は製造業、サービス業で0ポイント、卸売・小売業で3ポイントとなっている。(表1、第1図

表1 生産・売上額等の判断D.I.(季節調整値)

(2) 所定外労働時間《製造業と卸売・小売業の実績でマイナスになった》

所定外労働時間判断D.I.(20年1〜3月期実績)は、製造業ではマイナスになり、マイナス2ポイント、卸売・小売業でマイナス4ポイント、サービス業ではプラスが続き、4ポイントとなった。先行きは、20年4〜6月期実績見込では、製造業ではマイナス7ポイント、卸売・小売業でマイナス9ポイント、サービス業で1ポイントとなっている。20年7〜9月期見込は製造業でマイナス6ポイント、卸売・小売業でマイナス1ポイント、サービス業で0ポイントとなっている。(表2、第2図

表2 所定外労働時間判断D.I.(季節調整値)

(3) 正社員等雇用《実績は三産業ともプラス》

正社員等雇用判断D.I.(20年1〜3月期実績)は、製造業では7ポイントとプラスが続き、卸売・小売業ではプラスになり、3ポイント、サービス業では4ポイントとなった。先行きは、20年4〜6月期実績見込では、製造業では22ポイント、卸売・小売業で3ポイント、サービス業で4ポイントとなっている。20年7〜9月期見込は製造業で5ポイント、卸売・小売業でマイナス2ポイント、サービス業で2ポイントとなっている。(表3、第3図

表3 正社員等雇用判断D.I.(季節調整値)

(4) パートタイム雇用《製造業で0ポイント、卸売・小売業でマイナス》

パートタイム雇用判断D.I.(20年1〜3月期実績)は、製造業では0ポイント、卸売・小売業ではマイナス6ポイント、サービス業で5ポイントとなった。先行きは、20年4〜6月期実績見込では、製造業では1ポイント、卸売・小売業でマイナス3ポイント、サービス業で1ポイントとなっている。20年7〜9月期見込は製造業で1ポイント、卸売・小売業でマイナス5ポイント、サービス業でマイナス1ポイントとなっている。(表4、第4図

表4 パートタイム雇用判断D.I.(季節調整値)

付属統計表 第1表

2 労働者の過不足状況

(1) 正社員等労働者《不足感続く》

20年5月1日現在の正社員等労働者過不足判断D.I.により、雇用過不足感の動向をみると、調査産業計で 21ポイントとなり、超過幅は前期(27ポイント)よりも縮小したものの、依然として不足超過幅が大きい。

産業別にみると、すべての産業で不足超過幅が前期より縮小しているが、特に卸売・小売業、建設業、金融・保険業で不足超過幅の縮小が大きい。(表5、第5図

表5 正社員等労働者の過不足状況判断

(2) パートタイム労働者《不足感続く》

20年5月1日現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.により、雇用過不足感の動向をみると、調査産業計で20ポイントとなり、超過幅は前期(22ポイント)よりもやや縮小したものの、依然として不足超過幅が大きい。

産業別にみると、飲食店,宿泊業、サービス業で不足超過幅が前期より拡大しているが、運輸業、情報通信業、金融・保険業、不動産業では不足超過幅が前期より縮小している。(表6、第5図

表6 パートタイム労働者の過不足状況判断

付属統計表 第2-1表第2-2表第3表第6図

3 雇用調整

(1) 実施割合

雇用調整を実施した事業所の割合(20年1〜3月期実績)は、調査産業計で13%と前期(11%)と比べるとやや増加している。(表7、第7図

表7 雇用調整の時期別実施事業所割合

(2) 実施方法

雇用調整の実施方法は、調査産業計では残業規制(6%)の割合が高く、次いで配置転換(5%)となっている。(表8)

表8 雇用調整の方法別実施事業所割合

付属統計表 第4表

4 中途採用《減少している》

「中途採用あり」とした事業所割合(20年1〜3月期実績)は、調査産業計で56%と前年同期(19年1〜3月期実績)と比べると減少している。

産業別にみると、特に金融・保険業、卸売・小売業、不動産業での減少幅が大きい。(表9、第8図

表9 中途採用の時期別実施事業所割合

付属統計表 第5表

(以下は今回調査の特別項目となります。)

5 21年新規学卒者の採用計画等

(1) 採用計画《すべての学歴で「増加」が「減少」を引き続き大きく上回る》

20年の採用者数と比べ、21年新規学卒者の採用予定者数を「増加」とする事業所割合がすべての学歴で「減少」とする事業所割合を引き続き大きく上回っている。(表10、第9図

表10 学歴、新規学卒採用予定者数の増減別事業所割合(調査産業計)

(2) 採用予定者数の増加理由

21年新規学卒者の採用予定数を「増加」とする理由(複数回答)を学歴別にみると、高校卒で「年齢等人員構成の適正化」、高専・短大卒、大学卒(文科系)で「長期的に育成することが必要な基幹的業務を担う者の確保」、大学卒(理科系)で「技術革新への対応・研究開発体制の充実」と「長期的に育成することが必要な基幹的業務を担う者の確保」、専修学校卒で「退職者の増加による補充」の割合が最も高くなっている。(表11)

表11 学歴、新規学卒採用予定者数の増加理由別事業所割合(調査産業計)

付属統計表 第6表第7表

主な用語の説明

〔労働者〕

正 社 員 等……………雇用期間を定めないで雇用されている者または1年以上の期間の雇用契約を結んで雇用されている者をいい、パートタイムは除く。
なお、下記の派遣労働者は含まない。

(注)平成20年2月調査から下線部分の追加により定義を変更し、合わせて名称を「常用」から「正社員等」に変更した。

臨時・季節……………1ヵ月以上1年未満の期間を定めて雇用されている者及び期間を限って季節的に働いている者をいい、1ヵ月未満の雇用契約の者及びパートタイムは除く。

(注)平成20年2月調査から下線部分の追加により定義を変更した。

パートタイム…………1日の所定労働時間又は1週間の所定労働日数が当該事業所の正社員のそれより短い者をいう。

(注)平成20年2月調査から下線部分を「一般労働者」から「正社員」に変更した。

派遣労働者……………労働者派遣法に基づいて他社(派遣元事業所)から当該事業所に派遣されている者をいう。

〔職 種〕

管   理 ………課以上の組織の管理に従事する者をいう。

事   務 ………課長等管理職の指導、監督を受けて事務に従事する者をいう。

専門・技術………高度の専門的知識を応用し、技術的な業務、研究等に従事する者をいう。

販   売 ………商品、証券などの売買・営業、保険外交などに従事する者をいう。

サービス ………調理・接客・給仕など個人に対するサービスの仕事に従事する者をいう。

運輸・通信………鉄道、自動車、通信電話交換などで運転、操作に従事する者及び車掌、電話交換手などをいう。

技 能 工………原材料の加工、各種機械器具の組み立て、修理、印刷、製本、建設作業などに従事する者のうち高度の熟練、判断力、責任を要する作業を行う者をいう。

単 純 工………上記「技能工」と同じ作業に従事しているが、技能などの修得を要しない簡単な作業、単純な筋肉労働に従事する者をいう。

利用上の注意

1  この調査で「サービス業」とは、「サービス業(他に分類されないもの)」を指している。

2  表11、付属統計表の第7表は、該当集計項目に回答していない事業所も含む回答事業所すべてについて集計した結果であり、その他の表やグラフは、該当集計項目に回答していない事業所を除いて集計したものである。

3   「生産・売上額等判断D.I.」、「所定外労働時間判断D.I.」及び「雇用判断D.I.」とは、前期と比べて増加と回答した事業所の割合から減少と回答した事業所の割合を差し引いた値である。

4  上記判断D.I.の季節調整は、センサス局法X-12-ARIMAのなかのX-11デフォルトによる。
  また、今回、発表の季節調整値は平成20年2月調査までの結果に基づき過去に遡って改訂したので前回発表の数値と異なっている部分がある。

5  「労働者過不足判断D.I.」とは、不足と回答した事業所の割合から過剰と回答した事業所の割合を差し引いた値である。

6  統計表中の「0」は単位未満の割合を示し、「−」は調査客体がないもの、「…」は調査をしていないことを示す。

7  この調査では、それぞれの回答をした事業所の割合を集計して表章しているが、労働者が多い事業所ほど調査対象として選ばれやすくなっている(確率比例抽出)ため、実質的に、事業所の割合というよりもこうした回答をした事業所で働く労働者の割合に近い。

8  用語の「正社員等」及び「臨時・季節」の変更により平成20年2月調査から集計対象が一部異なっているため、表3、表5、第3図、第5図、付属統計表の第1表、第2−1表、第3表の平成19年11月調査以前との比較に当たっては注意を要する。

9  調査の結果は、厚生労働省の web ページ(https://www.mhlw.go.jp/)に掲載されている。
  「統計調査結果」→「最近公表の統計資料」→「月報で公表・提供しているもの」→「労働経済動向調査(平成20年5月)結果の概況」


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