厚生労働省発表
平成18年12月
厚生労働省大臣官房統計情報部
 担当係雇用統計課労働経済第一係
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労働経済動向調査(平成18年11月)結果の概況


I 調査の概要
 この調査は、生産、販売活動及びそれに伴う雇用、労働時間などの現状と今後の短期的見通しなどを把握するため、日本標準産業分類の建設業、製造業、情報通信業、運輸業、卸売・小売業、金融・保険業、不動産業、飲食店,宿泊業及びサービス業(他に分類されないもの)に属する事業所規模30人以上の全国の民営事業所5,408事業所を対象として、年4回実施(通信調査方式)しているもので、本概況は平成18年11月1日現在の調査結果である(回答事業所数3,074、回答率56.8%)。

II 結果の要旨
 1 生産・売上、所定外労働時間、雇用
  (1) 生産・売上《三産業の実績でプラス》
 生産・売上判断D.I.(平成18年7〜9月期実績)は、製造業で12ポイント、卸売・小売業で11ポイント、サービス業で1ポイントとなり、三産業でプラスとなっている。特に製造業、卸売・小売業でプラス幅が拡大した。先行きは、18年10〜12月期実績見込は、製造業、卸売・小売業でプラス、サービス業でマイナス、19年1〜3月期見込では、三産業でプラスとなっている。(表1、第1図

表1 生産・売上の判断D.I.(季節調整値)

  (2) 所定外労働時間《三産業の実績でプラス》
 所定外労働時間判断D.I.(18年7〜9月期実績)は、製造業で5ポイント、卸売・小売業で7ポイント、サービス業で1ポイントとなり、三産業でプラスとなっている。先行きは、18年10〜12月期実績見込は、製造業で0ポイント、卸売・小売業でプラス、サービス業でマイナス、19年1〜3月期見込は製造業0ポイント、卸売・小売業でマイナス、サービス業でプラスとなっている。(表2、第2図

表2 所定外労働時間判断D.I.(季節調整値)

  (3) 常用雇用《製造業の実績で0ポイント》
 常用雇用判断D.I.(18年7〜9月期実績)は、製造業で0ポイント、卸売・小売業でマイナス7ポイント、サービス業でマイナス1ポイントとなっている。先行きは、18年10〜12月期実績見込は製造業、サービス業でプラス、卸売・小売業でマイナス、19年1〜3月期見込は製造業、サービス業でプラス、卸売・小売業で0ポイントとなっている。(表3、第3図

表3 常用雇用判断D.I.(季節調整値)

  (4) パートタイム雇用《製造業、サービス業の実績でマイナスに転じた》
 パートタイム雇用判断D.I.(18年7〜9月期実績)は、製造業でマイナス1ポイント、卸売・小売業で2ポイント、サービス業でマイナス5ポイントとなっている。先行きは、18年10〜12月期実績見込は、製造業でマイナス、卸売・小売業、サービス業でプラス、19年1〜3月期見込は製造業、卸売・小売業でプラス、サービス業でマイナスとなっている。(表4、第4図

表4 パートタイム雇用判断D.I.(季節調整値)
付属統計表 第1表
 2 労働者の過不足状況
  (1) 常用労働者《不足超過幅が拡大》
 11月現在の常用労働者過不足判断D.I.により、雇用過不足感の動向をみると、調査産業計で23ポイントの不足超過で、超過幅は前期(21ポイント)よりも拡大している。
 産業別にみると、建設業、製造業、情報通信業、卸売・小売業、金融・保険業で、不足超過幅が前期よりも拡大している。(表5、第5図

表5 常用労働者の過不足状況判断

  (2) パートタイム労働者《不足超過幅が拡大》
 11月現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.により、雇用過不足感の動向をみると、調査産業計で23ポイントの不足超過で、超過幅は前期(21ポイント)よりも拡大している。
 産業別にみると、主に運輸業、卸売・小売業、金融・保険業、サービス業で、不足超過幅が前期よりも拡大している。(表6、第5図

表6 パートタイム労働者の過不足状況判断

付属統計表 第2-1表第2-2表第3表第6図
 3 雇用調整
  (1) 実施割合《やや低下》
 雇用調整を実施した事業所の割合(18年7〜9月期実績)は、調査産業計で11%と前期(12%)と比べるとやや低下している(表7、第7図)。

表7 雇用調整の時期別実施事業所割合

  (2) 実施方法
 雇用調整の実施方法(複数回答)は、調査産業計では残業規制(5%)、配置転換(4%)の割合が高くなっている(表8、第8図)。

表8 雇用調整の方法別実施事業所割合(18年7〜9月実績)

付属統計表 第4表
 4 中途採用《横ばい》
 「中途採用あり」とした事業所割合(18年7〜9月期実績)は、調査産業計で56%と前年同期(17年7〜9月期実績56%)と比べると横ばいとなっている。

表9 中途採用の時期別実施事業所割合
注:( )は前年同期の数値である。

付属統計表 第5表
 5 事業の見直しと雇用面での対応
  (1) 事業の見直し実施状況《実施事業所割合が低下》
 過去1年間に事業の見直し(拡大・縮小・合理化等)を実施した事業所割合は、調査産業計で21%となっており、前年(25%)と比べると低下している。産業別にみると、情報通信業、運輸業を除いて、低下している。
 今後1年間に事業の見直しを実施する予定の事業所割合は調査産業計で17%となっている。(表10)

表10 事業の見直しの実施事業所割合
注:( )は前年11月調査の数値である。

付属統計表 第6表
  (2) 事業の見直し方法《「新規部門(市場)への進出」、「製品・サービスの高付加価値化」、「不採算事業部門の縮小」の割合が高い》
 過去1年間に実施した事業の見直し方法(複数回答)は、調査産業計では「新規部門(市場)への進出」(5%)、「製品・サービスの高付加価値化」(4%)、「不採算事業部門の縮小」(4%)の割合が高くなっている。
 今後1年間に実施予定の事業の見直し方法(複数回答)は、調査産業計では「製品・サービスの高付加価値化」(5%)、「新規部門(市場)への進出」(4%)の割合が高くなっている。(表11)

表11 事業の見直し法別事業所割合(調査産業計)
注:( )は前年11月調査の数値である。

付属統計表 第7表
  (3) 事業の見直しに伴う雇用面での対応方法《「中途採用の実施・拡大」、「配置転換」の割合が高い》
 過去1年間に実施した事業の見直しに伴う雇用面での対応方法(複数回答)は、調査産業計では「中途採用の実施・拡大」(8%)、「配置転換」(7%)、「新規学卒採用の拡大」(5%)、「教育訓練の充実・拡大等、社内人材の育成」(5%)の割合が高くなっている。前年と比べると「雇用延長の拡大」が3ポイント上昇している。(第9図
 今後1年間に実施予定の事業の見直しに伴う雇用面での対応方法(複数回答)は、調査産業計では「中途採用の実施・拡大」(7%)、「新規学卒採用の拡大」(6%)、「配置転換」(5%)、「教育訓練の充実・拡大等、社内人材の育成」(5%)の割合が高くなっている。(表12)

表12 事業の見直しに伴う雇用面での対応方法別事業所割合(調査産業計)
注:( )は前年11月調査の数値である。

付属統計表 第8表


主な用語の説明
 〔労働者〕
  常用……雇用期間を定めないで雇用されている者をいい、パートタイムは除く。なお、派遣労働者は含まれない。
  臨時・季節……1ヵ月以上の期間を定めて雇用されている者及び期間を限って季節的に働いている者をいい、パートタイムは除く。
  パートタイム……1日の所定労働時間又は1週間の所定労働日数が当該事業所の一般労働者のそれより短い者をいう。
 〔職種〕
  管理……課以上の組織の管理に従事する者をいう。
  事務……課長等管理職の指導、監督をうけて事務に従事する者をいう。
  専門・技術……高度の専門的知識を応用し、技術的な業務、研究等に従事する者をいう。
  販売……商品、証券などの売買・営業、保険外交などに従事する者をいう。
  サービス……調理・接客・給仕など個人に対するサービスの仕事に従事する者をいう。
  運輸・通信……鉄道、自動車、通信電話交換などで運転、操作に従事する者及び車掌、電話交換手などをいう。
  技能工……原材料の加工、各種機械器具の組み立て、修理、印刷、製本、建設作業などに従事する者のうち高度の熟練、判断力、責任を要する作業を行う者をいう。
  単純工……上記「技能工」と同じ作業に従事しているが、技能などの修得を要しない簡単な作業、単純な筋肉労働に従事する者をいう。

(注) この調査で「サービス業」とは、「サービス業(他に分類されないもの)」を指している。
 「生産・売上判断D.I.」、「所定外労働時間判断D.I.」及び「雇用判断D.I.」とは、前期と比べて増加と回答した事業所の割合から減少と回答した事業所の割合を差し引いた値である。
 上記判断D.I.の季節調整は、センサス局法X-12-ARIMAのなかのX-11デフォルトによる。
 「労働者過不足判断D.I.」とは、不足と回答した事業所の割合から過剰と回答した事業所の割合を差し引いた値である。
 統計表に用いている数値は、「0」は単位未満の割合を示し、「-」は調査客体がないものを示す。

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