厚生労働省発表 平成20年 3 月 |
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労働経済動向調査(平成20年2月)結果の概況
I 調査の概要
この調査は、生産、販売活動及びそれに伴う雇用、労働時間などの現状と今後の短期的見通しなどを把握するため、年4回実施(通信調査方式)しているもので、本概況は平成20年2月に実施した調査の結果である。調査対象は、日本標準産業分類の建設業、製造業、情報通信業、運輸業、卸売・小売業、金融・保険業、不動産業、飲食店,宿泊業及びサービス業(他に分類されないもの)に属する事業所規模30人以上の全国の民営事業所5,664事業所である。(回答事業所数3,251、回答率57.4%)
II 結果の要旨
1 生産・売上額等、所定外労働時間、雇用
(1) 生産・売上額等《製造業とサービス業の実績でプラス》
生産・売上判断D.I.(平成19年10〜12月期実績)は、製造業では18ポイントとプラス幅が拡大し、卸売・小売業でマイナス3ポイントとマイナスに転じ、サービス業で6ポイントとなった。先行きは、20年1〜3月期実績見込は、製造業ではマイナス2ポイント、卸売・小売業で2ポイント、サービス業でマイナス1ポイントとなっている。20年4〜6月期見込は三産業ともプラスとなっている。(表1、第1図)

(2) 所定外労働時間《製造業とサービス業の実績でプラス》
所定外労働時間判断D.I.(19年10〜12月期実績)は、製造業ではプラス幅が拡大し、8ポイント、卸売・小売業でマイナスに転じ、マイナス2ポイント、サービス業では2ポイントとなった。先行きは、20年1〜3月期実績見込では、製造業ではマイナス3ポイント、卸売・小売業でマイナス4ポイント、サービス業でマイナス2ポイントとなっている。20年4〜6月期見込は製造業、サービス業でプラス、卸売・小売業でマイナスとなっている。(表2、第2図)

(3) 正社員等雇用《製造業の実績でプラスが続く》
正社員等雇用判断D.I.(19年10〜12月期実績)は、製造業では5ポイントとプラスが続き、卸売・小売業ではマイナス3ポイント、サービス業では0ポイントとなった。先行きは、20年1〜3月期実績見込では、製造業では10ポイント、卸売・小売業でマイナス2ポイント、サービス業で6ポイントとなっている。20年4〜6月期見込は三産業ともプラスとなっている。(表3、第3図)

(4) パートタイム雇用《サービス業の実績でプラスになった》
パートタイム雇用判断D.I.(19年10〜12月期実績)は、製造業では0ポイント、卸売・小売業ではマイナスに転じ、マイナス7ポイント、サービス業でプラスになり、4ポイントとなった。先行きは、20年1〜3月期実績見込では、製造業では0ポイント、卸売・小売業でマイナス1ポイント、サービス業で4ポイントとなっている。20年4〜6月期実績見込は製造業は0ポイント、卸売・小売業、サービス業でマイナスとなっている。(表4、第4図)

付属統計表 第1表
2 労働者の過不足状況
(1) 正社員等労働者《不足感続く》
20年2月1日現在の正社員等労働者過不足判断D.I.により、雇用過不足感の動向をみると、調査産業計で 27ポイントとなっており、依然として不足超過幅が大きい。
産業別にみると、卸売・小売業で不足超過幅が前期より拡大しているが、飲食店,宿泊業、不動産業、情報通信業では不足超過幅が前期より縮小している。(表5、第5図)

(2) パートタイム労働者《不足感続く》
20年2月1日現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.により、雇用過不足感の動向をみると、調査産業計で22ポイントとなり、超過幅は前期(24ポイント)よりもやや縮小したものの、依然として不足超過幅が大きい。
産業別にみると、金融・保険業、情報通信業、不動産業で不足超過幅が前期より拡大しているが、飲食店,宿泊業、サービス業では不足超過幅が前期より縮小している。(表6、第5図)

3 雇用調整
(1) 実施割合
雇用調整を実施した事業所の割合(19年10〜12月期実績)は、調査産業計で11%と前期(11%)と比べると横ばいとなっている。(表7、第7図)

(2) 実施方法
雇用調整の実施方法は、調査産業計では残業規制(5%)の割合が高く、次いで配置転換(4%)、休日の振替、夏季休暇等の休日・休暇の増加(2%)の順となっている。(表8)

付属統計表 第4表
4 中途採用《減少している》
「中途採用あり」とした事業所割合(19年10〜12月期実績)は、調査産業計で60%と前年同期(18年10〜12月期実績)と比べると減少している。
産業別にみると、特に情報通信業、飲食店,宿泊業での減少幅が大きい。(表9、第8図)

付属統計表 第5表
(以下は今回調査の特別項目となります。)
5 平成20年新規学卒者の採用内定状況《すべての学歴で前年を上回る》
平成20年新規学卒者の「採用内定あり」の事業所の割合を前年と比べると、調査産業計では各学歴で前 年を上回っている。
とくに「高校卒」は5年連続、「大学卒(文科系)」は4年連続で前年を上回っている。(表10、第9図)

付属統計表 第6表
(新規項目)
6 正社員以外の労働者からの正社員への登用の状況《正社員への「登用実績あり」は約4割》
過去1年間に正社員以外の労働者から正社員への登用を実施した事業所の割合は、調査産業計では「登 用実績あり」が41%、「登用実績なし」が56%となっている。
「登用実績あり」を産業別にみると、製造業、飲食店,宿泊業、サービス業で割合が高くなっている。
また、登用実績ありのうち、登用にあたっての年齢の上限の有無をみると、調査産業計では「登用にあ たって年齢制限はなかった」(78%)の割合が高くなっている。(表11)
さらに登用実績があった事業所における今後の方針では、調査産業計では「登用していきたい」(64%) の割合が高くなっている。(表12)


主な用語の説明
〔労働者〕
正 社 員 等……………雇用期間を定めないで雇用されている者または1年以上の期間の雇用契約を結んで雇用されている者をいい、パートタイムは除く。
なお、下記の派遣労働者は含まない。
(注)平成20年2月調査から下線部分の追加により定義を変更し、合わせて名称を「常用」から「正社員等」に変更した。
臨時・季節……………1ヵ月以上1年未満の期間を定めて雇用されている者及び期間を限って季節的に働いている者をいい、1ヵ月未満の雇用契約の者及びパートタイムは除く。
(注)平成20年2月調査から下線部分の追加により定義を変更した。
パートタイム…………1日の所定労働時間又は1週間の所定労働日数が当該事業所の正社員のそれより短い者をいう。
(注)平成20年2月調査から下線部分「一般労働者」を「正社員」に変更した。
派遣労働者……………労働者派遣法に基づいて他社(派遣元事業所)から当該事業所に派遣されている者をいう。
〔職 種〕
管 理 ………課以上の組織の管理に従事する者をいう。
事 務 ………課長等管理職の指導、監督を受けて事務に従事する者をいう。
専門・技術………高度の専門的知識を応用し、技術的な業務、研究等に従事する者をいう。
販 売 ………商品、証券などの売買・営業、保険外交などに従事する者をいう。
サービス ………調理・接客・給仕など個人に対するサービスの仕事に従事する者をいう。
運輸・通信………鉄道、自動車、通信電話交換などで運転、操作に従事する者及び車掌、電話交換手などをいう。
技 能 工………原材料の加工、各種機械器具の組み立て、修理、印刷、製本、建設作業などに従事する者のうち高度の熟練、判断力、責任を要する作業を行う者をいう。
単 純 工………上記「技能工」と同じ作業に従事しているが、技能などの修得を要しない簡単な作業、単純な筋肉労働に従事する者をいう。
利用上の注意
1 この調査で「サービス業」とは、「サービス業(他に分類されないもの)」を指している。
2 表11、表12、付属統計表の第7表、第8表は、該当集計項目に回答していない事業所も含む回答事業 所すべてについて集計した結果であり、その他の表やグラフは、該当集計項目に回答していない事業所 を除いて集計したものである。
3 「生産・売上額等判断D.I.」、「所定外労働時間判断D.I.」及び「雇用判断D.I.」とは、前期と比べて増加と回答した事業所の割合から減少と回答した事業所の割合を差し引いた値である。
4 上記判断D.I.の季節調整は、センサス局法X-12-ARIMAのなかのX-11デフォルトによる。
5 「労働者過不足判断D.I.」とは、不足と回答した事業所の割合から過剰と回答した事業所の割合を差し引いた値である。
6 統計表に用いている数値は、「0」は単位未満の割合を示し、「−」は調査客体がないもの、「…」は調査をしていないことを示す。
7 この調査における特定の属性をもつ事業所割合は、当該属性をもつ事業所数を、その事業所の常用労働者数により加重平均したものを推計したものであり、実質的には、常用労働者のうち当該属性をもつ事業所で働く者の割合に相当する。
8 用語の「正社員等」及び「臨時・季節」の変更により平成20年2月調査から集計対象が一部異なっているため、表3、表5、第3図、第5図、付属統計表の第1表、第2−1表、第3表の平成19年11月調査以前との比較に当たっては注意を要する。