厚生労働省

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結果の概要

1 定年制、継続雇用制度の状況

(1)定年制

定年制がある事業所の割合は73.5%(前回調査(平成16年)74.4%)、定年制がない事業所の割合は26.5%(同25.6%)となっている。定年制がある事業所のうち一律に定めている事業所割合は67.1%(同72.6%)、職種別に定めている事業所割合は4.1%(同1.2%)となっている。一律に定めている事業所のうち、定年年齢が60歳の事業所割合は82.0%(同88.3%)と最も多くなっている。また、定年年齢が65歳以上の事業所割合は14.8%(同8.3%)となっている。

産業別に定年制がある事業所割合をみると、電気・ガス・熱供給・水道業が98.9%、複合サービス事業が98.6%、金融・保険業が97.1%と高くなっており、飲食店,宿泊業が55.8%、医療,福祉が64.4%、建設業が65.2%と低くなっている。

事業所規模別に定年制がある事業所割合をみると、1,000人以上規模は99.8%と最も高く、5〜29人規模は69.6%ともっとも低くなっている。

前回調査と比べると、定年年齢65歳以上の事業所割合が上昇している。(表1)

表1 定年制の状況別事業所割合

表1 定年制の状況別事業所割合

(2)継続雇用制度(勤務延長制度及び再雇用制度)

一律に定年制を定めている事業所で定年年齢が60〜64歳の事業所では、継続雇用制度がある事業所割合は89.1%となっている。このうち勤務延長制度がある事業所割合は27.3%、再雇用制度がある事業所割合は83.5%となっている。

勤務延長制度がある事業所のうち、勤務延長制度のみがある事業所割合は16.5%、再雇用制度がある事業所のうち、再雇用制度のみがある事業所割合は72.7%となっている。

産業別に継続雇用制度がある事業所割合をみると、電気・ガス・熱供給・水道業が99.4%、金融・保険業が94.5%、建設業が93.7%と高くなっており、教育,学習支援業が73.3%、医療,福祉が82.4%、サービス業(他に分類されないもの)が85.9%と低くなっている。

事業所規模別に継続雇用制度がある事業所割合をみると、1,000人以上規模が99.5%と高く、一方、5〜29人規模で87.1%と低くなっている。

なお、定年制がある事業所の総数では、継続雇用制度がある事業所割合は81.9%(前回調査67.5%)となっている。(表2)

表2 継続雇用制度の状況別事業所割合

表2 継続雇用制度の状況別事業所割合

2 高年齢労働者の雇用、退職の状況

(1)雇用

ア 高年齢労働者を雇用している事業所割合

60歳以上の労働者を雇用している事業所割合は59.4%(前回調査50.5%)で前回調査に比べて8.9ポイント上昇している。そのうち、60〜64歳の労働者を雇用している事業所割合は50.2%(同41.3%)、65〜69歳の労働者を雇用している事業所割合は26.9%(同22.5%)、70歳以上の労働者を雇用している事業所割合は15.6%(同13.1%)となっており、いずれも前回調査より上昇している。また、55〜59歳の労働者を雇用している事業所割合は61.9%(同58.4%)となっている。

産業別に60歳以上の労働者を雇用している事業所割合をみると、製造業が81.1%と最も高く、次いで建設業が71.1%、運輸業が69.6%となっている。一方、金融・保険業は32.0%、複合サービス事業は34.2%、情報通信業は38.2%と低くなっている。

事業所規模別に60歳以上の労働者を雇用している事業所割合をみると、規模が大きいほど割合が高くなっている。また、1,000人以上規模では97.7%とほとんどの事業所が60歳以上の労働者を雇用しているが、5〜29人規模では54.9%と規模による差が大きくなっている。(表3)

表3 高年齢労働者を雇用している事業所割合

表3 高年齢労働者を雇用している事業所割合

イ 高年齢労働者の割合

事業所の全常用労働者に占める高年齢労働者の割合をみると、60歳以上の労働者割合は10.0%(前回調査7.6%)で前回調査に比べ2.4ポイント上昇している。年齢階級別にみると、60〜64歳の労働者割合は6.5%(同4.9%)、65〜69歳の労働者割合は2.5%(同1.9%)、70歳以上の労働者割合は1.0%(同0.8%)といずれも前回調査より上昇している。また、55〜59歳の労働者割合は11.4%(同10.5%)となっている。

産業別にみると、60歳以上の労働者割合は不動産業が18.1%、運輸業が14.9%、鉱業が13.7%と高くなっている。

事業所規模別に高年齢労働者の割合をみると、60歳以上の労働者割合は規模が小さいほど割合が高く、5〜29人規模では12.0%となっている。(表4−1)

表4−1 高年齢労働者の割合

表4−1 高年齢労働者の割合

ウ 制度の有無別高年齢労働者の割合

定年制及び勤務延長制度の有無別に高年齢労働者の割合をみると、定年制がない事業所で15.8%、勤務延長制度がある事業所で12.9%と60歳以上の労働者割合が高くなっている(表4−2)。

表4−2 制度の有無別高年齢労働者割合

表4−2 制度の有無別高年齢労働者割合

(2)退職年齢

過去1年間(平成19年9月1日〜平成20年8月31日、以下同じ)に55歳以上で退職した労働者の年齢をみると、退職者割合は60〜64歳が44.7%となっている。

制度別にみると、定年制があり継続雇用制度がない事業所の退職者割合は55〜59歳が46.9%と高くなっている。また、定年制がない事業所では65〜69歳が20.3%、70歳以上が20.6%と割合が高くなっている。(表5)

表5 制度の有無別退職者割合

表5 制度の有無別退職者割合

(3)定年到達者
ア 継続雇用制度がある事業所における定年到達者の状況

定年制がある事業所で継続雇用制度がある事業所の過去1年間の定年到達者についてみると、勤務延長者の割合は19.6%(前回調査26.4%)、再雇用者の割合は56.0%(同41.8%)となっている。

前回調査と比べると、勤務延長者の割合が低下し、再雇用者の割合が上昇している。

産業別に継続雇用者の割合をみると、鉱業が87.4%、不動産業が85.3%、運輸業が79.6%と高くなっており、複合サービス事業が46.1%、電気・ガス・熱供給・水道業が53.1%、金融・保険業が65.7%と低くなっている。産業別に勤務延長者の割合をみると、飲食店,宿泊業が38.6%と最も高くなっている。一方、再雇用者の割合をみると、鉱業が68.2%、サービス業が66.6%と高くなっている。

また、飲食店,宿泊業を除く全ての産業で、再雇用者の割合が勤務延長者の割合よりも多くなっている。

事業所規模別に勤務延長者の割合をみると、5〜29人規模は30.7%と最も高く、 1,000人以上規模は1.9%と最も低くなっている。いずれの規模も再雇用者の割合が勤務延長者の割合よりも多くなっている。また、再雇用者の割合は全ての規模で50%よりも多くなっており、30〜99人規模は62.1%と高くなっている。(表6)

表6 継続雇用制度がある事業所における定年到達者の状況別労働者割合

表6 継続雇用制度がある事業所における定年到達者の状況別労働者割合

イ 継続雇用制度により働くことを希望しなかった理由

継続雇用制度がある事業所で、継続雇用制度により働くことを希望しなかった定年到達者の希望しなかった理由(主なもの2つまでの複数回答)をみると、「制度とのミスマッチ以外」が83.5%で、「制度とのミスマッチ」は17.8%となっている。その内容をみると「定年退職後に働く意志がない」が67.4%、「自社以外での再就職を希望」が22.7%と多くなっている。

産業別に希望しなかった理由をみると、「定年退職後に働く意志がない」では金融・保険業が82.2%、医療,福祉が81.9%、教育,学習支援業が75.3%と高くなっている。「自社以外での再就職を希望」では飲食店,宿泊業が42.2%、卸売・小売業が32.1%、運輸業が30.2%と高くなっている。

事業所規模別に希望しなかった理由をみると、「定年退職後に働く意志がない」では1,000人以上規模が81.4%、5〜29人規模が61.5%と規模が小さくなるほど、低くなっている。

制度別にみると、勤務延長制度及び再雇用制度がある事業所では「制度のミスマッチ」が40.1%と割合が高くなっている。その内容を見ると「賃金水準が合わない」が25.0%、「勤務場所が合わない」が20.1%と割合が高くなっている。勤務延長制度のみの事業所では「制度のミスマッチ」が6.6%と割合が低く、再雇用制度のみの事業所では、「制度とのミスマッチ以外」のうち「定年退職後に働く意志がない」が70.8%と割合が高くなっている。(表7)

表7 継続雇用制度により働くことを希望しなかった理由別事業所割合

表7 継続雇用制度により働くことを希望しなかった理由別事業所割合

ウ 定年制がある事業所で退職した労働者の状況

定年制がある事業所について、過去1年間に55歳以上で退職した労働者の状況をみると、「定年前退職者」は30.7%、「定年退職者」は21.0%で、「定年退職者のうち再就職をあっせんした者」は7.3%となっている。また、「雇用契約期間満了による退職者」は17.3%、「勤務延長又は再雇用後に退職した者」は14.7%となっている。

産業別に「定年前退職者」をみると、複合サービス事業が55.8%、電気・ガス・熱供給・水道業が46.2%、鉱業が43.0%と割合が高くなっている。「定年退職者」は製造業が34.7%、情報通信業が33.6%、教育,学習支援業が28.4%と割合が高くなっている。

事業所規模別にみると、「定年前退職者のうち移籍出向者」及び「定年退職者」は事業所規模が大きいほど割合が高くなっている。これに対し、「雇用契約期間満了による退職者」は規模が小さいほど割合が高くなっている。(表8)

表8 定年制がある事業所で退職した労働者の状況別労働者割合

表8 定年制がある事業所で退職した労働者の状況別労働者割合

3 継続雇用の状況

(1)継続雇用した労働者の雇用形態

過去1年間に継続雇用した労働者がいる事業所について、労働者の雇用形態(複数回答)をみると、勤務延長者は「正社員・正職員」が55.4%、「パート・アルバイト」が22.3%、「嘱託・契約社員」が15.4%となっている。これに対し、再雇用者は「嘱託・契約社員」が60.0%、「正社員・正職員」が32.9%、「パート・アルバイト」が15.0%となっている。 (図1)

図1 継続雇用した労働者の雇用形態別事業所割合

図1 継続雇用した労働者の雇用形態別事業所割合

(2)継続雇用した労働者の雇用契約期間

過去1年間に継続雇用した労働者がいる事業所について、それぞれの事業所でもっとも多い雇用契約期間をみると、勤務延長者は「1年」が41.0%、「期間を定めていない」が36.0%、「1年を超える」が14.7%となっている。これに対し、再雇用者は「1年」が67.0%、「1年を超える」が13.7%、「期間を定めていない」が9.3%となっている。(図2)

図2 継続雇用した労働者の雇用契約期間別事業所割合

図2 継続雇用した労働者の雇用契約期間別事業所割合

(3)継続雇用した労働者の賃金

過去1年間に継続雇用した労働者がいる事業所について、継続労働者の賃金を定年到達時の賃金と比較すると、それぞれの事業所でもっとも多いケースは、勤務延長者は「同程度」が69.4%、「8〜9割程度」が13.0%、「6〜7割程度」が9.7%となっている。

これに対し、再雇用者は「6〜7割程度」が34.8%、「8〜9割程度」が23.6%、「同程度」が21.7%となっている。(図3)

図3 継続雇用した労働者の賃金別事業所割合

図3 継続雇用した労働者の賃金別事業所割合

(4)継続雇用した労働者の勤務形態

過去1年間に継続雇用した労働者がいる事業所について、それぞれの事業所でもっとも多い勤務形態をみると、勤務延長者は「一般労働者」が72.1%、「短時間労働者」が24.7%となっている。

これに対し、再雇用者は「一般労働者」が78.1%、「短時間労働者」が21.6%となっている。(図4−1)

短時間労働者について勤務形態をみると、勤務延長者は「日数少ない、時間同じ」が37.3%、「日数同じ、時間短い」が31.4%、「日数少ない、時間少ない」が20.3%となっている。

これに対し、再雇用者は「日数少ない、時間同じ」が39.0%、「日数少ない、時間少ない」が24.5%、「日数同じ、時間短い」が22.8%となっている。(図4−2)

図4−1 継続雇用した労働者の勤務形態別事業所割合(一般労働者、短時間労働者別)

図4−1 継続雇用した労働者の勤務形態別事業所割合(一般労働者、短時間労働者別)

図4−2 継続雇用した労働者の勤務形態別事業所割合(短時間労働者の内訳)

図4−2 継続雇用した労働者の勤務形態別事業所割合(短時間労働者の内訳)

4 雇用拡大のための措置

(1)雇用のための特別の措置

60歳以上の労働者を雇用している事業所について、60歳以上の労働者の雇用のために現在「特別の措置をとっている事業所」の割合は46.1%(前回調査30.1%)で、その内容(複数回答)をみると、「適職への配置、仕事の分担の調整」を行っている事業所割合は27.2%(同16.1%)で最も多く、次いで「仕事量の調整」を行っている事業所割合は26.7%(同17.5%)、「労働時間の短縮、勤務時間の弾力化」を行っている事業所割合は26.2%(同15.6%)となっている。

産業別に「特別の措置をとっている事業所」の割合をみると、電気・ガス・熱供給・水道業が71.8%、金融・保険業が65.7%、運輸業が60.2%となっている。

事業所規模別に「特別の措置をとっている事業所」の割合をみると、1,000人以上規模が74.3%、5〜29人規模は43.5%と規模が小さくなるほど割合が低くなっている。(表9)

表9 60歳以上の労働者の雇用のため、現在とっている特別の措置別事業所割合

表9 60歳以上の労働者の雇用のため、現在とっている特別の措置別事業所割合

(2)雇用拡大のための公的援助

60歳以上の労働者の雇用拡大のため必要な公的援助をみると、「公的援助が必要」な事業所割合は55.9%(前回調査41.8%)となっている。その内容(複数回答)をみると、「賃金に対する助成」を挙げる事業所割合が46.9%(同33.5%)と最も多く、次いで「人材の紹介」を挙げる事業所割合が15.2%(同12.3%)となっている。

産業別に「公的援助が必要」な事業所の割合をみると、製造業、運輸業、不動産業が63.0%と高くなっている。

事業所規模別に必要な公的援助をみると、「公的援助が必要」とする事業所割合はすべての規模で5割を超えており、1,000人以上規模では68.0%と割合が高くなっている。(表10)

表10 60歳以上の労働者の雇用拡大のため必要な公的援助別事業所割合

表10 60歳以上の労働者の雇用拡大のため必要な公的援助別事業所割合

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