成人の飲酒実態と関連問題の
予防について
独立行政法人国立病院機構
久里浜アルコール症センター
樋口 進
アルコールは
国民一人当たりの平均アルコール消費量の推移(15歳以上)
成人の飲酒実態調査
2003年
過去に行なわれた調査における男女別飲酒者割合
年齢別飲酒者割合の変化
飲酒時の平均飲酒量
日本人の飲酒の性・年齢構造の変化
飲酒が原因で困った経験をしたことがあるか?
被害を受けた人の割合(男女別、加害者別)
その後の人生に影響(男女別、加害者別)
成人の飲酒実態と関連問題の予防に関する研究
調査結果のハイライト(1)
久里浜式アルコール症スクリーニングテスト(KAST)
KASTによるアルコール依存症者割合の変化
KASTによるアルコール依存症者の年齢別割合
成人の飲酒実態と関連問題の予防に関する研究
調査結果のハイライト(2)
飲酒と生活習慣病
生活習慣病につながる危険因子
アルコール消費と生活習慣病のリスク
高脂血症
慢性膵炎の原因
食道がん
ALDH2活性別にみた飲酒と食道がんリスク
アルコール関連問題の予防
予防の大前提
この世からアルコール(酒)をなくすことはできない
米国における禁酒法の失敗が物語っている
↓
酒とうまく付き合っていくしかない
予防の3原則
アルコール消費量の抑制
わが国のアルコール政策:まとめ
アルコール関連問題を減らすための最良の政策
アルコール政策に関するわが国の特徴
未成年者飲酒予防に関する様々な取組み
中学1年生および高校3年生の飲酒者割合の変化
大量(多量)飲酒者数の減少
アルコール関連問題を減らすための最良の政策
ブリーフインターベンション(Brief Intervention)とは
ブリーフインターベンションの6要素(FRAMES)
アルコール教育
Project Northlandの結果の一部
アルコール関連問題の予防:まとめ
自分の健康を守り、他の人を傷つけない
ための飲酒ルール
とにかく、まず予防が一番大切
予防について
独立行政法人国立病院機構
久里浜アルコール症センター
樋口 進
アルコールは
2000年に世界の:
WHO: EB115/37, Public health problems caused by alcohol, reported by the secretariat, 2004 |
国民一人当たりの平均アルコール消費量の推移(15歳以上)
成人の飲酒実態調査
2003年
過去に行なわれた調査における男女別飲酒者割合
年齢別飲酒者割合の変化
|
飲酒時の平均飲酒量
* | 1単位とは純アルコール換算で10グラムのアルコール量で、ビール中ビン1本が2単位に相当する |
日本人の飲酒の性・年齢構造の変化
飲酒が原因で困った経験をしたことがあるか?
飲酒が原因で困った経験 | ||||||||||||
(ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | (オ) | (カ) | (キ) | (ク) | (ケ) | (コ) | (サ) | (シ) | |
ない | 暴言・暴力 | からまれた | 飲酒の強要 | その他の 問題行動 |
セクシャル ハラスメント |
問題行動 の後始末 |
飲酒による 身体問題の 世話 |
外部からの 注意や連絡 |
他人に対して 恥をかいた |
経済的 問題 |
その他 の問題 |
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(1)自分の祖父 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
(2)自分の祖母 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
(3)自分の父親 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
(4)自分の母親 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
(5)配偶者 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
(6)自分の兄弟 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
(7)自分の子ども | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
(8)その他(具体的) | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
被害を受けた人の割合(男女別、加害者別)
その後の人生に影響(男女別、加害者別)
成人の飲酒実態と関連問題の予防に関する研究
調査結果のハイライト(1)
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久里浜式アルコール症スクリーニングテスト(KAST)
|
KASTによるアルコール依存症者割合の変化
KASTによるアルコール依存症者の年齢別割合
成人の飲酒実態と関連問題の予防に関する研究
調査結果のハイライト(2)
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飲酒と生活習慣病
生活習慣病につながる危険因子
アルコール消費と生活習慣病のリスク
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高脂血症
乳び血清である。大量飲酒は多くの場合、高脂血症をともなう。特に、血中の中性脂肪レベルは、飲酒量と相関する傾向がある。向かって左側の白い血清には、中性脂肪が1000mg/dl以上含まれている。 |
慢性膵炎の原因
慢性膵炎全国集計調査報告,1987 |
食道がん
飲酒量が増えれば、食道がんや咽頭がんの上部消化管がんのリスクが高くなる。上部消化管がんのリスクは、赤型体質でも非常に高くなる。や咽頭がん |
ALDH2活性別にみた飲酒と食道がんリスク
アルコール関連問題の広がり |
アルコール関連問題の予防
予防の大前提
この世からアルコール(酒)をなくすことはできない
米国における禁酒法の失敗が物語っている
↓
酒とうまく付き合っていくしかない
予防の3原則
1. | アルコール消費量の抑制 |
2. | 大量飲酒者数の減少 |
3. | 節度ある適度な飲酒の普及と推進 |
アルコール消費量の抑制
平均飲酒量が下がれば、大量飲酒者数も減る
Lederman |
わが国のアルコール政策:まとめ
WHO: Global Status Report: Alcohol Policyに従った |
アルコール関連問題を減らすための最良の政策
最良の10政策 | 日本の現状 | |
1. | 未成年者に対する酒類の販売禁止 | はい |
2. | 酒類小売の専売制 | いいえ |
3. | 酒類販売の時間や曜日の制限 | いいえ |
4. | 酒類小売店の密度に関する制限 | いいえ |
5. | 酒税 | はい |
6. | 呼気テスト等飲酒のチェック | はい、飲酒運転等 |
7. | 酒気帯び運転の基準を下げること | はい、2003年 |
8. | 酒気帯び運転や飲酒運転に対する厳しい罰則 | はい |
9. | 運転初心者に対する制限の強化 | いいえ |
10. | 問題飲酒者に対するブリーフインターベンション | 非常に限定的 |
Report by the secretariat: Public health problems caused by alcohol (EB115/37), 2004 Babor T et al, Alcohol: No ordinary commodity-research and public policy, 2003 |
アルコール政策に関するわが国の特徴
酒類の需要・供給に関する規制がほとんどない
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未成年者飲酒予防に関する様々な取組み
主体 | 取組みの例 | ||
国 |
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県市町村 |
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研究機関、病院など |
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酒造メーカーおよび小売業者 |
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マスメディア |
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中学1年生および高校3年生の飲酒者割合の変化
大量(多量)飲酒者数の減少
・ | わが国の成人で、1日平均ビール中ビン3本以上飲んでいる多量飲酒者は、約860万人いる。 |
・ | 問題のほとんどはこの人達が引き起こしている。 |
アルコール関連問題を減らすための最良の政策
最良の10政策 | 日本の現状 | |
1. | 未成年者に対する酒類の販売禁止 | はい |
2. | 酒類小売の専売制 | いいえ |
3. | 酒類販売の時間や曜日の制限 | いいえ |
4. | 酒類小売店の密度に関する制限 | いいえ |
5. | 酒税 | はい |
6. | 呼気テスト等飲酒のチェック | はい、飲酒運転等 |
7. | 酒気帯び運転の基準を下げること | はい、2003年 |
8. | 酒気帯び運転や飲酒運転に対する厳しい罰則 | はい |
9. | 運転初心者に対する制限の強化 | いいえ |
10. | 問題飲酒者に対するブリーフインターベンション | 非常に限定的 |
Report by the secretariat: Public health problems caused by alcohol (EB115/37), 2004 Babor T et al, Alcohol: No ordinary commodity-research and public policy, 2003 |
ブリーフインターベンション(Brief Intervention)とは
定義 対象者の特定の行動(この場合は飲酒行動)に変化をもたらすことを目的とした短時間のカウンセリング。 対象 多量飲酒者、例えば、飲みすぎで、肝機能障害、高血圧、糖尿病などを引き起こしている人。 方法 様々な方法がある。一例を挙げると、飲酒行動の改善を目的に、6項目の指針に沿って、短時間のカウンセリング(10分程度)を行う。指針は頭文字をとって、「FRAMES、フレイムズ)と略されている。飲酒行動の改善目標は必ずしも断酒の達成・継続だけではない。対象者によって、減酒、短期間の断酒など様々である。 効果 わが国ではやっと始まったばかりであるが、多くの国でその有効性が実証されている。 |
ブリーフインターベンションの6要素(FRAMES)
要素 | 説明 |
Feedback | アルコール関連問題の正確な現実を、本人にフィードバックする。 |
Responsibility | アルコール関連問題の改善に関する責任が本人にあることを強調する。 |
Advice | 明確な助言をあたえる。 |
Menu | 複数の飲酒行動改善方法を紹介する。 |
Empathy | 介入者が対象者に対して共感的態度をとる。 |
Self-efficacy | 飲酒行動の改善に関して、自己達成が可能であることを理解させ、支援する。 |
アルコール教育
アルコール教育は
多面的アプローチが重要 |
Project Northlandの結果の一部
調査前月に飲酒した者の割合 調査開始時に飲酒をしていなかった者(6年生の秋、N=1,281)を追跡した。5年半後(11年生春)の追跡人数は955名であった。 |
Williams CL et al.AHRW,1998 |
アルコール関連問題の予防:まとめ
1. | アルコール政策に関する議論を |
2. | 教育・啓発は、多面的かつ継続的に |
3. | 大量飲酒者には、ブリーフインターベンションを |
4. | アルコール依存症は専門病院へ |
自分の健康を守り、他の人を傷つけない
ための飲酒ルール
とにかく、まず予防が一番大切
あなたの健康を守る12の飲酒ルール(1)
あなたの健康を守る12の飲酒ルール(2)
あなたの健康を守る12の飲酒ルール(3)
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