結果の概要
1 入職と離職の推移
(1)平成21年の常用労働者の推移
平成21年1年間の入職者数は、684万人(年初の常用労働者数に対する割合15.5%)、離職者数は、724万人(同16.4%)となっている。この結果、常用労働者数は、事業所の新設や閉鎖等の影響を除き、40万人(同0.9%)の減少となっている。
これを一般・パート別にみると、一般労働者は、入職者381万人(同11.5%)、離職者427万人(同12.9%)で差引46万人(同1.4%)の減少となっている。パートタイム労働者は、入職者303万人(同27.2%)、離職者297万人(同26.7%)で差引6万人(同0.5%)の増加となっている。(図1、付属統計表1−1、付属統計表1−2)
図1 平成21年の常用労働者の動き
注:1) | 入職には、事業所の新設等に伴う労働者増加を含まない。 |
2) | 離職には、事業所の閉鎖等に伴う労働者減少を含まない。 |
3) | 平成22年1月1日の常用労働者数は、事業所の新設や閉鎖等がなかったと仮定したときの推計労働者数。 |
4) | 四捨五入による計数の不一致がある。 |
(2)入職率と離職率の推移
(離職率の上昇が大)
入職率(年初の常用労働者数に対する入職者数の割合)は15.5%、離職率(年初の常用労働者数に対する離職者数の割合)は16.4%となっている。前年と比べると、入職率が1.3ポイント上昇、離職率が1.8ポイント上昇し、0.9ポイントの離職超過となっている。(図2、付属統計表1−2)
図2 入職率・離職率の推移
注: | 平成16年から調査産業の範囲が一部拡大しているため15年以前と接続しない。利用上の注意2を参照。 |
(3)職歴別入職率の推移
(転職入職率、未就業入職率ともに上昇)
入職者を職歴別にみると、転職入職者は436万人(前年413万人)、未就業入職者は248万人(同228万人)で、転職入職率は9.9%(同9.2%)、未就業入職率は5.6%(同5.1%)となっている。前年と比べると、転職入職率は0.7ポイント、未就業入職率は0.5ポイントそれぞれ上昇した。
男女別にみると、男は転職入職者が215万人、未就業入職者が104万人、女は転職入職者が221万人、未就業入職者が144万人で、男の転職入職率は8.6%(同7.9%)、未就業入職率は4.1%(同3.7%)、女の転職入職率は11.5%(同10.9%)、未就業入職率は7.5%(同6.9%)となっている。
一般・パート別にみると、一般労働者の転職入職者は261万人、未就業入職者は119万人で、転職入職率は7.9%(同7.5%)、未就業入職率は3.6%(同3.5%)、パートタイム労働者の転職入職者は174万人、未就業入職者は128万人で、転職入職率は15.7%(同14.8%)、未就業入職率は11.5%(同10.4%)となっている。(図3、付属統計表1−1、付属統計表1−2)
図3 職歴別入職率の推移
注: | 平成16年から調査産業の範囲が一部拡大しているため15年以前と接続しない。利用上の注意2を参照。 |
(4)離職理由別離職率の推移
(「契約期間の満了」と「経営上の都合」が上昇)
離職者の離職理由別離職率をみると、結婚、出産・育児、介護を除く「その他の個人的理由」が9.9%、「契約期間の満了」が2.4%、「経営上の都合」が2.0%、「定年」が0.9%、「本人の責」が0.2%となっている。
前年と比べると、「契約期間の満了」と「経営上の都合」が0.8ポイント、「定年」は0.2ポイント上昇し、「本人の責」は変わらず、結婚、出産・育児、介護を除く「その他の個人的理由」は0.2ポイント低下した。(図4)
図4 離職理由別離職率の推移
2 産業、職業別の状況
(1)産業別入職率・離職率
(入職率、離職率は宿泊業,飲食サービス業が最も高い)
産業別に労働移動者をみると、入職者は宿泊業,飲食サービス業が121万人と最も多く、次いで卸売業,小売業が120万人、サービス業(他に分類されないもの)が57万人の順となっている。離職者は卸売業,小売業が134万人と最も多く、宿泊業,飲食サービス業が117万人、製造業が108万人の順となっている。(付属統計表2)
入職率をみると、宿泊業,飲食サービス業が33.2%と最も高く、次いで生活関連サービス業,娯楽業が29.1%となっている。
離職率をみると、宿泊業,飲食サービス業が32.1%と最も高く、次いで生活関連サービス業,娯楽業が28.2%となっている。
入職超過率をみると、医療,福祉が3.2ポイント、学術研究,専門・技術サービス業が2.8ポイントと相対的に大きな入職超過、サービス業(他に分類されないもの)が-4.6ポイント、製造業が-4.2ポイントと相対的に大きな離職超過となっている。(図5)
図5 産業別入職率・離職率
(2)職業別入職率・離職率の状況
(入職率、離職率はサービス職業従事者で最も高い)
職業別に労働移動者をみると、入職者はサービス職業従事者が188万人と最も多く、専門・技術的職業従事者が144万人、生産工程・労務作業者が108万人の順となっている。離職者はサービス職業従事者が178万人と最も多く、次いで専門・技術的職業従事者が134万人、生産工程・労務作業者が135万人の順となっている。(表1)
職業別に入職率をみると、サービス職業従事者が30.5%と最も高く、次いで保安職業従事者が20.8%となっている。離職率は、サービス職業従事者が29.0%と最も高く、次いで生産工程・労務作業者が17.2%となっている。
入職超過率をみると、保安職業従事者が4.1ポイント、サービス職業従事者が1.5ポイントと相対的に大きな入職超過となり、管理的職業従事者が-4.1ポイント、生産工程・労務作業者が-3.5ポイントと相対的に大きな離職超過となっている。(図6)
表1 職業別入職者数・離職者数
図6 職業別入職率・離職率
注: | 「その他の職業従事者」は人数が少ないため省略した。 |
3 年齢階級別の入職と離職
(1)年齢階級別入職率・離職率
(若年者と高年齢者で高い)
年齢階級別に入職率と離職率をみると、男女ともに19歳以下が最も高く、20〜24歳で低下し、25〜29歳以降55〜59歳までは年齢階級とともに低下傾向にある。その後、60〜64歳で高くなっている。
入職超過率を性別に比較すると、男は19歳以下、20〜24歳で入職超過となり、25〜29歳以降では離職超過となっており、65歳以上で離職超過幅が最も大きくなっている。女は、19歳以下、20〜24歳のほかに、35〜39歳、40〜44歳で入職超過となっている。(図7)
図7 年齢階級別入職率・離職率
(2)入職者に占めるパートタイム労働者の割合
(女の30〜34歳以降で50%超)
年齢階級ごとの入職者に占めるパートタイム労働者の割合をみると、19歳以下は男女とも高くなっている。
女は、20〜24歳で大きく低下した後、30〜34歳で50%を超え、これ以降の年齢階級でいずれも50%を超えている。
男は、20〜24歳で大きく低下し、25〜29歳から55〜59歳まで低く、60歳以降で割合が高くなっている。
(図8)
図8 入職者に占めるパートタイム労働者の割合
(3)離職理由別離職者
(40〜59歳で「経営上の都合」が高い)
離職者の離職理由別割合をみると、「個人的理由」が64.8%と最も多く、次いで「契約期間の満了」が14.6%、「経営上の都合」が12.1%、「定年」が5.3%の順となっている。
性別にみると、男は「個人的理由」が56.0%、「経営上の都合」が17.3%、「契約期間の満了」が15.1%、「定年」が7.8%で、女は「個人的理由」が73.5%、「契約期間の満了」が14.2%、「経営上の都合」が6.9%で、「個人的理由」のうち、「結婚」が3.6%、「出産・育児」が3.3%と多くなっている。
年齢階級別にみると、35歳未満の年齢層では「個人的理由」が7割を超え、35〜59歳では「個人的理由」以外に「経営上の都合」が高くなっている。
前年と比べると、「契約期間の満了」及び「経営上の都合」は3.9ポイント上昇し、一方「個人的理由」は8.6ポイント低下した。(表2、付属統計表3)
注:「離職理由」は、離職者がいた事業所が回答した離職理由である。以下、(4)から(6)まで同じ。
表2 離職理由別離職者の割合
(4)結婚、出産・育児の理由による離職率(女)
(結婚、出産・育児は25〜29歳が最も高い)
女について結婚の理由による離職率を年齢階級別にみると、25〜29歳で最も高くなっている。これを一般・パート別にみると、一般労働者が高くなっている。(図9−1)
女について出産・育児の理由による離職率をみると、25〜29歳で最も高くなっている。これを一般・パート別にみると、20〜24歳、25〜29歳、30〜34歳でパートタイム労働者が高く、30〜34歳では一般労働者との差が大きくなっている。(図9−2)
図9−1 結婚の理由による離職率(女)
図9−2 出産・育児の理由による離職率(女)
(5)介護の理由による離職率
(女で55〜59歳が高い)
介護の理由による離職率を性別にみると、女で55〜59歳が最も高くなっている。
男はほとんどの年齢階級で0.0であるが、55〜59歳からやや高くなっている。
女を一般・パート別にみると、35歳未満と50〜54歳を除きパートタイム労働者が高くなっている。(表3)
表3 介護の理由による離職率
(6)高年齢者の離職率
(いずれの年齢階級でも上昇し、特に65歳以上で大きく上昇)
定年による離職率を男女別にみると、男で60〜64歳が高く、13.1%となっている。(図10−1)
定年以外の理由を含めた高年齢者の離職率は、60〜64歳で28.7%、65歳以上で23.6%、55〜59歳で10.6%の順となっている。
高年齢者の離職率の推移をみると、過去4年間では低下傾向にあったが、前年と比較するといずれの年齢階級でも上昇し、65歳以上で5.0ポイント、60〜64歳で4.5ポイント上昇している。(図10−2)
図10−1 定年による離職率
図10−2 高年齢者の離職率の推移
4 転職入職者の状況
(1)年齢階級別転職入職率
(若年者と60〜64歳で高い)
年齢階級別に転職入職率をみると、男は20〜24歳から45〜49歳にかけて年齢階級とともに低下し、50〜54歳以降60〜64歳まで上昇している。
女は25歳〜29歳で最も高く、30〜34歳以降は低下しているが、全体として男より高い水準となっている。
女を一般・パート別にみると、60〜64歳を除きパートタイム労働者が高くなっている。(図11)
図11 年齢階級別転職入職率
(2)転職入職者の一般・パート間の移動
(パートから一般が7.7%、一般からパートが12.1%)
転職入職者の一般・パート間の移動状況をみると、「一般労働者から一般労働者へ移動」した割合は52.2%、「パートタイム労働者から一般労働者へ移動」した割合は7.7%、「一般労働者からパートタイム労働者へ移動」した割合は12.1%、「パートタイム労働者からパートタイム労働者へ移動」した割合は24.7%となった(表4)。
表4 転職入職者の就業形態間移動状況
(3)転職入職者が前職を辞めた理由
(男女とも「定年、契約期間の満了」、「会社都合」が多い)
転職入職者が前職を辞めた理由をみると、男は、「その他の理由」以外で「会社都合」(19.3%)が最も多く、次いで「定年、契約期間の満了」(17.2%)が多くなっている。年齢階級別にみると、「会社都合」は50〜54歳(33.0%)、40〜44歳(28.8%)で多く、「定年、契約期間の満了」は60〜64歳(68.2%)、65歳以上(49.9%)で多くなっている。
女は、「その他の理由」以外で「定年、契約期間の満了」(14.8%)が最も多く、次いで「会社都合」(12.6%)が多い。年齢階級別にみると、「定年、契約期間の満了」は、65歳以上(48.5%)、60〜64歳(47.5%)で多いが、25〜29歳以降の階級で10%を超えている。「会社都合」は、45〜49歳(19.2%)、50〜54歳(18.1%)で多いが、30歳以上の年齢階級で全体的に10%を超え高くなっている。(表5)
表5 転職入職者が前職を辞めた理由
(4)転職入職者の賃金変動状況
(「増加」した割合が7.5ポイント低下)
転職入職者の賃金変動状況をみると、前職の賃金に比べ「増加」した割合は25.7%、「減少」した割合は34.5%、「変わらない」の割合は38.7%となっている。「増加」のうち、「1割以上の増加」の割合は15.1%、「減少」のうち「1割以上の減少」の割合は25.5%となっている。
これを年齢階級別にみると、30歳未満では賃金が「増加」した割合は「減少」した割合を上回っている。
前年と比べると、「増加」した割合は7.5ポイント低下し、「減少」した割合は1.0ポイント上昇している。(表6)