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資料

資料



資料1

基発第0509001号
平成15年5月9日

都道府県労働局長 殿

厚生労働省労働基準局長
(公印省略)

職場における喫煙対策のためのガイドラインについて

 職場における喫煙対策については、平成8年2月21日付け基発第75号「職場における喫煙対策のためのガイドライン」(以下「75号通達」という。)により、その推進に努めてきたところであり、その結果、事業場における喫煙対策の取組が増加する等一定の成果が得られているところである。
 今般、本年5月1日から施行された健康増進法(平成14年法律第103号)において、事務所その他多数の者が利用する施設を管理する者に対し、受動喫煙防止対策を講ずることが努力義務化され、また、平成14年6月に、健康局において設置した分煙効果判定基準策定検討会において、分煙のための新たな判定の基準が提示されたところである。
 また、受動喫煙による健康への悪影響については、流涙、鼻閉、頭痛等の諸症状や呼吸抑制、心拍増加、血管収縮等の生理学的反応等に関する知見等が得られており、より適切な受動喫煙防止対策が必要とされている。
 これらを背景として、職場の喫煙対策については、労働者の健康確保と快適な職場環境の形成を図る観点から、一層の受動喫煙防止対策の充実を図ることとし、新たに別添1のとおり「職場における喫煙対策のためのガイドライン」(以下「新ガイドライン」という。)を策定したので、これを了知するとともに、都道府県等との連携にも留意しつつ、その周知に努められたい。
 なお、新ガイドラインにおいて充実を図った主要な事項は下記のとおりであり、また、別添2の「職場における喫煙対策のためのガイドラインの解説」は、「職場における喫煙対策のためのガイドライン」と一体のものとして取り扱われたい。
 おって、本通達をもって75号通達は廃止する。


1 設備対策としては、75号通達では、喫煙室又は喫煙コーナー(以下「喫煙室等」という。)の設置等を行うこととされていたが、新ガイドラインでは、受動喫煙を確実に防止する観点から、可能な限り、非喫煙場所にたばこの煙が漏れない喫煙室の設置を推奨することとしたこと。

2 喫煙室等に設置する「有効な喫煙対策機器」としては、75号通達では、たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する方式又はたばこの煙を除去して屋内に排気する方式(空気清浄装置)のいずれかの方式によることとされていたが、新ガイドラインでは、空気清浄装置はガス状成分を除去できないという問題点があることから、たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する方式の喫煙対策を推奨することとしたこと。
 やむを得ない措置として、空気清浄装置を設置する場合には、換気に特段の配慮をすることが必要である旨を明記したこと。

3 新ガイドラインでは、職場の空気環境の基準に、喫煙室等から非喫煙場所へのたばこの煙やにおいの流入を防止するため、喫煙室等と非喫煙場所との境界において、喫煙室等に向かう気流の風速を0.2m/s以上とするように必要な措置を講ずることとしたこと。



(別添1)
職場における喫煙対策のためのガイドライン

 基本的考え方
 喫煙による健康への影響に関する社会的関心が高まる中で、自らの意思とは関係なく、環境中のたばこの煙を吸入すること(以下「受動喫煙」という。)による非喫煙者の健康への影響が報告され、また、非喫煙者に対して不快感、ストレス等も与えていることが指摘されており、職場における労働者の健康の確保や快適な職場環境の形成の促進の観点から、受動喫煙を防止するための労働衛生上の対策が一層求められている。
 職場における喫煙対策を実効あるものとするためには、事業者が労働衛生管理の一環として組織的に取り組む必要があることから、その進め方について衛生委員会等で検討し、喫煙対策のための施設、設備等を整備するとともに、喫煙者等が守るべき行動基準(以下「喫煙行動基準」という。)を定め、全員の参加の下で喫煙対策を確実に推進する必要がある。
 本ガイドラインは、事業場において関係者が講ずべき原則的な措置を示したものであり、事業者は、本ガイドラインに沿いつつ、事業場の実態に即して職場における喫煙対策に積極的に取り組むことが望ましい。
 なお、適切な喫煙対策の方法としては、事業場全体を常に禁煙とする方法(全面禁煙)及び一定の要件を満たす喫煙室又は喫煙コーナー(以下「喫煙室等」という。)でのみ喫煙を認めそれ以外の場所を禁煙とすることにより受動喫煙を防止する方法(空間分煙)があるが、本ガイドラインは空間分煙を中心に対策を講ずる場合を想定したものである。

 経営首脳者、管理者及び労働者の果たすべき役割
 職場における喫煙対策は組織の中で実施すべきものであることから、喫煙対策についての経営首脳である者(以下「経営首脳者」という。)、管理職にある者(以下「管理者」という。)及び労働者が協力して取り組むことが重要であり、それぞれ次の役割を果たすよう努めること。

(1) 経営首脳者
 経営首脳者の基本方針と姿勢は、職場における喫煙対策の成否に大きな影響を与える。このため、経営首脳者は、喫煙対策に強い関心をもって、適切な喫煙対策が労働者の健康の確保と快適な職場環境の形成を進めるために重要であることを、機会のあるごとに全員に周知するとともに、対策の円滑な推進のために率先して行動すること。
 また、経営首脳者は、衛生委員会等の場を通じて、労働者の喫煙対策についての意見を十分に把握すること。

(2) 管理者
 管理者の喫煙対策に関する考え方がその職場の喫煙対策の推進に大きな影響を与えることから、管理者は経営首脳者の基本方針の下に対策の円滑な推進のために積極的に取り組むこと。
 また、管理者は、喫煙行動基準に従っていない者に対しては適切な指導を行うこと。

(3) 労働者
 喫煙対策は、職場の労働者自らが推進することが特に重要であることから、労働者は、喫煙対策について衛生委員会等の代表者を通じる等により、積極的に意見を述べるようにすること。
 また、労働組合は、経営首脳者に対する喫煙対策の推進の働きかけ、労働者の喫煙に関する要望等の集約、労働者に対する分煙や健康管理等に関する喫煙教育への参加勧奨等を行うことにより、事業者が行う喫煙対策が円滑に推進されるよう支援することが望ましいこと。

 喫煙対策の推進計画
 喫煙対策を推進するに当たっては、職場における喫煙の実態、職場の空気環境の測定結果、喫煙に関する労働者の意見等の把握により、喫煙についての現状とその問題点を明確にするとともに、その問題点を解決する具体的な方法等について、当面の計画及び中長期的な計画を策定すること。
 なお、これらの計画については、経営首脳者の指導の下に、労働者の積極的な協力を得て衛生委員会等で十分に検討し、確実に実施できるものとすること。

 喫煙対策の推進体制
 喫煙問題を喫煙者と非喫煙者の個人間の問題として、当事者にその解決を委ねることは、喫煙者と非喫煙者の人間関係の悪化を招くなど、問題の解決を困難にする可能性がある。このような事態が生ずることを避け、喫煙対策を効果的に進めるには、事業者の責任の下に労働衛生管理の一環として、次のとおり喫煙対策の推進体制を整備すること。

(1) 喫煙対策委員会
 喫煙対策を円滑に実施するため、衛生委員会等の下に衛生担当者、喫煙者、非喫煙者の代表者等で構成する「喫煙対策委員会」を設置し、喫煙対策を推進するための合意形成を行う方法を検討するとともに、喫煙対策の具体的な進め方、喫煙行動基準等を検討し、衛生委員会等に報告すること。

(2) 喫煙対策の担当部課等
 事業者は、喫煙対策の担当部課やその担当者を定め、喫煙対策委員会の運営、喫煙対策に関する相談、苦情処理等を行わせるとともに、各職場における喫煙対策の推進状況を定期的に把握し、問題がある職場について改善のための指導を行わせるなど、喫煙対策全般についての事務を所掌させること。

 施設・設備
 施設・設備面の対策として、喫煙室等の設置等を行うこと。
 設置に当たっては、可能な限り、喫煙室を設置することとし、喫煙室の設置が困難である場合には、喫煙コーナーを設置すること。事業場における建築物の新設や増改築の場合は設計段階から空間分煙を前提とした喫煙室等の設置を計画し、既存の建築物については創意工夫によって喫煙室等の設置を図ること。この場合、喫煙室等は、喫煙者の利用しやすさを考慮して、就業する場所の近くに設けることが望ましいこと。
 喫煙室等には、たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する方式の喫煙対策機器を設置し、これを適切に稼働させるとともに、その点検等を行い、適切に維持管理すること。
 やむを得ない措置として、たばこの煙を除去して屋内に排気する方式である空気清浄装置を設置する場合には、これを適切に稼働させ、その点検等を行い、適切に維持管理するとともに、喫煙室等の換気に特段の配慮を行うこと。
 なお、たばこのにおいについての対策についても配慮することが望ましいこと。

 職場の空気環境
 たばこの煙が職場の空気環境に及ぼしている影響を把握するため、事務所衛生基準規則(昭和47年労働省令第43号)に準じて、職場の空気環境の測定を行い、浮遊粉じんの濃度を0.15mg/m3以下及び一酸化炭素の濃度を10ppm以下とするように必要な措置を講じること。また、喫煙室等から非喫煙場所へのたばこの煙やにおいの漏れを防止するため、非喫煙場所と喫煙室等との境界において喫煙室等へ向かう気流の風速を0.2m/s以上とするように必要な措置を講じること。
 なお、測定方法等については、別紙「職場の空気環境の測定方法等」を参考とすること。

 喫煙に関する教育等
 事業者は、管理者や労働者に対して、受動喫煙による健康への影響、喫煙対策の内容、喫煙行動基準等に関する教育や相談を行い、喫煙対策に対する意識の高揚を図ること。
 また、事業者は、喫煙者に対して、適切な吸い殻処分の指導や、定期健康診断等の機会に喫煙による健康への影響等に関して医師、保健師等による個別の相談、助言及び指導が行われるようにすることが望ましいこと。

 喫煙対策の評価
 喫煙対策の担当部課等が定期的に喫煙対策の推進状況及び効果を評価すること。
 なお、喫煙対策の評価については、その結果を経営首脳者や衛生委員会等に報告し、必要に応じて喫煙対策の改善のための提言を行うことが望ましいこと。

 その他喫煙対策を進める上での留意事項

(1) 喫煙者と非喫煙者の相互理解
 喫煙対策を円滑に推進するためには、喫煙者と非喫煙者の双方が相互の立場を十分に理解することが必要であること。
 喫煙者は、非喫煙者の受動喫煙の防止に十分な配慮をする一方、非喫煙者は、喫煙者が喫煙室等で喫煙することに対して理解することが望まれること。

(2) 妊婦等への配慮
 妊婦及び呼吸器・循環器等に疾患を持つ労働者については、受動喫煙による健康への影響を一層受けやすい懸念があることから、空間分煙の徹底を行う等により、これらの者への受動喫煙を防止するため格別の配慮を行うこと。

(3) 喫煙対策の周知
 喫煙対策の周知を図るため、ポスターの掲示、パンフレットの配布、禁煙場所の表示等を行うこと。また、これらにより外来者に対しても喫煙対策への理解と協力を求めること。

(4) 情報の提供等
 喫煙対策の担当部課等は、各職場における喫煙対策の推進状況、他の事業場の喫煙対策の事例、喫煙と職場の空気環境に関する資料、受動喫煙による健康への影響に関する調査研究等の情報を収集し、これらの情報を衛生委員会等に適宜提供すること。
 また、効果のあった職場における喫煙対策の事例等の情報は、積極的に外部に公表することが望ましいこと。



(別添2)
職場における喫煙対策のためのガイドラインの解説

1について
 職場における喫煙に関して問題となるのは、非喫煙者の受動喫煙であり、労働者の健康の確保及び快適な職場環境の形成の促進の二つの観点からの労働衛生上の対策が求められているものである。
 本ガイドラインは、職場における受動喫煙の防止のために講ずべき原則的な措置を定めたものである。また、職場の喫煙対策を進めるに当たっては、個々の事業場の実態に即して取り組むことが必要である。なお、快適な職場環境の形成については、労働安全衛生法第71条の3第1項の規定に基づき事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針(平成4年労働省告示第59号。以下「快適職場指針」という。)が公表されており、本ガイドラインは、快適職場指針に基づき、空気環境の快適化を図る一環として、職場での受動喫煙防止対策のために講ずべき具体的措置を示したものである。
 職場における適切な喫煙対策の方法としては、全面禁煙及び空間分煙があり、このうち、空間分煙は、一般的には「喫煙可能場所を定め、他は禁煙とするという場所による分煙」と定義され、その実施に当たっては、喫煙室等から非喫煙場所にたばこの煙やにおいを漏らさず、かつ、喫煙室等にあっても、可能な限り空気環境を良好な状態に保つことが重要である。
 2について
 喫煙対策を実効のあるものにするには、経営首脳者や管理者が喫煙対策に関心を持って、それぞれの役割を果たすことに加え、労働者の積極的な参加が必要である。
 3について
 経営首脳者の指導の下に計画を実施することとしているのは、組織内で権限を持って行動できる者である経営首脳者の取組が不可欠であるからである。
 4について
 衛生委員会等とは、衛生委員会や安全衛生委員会をいうが、衛生委員会の設置が義務付けられていない事業場においては、労使懇談会等職場の衛生関係事項について話し合われる場をいう。また、喫煙対策の担当部課とは、総務課や健康管理を担当する部課が該当する。
 また、喫煙行動基準として設けるべき事項には、次のようなものがある。
 (1) 喫煙室等における喫煙範囲の遵守
 (2) 喫煙許容人数
 (3) 灰皿、いす、テーブル等の取扱い
 (4) 吸い殻の取扱い
5について
 有効な空間分煙の推進のためには施設・設備面の対策が必要であり、このための基本的な対策を示したものである。「喫煙室」とは、出入口以外には非喫煙場所に対する開口面がほとんどない独立した喫煙のための部屋のことであり、また、「喫煙コーナー」とは、天井から吊り下げた板等による壁、ついたて等によって区画された喫煙可能な区域である。これらは、基本的に喫煙室等から非喫煙場所へたばこの煙が及ばない措置が講じられているものであるが、より確実にたばこの煙やにおいの漏れを防止する観点から、喫煙室を選択する方が望ましい。
 また、空気清浄装置はガス状成分を除去できないという問題点があることから、「たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する喫煙対策機器」を推奨することとした。これらの機器には、局所排気装置、換気扇等がある。このような喫煙対策機器の設置によって受動喫煙を防止するためには、その喫煙室等及び喫煙の状況に適した型式及び能力を有する機器を選定する必要がある。
 やむを得ない措置として、たばこの煙を除去して屋内に排出する方式である空気清浄装置を設置する場合には、たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する喫煙対策機器の設置と同等の効果のある措置を講ずる必要がある。機器の設置に当たっては、(1)非喫煙場所から喫煙室等への気流を確保すること、(2)喫煙コーナーを設置する場合は、天井から吊り下げた板等による壁、ついたて等により非喫煙場所に対する開口面を可能な限り小さくすること、(3)喫煙室等における喫煙範囲を明確にすること、(4)喫煙許容人数を設定・明示することが重要である。建物に中央管理方式の空気調和設備等が設置されており、当該設備等によって室内の空気が一定程度還流している場合は、喫煙室等で発生したたばこの煙が換気口に吸い込まれ、当該設備を介して建物全体に拡散することとなるので、所要の対策が必要となる。会議室等個々の場所については、それぞれ次の措置を講ずることにより、受動喫煙を防止する必要がある。
(1) 会議室及び応接室
 禁煙とすること。また、外来者に対しては、禁煙への協力を求めること。
(2) 食堂、休憩室、リフレッシュルーム等
 禁煙とすること。ただし、食堂、休憩室、リフレッシュルーム等において、空間分煙の措置が講じられている場合には、この限りではない。
(3) 廊下、エレベーターホール等の共同使用区域
 禁煙とすること。
6について
 たばこの煙には様々な物質が含まれているが、空気環境への影響を判定するものとしては浮遊粉じん、一酸化炭素が代表的なものであるので、これらについて測定するものとし、基準となる空気環境中の濃度を示した。また、たばこの煙の漏れを判定するものとしては、非喫煙場所から喫煙室等への気流の風速があり、これについて測定するものとし、基準となる風速を示した。

8について
 喫煙室等の設置時及び使用開始後定期に、喫煙対策の担当部課等において、喫煙室の設置状況、喫煙行動基準の順守状況及び機器の保守管理の実施状況を評価するとともに、本ガイドラインに基づき非喫煙場所及び喫煙室等の内部並びに非喫煙場所と喫煙室等との境界において浮遊粉じんの濃度、一酸化炭素の濃度及び気流の風速が基準値を満たしていること等を確認することにより喫煙対策の効果を評価する必要がある。
 分煙対策の効果が十分でない場合には、その原因を調査し、喫煙対策の担当部課等においてその対策を検討し、改善のための必要な提言を行うことが望ましい。

別紙について
 一酸化炭素の濃度の測定に関して、「検知管と同等以上の性能を有する機器」としては、エレクトロケミカルセンサーを用いたもの及び定電位電解法によるものがある。



別紙
職場の空気環境の測定方法等
 測定の目的
 喫煙対策を実施する前の職場の空気環境の把握並びに喫煙対策の効果の把握及び維持管理を目的として、職場の空気環境中の浮遊粉じんの濃度、一酸化炭素の濃度及び非喫煙場所から喫煙室等への気流の風速の測定を行う。
 測定の種類等
 測定には、喫煙対策の実施前に行うもの、喫煙対策の実施後に行うもの及び喫煙対策の効果を維持管理するために行うものがある。

(1) 喫煙対策の実施前に行う測定
 喫煙対策の実施前に行う測定は、喫煙が行われている室等を対象として通常の勤務状態の日について1日以上実施すること。
 なお、当該室において喫煙者数の増減がある場合には、喫煙者数が多い日と少ない日について、それぞれ1日以上実施すること。
(2) 喫煙対策の実施後に行う測定
 喫煙対策の実施後に、その効果を確認するために行う測定は、喫煙対策実施後において、非喫煙場所及び喫煙室等の内部並びに非喫煙場所と喫煙室等との境界を対象として、また、気流の風速の測定は、非喫煙場所と喫煙室等との境界を対象として、通常の勤務状態の日について1日以上実施すること。
 また、喫煙対策実施後に喫煙対策機器等を変更した場合についても同様に実施すること。
(3) 喫煙対策の効果を維持管理するために行う測定
 喫煙対策の効果を維持管理するための測定は、非喫煙場所及び喫煙室等の内部並びに非喫煙場所と喫煙室等との境界を対象として、また、気流の風速の測定は、非喫煙場所と喫煙室等との境界を対象として、四季による室内の温度の変化の影響等を考慮して3月以内ごとに1日以上、定期的に測定日を設けて実施すること。また、労働者等から特に測定の希望のあった場合には、上記(2)に準じて実施すること。
 なお、測定の結果が良好な状態で1年以上継続した場合は、衛生委員会等により検討を行い、適宜、測定実施頻度を減らし、又は非喫煙場所の測定を省略することができること。
 測定回数
 事務室については、その通常の勤務時間中において、一定の時間の間隔ごとに、1日3回以上測定を行うこと。この場合、始業後おおむね1時間、終業前おおむね1時間及びその中間の時点(勤務時間中)に実施することが望ましいこと。また、経時的な変化等を把握するためには、測定回数を多くすることが望ましいこと。なお、喫煙室等及び事務室以外の非喫煙場所については、その室等の使用中に1回以上測定を行うこと。
 測定点
 測定点は、原則として室内の床上約1.2mから約1.5mまでの間の一定した高さにおいて、室等における事務機器等の設置状況、空気調和設備の方式、床面積等の状況に応じて設定すること。また、測定点は、1室について5点以上設定することとするが、喫煙室については、この限りでないこと。
 非喫煙場所から喫煙室等への気流の風速の測定点は、非喫煙場所と喫煙室等の主たる開口面について、上部、中央部、下部の3点を設定すること。
 なお、たばこの煙が滞留している箇所又は労働者等から特に測定の希望があった箇所については、上記とは別に測定点を設定すること。
 評価等
 各測定点における各測定回ごとの測定値によって、経時的な変化等を把握し、浮遊粉じんの濃度を0.15mg/m以下、一酸化炭素濃度を10 ppm以下及び非喫煙場所から喫煙室等に向かう気流の風速を0.2m/s以上とするように職場の管理を行うこと。
 なお、測定結果は別添の記録用紙を参考として記録し、3年間保存すること。
 測定機器
 浮遊粉じんの濃度の測定については較正された相対濃度計又は分光ろ紙じん埃計を、一酸化炭素の濃度については検知管又はこれと同等以上の性能を有する機器を、また、風速については一般用風速計を用いて測定すること。なお、浮遊粉じんの濃度の測定に相対濃度計を用いる場合は、1回の測定につき、1分間隔で連続10分間以上測定することとし、質量濃度変換係数を用いて濃度に換算すること。



資料2

基安発第0601001号
平成17年6月1日

都道府県労働局長 殿

厚生労働省労働基準局安全衛生部長
(公印省略)

「職場における喫煙対策のためのガイドライン」に基づく対策の推進について

 職場における喫煙対策については、平成8年に「職場における喫煙対策のためのガイドライン」を示し、その推進に努めてきたところであるが、平成15年5月1日から施行された健康増進法(平成14年法律第103号)において、事務所その他多数の者が利用する施設を管理する者に対し、受動喫煙防止対策を講ずることが努力義務化されたこと等を受け、平成15年5月に新たに「職場における喫煙対策のためのガイドライン」(平成15年5月9日付け基発第0509001号)(以下「新ガイドライン」という。)を発出し、労働者の健康確保と快適な職場環境の形成を図る観点から一層の受動喫煙防止対策の充実を図っているところである。
 今般、職場における喫煙対策の一環として中央労働災害防止協会に委託して行った職場における喫煙対策の取組み状況についての調査結果が別添のとおりまとまり、喫煙対策を行う上での新たな課題が明らかになったところである。
 本年2月には、世界保健機関たばこ規制枠組条約が発効し、世界的規模で喫煙対策への取組みが行われ、我が国においても様々な取組みが行われていること、また、近年職場における脳・心臓疾患の問題が大きくクローズアップされてきており、喫煙が脳・心臓疾患発生のリスクを高めるという知見があることなどを踏まえ、下記の点に特に留意して、職場における喫煙対策の充実について一層の推進が図られるよう、関係事業場の指導に努められたい。



 1  新ガイドラインでは、受動喫煙を確実に防止する観点からたばこの煙が漏れない喫煙室の設置を推奨し、やむを得ない場合に喫煙コーナーを設けることとしているところであるが、現実には未だ十分な対策がとられていないとの調査結果が得られたところである。

 特に、喫煙室の設置等喫煙場所の確保が困難な場合、喫煙室が設けられている場合であっても、喫煙室が屋外排気型になっていない等、十分な対応を行うことが困難な場合には、受動喫煙を確実に防止する観点から全面禁煙による対策を勧奨すること。

 2  関係団体との会合、集団指導等の機会をとらえて、上記1のことも含め、新ガイドラインの一層の周知を図ること。

 3  現在、都道府県快適職場推進センターにおいては、喫煙対策推進のための教育等の普及啓発事業、各種相談業務等を実施しているところであり、この事業の事業場への一層の普及に対し指導援助すること。
 また、中央労働災害防止協会地区サービスセンターにおいては、事業場のニーズに対応して分煙対策に係る技術的指導等を実施しているので、このような機関の活用を図ること。



(別添)
職場における喫煙対策の取組み状況についての調査

<調査概要>
 調査目的
 新たな「職場における喫煙対策のためのガイドライン」が公表されて1年が経過した段階において、各事業場における喫煙対策推進上の問題点、タバコ問題・喫煙対策等の動向等に関し実態を把握することにより、今後の新ガイドラインによる喫煙対策のさらなる普及啓発に資する。

 調査方法
 規模別・業種別の条件のもと5000事業場を無作為に抽出して調査票を送付する通信調査によって実施。なお、事業場の抽出については、以下の条件で行った。
  (1)事業場の規模の割合は「10〜49人」、「50〜299人」、「300人以上」を4:4:2の割合で送付数を案分した。
(2)業種ごとの送付数については、労働基準法の適用事業場数についての統計調査をもとに各業種の事業場数の割合を考慮して送付数を割り当てた。

 送付事業場
  一般事業場 5,000事業場

 調査項目
  1  事業場における喫煙対策の実情に関する事項
 (1) 喫煙対策と喫煙ガイドラインについて
 (2) 喫煙対策の推進計画等について
 (3) 具体的な喫煙対策について
 (4) 空気清浄装置の使用について
 (5) 空気環境測定について
 (6) 喫煙対策の評価について
  2  事業場に関する事項
 (1) 業種
 (2) 労働者数
 (3) 労働者の男女比
 (4) 労働者の平均年齢
 (5) 職場での喫煙者率
 調査期間
  平成16年10月1日〜平成16年11月5日

 回収結果
  有効回答数 1,805事業場(36.1%)


<結果概要>
 1. 喫煙対策に取り組んでいる事業場は82.8%(1,495事業場)。
   上記の事業場では、
  (1) 喫煙場所等について
@) 喫煙場所を設けそれ以外での場所での喫煙を禁止しているが92.2%。
また、喫煙場所のうち換気扇のある喫煙室等で喫煙することとしているのが62.6%。
A) 事業場全体を禁煙としているのが10.2%
B) 食堂や休憩室を禁煙としているのはそれぞれ39.6%、34.8%。

  (2) 喫煙のためのルールの設定等について
 喫煙のためのルールを設けているのが80.5%。このうち、管理者が喫煙のためのルールに従っていない者に対して適切な指導を行っているとしているのが85.6%。

  (3) 空気清浄装置*)の使用方法について
 屋外に排気する方式とせず、空気清浄装置を使用している事業場は40.9%。
*) 空気清浄装置はガス状成分を除去できないため、新ガイドラインでは喫煙室等に設置する「有効な喫煙対策機器」として推奨されておらず、やむを得ない措置として設置する場合には、換気に特段の配慮をすることが必要とされている。

  (4) 職場の空気環境の測定の実施について
 浮遊粉じん濃度、一酸化炭素濃度、非喫煙場所から喫煙場所に向かう風速について測定を行っていないのは71.4%、72.2%、87.0%。

 2. 喫煙対策に取り組んでいない事業場は17.2%(310事業場)。
取り組んでいない理由として、
 @) 喫煙場所を設けるスペースがない(38.7%)
 A) 社内の合意が得られない(27.7%)
 B) 喫煙者への配慮(20.6%)
 C) 取り組む必要を感じない(19.7%)
等が上位を占めた。



(参考1)

健康増進法[平成14年8月2日法律第103号](抜粋)

第5章  特定給食施設等
 第 2節 受動喫煙の防止
第25条 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。



(参考2)

新ガイドライン(平成15年5月9日基発0509001号)の概要

1. 設備対策について
 受動喫煙を確実に防止する観点から、非喫煙場所にたばこの煙が漏れない喫煙室の設置を推奨することとし、やむを得ない場合には開口面を可能な限り小さくした喫煙コーナーを設置することとしたこと。

2. 喫煙対策機器について
 喫煙室等に設置する「有効な喫煙対策機器」としては、たばこの煙が拡散する前に吸引して屋外に排出する方式の喫煙対策を推奨することとしたこと。
 やむを得ない措置として、空気清浄装置を設置する場合には、空気清浄装置はガス状成分を除去できないという問題点があることから、換気に特段の配慮をすることが必要である旨を明記したこと。

3. 職場の空気環境の基準について
 職場の空気環境の測定を行い
(1) 浮遊粉じんの濃度を0.15mg/m3以下及び一酸化炭素の濃度を10ppm以下とするよう必要な措置を講じること
(2) 喫煙室等から非喫煙場所へのたばこの煙やにおいの流入を防止するため、喫煙室等と非喫煙場所との境界において、喫煙室等に向かう気流の風速を0.2m/s以上とするよう必要な措置を講ずることとしたこと。



(参考3)

世界保健機関たばこ規制枠組条約の概要

1. 職場等の公共の場所におけるたばこの煙にさらされることからの保護を定める効果 的な措置をとる。

2. たばこの包装及びラベルについて、消費者に誤解を与えるおそれのある形容的表示等を用いることによってたばこ製品の販売を促進しないことを確保し、主要な表示面の30%以上を健康警告表示に充てる。

3. たばこの広告、販売促進及び後援(スポンサーシップ)を禁止しまたは制限する。

5. たばこ製品の不法な取引をなくするため、包装に最終仕向地を示す効果的な表示を行うことを要求する。

5. 未成年者に対するたばこの販売を禁止するための効果的な措置をとる。

6. 条約の実施状況の検討及び条約の効果的な実施の促進に必要な決定等を行う締約国会議を設置する。締約国は、条約の実施について定期的な報告を締約国会議に提出する。



資料3  建築基準法令及び消防法令

1. 排煙設備

建築基準法施行令
 (設置)
百二十六条の二 法別表第一(い)欄(一)項から(四)項までに掲げる用途に供する特殊建築物で延べ面積が五百平方メートルを超えるもの、階数が三以上で延べ面積が五百平方メートルを超える建築物(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに、間仕切壁、天井面から五十センチメートル以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上に煙の流動を妨げる効力のあるもので不燃材料で造り、又は覆われたもの(以下「防煙壁」という。)によって区画されたものを除く。)、第百十六条の二第一項第二号に該当する窓その他の開口部を有しない居室又は延べ面積が千平方メートルを超える建築物の居室で、その床面積が二百平方メートルを超えるもの(建築物の高さが三十一メートル以下の部分にある居室で、床面積百平方メートル以内ごとに防煙壁で区画されたものを除く。)には、排煙設備を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物又は建築物の部分については、この限りでない。
   法別表第一(い)欄(二)項に掲げる用途に供する特殊建築物のうち、準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備で区画された部分で、その床面積が百平方メートル(共同住宅の住戸にあっては、二百平方メートル)以内のもの
   学校、体育館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場又はスポーツの練習場(以下「学校等」という。)
   階段の部分、昇降機の昇降路の部分(当該昇降機の乗降のための乗降ロビーの部分を含む。)その他これらに類する建築物の部分
   機械製作工場、不燃性の物品を保管する倉庫その他これらに類する用途に供する建築物で主要構造部が不燃材料で造られたものその他これらと同等以上に火災の発生のおそれの少ない構造のもの
   火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分として、天井の高さ、壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類等を考慮して国土交通大臣が定めるもの
 建築物が開口部のない準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備でその構造が第百十二条第十四項第一号 イ及び第二号ロに掲げる要件を満たすものとして、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたもので区画されている場合においては、その区画された部分は、この節の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。
 (構造)
百二十六条の三 前条第一項の排煙設備は、次に定める構造としなければならない。
   建築物をその床面積五百平方メートル以内ごとに、防煙壁で区画すること。
   排煙設備の排煙口、風道その他煙に接する部分は、不燃材料で造ること。
   排煙口は、第一号の規定により区画された部分(以下「防煙区画部分」という。)のそれぞれについて、当該防煙区画部分の各部分から排煙口の一に至る水平距離が三十メートル以下となるように、天井又は壁の上部(天井から八十センチメートル(たけの最も短い防煙壁のたけが八十センチメートルに満たないときは、その値)以内の距離にある部分をいう。)に設け、直接外気に接する場合を除き、排煙風道に直結すること。
   排煙口には、手動開放装置を設けること。
   前号の手動開放装置のうち手で操作する部分は、壁に設ける場合においては床面から八十センチメートル以上一・五メートル以下の高さの位置に、天井からつり下げて設ける場合においては床面からおおむね一・八メートルの高さの位置に設け、かつ、見やすい方法でその使用方法を表示すること。
   排煙口には、第四号の手動開放装置若しくは煙感知器と連動する自動開放装置又は遠隔操作方式による開放装置により開放された場合を除き閉鎖状態を保持し、かつ、開放時に排煙に伴い生ずる気流により閉鎖されるおそれのない構造の戸その他これに類するものを設けること。
   排煙風道は、第百十五条第一項第三号に定める構造とし、かつ、防煙壁を貫通する場合においては、当該風道と防煙壁とのすき間をモルタルその他の不燃材料で埋めること。
   排煙口が防煙区画部分の床面積の五十分の一以上の開口面積を有し、かつ、直接外気に接する場合を除き、排煙機を設けること。
   前号の排煙機は、一の排煙口の開放に伴い自動的に作動し、かつ、一分間に、百二十立方メートル以上で、かつ、防煙区画部分の床面積一平方メートルにつき一立方メートル(二以上の防煙区画部分に係る排煙機にあっては、当該防煙区画部分のうち床面積の最大のものの床面積一平方メートルにつき二立方メートル)以上の空気を排出する能力を有するものとすること。
   電源を必要とする排煙設備には、予備電源を設けること。
   法第三十四条第二項に規定する建築物又は各構えの床面積の合計が千平方メートルをこえる地下街における排煙設備の制御及び作動状態の監視は、中央管理室において行なうことができるものとすること。
   前各号に定めるもののほか、火災時に生ずる煙を有効に排出することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとすること。
 前項の規定は、送風機を設けた排煙設備その他の特殊な構造の排煙設備で、通常の火災時に生ずる煙を有効に排出することができるものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものについては、適用しない。


消防法施行令
 (排煙設備に関する基準)
二十八条 排煙設備は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。
   別表第一(十六の二)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもの
   別表第一(一)項に掲げる防火対象物の舞台部で、床面積が五百平方メートル以上のもの
   別表第一(二)項、(四)項、(十)項及び(十三)項に掲げる防火対象物の地階又は無窓階で、床面積が千平方メートル以上のもの
 前項に規定するもののほか、排煙設備の設置及び維持に関する技術上の基準は、次のとおりとする。
   排煙設備は、前項各号に掲げる防火対象物又はその部分の用途、構造又は規模に応じ、火災が発生した場合に生ずる煙を有効に排除することができるものであること。
   排煙設備には、手動起動装置又は火災の発生を感知した場合に作動する自動起動装置を設けること。
   排煙設備の排煙口、風道その他煙に接する部分は、煙の熱及び成分によりその機能に支障を生ずるおそれのない材料で造ること。
   排煙設備には、非常電源を附置すること。
 第一項各号に掲げる防火対象物又はその部分のうち、排煙上有効な窓等の開口部が設けられている部分その他の消火活動上支障がないものとして総務省令で定める部分には、同項の規定にかかわらず、排煙設備を設置しないことができる。

消防法施行規則
 (排煙設備に関する基準の細目)
三十条 排煙設備の設置及び維持に関する技術上の基準の細目は、次のとおりとする。
   排煙口は、次のイからホまでに定めるところによること。
    間仕切壁、天井面から五十センチメートル(令第二十八条第一項第一号に掲げる防火対象物にあっては、八十センチメートル)以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上の煙の流動を妨げる効力のあるもので、不燃材料で造り、又は覆われたもの(以下この条において「防煙壁」という。)によって、床面積五百平方メートル(令第二十八条第一項第一号に掲げる防火対象物にあっては、三百平方メートル)以下に区画された部分(以下この条において「防煙区画」という。)ごとに、一以上を設けること。ただし、給気口(給気用の風道に接続されているものに限る。)が設けられている防煙区画であつて、当該給気口からの給気により煙を有効に排除することができる場合には、この限りでない。
    防煙区画の各部分から一の排煙口までの水平距離が三十メートル以下となるように設けること。
    天井又は壁(防煙壁の下端より上部であつて、床面からの高さが天井の高さの二分の一以上の部分に限る。)に設けること。
    排煙用の風道に接続され、又は直接外気に接していること。
    排煙口の構造は、次に定めるところによること。
(イ)  当該排煙口から排煙している場合において、排煙に伴い生ずる気流により閉鎖するおそれのないものであること。
(ロ)  排煙用の風道に接続されているものにあっては、当該排煙口から排煙しているとき以外は閉鎖状態にあり、排煙上及び保安上必要な気密性を保持できるものであること。

2. スプリンクラー設備

消防法施行令
 (スプリンクラー設備に関する基準)
十二条 スプリンクラー設備は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。
   別表第一(一)項に掲げる防火対象物(次号及び第三号に掲げるものを除く。)で、舞台部(舞台並びにこれに接続して設けられた大道具室及び小道具室をいう。以下同じ。)の床面積が、当該舞台が、地階、無窓階又は四階以上の階にあるものにあっては三百平方メートル以上、その他の階にあるものにあっては五百平方メートル以上のもの
   別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ及び(十六)項イに掲げる防火対象物で、地階を除く階数が十一以上のもの(総務省令で定める部分を除く。)
   別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項及び(九)項イに掲げる防火対象物(前号に掲げるものを除く。)のうち、平屋建以外の防火対象物で、総務省令で定める部分以外の部分の床面積の合計が、同表(六)項ロに掲げる防火対象物のうち身体上又は精神上の理由により自ら避難することが困難な者が入所するものとして総務省令で定めるものにあっては千平方メートル以上、同表(四)項に掲げる防火対象物及び同表(六)項イに掲げる防火対象物のうち病院にあっては三千平方メートル以上、その他の防火対象物にあっては六千平方メートル以上のもの
   別表第一(十四)項に掲げる防火対象物のうち、天井(天井のない場合にあっては、屋根の下面。次項において同じ。)の高さが十メートルを超え、かつ、延べ面積が七百平方メートル以上のラック式倉庫(棚又はこれに類するものを設け、昇降機により収納物の搬送を行う装置を備えた倉庫をいう。)
   別表第一(十六の二)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもの
  の二 別表第一(十六の三)項に掲げる防火対象物のうち、延べ面積が千平方メートル以上で、かつ、同表(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分の床面積の合計が五百平方メートル以上のもの
   前各号に掲げるもののほか、別表第一に掲げる建築物その他の工作物で、指定可燃物(可燃性液体類に係るものを除く。)を危険物の規制に関する政令 別表第四で定める数量の千倍以上貯蔵し、又は取り扱うもの
   別表第一(十六)項イに掲げる防火対象物(第二号に掲げるものを除く。)で、同表(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分(総務省令で定める部分を除く。)の床面積の合計が三千平方メートル以上のものの階のうち、当該部分が存する階
   前各号に掲げる防火対象物又はその部分以外の別表第一に掲げる防火対象物の地階、無窓階又は四階以上十階以下の階(総務省令で定める部分を除く。)で、次に掲げるもの
    別表第一(一)項、(三)項、(五)項イ、(六)項及び(九)項イに掲げる防火対象物の階で、その床面積が、地階又は無窓階にあっては千平方メートル以上、四階以上十階以下の階にあっては千五百平方メートル以上のもの
    別表第一(二)項及び(四)項に掲げる防火対象物の階で、その床面積が千平方メートル以上のもの
    別表第一(十六)項イに掲げる防火対象物の階のうち、同表(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存する階で、当該部分の床面積が、地階又は無窓階にあっては千平方メートル以上、四階以上十階以下の階にあっては千五百平方メートル(同表(二)項又は(四)項に掲げる防火対象物の用途に供される部分が存する階にあっては、千平方メートル)以上のもの
   前各号に掲げる防火対象物又はその部分以外の別表第一に掲げる防火対象物の十一階以上の階(総務省令で定める部分を除く。)
 前項に規定するもののほか、スプリンクラー設備の設置及び維持に関する技術上の基準は、次のとおりとする。
   スプリンクラーヘッドは、前項第一号に掲げる防火対象物にあっては舞台部に、同項第六号に掲げる防火対象物にあっては指定可燃物(可燃性液体類に係るものを除く。)を貯蔵し、又は取り扱う部分に、同項第二号、第三号、第五号、第五号の二及び第七号から第九号までに掲げる防火対象物にあっては総務省令で定める部分に、それぞれ設けること。
   スプリンクラーヘッドは、次に定めるところにより、設けること。
    前項各号(第四号から第五号の二までを除く。)に掲げる防火対象物又はその部分(ロに規定する部分を除くほか、別表第一(五)項若しくは(六)項に掲げる防火対象物又は同表(十六)項に掲げる防火対象物の同表(五)項若しくは(六)項に掲げる防火対象物の用途に供される部分であつて、総務省令で定める種別のスプリンクラーヘッドが総務省令で定めるところにより設けられている部分がある場合には、当該スプリンクラーヘッドが設けられている部分を除く。)においては、前号に掲げる部分の天井又は小屋裏に、当該天井又は小屋裏の各部分から一のスプリンクラーヘッドまでの水平距離が、次の表の上欄に掲げる防火対象物又はその部分ごとに、同表の下欄に定める距離となるように、総務省令で定める種別のスプリンクラーヘッドを設けること。

防火対象物又はその部分 距離
第一項第一号から第三号まで及び第七号から第九号までに掲げる防火対象物又はその部分(別表第一(一)項に掲げる防火対象物の舞台部に限る。) 一・七メートル以下
第一項第六号に掲げる防火対象物 一・七メートル(火災を早期に感知し、かつ、広範囲に散水することができるスプリンクラーヘッドとして総務省令で定めるスプリンクラーヘッド(以下この表において「高感度型ヘッド」という。)にあっては、当該スプリンクラーヘッドの性能に応じ総務省令で定める距離)以下
第一項第二号、第三号及び第七号から第九号までに掲げる防火対象物又はその部分(別表第一(一)項に掲げる防火対象物の舞台部を除く。) 耐火建築物(建築基準法第二条第九号の二に規定する耐火建築物をいう。以下同じ。)以外の建築物 二・一メートル(高感度型ヘッドにあっては、当該スプリンクラーヘッドの性能に応じ総務省令で定める距離)以下
  耐火建築物 二・三メートル(高感度型ヘッドにあっては、当該スプリンクラーヘッドの性能に応じ総務省令で定める距離)以下

    前項第二号、第三号及び第六号から第九号までに掲げる防火対象物又はその部分(別表第一(一)項に掲げる防火対象物の舞台部を除く。)のうち、可燃物が大量に存し消火が困難と認められる部分として総務省令で定めるものであつて床面から天井までの高さが六メートルを超える部分及びその他の部分であつて床面から天井までの高さが十メートルを超える部分においては、総務省令で定める種別のスプリンクラーヘッドを、総務省令で定めるところにより、設けること。
    前項第四号から第五号の二までに掲げる防火対象物においては、総務省令で定める種別のスプリンクラーヘッドを、総務省令で定めるところにより、設けること。
   前号に掲げるもののほか、開口部(防火対象物の十階以下の部分にある開口部にあっては、延焼のおそれのある部分(建築基準法第二条第六号に規定する延焼のおそれのある部分をいう。)にあるものに限る。)には、その上枠に、当該上枠の長さ二・五メートル以下ごとに一のスプリンクラーヘッドを設けること。ただし、防火対象物の十階以下の部分にある開口部で建築基準法第二条第九号の二 ロに規定する防火設備(防火戸その他の総務省令で定めるものに限る。)が設けられているものについては、この限りでない。
   水源は、その水量がスプリンクラーヘッドの種別に応じ総務省令で定めるところにより算出した量以上の量となるように設けること。
   スプリンクラー設備は、スプリンクラーヘッドの種別に応じ総務省令で定めるところにより放水することができる性能のものとすること。
   水源に連結する加圧送水装置は、点検に便利で、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に設けること。
   スプリンクラー設備には、非常電源を附置し、かつ、消防ポンプ自動車が容易に接近することができる位置に双口形の送水口を附置すること。
   スプリンクラー設備には、総務省令で定めるところにより、補助散水栓を設けることができること。
 第一項各号に掲げる防火対象物又はその部分に水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備を次条、第十四条、第十五条、第十六条、第十七条若しくは第十八条に定める技術上の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置したときは、同項の規定にかかわらず、当該設備の有効範囲内の部分についてスプリンクラー設備を設置しないことができる。
 前条第二項の規定は、第一項第四号に掲げる防火対象物について準用する。

消防法施行規則
 (標準型ヘッド等)
十三条の二 令第十二条第二項第二号イの規定により、同号イの表の下欄に定める距離となるように設ける総務省令で定める種別のスプリンクラーヘッドは、同条第一項第一号から第三号まで及び第七号から第九号までに掲げる防火対象物又はその部分(令別表第一(一)項に掲げる防火対象物の舞台部に限る。)に設けるものにあっては開放型スプリンクラーヘッドとし、同条第一項第六号に掲げる防火対象物又は同項第二号、第三号及び第七号から第九号までに掲げる防火対象物若しくはその部分(令別表第一(一)項に掲げる防火対象物の舞台部を除く。)に設けるものにあっては閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち標準型ヘッド(閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術上の規格を定める省令(昭和四十年自治省令第二号)第二条第一号に規定する標準型ヘッド(同条第一号の二に規定する小区画型ヘッドを除く。)のうち、同令第十二条の感度の種別(次項、次条第一項及び第十三条の六第一項において「感度種別」という。)が一種であるもの又は同令第十四条の有効散水半径(次項、第三項及び第十三条の五第一項において「有効散水半径」という。)が二・三であるものに限る。以下この条、第十三条の五、第十三条の六及び第三十条の三において同じ。)とする。
 令第十二条第二項第二号イの表の火災を早期に感知し、かつ、広範囲に散水することができるスプリンクラーヘッドとして総務省令で定めるものは、閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち標準型ヘッドで感度種別が一種であり、かつ、有効散水半径が二・六以上であるものとする。
 令第十二条第二項第二号イの表の総務省令で定める距離は、次の式により求めた値とする。R=Xr
Rは、スプリンクラーヘッドまでの水平距離(単位 メートル)
rは、スプリンクラーヘッドの有効散水半径
Xは、次の表の上欄に掲げる防火対象物又はその部分の区分に応じ、同表の下欄に掲げる値

防火対象物又はその部分   Xの値
令第十二条第一項第六号に掲げる防火対象物   〇・七五
令第十二条第一項第二号、第三号及び第七号から第九号までに掲げる防火対象物又はその部分(令別表第一(一)項に掲げる防火対象物の舞台部を除く。) 耐火建築物(建築基準法第二条第九号の二に規定する耐火建築物をいう。以下同じ。)以外の建築物 〇・九
  耐火建築物

 第一項及び第二項に規定するスプリンクラーヘッドの設置及び維持に関する技術上の基準の細目は、次のとおりとする。
   閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち標準型ヘッドは、次に定めるところによること。
    スプリンクラーヘッドは、当該ヘッドの取付け面から〇・四メートル以上突き出したはり等によって区画された部分ごとに設けること。ただし、当該はり等の相互間の中心距離が一・八メートル以下である場合にあっては、この限りでない。
    給排気用ダクト、棚等(以下「ダクト等」という。)でその幅又は奥行が一・二メートルを超えるものがある場合には、当該ダクト等の下面にもスプリンクラーヘッドを設けること。
    スプリンクラーヘッドのデフレクターと当該ヘッドの取付け面との距離は、〇・三メートル以下であること。
    スプリンクラーヘッドは、当該ヘッドの軸心が当該ヘッドの取付け面に対して直角となるように設けること。
    スプリンクラーヘッドのデフレクターから下方〇・四五メートル(易燃性の可燃物を収納する部分に設けられるスプリンクラーヘッドにあっては、〇・九メートル)以内で、かつ、水平方向〇・三メートル以内には、何も設けられ、又は置かれていないこと。
    開口部に設けるスプリンクラーヘッドは、当該開口部の上枠より〇・一五メートル以内の高さの壁面に設けること。
    乾式又は予作動式の流水検知装置の二次側に設けるスプリンクラーヘッドは、デフレクターがスプリンクラーヘッドの取付け部より上方になるように取り付けて使用するスプリンクラーヘッドとすること。ただし、凍結するおそれのない場所に設ける場合は、この限りでない。
   開放型スプリンクラーヘッドは、舞台部の天井又は小屋裏で室内に面する部分及びすのこ又は渡りの下面の部分に前号ニ及びホの規定の例により設けること。ただし、すのこ又は渡りの上部の部分に可燃物が設けられていない場合は、当該天井又は小屋裏の室内に面する部分には、スプリンクラーヘッドを設けないことができる。
 (小区画型ヘッド等)
十三条の三 前条に定めるもののほか、令第十二条第二項第二号イの表の上欄に掲げる防火対象物又はその部分のうち、令別表第一(五)項若しくは(六)項に掲げる防火対象物又は同表(十六)項に掲げる防火対象物の同表(五)項若しくは(六)項に掲げる防火対象物の用途に供される部分には、閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち小区画型ヘッド(閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術上の規格を定める省令第二条第一号の二の小区画型ヘッドのうち、感度種別が一種であるものに限る。第十三条の六及び第十四条において同じ。)又は側壁型ヘッド(同令第二条第二号の側壁型ヘッドのうち、感度種別が一種であるものに限る。第十三条の六において同じ。)を設けることができる。
 前項に規定する小区画型ヘッドは、前条第四項第一号(イただし書及びトを除く。)の規定の例によるほか、次に定めるところにより、設けなければならない。
   スプリンクラーヘッドは、令第十二条第二項第二号イの表の上欄に掲げる防火対象物又はその部分のうち、令別表第一(五)項若しくは(六)項に掲げる防火対象物又は同表(十六)項に掲げる防火対象物の同表(五)項若しくは(六)項に掲げる防火対象物の用途に供される部分で、宿泊室、病室その他これらに類する部分(次項において「宿泊室等」という。)に設けること。
   スプリンクラーヘッドは、天井の室内に面する部分に設けること。
   スプリンクラーヘッドは、天井の各部分から一のスプリンクラーヘッドまでの水平距離が二・六メートル以下で、かつ、一のスプリンクラーヘッドにより防護される部分の面積が十三平方メートル以下となるように設けること。
 第一項に規定する側壁型ヘッドは、前条第四項第一号(イ及びハを除く。)の規定の例によるほか、次に定めるところにより、設けなければならない。
   スプリンクラーヘッドは、令第十二条第二項第二号イの表の上欄に掲げる防火対象物又はその部分のうち、令別表第一(五)項若しくは(六)項に掲げる防火対象物又は同表(十六)項に掲げる防火対象物の同表(五)項若しくは(六)項に掲げる防火対象物の用途に供される部分で、宿泊室等及び廊下、通路その他これらに類する部分に設けること。
   スプリンクラーヘッドは、防火対象物の壁の室内に面する部分に設けること。
   スプリンクラーヘッドは、床面の各部分が一のスプリンクラーヘッドにより防護される床面の部分(スプリンクラーヘッドを取り付ける面の水平方向の両側にそれぞれ一・八メートル以内、かつ、前方三・六メートル以内となる範囲を水平投影した床面の部分をいう。)に包含されるように設けること。
   スプリンクラーヘッドは、当該ヘッドを取り付ける面から〇・一五メートル以内となるように設けること。
   スプリンクラーヘッドのデフレクターは、天井面から〇・一五メートル以内となるように設けること。
   スプリンクラーヘッドのデフレクターから下方〇・四五メートル以内で、かつ、水平方向〇・四五メートル以内には、何も設けられ、又は置かれていないこと。


3. 自動火災報知設備

消防法施行令
 (自動火災報知設備に関する基準)
二十一条 自動火災報知設備は、次に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものとする。
   別表第一(十三)項ロ及び(十七)項に掲げる防火対象物
   別表第一(九)項イに掲げる防火対象物で、延べ面積が二百平方メートル以上のもの
   別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(十六項)イ及び(十六の二)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が三百平方メートル以上のもの
   別表第一(五)項ロ、(七)項、(八)項、(九)項ロ、(十)項、(十二)項、(十三)項イ及び(十四)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が五百平方メートル以上のもの
   別表第一(十六の三)項に掲げる防火対象物のうち、延べ面積が五百平方メートル以上で、かつ、同表(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分の床面積の合計が三百平方メートル以上のもの
   別表第一(十一)項及び(十五)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもの
  の二 前各号に掲げる防火対象物以外の別表第一に掲げる防火対象物のうち、同表(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が避難階以外の階に存する防火対象物で、当該避難階以外の階から避難階又は地上に直通する階段が二(当該階段が屋外に設けられ、又は総務省令で定める避難上有効な構造を有する場合にあっては、一)以上設けられていないもの
   前各号に掲げる防火対象物以外の別表第一に掲げる建築物その他の工作物で、指定可燃物を危険物の規制に関する政令 別表第四で定める数量の五百倍以上貯蔵し、又は取り扱うもの
   前各号に掲げる防火対象物以外の別表第一(二)項及び(三)項に掲げる防火対象物並びに同表(十六)項イに掲げる防火対象物の地階又は無窓階(同表(十六)項イに掲げる防火対象物の地階又は無窓階にあっては、同表(二)項又は(三)項に掲げる防火対象物の用途に供される部分が存するものに限る。)で、床面積が百平方メートル(同表(十六)項イに掲げる防火対象物の地階又は無窓階にあっては、当該用途に供される部分の床面積の合計が百平方メートル)以上のもの
   前各号に掲げるもののほか、別表第一に掲げる建築物の地階、無窓階又は三階以上の階で、床面積が三百平方メートル以上のもの
   前各号に掲げるもののほか、別表第一に掲げる防火対象物の道路の用に供される部分で、床面積が、屋上部分にあっては六百平方メートル以上、それ以外の部分にあっては四百平方メートル以上のもの
   前各号に掲げるもののほか、別表第一に掲げる防火対象物の地階又は二階以上の階のうち、駐車の用に供する部分の存する階(駐車するすべての車両が同時に屋外に出ることができる構造の階を除く。)で、当該部分の床面積が二百平方メートル以上のもの
   前各号に掲げるもののほか、別表第一に掲げる防火対象物の十一階以上の階
   前各号に掲げるもののほか、別表第一に掲げる防火対象物の通信機器室で床面積が五百平方メートル以上のもの
 前項に規定するもののほか、自動火災報知設備の設置及び維持に関する技術上の基準は、次のとおりとする。
   自動火災報知設備の警戒区域(火災の発生した区域を他の区域と区別して識別することができる最小単位の区域をいう。次号において同じ。)は、防火対象物の二以上の階にわたらないものとすること。ただし、総務省令で定める場合は、この限りでない。
   一の警戒区域の面積は、六百平方メートル以下とし、その一辺の長さは、五十メートル以下(別表第三に定める光電式分離型感知器を設置する場合にあっては、百メートル以下)とすること。ただし、当該防火対象物の主要な出入口からその内部を見通すことができる場合にあっては、その面積を千平方メートル以下とすることができる。
   自動火災報知設備の感知器は、総務省令で定めるところにより、天井又は壁の屋内に面する部分及び天井裏の部分(天井のない場合にあっては、屋根又は壁の屋内に面する部分)に、有効に火災の発生を感知することができるように設けること。ただし、主要構造部を耐火構造とした建築物にあっては、天井裏の部分に設けないことができる。
   自動火災報知設備には、非常電源を附置すること。
 第一項各号に掲げる防火対象物又はその部分(総務省令で定めるものを除く。)にスプリンクラー設備、水噴霧消火設備又は泡消火設備(いずれも総務省令で定める閉鎖型スプリンクラーヘツドを備えているものに限る。)を第十二条、第十三条、第十四条若しくは第十五条に定める技術上の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置したときは、同項の規定にかかわらず、当該設備の有効範囲内の部分について自動火災報知設備を設置しないことができる。

消防法施行規則
 (自動火災報知設備の感知器等)
二十三条 令第二十一条第二項第一号ただし書の総務省令で定める場合は、自動火災報知設備の一の警戒区域の面積が五百平方メートル以下であり、かつ、当該警戒区域が防火対象物の二の階にわたる場合又は第五項(第一号及び第三号に限る。)の規定により煙感知器を設ける場合とする。
 令第二十一条第三項の総務省令で定めるものは、令別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物又はその部分並びに第五項各号及び第六項第二号に掲げる場所とする。
 令第二十一条第三項の総務省令で定める閉鎖型スプリンクラーヘッドは、標示温度が七十五度以下で作動時間が六十秒以内のものとする。
 自動火災報知設備の感知器の設置は、次に定めるところによらなければならない。
   感知器は、次に掲げる場所以外で、点検その他の維持管理ができる場所に設けること。
    感知器(炎感知器(火災により生ずる炎を利用して自動的に火災の発生を感知するものをいう。以下同じ。)を除く。以下この号(ホを除く。)において同じ。)の取付け面(感知器を取り付ける天井の室内に面する部分又は上階の床若しくは屋根の下面をいう。以下この条において同じ。)の高さが二十メートル以上である場所
    上屋その他外部の気流が流通する場所で、感知器によっては当該場所における火災の発生を有効に感知することができないもの
    天井裏で天井と上階の床との間の距離が〇・五メートル未満の場所
    煙感知器及び熱煙複合式スポット型感知器にあっては、イからハまでに掲げる場所のほか、次に掲げる場所
(イ)  じんあい、微粉又は水蒸気が多量に滞留する場所
(ロ)  腐食性ガスが発生するおそれのある場所
(ハ)  厨房その他正常時において煙が滞留する場所
(ニ)  著しく高温となる場所
(ホ)  排気ガスが多量に滞留する場所
(ヘ)  煙が多量に流入するおそれのある場所
(ト)  結露が発生する場所
(チ)  (イ)から(ト)までに掲げる場所のほか、感知器の機能に支障を及ぼすおそれのある場所
    炎感知器にあっては、ハに掲げる場所のほか、次に掲げる場所
(イ)  ニ(ロ)から(ニ)まで、(ヘ)及び(ト)に掲げる場所
(ロ)  水蒸気が多量に滞留する場所
(ハ)  火を使用する設備で火炎が露出するものが設けられている場所
(ニ)  (イ)から(ハ)までに掲げる場所のほか、感知器の機能に支障を及ぼすおそれのある場所
   取付け面の高さに応じ、次の表で定める種別の感知器を設けること。

取付け面の高さ 感知器の種別
四メートル未満 差動式スポット型、差動式分布型、補償式スポット型、定温式、イオン化式スポット型又は光電式スポット型
四メートル以上八メートル未満 差動式スポット型、差動式分布型、補償式スポット型、定温式特種若しくは一種、イオン化式スポット型一種若しくは二種又は光電式スポット型一種若しくは二種
八メートル以上十五メートル未満 差動式分布型、イオン化式スポット型一種若しくは二種又は光電式スポット型一種若しくは二種
十五メートル以上二十メートル未満 イオン化式スポット型一種又は光電式スポット型一種

   差動式スポット型、定温式スポット型又は補償式スポット型その他の熱複合式スポット型の感知器は、次に定めるところによること。
    感知器の下端は、取付け面の下方〇・三メートル以内の位置に設けること。
    感知器は、感知区域(それぞれ壁又は取付け面から〇・四メートル(差動式分布型感知器又は煙感知器を設ける場合にあっては〇・六メートル)以上突出したはり等によって区画された部分をいう。以下同じ。)ごとに、感知器の種別及び取付け面の高さに応じて次の表で定める床面積(多信号感知器にあっては、その有する種別に応じて定める床面積のうち最も大きい床面積。第四号の三及び第七号において同じ。)につき一個以上の個数を、火災を有効に感知するように設けること。

取付け面の高さ   感知器の種別            
  差動式スポット型   補償式スポット型   定温式スポット型    
  一種 二種 一種 二種 特種 一種 二種
四メートル未満 主要構造部を耐火構造とした防火対象物又はその部分 九十m 七十m 九十m 七十m 七十m 六十m 二十m
その他の構造の防火対象物又はその部分 五十 四十 五十 四十 四十 三十 十五
四メートル以上
八メートル未満
主要構造部を耐火構造とした防火対象物又はその部分 四十五 三十五 四十五 三十五 三十五 三十  
その他の構造の防火対象物又はその部分 三十 二十五 三十 二十五 二十五 十五  

   差動式分布型感知器(空気管式のもの)は、次に定めるところによること。
    感知器の露出部分は、感知区域ごとに二十メートル以上とすること。
    感知器は、取付け面の下方〇・三メートル以内の位置に設けること。
    感知器は、感知区域の取付け面の各辺から一・五メートル以内の位置に設け、かつ、相対する感知器の相互間隔が、主要構造部を耐火構造とした防火対象物又はその部分にあっては九メートル以下、その他の構造の防火対象物又はその部分にあっては六メートル以下となるように設けること。ただし、感知区域の規模又は形状により有効に火災の発生を感知することができるときは、この限りでない。
    一の検出部に接続する空気管の長さは、百メートル以下とすること。
    感知器の検出部は、五度以上傾斜させないように設けること。
  の二 差動式分布型感知器(熱電対式のもの)は、次に定めるところによること。
    感知器は、取付け面の下方〇・三メートル以内の位置に設けること。
    感知器は、感知区域ごとに、その床面積が、七十二平方メートル(主要構造部を耐火構造とした防火対象物にあっては、八十八平方メートル)以下の場合にあっては四個以上、七十二平方メートル(主要構造部を耐火構造とした防火対象物にあっては、八十八平方メートル)を超える場合にあっては四個に十八平方メートル(主要構造部を耐火構造とした防火対象物にあっては、二十二平方メートル)までを増すごとに一個を加えた個数以上の熱電対部を火災を有効に感知するように設けること。
    一の検出部に接続する熱電対部の数は、二十以下とすること。
    感知器の検出部は、五度以上傾斜させないように設けること。
  の三 差動式分布型感知器(熱半導体式のもの)は、次に定めるところによること。
    感知器の下端は、取付け面の下方〇・三メートル以内の位置に設けること。
    感知器は、感知区域ごとに、その床面積が、感知器の種別及び取付け面の高さに応じて次の表で定める床面積の二倍の床面積以下の場合にあっては二個(取付け面の高さが八メートル未満で、当該表で定める床面積以下の場合にあっては、一個)以上、当該表で定める床面積の二倍の床面積を超える場合にあっては二個に当該表で定める床面積までを増すごとに一個を加えた個数以上の感熱部を火災を有効に感知するように設けること。

取付け面の高さ 感知器の種別
一種 二種
八メートル未満 主要構造部を耐火構造とした防火対象物又はその部分 平方メートル
六十五
平方メートル
三十六
その他の構造の防火対象物又はその部分 四十 二十三
八メートル以上
十五メートル未満
主要構造部を耐火構造とした防火対象物又はその部分 五十  
その他の構造の防火対象物又はその部分 三十  

    一の検出器に接続する感熱部の数は、二以上十五以下とすること。
    感知器の検出部は、五度以上傾斜させないように設けること。
   定温式感知線型感知器は、次に定めるところによること。
    感知器は、取付け面の下方〇・三メートル以内の位置に設けること。
    感知器は、感知区域ごとに取付け面の各部分から感知器のいずれかの部分までの水平距離が、特種又は一種の感知器にあっては三メートル(主要構造部を耐火構造とした防火対象物又はその部分にあっては、四・五メートル)以下、二種の感知器にあっては一メートル(主要構造部を耐火構造とした防火対象物又はその部分にあっては、三メートル)以下となるように設けること。
   定温式感知器の性能を有する感知器は、正常時における最高周囲温度が、補償式スポット型感知器にあっては公称定温点より、その他の定温式感知器の性能を有する感知器にあっては公称作動温度(二以上の公称作動温度を有するものにあっては、最も低い公称作動温度)より二十度以上低い場所に設けること。
   煙感知器(光電式分離型感知器を除く。)は、次に定めるところによること。
    天井が低い居室又は狭い居室にあっては入口付近に設けること。
    天井付近に吸気口のある居室にあっては当該吸気口付近に設けること。
    感知器の下端は、取付け面の下方〇・六メートル以内の位置に設けること。
    感知器は、壁又ははりから〇・六メートル以上離れた位置に設けること。
    感知器は、廊下、通路、階段及び傾斜路を除く感知区域ごとに、感知器の種別及び取付け面の高さに応じて次の表で定める床面積につき一個以上の個数を、火災を有効に感知するように設けること。
取付け面の高さ 感知器の種別
一種及び二種 三種
四メートル未満 百五十m 五十m
四メートル以上
二十メートル未満
七十五  
    感知器は、廊下及び通路にあっては歩行距離三十メートル(三種の感知器にあっては二十メートル)につき一個以上の個数を、階段及び傾斜路にあっては垂直距離十五メートル(三種の感知器にあっては十メートル)につき一個以上(当該階段及び傾斜路のうち、令別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が令第四条の二の二第二号に規定する避難階以外の階に存する防火対象物で、当該避難階以外の階から避難階又は地上に直通する階段及び傾斜路の総数が二(当該階段及び傾斜路が屋外に設けられ、又は第四条の二の三に規定する避難上有効な構造を有する場合にあっては、一)以上設けられていないもの(以下「特定一階段等防火対象物」という。)に存するものにあっては、一種又は二種の感知器を垂直距離七・五メートルにつき一個以上)の個数を、火災を有効に感知するように設けること。
  の二 熱煙複合式スポット型感知器は、第三号イ並びに前号イ、ロ、ニ及びヘの規定(同号ヘの規定については、廊下及び通路に係る部分に限る。)に準ずるほか、廊下、通路、階段及び傾斜路を除く感知区域ごとに、その有する種別及び取付け面の高さに応じて第三号ロ及び前号ホの表で定める床面積のうち最も大きい床面積につき一個以上の個数を、火災を有効に感知するように設けること。
  の三 光電式分離型感知器は、次に定めるところによること。
    感知器の受光面が日光を受けないように設けること。
    感知器の光軸(感知器の送光面の中心と受光面の中心とを結ぶ線をいう。以下同じ。)が並行する壁から〇・六メートル以上離れた位置となるように設けること。
    感知器の送光部及び受光部は、その背部の壁から一メートル以内の位置に設けること。
    感知器を設置する区域の天井等(天井の室内に面する部分又は上階の床若しくは屋根の下面をいう。以下同じ。)の高さが二十メートル以上の場所以外の場所に設けること。この場合において、当該天井等の高さが十五メートル以上の場所に設ける感知器にあっては、一種のものとする。
    感知器の光軸の高さが天井等の高さの八十パーセント以上となるように設けること。
    感知器の光軸の長さが当該感知器の公称監視距離の範囲内となるように設けること。
    感知器は、壁によって区画された区域ごとに、当該区域の各部分から一の光軸までの水平距離が七メートル以下となるように設けること。
  の四 炎感知器(道路の用に供される部分に設けられるものを除く。)は、次に定めるところによること。
    感知器は、天井等又は壁に設けること。
    感知器は、壁によって区画された区域ごとに、当該区域の床面から高さ一・二メートルまでの空間(以下「監視空間」という。)の各部分から当該感知器までの距離が公称監視距離の範囲内となるように設けること。
    感知器は、障害物等により有効に火災の発生を感知できないことがないように設けること。
    感知器は、日光を受けない位置に設けること。ただし、感知障害が生じないように遮光板等を設けた場合にあっては、この限りでない。
  の五 道路の用に供される部分に設けられる炎感知器は、次に定めるところによること。
    感知器は、道路の側壁部又は路端の上方に設けること。
    感知器は、道路面(監視員通路が設けられている場合にあっては、当該通路面)からの高さが一・〇メートル以上一・五メートル以下の部分に設けること。
    感知器は、道路の各部分から当該感知器までの距離(以下「監視距離」という。)が公称監視距離の範囲内となるように設けること。ただし、設置個数が一となる場合にあっては、二個設けること。
    感知器は、障害物等により有効に火災の発生を感知できないことがないように設けること。
    感知器は、日光を受けない位置に設けること。ただし、感知障害が生じないように遮光板等を設けた場合にあっては、この限りでない。
   感知器は、差動式分布型及び光電式分離型のもの並びに炎感知器を除き、換気口等の空気吹出し口から一・五メートル以上離れた位置に設けること。
   スポット型の感知器(炎感知器を除く。)は、四十五度以上傾斜させないように設けること。
 令第二十一条第一項(第十号を除く。)に掲げる防火対象物又はその部分のうち、第一号及び第三号に掲げる場所にあっては煙感知器を、第二号に掲げる場所にあっては煙感知器又は熱煙複合式スポット型感知器を、第四号に掲げる場所にあっては煙感知器又は炎感知器を、第五号に掲げる場所にあっては炎感知器を、第六号に掲げる場所にあっては煙感知器、熱煙複合式スポット型感知器又は炎感知器を設けなければならない。
   階段及び傾斜路
   廊下及び通路(令別表第一(一)項から(六)項まで、(九)項、(十二)項、(十五)項、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物の部分に限る。)
   エレベーターの昇降路、リネンシュート、パイプダクトその他これらに類するもの
   感知器を設置する区域の天井等の高さが十五メートル以上二十メートル未満の場所
   感知器を設置する区域の天井等の高さが二十メートル以上の場所
   前各号に掲げる場所以外の地階、無窓階及び十一階以上の部分(令別表第一(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項、(九)項イ、(十五)項、(十六)項イ、(十六の二)項及び(十六の三)項に掲げる防火対象物又はその部分に限る。)
 令第二十一条第一項(第十号を除く。)に掲げる防火対象物又はその部分のうち次の各号に掲げる場所には、当該各号に定めるところにより感知器を設けなければならない。
   前項第六号に規定する防火対象物又はその部分で第四項第一号ニ((チ)を除く。)の規定により煙感知器又は熱煙複合式スポット型感知器を設置せず、かつ、同号ホ((二)を除く。)の規定により炎感知器を設置しない場所 別表第一の二の三において、場所の区分に応じ、適応するものとされる種別を有する感知器
   前項各号に掲げる場所以外の地階、無窓階又は十一階以上の階 差動式若しくは補償式の感知器のうち一種若しくは二種、定温式感知器のうち特種若しくは一種(公称作動温度七十五度以下のものに限る。)、イオン化式若しくは光電式の感知器のうち一種、二種若しくは三種若しくはこれらの種別を有する感知器又は炎感知器
   前項又は前二号に掲げる場所以外の場所(廊下、便所その他これらに類する場所を除く。) その使用場所に適応する感知器
 この条(第四項第六号を除く。)において、次の表の上欄に掲げる種別のアナログ式感知器(火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和五十六年自治省令第十七号)第二条第七号又は同条第十二号から第十四号までに規定するものをいう。以下同じ。)に関する基準については、それぞれ同表の中欄に掲げる設定表示温度等の範囲の区分に応じ、同表の下欄に掲げる種別の感知器の例によるものとする。

アナログ式感知器の種別 設定表示温度等の範囲 感知器の種別
熱アナログ式スポット型感知器 注意表示に係る設定表示温度 (正常時における最高周囲温度+20)度以上(設定火災表示温度−10)度以下 定温式スポット型特種
火災表示に係る設定表示温度 (正常時における最高周囲温度+30)度以上(正常時における最高周囲温度+50)度以下
イオン化アナログ式スポット型感知器又は光電アナログ式スポット型感知器 注意表示に係る設定表示濃度 2.5パーセントを超え5.0パーセント以下 光電式スポット型一種
火災表示に係る設定表示濃度 設定注意表示濃度を超え15パーセント以下
注意表示に係る設定表示濃度 5パーセントを超え10パーセント以下 光電式スポット型二種
火災表示に係る設定表示濃度 設定注意表示濃度を超え22.5パーセント以下
注意表示に係る設定表示濃度 10パーセントを超え15パーセント以下 光電式スポット型三種
火災表示に係る設定表示濃度 設定注意表示濃度を超え22.5パーセント以下
光電アナログ式分離型感知器(Lが四十五メートル未満のもの) 注意表示に係る設定表示濃度 0.3×Lパーセントを超え(2/3)(0.8×L+29)パーセント以下 光電式分離型一種
火災表示に係る設定表示濃度 設定注意表示濃度を超え(L+40)パーセント以下
注意表示に係る設定表示濃度 2/3(0.8×L+29)パーセントを超え2/3(L+40)パーセント以下 光電式分離型二種
火災表示に係る設定表示濃度 設定注意表示濃度を超え(L+40)パーセント以下
光電アナログ式分離型感知器(Lが四十五メートル以上のもの) 注意表示に係る設定表示濃度 0.3×Lパーセントを超え43.3パーセント以下 光電式分離型一種
火災表示に係る設定表示濃度 設定注意表示濃度を超え85パーセント以下
注意表示に係る設定表示濃度 43.3パーセントを超え56.7パーセント以下 光電式分離型二種
火災表示に係る設定表示濃度 設定注意表示濃度を超え85パーセント以下
 Lは公称監視距離の最小値であり、Lは公称監視距離の最大値である。

 令第二十一条第一項第十号に掲げる道路の用に供される部分には、その使用場所に適応する炎感知器を設けなければならない。
 自動火災報知設備の中継器の設置は、次の各号に定めるところによらなければならない。
   受信機において、受信機から感知器に至る配線の導通を確認することができないものにあっては、回線ごとに導通を確認することができるように受信機と感知器との間に中継器を設けること。
   中継器は、点検に便利で、かつ、防火上有効な措置を講じた箇所に設けること。


東京都火災予防条例
(喫煙等)
二十三条 次に掲げる場所で、消防総監が指定するものにおいては、喫煙し、若しくは裸火を使用し、又は当該場所に火災予防上危険な物品を持ち込んではならない。ただし、消防署長が、消防総監が定める基準に適合していると認めたときは、この限りでない。
 一  劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂若しくは集会場(以下「劇場等」という。)の舞台又は客席
 二  百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗又は展示場(以下「百貨店等」という。)の売場又は展示部分
 三  地下街(法第八条の二で規定する地下街をいう。以下同じ。)の売場
 四  文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)の規定によって重要文化財、重要有形民族文化財、史跡若しくは重要な文化財として指定され、又は旧重要美術品等の保存に関する法律(昭和八年法律第四十三号)の規定によって重要美術品として認定された建造物の内部又は周囲
 五  前各号に掲げるもののほか、火災が発生した場合に人命に危険を生ずるおそれのある場所
2  前項に規定する消防総監が指定する場所には、客席の前面その他の見やすい箇所に、喫煙、裸火の使用又は危険物品の持込みを禁止する旨の標識を設けなければならない。
3  第一項に規定する消防総監が指定する場所(同項第四号に掲げる場所を除く。)を有する防火対象物の関係者は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める措置を講じなければならない。
 一  防火対象物内での喫煙を禁止する場合 定期的な巡視その他の消防総監が火災予防上必要と認める措置
 二  前号に掲げる場合以外の場合 第一項に規定する消防総監が指定する場所以外の場所における適当な数の吸殻容器を設けた喫煙所の設置及び当該場所が喫煙所である旨の標識の設置
4  第一項に規定する消防総監の指定する場所の関係者は、当該場所で喫煙し、裸火を使用し、又は当該場所に危険物品を持ち込もうとしている者があるときは、これを制止しなければならない。
  ( 昭五〇条例四五・昭五九条例一一四・平二条例七二・平四条例一一六・平九条例四五・平一六条例一二八・一部改正)


消防法施行令
別表第一 (第一条の二―第三条、第四条の二―第四条の三、第六条、第九条―第十四条、第十九条、第二十一条―第二十九条の三、第三十一条、第三十四条、第三十四条の二、第三十四条の四―第三十六条関係)

(一) イ 劇場、映画館、演芸場又は観覧場
ロ 公会堂又は集会場
(二) イ キャバレー、カフェー、ナイトクラブその他これらに類するもの
ロ 遊技場又はダンスホール
ハ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第五項に規定する性風俗関連特殊営業を営む店舗((一)項イ、(四)項、(五)項イ及び(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供されているものを除く。)その他これに類するものとして総務省令で定めるもの
(三) イ 待合、料理店その他これらに類するもの
ロ 飲食店
(四) 百貨店、マーケツトその他の物品販売業を営む店舗又は展示場
(五) イ 旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの
ロ 寄宿舎、下宿又は共同住宅
(六) イ 病院、診療所又は助産所
ロ 老人福祉施設、有料老人ホーム、介護老人保健施設、救護施設、更生施設、児童福祉施設(母子生活支援施設及び児童厚生施設を除く。)、身体障害者更生援護施設(身体障害者を収容するものに限る。)、知的障害者援護施設又は精神障害者社会復帰施設
ハ 幼稚園、盲学校、聾学校又は養護学校
(七) 小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、高等専門学校、大学、専修学校、各種学校その他これらに類するもの
(八) 図書館、博物館、美術館その他これらに類するもの
(九) イ 公衆浴場のうち、蒸気浴場、熱気浴場その他これらに類するもの
ロ イに掲げる公衆浴場以外の公衆浴場
(十) 車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場(旅客の乗降又は待合いの用に供する建築物に限る。)
(十一) 神社、寺院、教会その他これらに類するもの
(十二) イ 工場又は作業場
ロ 映画スタジオ又はテレビスタジオ
(十三) イ 自動車車庫又は駐車場
ロ 飛行機又は回転翼航空機の格納庫
(十四) 倉庫
(十五) 前各項に該当しない事業場
(十六) イ 複合用途防火対象物のうち、その一部が(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供されているもの
ロ イに掲げる複合用途防火対象物以外の複合用途防火対象物
(十六の二) 地下街
(十六の三) 建築物の地階((十六の二)項に掲げるものの各階を除く。)で連続して地下道に面して設けられたものと当該地下道とを合わせたもの((一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存するものに限る。)
(十七) 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)の規定によって重要文化財、重要有形民俗文化財、史跡若しくは重要な文化財として指定され、又は旧重要美術品等の保存に関する法律(昭和八年法律第四十三号)の規定によって重要美術品として認定された建造物
(十八) 延長五十メートル以上のアーケード
(十九) 市町村長の指定する山林
(二十) 総務省令で定める舟車



建築基準法 別表

別表第1

耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない特殊建築物(第6条、第27条、第28条、第35条−第35条の3、第90条の3関係)

  (い) (ろ) (は) (に)
  用途 (い)欄の用途に供する階 (い)欄の用途に供する部分((1)項の場合にあっては客席、(5)項の場合にあっては3階以上の部分に限る。)の床面積の合計 (い)欄の用途に供する部分((2)項及び(4)項の場合にあっては、2階の部分に限り、かつ、病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限る。)の床面積の合計
(1) 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもので政令で定めるもの 3階以上の階 200平方メートル(屋外観覧席にあっては、1000平方メートル)以上  
(2) 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、養老院その他これらに類するもので政令で定めるもの 3階以上の階   300平方メートル以上
(3) 学校、体育館その他これらに類するもので政令で定めるもの 3階以上の階   2000平方メートル以上
(4) 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場その他これらに類するもので政令で定めるもの 3階以上の階 3000平方メートル以上 500平方メートル以上
(5) 倉庫その他これに類するもので政令で定めるもの   200平方メートル以上 1500平方メートル以上
(6) 自動車車庫、自動車修理工場その他これらに類するもので政令で定めるもの 3階以上の階   150平方メートル以上



資料4 包括的な喫煙対策介入研究(厚生労働科学研究健康科学総合研究H14〜16年)の紹介

 一般事業場、特に製造業ではこれまで屋内で自由に喫煙していた事業場も多いことから、一足飛びに対策を進めるわけにはいかない場合も多い。これから喫煙対策に取り組む事業場では、まず、啓発を兼ねたアンケート調査を実施した上で、喫煙場所の削減、煙の漏れない喫煙室・喫煙コーナーの設置、喫煙ルールの徹底、社内診療所での禁煙サポートをおこなうと良い。産業医科大学が中心となり10の事業場(労働者数13,335人)で総合的な喫煙対策を行った事例では、大幅な受動喫煙対策の進捗と喫煙率の低減が得られた。その内容を交えながら包括的な喫煙対策の手法について紹介する(本研究は、平成14年度〜16年度の厚生労働科学研究健康科学総合研究として実施した)。

 職場の喫煙に関するアンケートの実施
 職場における喫煙対策の必要性を全従業員に周知し、喫煙者に対しては禁煙することの啓発を兼ねたアンケートを実施する。産業医科大学で作成したアンケートには、(1)各職場の受動喫煙対策の内容、ルール違反の有無、曝露をうける時間などを把握する設問、(2)健康増進法、職場における喫煙対策のためのガイドライン、受動喫煙の有害性に関する周知を目的とした説問、(3)職場でこれから希望する受動喫煙対策の内容に関する設問、(4)喫煙者については禁煙を希望する度合いと全館禁煙化の容認に関する設問、など幅広い内容をカバーする(http://tenji.med.uoeh-u.ac.jp/smoke.htmlからダウンロード可能)。

 屋内の禁煙化と屋外喫煙所の作成
 最も簡便で効果の高い受動喫煙対策は、屋内を禁煙として喫煙は屋外で行うことである。喫煙に対する環境が厳しくなった今日、屋内を禁煙化することついての反対は小さくなってきている。10事業場でとられたアンケート結果では、「職場が全館禁煙になった場合に受け入れられるか」という設問に対して、喫煙者であっても74%の者が「受け入れる」という回答が得られたことから、屋内に喫煙場所を残さずに、屋内を禁煙とする対策が積極的にとられた。実際、職場全体を禁煙とし、屋外で喫煙する事業場も徐々に増えつつある。一部の事業場では、屋内を禁煙とした場合、工場の建屋の外に喫煙者がたむろして喫煙する光景が企業イメージを落とす、という理由で屋外に市販のガレージなどを利用して喫煙室を作成する場合も見受けられる。このような場合、屋外ではあっても3方向が壁で囲まれていると煙が籠もるため、内部に適切な排気装置を備えた方が良い。屋外で排気装置を稼働する場合には冷暖房のロスは発生しないため、ランニングコストはほとんどかからない。なお、排気装置を設置しない場合には、天井部分を塞いでしまわずに、自然換気ができるように空間を残しておくと良い。
 また、建物を全体を禁煙とする際に、出入口の外、建物すぐ横、軒先等に灰皿を設置しがちであるが、風向きによっては出入口や窓から建物内にたばこの煙の逆流が発生する原因となる。建物内への逆流を防止するためには、どの建物からも20m程度離れたオープンスペースを喫煙場所に指定すると良い。雨の日には傘を差して喫煙するしかないため、禁煙を促す効果も発生する。仮に、駐輪場を喫煙場所として指定する場合には、なるべく母屋となる建物からは離れた場所にする。ただし、隣地に設置している事業場では、周囲の住民の迷惑にならないように配慮せねばならない。

 煙の漏れない喫煙室、喫煙コーナーの導入
 屋外が火気厳禁の事業場、もしくは、その他の事情により屋内に喫煙場所を残す場合には、新ガイドラインに沿った喫煙室、もしくは、今回の調査結果の一部で紹介された喫煙コーナーを設置することとなる。

 禁煙サポート
 建物を全館禁煙にする場合には、社内の産業医・看護職や近隣の嘱託産業医と提携して同時に禁煙サポートを展開する必要がある。本研究に参加した事業場をはじめ、積極的に喫煙対策に取り組んでいる事業場では、以下のような禁煙サポートが実施されている。
(1)  全ての喫煙室、喫煙コーナー、屋外の喫煙場所に禁煙を啓発するポスターを掲示する。禁煙啓発ポスターや啓発教材はニコチンガム、ニコチンパッチの製造会社が無料で提供してくれる。それらのポスターに社内で受けられる禁煙サポートの情報提供を添付する。
(2)  全社的なイベントして世界禁煙デー(毎年5月31日)に全社1日禁煙の実施や禁煙・喫煙に関する標語や川柳のコンテストなどを企画する。また、喫煙者が毎日利用する喫煙場所やたばこの自動販売機を利用して禁煙啓発を行う。もちろん、たばこの販売を中止することが最も良い。
(3)  全国労働衛生習慣などに専門家を招いて教育講演を実施する
(4)  定期健康診断の個人票を利用した産業医からの個別の禁煙啓発
(5)  社内診療所における禁煙サポート、ニコチン代替療法の使用
(6)  禁煙を希望するものに対する重点的な指導

 以上の1から4までの喫煙対策及び禁煙サポートを積極的に実施した8事業場では、喫煙率が2年間で5.6%減少し、一方、最小限の対策しか行わなかった対照群の喫煙率は1.4%しか下がっておらず、職域における喫煙対策は高い有意差(p<0.0001)をもって有効であることが示された。

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