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 3 退職給付(一時金・年金)の支給実態
(1) 退職者数
 退職給付(一時金・年金)制度のある企業における平成14年1年間の勤続20年以上かつ45歳以上の退職者数は414,700人(前回平成9年調査235,500人)、うち男性退職者374,400人、女性退職者40,200人となっている。企業規模別には1,000人以上224,900人、100〜999人152,500人、30〜99人37,200人となっている。
 退職事由別割合は、「定年」が36.4%(同56.0%)、「定年以外」では「早期退職優遇」26.4%(同10.1%)、「会社都合」22.8%(同13.4%)、「自己都合」14.3%(同20.5%)となっている。企業規模別にみると、「定年」は30〜99人では約5割であるが、それ以外の企業規模では3割〜4割となっている。定年以外の事由では「早期優遇」による退職者が1,000人以上では36.4%、100〜999人17.4%となっている。一方、「自己都合」による退職者は30〜99人で26.2%と高い割合となっている(第25表)。

第25表 退職者(勤続20年以上かつ45歳以上)の有無別企業数割合、退職者数、
 退職事由別退職者数割合及び1企業平均退職者数(平成14年1年間)

年・性・企業規模 退職給付
(一時金・年金)
制度がある企業
勤続20年
以上かつ
45歳以上の
退職者有
の企業
  勤続20年
以上かつ
45歳以上の
退職者無
の企業
勤続20年以上かつ45歳以上の退職者数
  1企業平均
退職者数
定年 定年以外
会社都合 自己都合 早期優遇
  千人
[86.7] 100.0 37.8 414.7 (100.0) (36.4) (22.8) (14.3) (26.4) 11.0 62.2
      374.4 (100.0) (37.0) (22.8) (13.2) (27.0)    
      40.2 (100.0) (31.5) (23.1) (24.5) (20.8)    
                       
1,000人以上 [97.1] 100.0 81.1 224.9 (100.0) (38.4) (13.2) (12.0) (36.4) 103.3 18.9
100〜999人 [91.0] 100.0 57.1 152.5 (100.0) (30.8) (36.8) (14.9) (17.4) 9.5 42.9
30〜99人 [84.7] 100.0 28.2 37.2 (100.0) (47.5) (23.0) (26.2) (3.2) 1.9 71.8
                       
平成9年 [88.9] 100.0 32.6 235.5 (100.0) (56.0) (13.4) (20.5) (10.1) 7 67.4
(注)1)[ ]内の数値は、全企業に対する退職給付(一時金・年金)制度のある企業の割合である。
2)第1表(注)3)参照。

(2) 退職給付(年金)受給資格者数と受給方法
 退職給付(年金)制度のある企業における平成14年1年間の勤続20年以上かつ45歳以上の受給資格者数は240,100人で、退職給付(年金)の受給方法別に資格者数割合をみると、「年金の全部を一時金として受給」が56.9%と過半数を超え、次いで「年金の全部を年金として受給」31.4%、「年金の一部を年金、一部を一時金として受給」11.6%となっている。企業規模別にみると、1,000人以上では「年金の全部を年金として受給」、「年金の全部を一時金として受給」がともに4割となっている。一方、他の規模では「年金の全部を一時金として受給」が7〜8割を占めている(第26表)。

第26表 退職給付(年金)受給方法別年金受給資格者数及び受給資格者数割合
(勤続20年以上かつ45歳以上)平成14年1年間

企業規模 退職給付
(年金)制度が
ある企業
 
退職者が
いる企業
年金受給
資格者が
いる企業
退職給付(年金)受給資格者数 退職給付
(年金)
受給資格者が
いない企業
全部を年金
として受給
全部を一時金
として受給
一部を年金、
一部を一時金
として受給
  千人
<53.5> [100.0] [50.3] (100.0) (86.6) 240.1 100.0 31.4 56.9 11.6 (13.4)
                       
1,000人以上 <89.0> [100.0] [84.2] (100.0) (91.2) 131.8 100.0 42.6 41.1 16.2 (8.8)
                       
100〜999人 <68.4> [100.0] [65.2] (100.0) (88.0) 87.3 100.0 18.9 74.4 6.7 (12.0)
                       
30〜99人 <45.9> [100.0] [38.7] (100.0) (84.4) 21.0 100.0 13.3 83.3 3.4 (15.6)
(注)< >内の数値は、退職給付(一時金・年金)制度がある企業に対する退職給付(年金)制度がある企業の割合である。





 以下の(3)〜(6)に述べる退職給付の額に関する統計は、退職給付(年金・一時金)制度のある企業における平成14年1年間の勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者について平成14年1年間に支給又は支給額が確定した退職給付額である。なお、退職給付(年金)については現価額に換算したものである。




(3) 性、学歴・労働者の種類別にみた退職給付額(定年退職者)
 定年退職者の退職給付額を学歴別にみると、以下のとおりとなっている。
「大学卒(管理・事務・技術職)」 2,499万円(前回調査2,868万円)  月収換算 42.8ヵ月分(同45.3ヵ月分)
「高校卒(管理・事務・技術職)」 2,161万円(同1,900万円) 45.2ヵ月分(同41.4ヵ月分)
「高校卒(現業職)」 1,347万円(同1,291万円) 38.3ヵ月分(同36.5ヵ月分)
「中学卒(現業職)」 1,239万円(同1,068万円) 39.2ヵ月分(同35.2ヵ月分)

 これを男女別にみると、以下のとおりとなっている。
「大学卒(管理・事務・技術職)」 男2,491万円(月収換算42.7ヵ月分) 2,952万円(同53.3ヵ月分)
「高校卒(管理・事務・技術職)」 男2,245万円(同45.7ヵ月分) 1,145万円(同35.6ヵ月分)
「高校卒(現業職)」 男1,441万円(同39.2ヵ月分) 591万円(同26.1ヵ月分)
「中学卒(現業職)」 男1,321万円(同39.8ヵ月分) 751万円(同33.6ヵ月分)

 「大学卒(管理・事務・技術職)」について勤続年数別にみると、勤続20〜24年は1,121万円(同24.8ヵ月分)であるが、勤続35年以上では2,612万円(同44.2ヵ月分)となっている。企業規模別にみると、1,000人以上2,779万円(同44.9ヵ月分)、100〜999人2,137万円(同40.0ヵ月分)、30〜99人1,290万円(同28.5ヵ月分)となっている(第3図第27表)。


性・
企業規模、
勤続年数階級
大学卒(管理・事務・技術職)  高校卒(管理・事務・技術職)  高校卒(現業職)  中学卒(現業職) 
退職給付額 月収換算 退職給付額 月収換算 退職給付額 月収換算 退職給付額 月収換算
  万円   月分   万円   月分   万円   月分   万円   月分  
2,499 (2,868) 42.8 (45.3) 2,161 (1,900) 45.2 (41.4) 1,347 (1,291) 38.3 (36.5) 1,239 (1,068) 39.2 (35.2)
2,491 (2,871) 42.7 (45.3) 2,245 (1,969) 45.7 (41.6) 1,441 (1,351) 39.2 (37.0) 1,321 (1,192) 39.8 (36.8)
2,952 (2,305) 53.3 (57.8) 1,145 (1,111) 35.6 (37.2) 591 (596) 26.1 (26.8) 751 (423) 33.6 (21.6)
                                 
20〜24年 1,121 (1,085) 24.8 (20.9) 661 (787) 18.7 (24.1) 504 (627) 19.8 (21.1) 471 (542) 19.2 (20.3)
25〜29年 2,207 (1,763) 39.3 (32.5) 1,322 (1,216) 33.0 (29.4) 907 (913) 28.3 (26.9) 808 (768) 28.8 (28.0)
30〜34年 2,510 (2,743) 42.6 (42.5) 1,837 (1,681) 40.1 (36.5) 1,204 (1,303) 34.9 (36.7) 1,075 (1,144) 36.4 (37.5)
35年以上 2,612 (3,206) 44.2 (49.3) 2,339 (2,218) 47.5 (45.7) 1,764 (1,690) 45.3 (44.4) 1,622 (1,598) 46.0 (45.9)
                                 
1,000人以上 2,779   44.9   2,434   48.2   1,712   44.9   1,601   45.9  
20〜24年 1,298   25.0   1,167   30.0   651   22.2   597   22.4  
25〜29年 2,699   41.0   1,718   41.1   1,236   36.5   994   32.8  
30〜34年 2,841   45.0   2,352   46.8   1,263   36.3   1,350   41.9  
35年以上 2,808   45.8   2,505   49.0   1,965   48.9   1,883   50.6  
                                 
100〜999人 2,137   40.0   1,900   42.6   1,112   33.9   1,049   34.9  
20〜24年 1,301   26.1   533   16.6   522   21.4   464   20.1  
25〜29年 1,665   35.7   1,074   28.9   780   25.2   737   27.0  
30〜34年 1,955   37.9   1,430   34.6   1,291   37.2   1,015   33.4  
35年以上 2,337   42.2   2,110   45.6   1,409   38.8   1,349   41.1  
                                 
30〜99人 1,290   28.5   1,164   28.5   741   23.4   687   25.9  
20〜24年 821   23.4   464   12.8   368   14.6   405   16.2  
25〜29年 1,452   39.4   813   19.9   732   22.9   631   24.4  
30〜34年 1,408   30.1   1,054   26.0   757   22.8   720   30.3  
35年以上 1,445   28.2   1,585   37.2   1,366   34.2   958   30.7  
(注)1)「退職給付額」とは、退職一時金のみの場合は退職一時金額、退職給付(年金)制度のみの場合は年金現価額、退職一時金制度と退職給付(年金)制度の併用の場合は退職一時金制度と年金現価額の計である。
2)「月収換算」とは、退職時の所定内賃金に対する退職給付額の倍率をいう。
3)( )内は、平成9年の数値である。
4)女性退職者については、調査対象数が少ないため、利用に際し注意を要する。
5)第1表(注)3)参照。

(4) 退職事由別にみた退職給付額
 退職給付額を学歴・労働者の種類、退職事由別にみると、どの学歴においても「早期優遇」が最も高く、「自己都合」が最も低くなっている(第28表付属統計表第3表)。


学歴・労働者の種類 定年 会社都合 自己都合 早期優遇
退職給付額 月収換算 退職給付額 月収換算 退職給付額 月収換算 退職給付額 月収換算
  万円 月分 万円 月分 万円 月分 万円 月分
大学卒(管理・事務・技術職) 2,499 42.8 2,219 40.2 1,921 36.5 2,958 51.6
高校卒(管理・事務・技術職) 2,161 45.2 2,005 44.7 1,346 32.8 2,742 58.3
高校卒(現業職) 1,347 38.3 1,258 40.8 923 29.2 2,322 65.0
中学卒(現業職) 1,239 39.2 1,412 47.2 924 31.0 2,299 70.2
(注)第27表(注)1)、2)参照。

(5) 退職給付(一時金・年金)制度の形態別にみた退職給付額(定年退職者)
 勤続35年以上について、定年退職者の退職給付額を退職給付(一時金・年金)制度の形態別にみると、「大学卒(管理・事務・技術職)」では「退職一時金制度のみ」1,886万円、「年金制度のみ」2,666万円、「両制度の併用」2,656万円となっている。
 「高校卒(管理・事務・技術職)」では「退職一時金制度のみ」2,041万円、「年金制度のみ」2,066万円、「両制度の併用」2,509万円、「高校卒(現業職)」では「退職一時金制度のみ」1,519万円、「年金制度のみ」1,562万円、「両制度の併用」1,902万円、「中学卒(現業職)」では「退職一時金制度のみ」1,233万円、「年金制度のみ」1,617万円、「両制度の併用」1,767万円となっている(第29表)。

(単位:万円)
企業規模、
勤続年数階級
大学卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(現業職)
中学卒
(現業職)
退職一時
金制度
のみ
年金制度
のみ
両制度の
併用
退職一時
金制度
のみ
年金制度
のみ
両制度の
併用
退職一時
金制度
のみ
年金制度
のみ
両制度の
併用
退職一時
金制度
のみ
年金制度
のみ
両制度の
併用
                         
1,672 2,480 2,582 1,726 1,884 2,399 1,050 1,100 1,590 868 1,121 1,506
20〜24年 808 1,216 1,078 381 547 1,215 357 443 641 381 445 690
25〜29年 1,284 2,404 2,261 838 1,167 1,596 636 868 1,110 543 712 1,029
30〜34年 1,495 2,508 2,646 940 1,989 2,083 967 987 1,435 879 977 1,276
35年以上 1,886 2,666 2,656 2,041 2,066 2,509 1,519 1,562 1,902 1,233 1,617 1,767
                         
1,000人以上 2,359 2,927 2,748 2,324 2,298 2,497 1,702 1,496 1,764 1,322 1,554 1,661
20〜24年 638 1,268 1,388 640 663 1,360 351 484 766 387 535 724
25〜29年 2,284 2,794 2,634 851 1,610 1,776 906 1,462 1,162 561 940 1,062
30〜34年 1,599 3,011 2,790 1,100 2,727 2,260 971 1,240 1,305 1,281 1,307 1,388
35年以上 2,589 3,131 2,759 2,367 2,308 2,592 1,999 1,720 2,008 1,686 1,886 1,909
                         
100〜999人 1,531 1,883 2,415 1,236 1,653 2,236 891 995 1,364 878 956 1,255
20〜24年 867 1,382 1,300 407 424 997 372 408 715 401 426 677
25〜29年 1,005 1,488 2,026 589 968 1,348 519 675 1,095 484 620 1,005
30〜34年 1,487 1,986 2,181 1,051 1,091 1,836 1,069 1,030 1,620 794 921 1,248
35年以上 1,713 1,948 2,589 1,473 1,939 2,348 1,168 1,410 1,582 1,231 1,372 1,415
                         
30〜99人 1,246 868 1,405 863 938 1,900 790 716 697 602 761 813
20〜24年 339 871 324 574 562 334 486 331 363 426 609
25〜29年 1,800 324 1,443 892 530 591 779 705 813 583 678 676
30〜34年 1,398 948 2,499 805 1,238 1,475 711 733 1,162 699 724 756
35年以上 1,105 1,394 1,499 1,202 1,124 2,226 1,445 1,346 1,222 780 1,246 1,098

(6) 年金月額(定年退職者)
 退職給付(年金)制度のある企業から退職し、退職給付(年金)を受給した勤続35年以上の定年退職者の年金月額をみると、退職給付(年金)制度のみの企業からの退職者については、「大学卒(管理・事務・技術職)」22万6千円、「高校卒(管理・事務・技術職)」14万円、「高校卒(現業職)」13万5千円、「中学卒(現業職)」が11万8千円となっている。
 「退職一時金制度と年金制度の併用」の企業からの退職者については、「大学卒(管理・事務・技術職)」12万2千円、「高校卒(管理・事務・技術職)」9万7千円、「高校卒(現業職)」7万9千円、「中学卒(現業職)」7万6千円となっている(第30表)。


退職給付(年金)制度の
受給形態、
勤続年数階級
大学卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(管理・事務・技術職)
高校卒
(現業職)
中学卒
(現業職)
年金月額 年金
受給者数
年金月額 年金
受給者数
年金月額 年金
受給者数
年金月額 年金
受給者数
  千円 百人 千円 百人 千円 百人 千円 百人
退職給付(年金)制度のみ                
223 30.8 142 29.4 120 11.4 88 8.2
20〜24年 141 1.4 35 1.8 42 1.0 47 0.9
25〜29年 225 3.5 106 2.9 131 3.5 57 1.4
30〜34年 227 13.7 194 6.3 87 1.5 63 1.7
35年以上 226 12.2 140 18.4 135 5.6 118 4.1
                 
退職一時金制度と
退職給付(年金)制度の併用
               
125 118.8 96 193.6 71 57.0 66 43.3
20〜24年 54 0.8 54 3.4 31 4.9 36 2.6
25〜29年 121 4.5 69 10.0 55 5.9 43 5.5
30〜34年 133 31.0 116 13.9 69 10.1 48 5.3
35年以上 122 82.5 97 166.3 79 36.1 76 29.9
(注)1)「年金月額」は、実際に年金を受給した者についてみたものであり、支給開始時における1人平均年金月額である。
2)「年金受給者」には、年金を全額一時金として支給された者を除く。


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