第2章 分煙対策実態調査
第2章 | 分煙対策実態調査 |
1. | 実態調査の目的 |
平成17年度に設置された「効果的な空間分煙対策推進検討委員会」の目的とする新ガイドラインが求める屋外排気方式の喫煙室等を設置するための工学的検討に資するため、事業場に設置されている喫煙室等による空間分煙対策の実態を調査する。 |
2. | 実態調査の対象 |
調査対象は、下記(1)〜(4)に示した空間分煙対策を実施している事業場の事例として各都道府県快適職場推進センターから紹介をうけた51喫煙室等(44事業場)と、委員から推薦された7喫煙室等(7事業場)の合計58喫煙室等(51事業場)のうちから、提出された喫煙室等の概要を元に事例の抽出を小委員会で検討し、実際に訪問して写真撮影・空気環境測定を行う15喫煙室等(11事業場)を選定した。 また、既に調査が行われている2事例を参考改善事例として選定した。
|
3. | 実態調査の内容 |
(1) | 調査項目 |
ア | 喫煙室等のタイプ |
イ | 喫煙室等及び周辺の概要等 |
ウ | 喫煙対策機器のタイプ及び排気風量等 |
エ | 空気環境測定 浮遊粉じん濃度、一酸化炭素濃度、非喫煙場所から喫煙室等に向かう風速の測定、視覚・臭覚によるたばこの煙の漏れの確認を行った。 |
オ | 喫煙行動基準関係 喫煙室等の定員、喫煙範囲の取り決め及び吸殻の後始末の仕方等が喫煙室等に掲示されているか調査を行った。 |
(2) | 測定方法 喫煙場所及び喫煙場所と非喫煙場所の境界部分で、浮遊粉じん濃度の経時的変化を一分毎に測定した(ただし、事例14だけは1秒毎に測定した。)。 一酸化炭素濃度は、喫煙室等及び喫煙場所と非喫煙場所の境界部分で検知管法により測定を行った。 気流は、喫煙場所と非喫煙場所の境界部分の上・中・下部において測定した。 |
(3) | 測定機器 |
ア | 浮遊粉じん濃度の測定 浮遊粉じん濃度の測定はデータログ機能を内蔵したデジタル粉じん計(柴田科学、LD−3K)を用い、経時変化を表計算ソフトによりグラフ化して評価を行った。質量濃度変換係数は0.0008(mg/m3)/cpmを用いた。 |
イ | 一酸化炭素濃度の測定 検知管法により喫煙直後の測定を行った。ただし、局所排気型の喫煙コーナーでたばこの煙が直ちに排気されて、一酸化炭素が検出されないことが予測された場合には測定を行わなかった。 |
ウ | 風速の測定 風速計(リオン、AM-09T)を用いて、10秒間の風速の平均値を求めた。 |
4. | 実態調査の期間 |
平成17年8月25日〜平成17年12月7日 |
5. | 実態調査結果の概要 |
今回、実態調査を行った喫煙室の6事例、喫煙コーナー9事例のポイントを以下に列挙する。 |
(1) | 喫煙室であれば、ガイドラインに記載されているように出入口の開口部分で非喫煙場所から喫煙室へ向かう一定方向の気流が0.2m/s以上あればたばこの煙の漏れはないことが確認された。 |
ア | 事例10〜13のように喫煙室の出入口で0.2m/s以上の気流が発生している場合には、ドアは不要であった。 |
イ | 出入口にはガラリのついたドアを用いるのではなく、たばこの煙が漏れない高さまでスクリーン(のれん)を下ろす対策の方が優れていることが認められた。 |
ウ | 事例14のように排気風量が不足している場合には、出入口にスクリーン(のれん)を設置して開口面積を小さくすることで、気流が確保でき漏れを防止することが可能であった。 |
エ | 適切なメンテナンス(掃除)が行われていない場合には、排気風量が低下する場合があり、定期的なチェックが必要であることが認められた。 |
(2) | 喫煙コーナーにおいても、境界部分で0.2m/s以上の気流が得られている場合にはコーナー外への漏れがないこと、また、喫煙コーナー内部で上方向に0.1m/s程度以上の気流が得られれば煙の滞留がなく、局所排気として機能していることが認められた。 逆にいうと、喫煙コーナーを設置する場合には、既存の(設置可能な)排気風量を利用して上向き方向に0.1m/s以上の気流が得られる大きさの喫煙コーナーしか設置できないといえる。 |
(3) | 喫煙室を設けるスペースがない場合の対策として、喫煙コーナー(事例1〜8)や喫煙ボックス(事例9)を設置することにより、ガイドラインの要件を満足できることが分かった。個々の事例についての詳細は、事例ごとに記載した。 |
(4) | 喫煙コーナーの事例一覧 |
形式 | 事例番号 | 排気風量 (m3/h) |
開口部分 の気流 (m/s) |
漏れの 有無 |
コーナー内の 上昇気流 |
滞留の 有無 |
上方吸引式 | 1 | 2,470 | 0.38 | 無 | 0.27 | 無 |
2 | 3,966 | 0.47 | 無 | 0.38 | 無 | |
3 | 770 | 0.28 | 無 | 0.08 | 無 | |
4 | 2,530 | 0.48 | 無 | 0.40 | 無 | |
5 | 1,320 | 0.24 | 無 | 0.12 | 無 | |
6 | 2,640 | 0.31 | 無 | 0.10 | 無 | |
7 | 900 | 0.15〜0.20 | 無 | 0.17 | 無 | |
8 | 660 | 測定限界以下 | 有 | 0.06 | 有 | |
喫煙ボックス | 9 | 670 | 0.29 | 無 | 0.08 | 無 |
(5) | 喫煙室の事例一覧 |
事例 | 事例番号 | 排気風量 (m3/h) |
開口部分 の気流 (m/s) |
漏れの 有無 |
備考 |
新築時より計画的に設置された喫煙室の例 | 10 | 2,154 | 0.23 | 無 | |
既存の建築物に設置した喫煙室の例 | 11 | 1,176 | 0.38 | 無 | |
12 | 1,980 | 0.27 | 無 | ||
13-1 | 1,440 | 0.25 | 無 | メンテナンス前後の比較 | |
13-2 | 1,960 | 0.34 | 無 | ||
14-1 | 480 | 0.08 | 有 | ガラリとスクリーンの比較 | |
14-2 | 480 | 0.25 | 無 | ||
ガイドライン改正に伴い設計変更を行った例 | 15 | 1,980 | 0.44 | 無 | |
参考改善事例 | 16前 | 1,040 | 2.0 | 無 | ドアストッパーでドアを10cm開ける |
16後 | 1,160 | 0.19 | 無 | ドアを開放し、床上70cmまでのスクリーン設置 | |
17前 | 1,160 | 0.19 | 有 | ドア開放 | |
17後 | 1,160 | 0.27 | 無 | 出入口に床上1.4mのスクリーン設置 |
(注) | 事例番号13−1と13−2、14−1と14−2、16前と16後、17前と17後は、それぞれ同じ喫煙室について、改善の前と後を比較した。 |
喫煙室等の空気環境等測定結果一覧
測定項目等 | 喫煙室を作るスペースが少ない事業場における喫煙室等 | 新築時より計画的に設置された喫煙室 | 既存の建築物に設置した喫煙室等 | ガイドライン改正に伴い、設計変更を行った喫煙室 | ||||||||||||||
上方吸引式喫煙コーナー | 喫煙 ボックス |
事例11 | 事例12 | 現状を改善した事例 | ||||||||||||||
事例1 | 事例2 | 事例3 | 事例4 | 事例5 | 事例6 | 事例7 | 事例8 | 事例9 | 事例10 | 事例13 メンテナンス 前 |
事例13 メンテナンス 後 |
事例14 ガラリ |
事例14 スクリーン |
事例15 | ||||
喫煙コーナー | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||
喫煙室 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||
喫煙室等の形式 | キャノピー | キャノピー | キャノピー | 換気扇+ スクリーン |
換気扇+ スクリーン |
換気扇+ スクリーン |
換気扇+ スクリーン |
天井 排気口 |
喫煙 ボックス |
天井 排気ダクト |
標準 換気扇 |
標準 換気扇 |
有圧 換気扇 |
有圧 換気扇 |
標準 換気扇 |
標準 換気扇 |
天井 排気口 |
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排気装置 | メーカー名 | 東芝 キャリア |
東芝 キャリア |
日立 | 三菱電機 | 三菱電機 | 三菱電機 | − | − | 三菱電機 | − | − | − | 三菱電機 | 三菱電機 | − | − | − |
型式 | VP-456 TKX |
VP-456 TKX |
SA-30AR | EFG-40KS -W |
EF-25ASB | EF-25YSB | 羽根径 25cm |
− | VD-23ZX P-6 |
− | − | − | EF-25US | EF-25US | − | − | − | |
排気風量 (m3/h) |
2,470 | 3,966 | 770 | 2,530 | 1,320 | 2,640 | 900 | 660 | 670 | 2,154 | 1,176 | 1,980 | 1,440 | 1,960 | 480 | 480 | 1,980 | |
平均浮遊粉じん 濃度(mg/m3) |
喫煙室等内 | 0.02~0.46 | 0.02~0.19 | 0.02~0.41 | 0.02~0.51 | 0.02~0.14 | 0.03~0.37 | 0.02~0.91 | 喫煙フード0.02~0.68 喫煙室内0.03~0.36 |
0.05~1.23 | 0.01~0.88 | 0.02~0.23 | 0.01~0.08 | 0.03~0.55 | 0.03~0.08 | 0.23 | 0.30 | 0.02~0.43 |
喫煙室等外 | 0.02 | 0.01 | 0.02 | 0.02 | 0.02 | 0.03 | 0.02 | 0.01~0.02 | 0.04 | 0.01 | 0.01~0.02 | 0.01 | 0.03 | 0.02~0.03 | 0.03 | 0.02 | 0.02~0.03 | |
一酸化炭素濃度(ppm) | − | − | − | − | 0 | 0 | − | 1 | − | 0 | − | − | 1 | 1 | 2 | 2 | 1 | |
非喫煙場所から喫煙室等へ 向かう気流の風速 |
0.38m/s | 0.47m/s | 0.28m/s | 0.48m/s | 0.24m/s | 0.31m/s | 0.15~ 0.20m/s |
測定限界 以下 |
0.29m/s | 0.23m/s | 0.38m/s | 0.27m/s | 0.25m/s | 0.34m/s | 0.08m/s | 0.25m/s | 0.44m/s | |
たばこの煙の漏れ | 無 | 無 | 無 | 無 | 無 | 無 | 無 | 有 | 無 | 無 | 無 | 無 | 無 | 無 | 有 | 無 | 無 | |
喫煙行動基準 | 喫煙定員 | 6 | 6 | 6 | 4 | 4 | 無 | 4 | 無 | 3 | 6 | 無 | 2 | 無 | 無 | 無 | 無 | 6 |
灰皿の後始末 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
基準の掲示 | 有 | 有 | 無 | 有 | 無 | 無 | 無 | 無 | 無 | 無 | 無 | 無 | 無 | 無 | 無 |
6 | 実態調査結果 |
(1) | 喫煙室を作るスペースが少ない事業場における喫煙室等 |
ア | 上方吸引式喫煙コーナー |
(ア) 事例1 | (キャノピー型) |
【 | 喫煙コーナーの構造】 工場の中央にキャノピー型のフード(1辺1.6m、2.56m2)を設置、4方向にスクリーン(床上1.2m)を吊るした喫煙コーナーを作成。喫煙者はフード内に入って喫煙を行う。たばこの煙はダクト(約10m)を通して屋外へ排気する。 |
【 | 排気装置】 東芝キャリア製、産業用有圧換気扇:VP-456TKX、羽根径45cm、77m3/min=4,620m3/h |
【 | 排気風量実測値】 ダクト部(0.7m×0.7m)における風速(1.4m/s)とその断面積から実際の排気風量を求めた。 排気風量実測値=60×ダクト断面積(0.49m2)×風速(1.4m/s)=41.2(m3/min)=2,470(m3/h) |
【 | 喫煙コーナーへ向かう気流とたばこの煙の漏れの有無】 スクリーン下の開口部分において一定方向の空気の流れ(0.38m/s)があるため、6名で同時に喫煙をしても煙の漏れは全く認められない。 |
【 | 喫煙コーナー内のたばこの煙の流れと測定結果】 ダクトで測定された排気風量実測値(2,470m3/h)を喫煙コーナーの面積(2.56m2)で割ると、上方向に0.27m/sの空気の流れが得られており、たばこの煙が拡散せず局所排気として機能していることが考えられた。 たばこの煙は上方向に吸引され、喫煙コーナーに全く滞留することなく直ちに排気されることが観察された。 粉じん計は6名の喫煙者の中央に設置したが、喫煙コーナー内の粉じん濃度が全く上昇しないため、たばこの煙を若干吹きかけながら測定を行った。通常の喫煙方法であれば、喫煙者自身の受動喫煙も発生しないほど上向き方向の空気の流れは強力であった。 |


![]() |
![]()
|
工場の中央にキャノピー型フードを設置、4辺にスクリーンを吊した喫煙コーナーフード内で6名が同時に喫煙 |
![]() |
![]() 喫煙コーナーにむかう気流は0.38m/sありタバコ煙の漏れは認められない。 |

測定場所
測定項目
|
喫煙コーナー内 | 喫煙コーナー外 | ||
平均浮遊粉じん濃度 | 開始時刻 終了時刻 |
喫煙本数 | (mg/m3) | (mg/m3) |
14:53 15:00 |
喫煙前 | 0.03 | 0.02 | |
15:00 15:05 |
6 | 0.46 | 0.02 | |
15:05 15:10 |
喫煙後 | 0.02 | 0.02 | |
一酸化炭素濃度(ppm) | − | − | ||
非喫煙場所から喫煙室等へ 向かう気流の風速 |
スクリーン下 0.38m/s | |||
たばこの煙の漏れ | 無 |
(イ) 事例2 | (キャノピー型) |
【 | 喫煙コーナーの構造】 工場の一角、2方向が壁となる場所に排気装置(羽根径45cm)を設置し、屋内側にキャノピー型フードを設けた。フードにはスクリーン(床上1.2m)を吊して喫煙コーナーを作成。喫煙者はフード内に入って喫煙を行う。たばこの煙は換気扇を通して屋外へ排気する。 |
【 | 排気装置】 東芝キャリア製、産業用有圧換気扇:VP-456TKX、羽根径45cm、77m3/min=4,620mm3/h |
【 | 排気風量の実測値】 ダクトの位置が高く、ダクト部における風速が測定できなかったため、フード部(2.9m2)における風速(0.38m/s)から実際の排気風量を求めた。 排気風量実測値=60×フード断面積(2.9m2)×風速(0.38m/s)=66.1(m3/min)=3,966(m3/h) |
【 | 喫煙コーナーへ向かう気流とたばこの煙の漏れの有無】 スクリーン下の開口部分において一定方向の空気の流れ(0.47m/s)があるため、6名が同時に喫煙しても喫煙コーナー外への煙の漏れは全く認められない。 |
【 | 喫煙コーナー内のたばこの煙の流れと測定結果】 喫煙コーナーで上方向に0.38m/sの空気の流れが得られており、局所排気として機能していることが考えられた。 粉じん計は6名の喫煙者の中央に設置したが、喫煙コーナー内の粉じん濃度が全く上昇しないため、たばこの煙を若干吹きかけながら測定を行った。 |


![]() フード内で6名が同時に喫煙 |
|
![]()
|
![]() |
![]() スクリーン下の気流は0.47m/sあり、タバコ煙の漏れは認められない。 |

測定場所
測定項目
|
喫煙コーナー内 | 喫煙コーナー外 | ||
平均浮遊粉じん濃度 | 開始時刻 終了時刻 |
喫煙本数 | (mg/m3) | (mg/m3) |
14:31 14:33 |
喫煙前 | 0.02 | 0.01 | |
14:33 14:36 |
6 | 0.19 | 0.01 | |
14:36 14:39 |
喫煙後 | 0.03 | 0.01 | |
一酸化炭素濃度(ppm) | − | − | ||
非喫煙場所から喫煙室等へ 向かう気流の風速 |
スクリーン下 0.47m/s | |||
たばこの煙の漏れ | 無 |
(ウ) 事例3 | (キャノピー型) |
【 | 喫煙コーナーの構造】 壁に軸流式有圧換気扇(羽根径30cm)を固定し、屋内にキャノピー型喫煙コーナーを設置。天井裏のダクトを通して排気を行う。キャノピー型フード(幅2.0m、奥行き1.3m、面積2.6m2)の4辺にスクリーン(床上0.37m)を吊して、喫煙者はスクリーンの隙間から出入りする。 |
【 | 排気装置】 日立製、有圧換気扇:SA-30AR、羽根径30cm、23.5m3/min=1,410m3/h |
【 | 排気風量実測値】 キャノピー内の排気口(0.35m×0.35m)における風速1.75m/sから実際の排気風量を求めた。 排気風量実測値=60×0.12(m2)×1.75(m/s)=12.5(m3/min)=770(m3/h) |
【 | 喫煙コーナーへ向かう気流とたばこの煙の漏れの有無】 スクリーン下の開口部分において一定方向の気流0.28m/sが得られており、たばこの煙の漏れは全く認められない。 |
【 | 喫煙コーナー内のたばこの煙の流れと測定結果】 喫煙により発生した煙は排気装置による気流およびたばこの煙そのものが持つ上昇気流により上方向に拡散してキャノピー部分に達する。キャノピー部分に達したたばこの煙は、上向き方向の気流(0.19m/s)により速やかに排気される。 |



キャノピー型喫煙コーナー スクリーンは床上37cm、6名が同時に喫煙 |

スクリーン下の空気の流れ 喫煙コーナーへむかう一定の気流(0.28m/s)があり、たばこの煙の漏れは認められない。 |
![]() 有圧換気扇、羽根径30cm 排気装置屋外側にはウェザーカバーの設置が必要 |
![]() フード内天井部分の排気口 (0.35m×0.35m) |
![]() 排気口における風速測定 排気風量実測値(770m3/h) |
![]() キャノピー部分の空気の流れ 上向き方向の気流0.19m/s |

測定場所
測定項目
|
喫煙コーナー内 | 喫煙コーナー外 | ||
平均浮遊粉じん濃度 | 開始時刻 終了時刻 |
喫煙本数 | (mg/m3) | (mg/m3) |
10:22 10:25 |
喫煙前 | 0.02 | 0.02 | |
10:25 10:30 |
6 | 0.41 | 0.02 | |
10:30 10:34 |
喫煙後 | 0.07 | 0.02 | |
一酸化炭素濃度(ppm) | − | − | ||
非喫煙場所から喫煙室等へ 向かう気流の風速 |
スクリーン下 0.28m/s | |||
たばこの煙の漏れ | 無 |
(エ) 事例4 | (換気扇+スクリーン) |
【 | 喫煙コーナーの構造】 食堂の壁に換気扇を設置、屋内側に排気口を設け、その周囲をL字型にスクリーン(床上90cm)で囲んで喫煙コーナー(幅2.05m、奥行き0.86m、面積1.76m2)を確保。喫煙コーナーにはスクリーンの隙間から出入りする。 |
【 | 排気装置】 三菱電機製、有圧換気扇:EFG-40KS-W、シャッター付き、強運転時55.5m3/min=3,330m3/h |
【 | 排気風量実測値】 換気扇の吸引能力が喫煙コーナー全体に及ぶように、喫煙コーナーの天井部分に沿って排気口(1.3m×0.2m=0.26m2)を作成。 排気風量実測値=60×排気口面積(0.26m2)×平均風速(2.7m/s)=42m3/min=2,530m3/h |
【 | 喫煙コーナーへ向かう気流とたばこの煙の漏れの有無】 スクリーン下において0. 48m/sの一定方向の気流が得られており、4名が同時に喫煙してもたばこの煙の漏れは全く認められない。 |
【 | 喫煙時のたばこの煙の流れ】 喫煙コーナー内で上方向に0.40m/sの空気の流れが得られており、発生したたばこの煙は直ちに天井部分の排気口から排出され、局所排気として機能していることが考えられた。 前半は通常の喫煙を行ったため喫煙コーナー内の粉じん計が反応しなかったため、後半は意図的に粉じん計に若干の煙を吹きかけながら喫煙を行った。 |


![]() 食堂の一角に喫煙コーナー設置 |
![]() |
|
![]() |
排気口における 風速測定 |
|

測定場所
測定項目 |
喫煙コーナー内 | 喫煙コーナー外 | ||
平均浮遊粉じん濃度 | 開始時刻 終了時刻 |
喫煙本数 | (mg/m3) | (mg/m3) |
15:15 15:20 |
喫煙前 | 0.02 | 0.02 | |
15:20 15:23 |
4 | 0.51 | 0.02 | |
15:23 15:25 |
喫煙後 | 0.03 | 0.02 | |
一酸化炭素濃度(ppm) | − | − | ||
非喫煙場所から喫煙室等へ 向かう気流の風速 |
スクリーン下 0.48m/s | |||
たばこの煙の漏れ | 無 |
(オ) 事例5 | (換気扇+スクリーン) |
【 | 喫煙コーナーの構造】 航空機騒音対策として窓が二重構造となっている。また、天井が高い(3m)ため、金属製の棒を天井裏に固定し、屋内に中天井(幅2.0m、奥行き1.5m、面積3.0m2)を設け、その周囲3方向にスクリーン(床上50〜80cm)を吊して喫煙コーナーを確保した。 屋外側の上の窓枠に換気扇を固定し、屋内側の上の窓の一部及び下側の窓を開けて排気口とすることで、煙は二重窓の間の空間を通して屋外へ排気される。 |
【 | 排気装置】 三菱電機製、産業用有圧換気扇:EF-25ASB、羽根径25cm、22m3/min=1,320m3/h |
【 | 喫煙コーナーへ向かう気流とたばこの煙の漏れの有無】 スクリーンの下で喫煙コーナーへ向かう気流(0.24m/s)が発生しているため、喫煙コーナー内のたばこの煙の漏れは全く認められない。 |
【 | 喫煙時のたばこの煙の流れ】 排気風量(1,320m3/h)をコーナーの床面積(3.0m2)で割ると、計算上の上方向への空気の流れは0.12m/sとなる。つまり、スクリーンの内側(喫煙者よりも風上)から排気装置(喫煙者よりも風下)に向かって一定方向の空気の流れが発生しており、局所排気の効果が得られていることが認められた。 |


|
|

測定場所
測定項目 |
喫煙コーナー内 | 喫煙コーナー外 | |||
風下 | 風上 | ||||
平均浮遊粉じん濃度 | 開始時刻 終了時刻 |
喫煙本数 | (mg/m3) | (mg/m3) | (mg/m3) |
10:03 10:05 |
喫煙前 | 0.02 | 0.02 | 0.02 | |
10:05 10:10 |
3 | 0.14 | 0.04 | 0.02 | |
10:10 10:12 |
喫煙後 | 0.02 | 0.02 | 0.02 | |
一酸化炭素濃度(ppm) | 0 | − | − | ||
非喫煙場所から喫煙室等へ 向かう気流の風速 |
0.24m/s | ||||
たばこの煙の漏れ | 無 |
(カ) 事例6 |
【 | 喫煙コーナーの構造】 固定式の窓の一部を切り取り、アルミの補強材を用いて有圧換気扇を2台固定。 部屋の角の換気扇周囲をロールスクリーンでL字型(幅3.0m、奥行き2.4m、床面積7.2m2)に囲んで喫煙コーナーを確保。ロールスクリーンは出入口に使用する部分は床上110cmまで、それ以外の部分は床上40cmまで下ろして使用する。 |
【 | 排気装置】 |
三菱電機製、産業用有圧換気扇: | EF-25YSB、羽根径25cm、22m3/min=1,320m3/h 換気扇2台の合計排気風量44m3/min=2,640m3/h |
【 | 喫煙コーナーへ向かう気流とたばこの煙の漏れの有無】 スクリーン下において0.31m/sの一定方向の空気の流れが得られており、煙の漏れは全く認められない。 |
【 | 喫煙時のたばこの煙の流れ】 合計排気風量(2,640m3/h)を床面積(7.2m2)で割ると、計算上の上方向への空気の流れは0.10m/sとなる。粉じん濃度測定でも、喫煙コーナーのスクリーンの内側(喫煙者よりも風上)の粉じん濃度は換気扇の下(喫煙者よりも風下)よりも明らかに低く、喫煙コーナーの中を一定方向に空気が流れ、局所排気の効果が得られていることが認められた。 |



喫煙時はL字型のロールスクリーンを床上40cmまで下ろす。
![]() 出入口 出入口のスクリーンは床上110cm、かがんで出入りする。 |
![]() 換気扇:窓の一部を切り取って固定 |
![]() スクリーン下の気流 一定方向の気流(0.31m/s)があり煙の漏れはない。 |

測定場所
測定項目 |
喫煙コーナー内 | 喫煙コーナー外 | ||
平均浮遊粉じん濃度 | 開始時刻 終了時刻 |
喫煙本数 | (mg/m3) | (mg/m3) |
10:40 10:42 |
喫煙前 | 0.03 | 0.03 | |
10:42 10:46 |
3 | 0.45 | 0.03 | |
10:46 10:48 |
喫煙後 | 0.05 | 0.03 | |
一酸化炭素濃度(ppm) | 0 | − | ||
非喫煙場所から喫煙室等へ 向かう気流の風速 |
0.31m/s | |||
たばこの煙の漏れ | 無 |
(キ) 事例7 | (換気扇+スクリーン) |
【 | 喫煙コーナーの構造】 製造業、10名ほどが使用する休憩室の壁に換気扇を設置し、その周囲にコの字型に防炎スクリーン(床上80cmまで)を吊り下げて喫煙コーナー(1.2m×1.2m、1.44m2)を作成した。 |
【 | 排気装置】 標準換気扇:羽根径25cm、15m3/min=900m3/h |
【 | 喫煙コーナーへ向かう気流とたばこの煙の漏れの有無】 スクリーンの下で0.15〜0.2m/sの気流が得られており、喫煙が行われてもたばこの煙の漏れは認められない。なお、風速が一部ガイドラインに合致していないため、安全面を考えるともう少し風速を上げる必要がある。 |
【 | 喫煙時のたばこの煙の流れ】 排気風量(900m3/h)を床面積(1.44m2)で割ると、計算上の上方向への空気の流れは0.17m/sとなる。局所排気として機能しており、発生したたばこの煙は速やかに換気扇から屋外へ排気されることが認められた。 |



換気扇周囲に床上80cmまでのスクリーンを設置した喫煙コーナー

蛍光灯を横切る部分に隙間があるが煙の漏れはない。

測定場所
測定項目 |
喫煙コーナー内 | 喫煙コーナー外 | ||
平均浮遊粉じん濃度 | 開始時刻 終了時刻 |
喫煙本数 | (mg/m3) | (mg/m3) |
13:50 13:52 |
喫煙前 | 0.02 | 0.02 | |
13:52 13:56 |
4 | 0.91 | 0.02 | |
13:56 13:57 |
喫煙後 | 0.02 | 0.02 | |
一酸化炭素濃度(ppm) | − | − | ||
非喫煙場所から喫煙室等へ 向かう気流の風速 |
0.15〜0.20m/s | |||
たばこの煙の漏れ | 無 |
(ク) 事例8 | 既存の建築物の喫煙室内に喫煙コーナーを設置することで改善を試みた事例 |
【 | 喫煙室の構造と問題点】 高層ビルの廊下に面した喫煙室(幅5m、奥行き3.5m、高さ2.4m)で、空気清浄機を3台設置して喫煙を行っている。 排気風量は660m3/hあるが、エアコンの給気及び空気清浄機による空気の撹拌のため、天井からの排気効率が悪かった。また、排気(660m3/h)以外に給気も行われているため、喫煙室の陰圧が弱められ、ドアを開閉するたびに漏れていた。喫煙室からのたばこの煙の漏れを防止するために十分な陰圧が得られていないため、廊下への漏れが発生していた。 |
【 | 改善を試みた内容】
|
【 | 結果】
|
【 | 考察】
|


|
改善後
|
||||
![]() |
||||
|


測定場所
測定項目 |
喫煙室内 喫煙コーナー |
出入口緩衝区域 | 喫煙室外 | ||
平均浮遊粉じん濃度 | 開始時刻 終了時刻 |
喫煙本数 | (mg/m3) | (mg/m3) | (mg/m3) |
10:43 10:51 |
喫煙前 | 0.02 | 0.03 | 0.02 | |
12:00 12:20 |
20 | 0.14 | 0.06 | 0.01 | |
12:20 12:30 |
18 | 0.51 | 0.13 | 0.01 | |
12:30 12:50 |
37 | 1.03 | 0.18 | 0.02 | |
12:50 13:10 |
35 | 1.28 | 0.22 | 0.02 | |
13:10 13:30 |
16 | 0.29 | 0.13 | 0.01 | |
13:30 13:50 |
8 | 0.34 | 0.14 | 0.01 | |
14:01 14:10 |
喫煙後 | 0.38 | 0.36 | 0.01 | |
一酸化炭素濃度(ppm) | 1 | − | − | ||
非喫煙場所から喫煙室等へ 向かう気流の風速 |
ドア開放時:検知限界以下 | ||||
たばこの煙の漏れ | 有 |
イ | 喫煙ボックス |
事例9 |
【 | 喫煙ボックスの構造】 建築用の安価な部材を利用して幅1.5m、奥行き1.5m、高さ2.3mの骨組みを防炎スクリーンで覆うことにより喫煙ボックスを作成。 |
【 | 排気装置】 三菱電機製、遠心式排気装置:VD-23ZXP-6、 670m3/h |
【 | 喫煙ボックスへ向かう気流とたばこの煙の漏れの有無】 出入口にスクリーンを垂らして開口面積を小さくすることで(幅0.74m、高さ0.85m、面積0.63m2)、開口部分で0.29m/sの一定方向の空気の流れが得られており、ボックス外への漏れは全く認められない。 |
【 | 喫煙ボックス内のたばこの煙の流れ】 排気風量(670m3/h)をボックスの床面積(2.25m2)で割ると、上方向への空気の流れは0.083m/sが得られていることになる。 局所排気として機能するまでには不十分であるが、排気風量をボックスの容積で割った換気回数は130回/hになるため、ボックスの中に煙が滞留することはない。 |
【 | 備考】 工房で製作し、軽トラックで現地へ運ぶため、20万円程度で設置可能。 床置き式であり、消防法や建築基準法上の問題が小さい。 |


![]() 建築で使用される安価な部材を利用して箱を作成 |
![]() |
![]() 遠心式排気装置 |
3名が同時に喫煙して測定 |

喫煙ボックス:その他の施工例 幅1.5m、奥行き1.5m、高さ2.3m |

喫煙ボックス:その他の施工例 工場内の通路にあわせた変則4角形 |

測定場所
測定項目 |
ボックス内 | ボックス外 | ||
平均浮遊粉じん濃度 | 開始時刻 終了時刻 |
喫煙本数 | (mg/m3) | (mg/m3) |
12:27 12:29 |
喫煙前 | 0.05 | 0.04 | |
12:29 12:33 |
4 | 1.23 | 0.04 | |
12:33 12:37 |
喫煙後 | 0.05 | 0.04 | |
一酸化炭素濃度(ppm) | − | − | ||
非喫煙場所から喫煙室等へ 向かう気流の風速 |
0.29m/s | |||
たばこの煙の漏れ | 無 |
(2) | 新築時より計画的に設置された喫煙室の事例(高層建築) 事例10 |
【 | 喫煙室の構造】 新築時より排気ダクトを設け、喫煙室を設置した事例。 |
【 | 喫煙室へ向かう気流の風速と排気風量】 出入口(幅1.07m、高さ2.4m)における風速は上部(210cm)0.21m/s、中部(140cm)0.29m/s、下部(50cm)0.20m/s、平均風速0.233m/sから計算された排気風量=35.9m3/min=2,154m3/h |
【 | 喫煙室からの漏れの有無】 出入口、特に上部、中部で0.2m/s以上の一定方向の空気の流れが得られており喫煙室外へのたばこの煙の漏れは認められない。 |
【 | 喫煙室内のたばこの煙の濃度】 喫煙時には喫煙室内全体にたばこの煙が拡散する。時間当たりの喫煙本数(6本/10分間及び4本/10分間)に対して排気風量が小さいため喫煙室内の粉じん濃度はガイドラインの基準値よりも高い値となっている。 喫煙室内においても平均粉じん濃度が0.15mg/m3以下の空気環境を維持するためには、時間あたりの喫煙者数を制限する、もしくは、現在の排気風量を利用して喫煙室内に局所排気型の喫煙コーナーを設ける対策を検討する必要がある。 |
【 | 備考】 喫煙室内には、人感センサーが設置され、省エネにも配慮されている。 |


![]() |
![]() |
喫煙室外観 新築時より計画的に設計された喫煙室。ガラスを多用し、美観もよい。ドアがなくてもタバコの煙が漏れない排気風量を設置。 |
測定時風景 4名が同時に喫煙している時に、喫煙室の中および喫煙室外で同時に粉じん濃度測定を実施。 |
![]() |
![]() |
スモークテスターによる気流の確認 出入口の開口部分の上部で0.21m/s、中央で0.29m/s、下部で0.20m/s(平均0.23m/s)の気流が得られており、煙の漏れは認められない。 |
天井に設置された排気口。 設計当初から排気口が計画されているため美観もよい。 |

測定場所
測定項目 |
喫煙室中央 | 喫煙室外 | ||
平均浮遊粉じん濃度 | 開始時刻 終了時刻 |
喫煙本数 | (mg/m3) | (mg/m3) |
14:20 14:29 |
喫煙前 | 0.01 | 0.01 | |
14:29 14:39 |
6 | 0.88 | 0.01 | |
14:39 14:49 |
4 | 0.49 | 0.01 | |
14:49 14:59 |
喫煙後 | 0.01 | 0.01 | |
一酸化炭素濃度(ppm) | 0 | 0 | ||
非喫煙場所から喫煙室等へ 向かう気流の風速 |
上 0.21m/s 中 0.29m/s 下 0.20m/s |
|||
たばこの煙の漏れ | 無 |
(3) | 既存の建築物に設置した喫煙室の事例 |
ア 事例11 | 喫煙室(低層建築) |
【 | 喫煙室の構造】 食堂の一角にパネルを用いて喫煙室(幅2.7m、奥行き1.8m、高さ3.0m)を確保。 窓枠に標準換気扇(羽根径30cm)を2台設置(合計排気風量2,200m3/h)。 出入口(幅0.86m、高さ2.06m)にはドアを設けず、開口のまま用いている。 |
【 | 喫煙室出入口開口部分における気流】 出入口開口部分の上部 0.38m/s、中部 0.39m/s、下部 0.38m/s、平均風速 0.38m/sから計算された排気風量= 19.6m3/min= 1,176m3/hあり、出入口で0.2m/s以上の一定方向の気流が得られており漏れはない。 |
【 | 喫煙時のたばこの煙の流れ】 喫煙室の中央に置かれたテーブルの周囲で喫煙が行われるため、たばこの煙は喫煙室に一旦拡散した後に希釈される。 |
【 | 喫煙室内のたばこの煙の濃度】 喫煙本数が4本 / 10分間の場合に、時間当たりの喫煙本数に対して排気風量が小さいため、喫煙室内の粉じん濃度はガイドラインの基準値よりも高い値となっている。 |
【 | 備考】 喫煙室は常時使用されるわけではない。人感センサーにより最後の喫煙者が退室して6分後に換気扇はオフとなるように設定され、省エネに配慮している。 |



食堂の一角にパネルを用いて喫煙室を設置した。窓の一部に換気扇を2台設置して、出入口は開放状態で使用しているが、開口部分において平均0.38m/sの一定方向の気流が得られておりたばこの煙の漏れは認められない。 |

測定場所
測定項目 |
喫煙室内 | 喫煙室外 | ||
平均浮遊粉じん濃度 | 開始時刻 終了時刻 |
喫煙本数 | (mg/m3) | (mg/m3) |
11:55 12:06 |
喫煙前 | 0.02 | 0.02 | |
12:06 12:15 |
2 | 0.05 | 0.02 | |
12:15 12:25 |
4 | 0.23 | 0.02 | |
12:25 12:35 |
2 | 0.07 | 0.02 | |
12:35 12:48 |
喫煙後 | 0.02 | 0.01 | |
一酸化炭素濃度(ppm) | − | − | ||
非喫煙場所から喫煙室等へ 向かう気流の風速 |
上 0.38m/s 中 0.39m/s 下 0.38m/s |
|||
たばこの煙の漏れ | 無 |
イ 事例12 | 喫煙室(低層建築) |
【 | 喫煙室の構造】 事務室の一角にパネルを用いて喫煙室(幅2.5m、奥行き2.7m、高さ3.0m)を確保。 壁と窓枠に標準換気扇2台(羽根径25cm=900m3/h、30cm=1,100m3/h)、合計排気風量2,000m3/hを設置。 |
【 | 喫煙室出入口開口部分における気流】 出入口(幅0.98m、高さ2.06m)における風速は、上部0.28m/s、中部0.27m/s、下部0.27m/s、平均風速0.27m/sから計算された排気風量=33m3/min=1,980m3/h 出入口で0.2m/s以上の一定方向の気流が得られており漏れはない。 |
【 | 喫煙室内のたばこの煙の濃度】 今回の調査では、4分間に2本の喫煙があり、時間当たりの喫煙本数に対して排気風量が十分であるため喫煙室内の平均粉じん濃度はガイドラインの基準値よりも低い値となっている。 |
【 | 備考】 喫煙室は常時使用されるわけではない。人感センサーにより最後の喫煙者が退室して6分後に換気扇はオフとなるように設定され、省エネに配慮している。 |



出入口は開放状態で喫煙しているが、開口部分で平均0.27m/sの一定方向の気流が得られているため、たばこの煙の漏れは認められない。 灰皿を換気扇に近い位置に置き、灰皿を台の上に乗せることにより灰皿と換気扇の距離を近くする工夫をしている。また、喫煙者が自然に換気扇にむかって煙を吐くような位置に灰皿を設置しているため、たばこの煙が喫煙室に拡散する前に直接換気扇から排気され、喫煙室内全体に煙が拡散することを防止している。 |

測定場所
測定項目 |
喫煙室内 | 喫煙室外 | ||
平均浮遊粉じん濃度 | 開始時刻 終了時刻 |
喫煙本数 | (mg/m3) | (mg/m3) |
17:05 17:06 |
喫煙前 | 0.03 | 0.01 | |
17:06 17:10 |
2 | 0.08 | 0.01 | |
17:10 17:15 |
喫煙後 | 0.01 | 0.01 | |
一酸化炭素濃度(ppm) | − | − | ||
非喫煙場所から喫煙室等へ 向かう気流の風速 |
上 0.28m/s 中 0.27m/s 下 0.27m/s |
|||
たばこの煙の漏れ | 無 |
ウ | 現状を改善した事例 |
(ア) 事例13 | メンテナンスを行った事例 |
事例13ー1: | メンテナンス前(換気扇の屋外側シャッターが半分降りた状態) |
事例13ー2: | メンテナンス後(換気扇の屋外側シャッターを完全に開けた状態) |
【 | 喫煙室の構造】 喫煙コーナーとして指定されていたロビーの一角をガラス製のパネルで仕切って喫煙室を設置。排煙用の窓の窓枠に換気扇を2台設置。 |
【 | 排気装置】 三菱電機製、産業用有圧換気扇、EF-25US、羽根径25cm(1,320m3/h)、2台(合計排気風量 2,640m3/h) |
【 | 喫煙室出入口開口部分における気流と排気風量計算値】 メンテナンス前(グラフ左) 出入口開口部分の風速上部(190cm)0.26m/s、中部(110cm)0.25m/s、下部(30cm)0.24m/s、平均風速0.25m/sから求めた排気風量は24m3/min=1,440m3/hあり、出入口からのたばこの煙の漏れは全く認められない。 メンテナンス後(グラフ右) 出入口開口部分の風速上部0.32m/s、中部0.37m/s、下部0.33m/s、平均風速0.34m/sから求めた排気風量は32.6m3/min=1,960m3/hあり、出入口からの煙の漏れは全く認められない。 |
【 | 喫煙時のたばこの煙の流れ】 喫煙室の中央に灰皿が設置されているため、たばこの煙は喫煙室全体に拡散した後に希釈される。 メンテナンス後では排気風量が増加した分、喫煙室内の煙の濃度の上昇が低い。 |
【 | 備考】 施工後7年が経過しており、屋外側のシャッターが上がらなくなっていた。 排気風量が低下していても、出入口で0.24m/sの気流が発生していたため、ロビーへの漏れが無く、排気風量が低下していたことに気づかれなかった。 排気装置には定期的なメンテナンスが必要であることを示す事例である。 |



出入り口にドアはないが、煙の漏れはない。
![]() 換気扇屋外側 |
![]() 換気扇屋内側 |

換気扇メンテナンス前
風圧であがるはずのシャッターが半開き状態

換気扇メンテナンス後
シャッターが完全にあがるように支え棒を設置
![]() |
![]() |
![]() メンテナンス前 |
![]() メンテナンス後 |
測定場所
測定項目 |
喫煙室内 | 喫煙室外 | |||||||||||||||
メンテナンス前 | メンテナンス後 | メンテナンス前 | メンテナンス後 | ||||||||||||||
平均浮遊粉じん濃度 | 喫煙本数 | (mg/m3) | (mg/m3) | (mg/m3) | (mg/m3) | ||||||||||||
0 | 0.03 | 0.03 | 0.03 | 0.03 | |||||||||||||
3 | 0.22 | 0.08 | 0.03 | 0.02 | |||||||||||||
0 | 0.55 | 0.03 | 0.03 | 0.02 | |||||||||||||
一酸化炭素濃度(ppm) | 1 | 1 | |||||||||||||||
非喫煙場所から喫煙室等へ 向かう気流の風速 |
|
||||||||||||||||
たばこの煙の漏れ |
|
(イ) |
|
【 | 喫煙室の構造】 事務室の一角に設置した喫煙室で、中央にイス・テーブルを配置し、座って喫煙を行うが、排気は直接外気に排出する構造になっている。 |
【 | 比較検討事項】 喫煙者が出入りする際の漏れの程度及びその改善方法について検討するために、喫煙室内で3名が喫煙後、1分00秒、2分00秒、3分00秒に1名ずつ退出して喫煙室からの漏れの測定を行った。なお、本事例では、浮遊粉じん濃度の測定は1秒毎に行った。 |
【 | 事例14-1:ドアを用いた場合】 喫煙室内の窓枠に標準換気扇(羽根径20cm)、8m3/min(=480m3/h)を設置して用いていた。 排気風量が不足しており出入口(幅0.85m、高さ2.08m)からたばこの煙が漏れるため、ガラリ付きのドアを閉めて喫煙していた。 |
【 | 開口部分の風速と漏れの有無】 出入口を開放すると上部における喫煙室へ向かう気流は0.14m/s、中部0.08m/sであった。しかし、下部では喫煙室から事務室に向かって0.05m/sの気流があった。 換気扇の排気風量とドアの開口面積から得られる気流は計算上0.08m/sであった。 さらに、喫煙者が出入りする際のドアの開閉時のフイゴ作用でたばこの煙の漏れることも観察された。 |
【 | 事例14-2:スクリーンを用いて開口面積を小さくする改善を実施】 ドアを開放し、出入口の開口部分に床上82cmまでスクリーン(のれん)を設置した。 |
【 | 開口部分の風速と漏れの有無】 出入口の開口面積を小さくすることで開口部分(床上0.82mの空間)において非喫煙場所から喫煙室へ向かう一定方向の気流0.25m/sが得られ、たばこの煙の漏れがなくなった。 |
【 | 効果の確認】 従来の使用法(上):喫煙者が退出時にドアを閉める際に煙が漏れることが認められた。 改善後の状況(下):喫煙者が退出する際の煙の漏れはドアを使用する場合よりも小さくなることが認められた。 |


![]() |
![]() |
喫煙室からの漏れに関して
羽根径20cmの換気扇は8m3/minで、ドアを開けた場合に漏れが発生する。 |
改良前
ドアを開閉して、1分おきに1名ずつ(3回)退出した場合には若干の漏れが認められた。 |
![]() |
![]() |
(ドア開放+スクリーン) ドアを開放し、スクリーンで開口面積を小さくすれば、煙の漏れは認められない。 |
スクリーン下の空気の流れ 開口部分で喫煙室に向かう一定方向の空気の流れ(0.25m/s)があり、喫煙者が退出しても煙の漏れは認められない。 |


(4) | ガイドライン改正に伴い設計変更を行った事例 事例15 |
【 | 改善前の状況】 休憩室の一角にパネルで喫煙室を確保していたが、排気風量が小さすぎるためにたばこの煙の漏れが発生していた。 |
【 | 改善の内容】 天井部分の排気風量を40m3/min=2,400m3/hに強化した。 |
【 | 排気風量実測値】 排気口(0.54m×0.54m)での風速(1.9m/s)から実際の排気風量を求めた。 排気風量実測値=60×排気口面積(0.30m2)×風速(1.9m/s)=33m3/min=1,980m3/h。 |
【 | 喫煙室出入口開口部分の気流とたばこの煙の漏れの有無】 出入口の大きさ(幅0.85m、高さ2.08m、面積1.9m2) 出入口開口部分の風速、上部0.47m/s、中部0.47m/s、下部0.38m/s、平均風速0.44m/sと開口部分で0.2m/s以上の一定方向の気流が得られておりたばこの煙の漏れは認められない。 出入口の開口部分でも0.3m/s以上の空気の流れがあるため、ドアを開放していても煙の漏れはない。逆にドアを閉める時に喫煙室の中が瞬間的に陽圧となるため、右側の壁面のガラリから煙が漏れる。 |



喫煙室に十分な排気風量(33m3/min=1,980m3/h)が設置してあるため、煙の漏れはない。出入口の開口部分でも0.3m/s以上の一定方向の空気の流れがあるため、ドアを開放していても煙の漏れはない。逆に、ドアを閉めるときに喫煙室の中が瞬間的に陽圧となるため、右側の壁面のガラリからの煙の漏れをつくることになる。 |



測定場所
測定項目 |
喫煙室内 | 喫煙室外 | ||
平均浮遊粉じん濃度 | 開始時刻 終了時刻 |
喫煙本数 | (mg/m3) | (mg/m3) |
14:20 14:30 |
喫煙前 | 0.02 | 0.02 | |
14:30 14:40 |
10 | 0.43 | 0.02 | |
14:40 14:50 |
7 | 0.21 | 0.02 | |
14:50 15:00 |
3 | 0.10 | 0.03 | |
15:00 15:10 |
2 | 0.05 | 0.03 | |
15:10 15:20 |
6 | 0.16 | 0.03 | |
15:20 15:35 |
10 | 0.16 | 0.03 | |
15:35 15:40 |
喫煙後 | 0.05 | 0.03 | |
一酸化炭素濃度(ppm) | 0 | 0 | ||
非喫煙場所から喫煙室等へ 向かう気流の風速 |
上 0.47m/s 中 0.47m/s 下 0.38m/s |
|||
たばこの煙の漏れ | 無 |
(5) | 参考改善事例(喫煙室の形状による事例) 既存の排気風量を変えることなく、喫煙室の出入口に「のれん」を設置することで漏れを防止し、さらに、喫煙室内の天井にスクリーンを設け、排気装置に近い場所で喫煙を行うことで喫煙室内のたばこの煙の濃度を減少させた事例を紹介する。 |
事例16: | 正方形の喫煙室の事例 |
【 | 喫煙室の構造】 窓に面していない喫煙室(3.1 m×2.8 m、高さ2.7 m)、天井埋込型排気装置が2台(合計排気風量実測値:1,040m3/h)設置され、灰皿が中央に置かれていた。 |
【 | 改善前の状況】 出入口にはガラリのないドアが設置されていたため、メークアップ・エアを確保するために、ドアストッパーで約10cmの隙間が設けてあった。流入する空気の風速は2 m/sに達しており、室内の空気を強く攪拌しており、換気扇の真下で喫煙した場合でも、たばこの煙が室内全体に拡散する効率が悪いレイアウトとなっていた。 |

改善前の喫煙室のレイアウトと空気の流れ
![]() |
![]() |
【 | 改善の内容】 ドアを開放し、出入口に床上70cmまでのスクリーンを設置した。換気扇の真下に灰皿を移動し、さらに、煙が出入口方向へ拡散することを抑えるために、灰皿と出入口の間の天井部分にスクリーンを設けた。 |

改善後の喫煙室の概要

改善後の喫煙室のレイアウト
【 | 改善の効果】 改善前の平均粉じん濃度は0.30mg/m3(喫煙本数30本/55分)、改善後の平均粉じん濃度は0.11mg/m3(34本/55分)であった。排気風量は強化されていないにもかかわらず、平均粉じん濃度は3分の1に減少して基準値(0.15mg/m3)以下となった。発生したたばこの煙が室内全体に拡散する前に排気されるようにメークアップ・エアによる空気の攪拌をなくすこと、灰皿を換気扇の真下に移動すること、天井部分を区画することなど、空気の流れに配慮したレイアウトに変更することにより喫煙室内の環境改善が可能であった。 なお、出入口開口面における風速は0.4 m/sであり、喫煙室外への漏れも抑えられていた。本手法は、高層ビルなど排気風量の強化が困難な喫煙室に応用が可能であると考えられた。 |

改善前(左)、改善後(右)の粉じん濃度(赤:喫煙室内、青:喫煙室外)
事例17: | 長方形の喫煙室の事例 |
【 | 喫煙室の構造】 喫煙室(幅2.3m、奥行き5m、高さ2.6m)の出入口と反対方向に羽根径25cmの換気扇を2台設置し、両側に1台づつ机が配置されていた。 |
【 | 改善前の喫煙室の状況】 喫煙室内の灰皿は出入口の近くまで喫煙室全体に置いてあった。出入口の大きさは幅0.85m、高さ2.13mであった。換気扇2台の合計排気風量の実測値は19.3m3/min(1,160m3/h)、換気回数は39回/hであった。出入口の開口面における気流は0.18〜0.20m/sであった。 |


![]() 喫煙室全景(出入口は開放) |
![]() 灰皿は出入口のそばにまで置かれていた。 |
【 | 出入口からの漏れの防止対策1】 出入口の気流が0.18〜0.20m/sであったため、喫煙者が退出する際にたばこの煙の漏れが発生していた。また、出入口のそばに置いてある灰皿を利用する者が多かったため、出入口付近の濃度が高かったこと、また、喫煙者がたばこの煙を吐き出しながら退出することも漏れの原因であることがわかった。そこで、出入口に床上1.4mの「のれん」を垂らして開口部分(幅0.85m、高さ1.4m)における気流の平均値を0.27m/s(上:0.31m/s、中:0.23m/s、下:0.27m/s)に強化し、また、出入口付近の濃度を下げるために出入口の近くの灰皿を撤去した。その結果、漏れの程度は改善された。 |
![]() |
![]() |

改善前(左)と改善前(右)の出入口外の粉じん濃度
【 | 喫煙室内の環境の改善】 この喫煙室では1時間あたり45本の喫煙が行われるため(平均的に4〜5名、多いときで7〜8名以上が同時に喫煙)、1,160m3/hの排気風量を全体換気として用いる場合にはガイドラインの基準値以下にすることは困難であった。また、出入口付近の灰皿を撤去しても喫煙室全体の濃度が上昇するため、喫煙者が退出する際に若干の煙が漏れやすいことが認められた。 |

喫煙室全体で喫煙した場合の煙の濃度
幅2.3m、奥行き4.5m、高さ2.6mの喫煙室(出入口と反対側に2台
(合計1,160m3/h)を設置し、6名が同時に喫煙した場合のシミュレーション。 |
【 | 改善の内容】 発生するたばこの煙の一部が換気扇から直接排気されるように、壁際の灰皿を喫煙室奥の換気扇の下に移動した。 喫煙室の出入口から1.5mの位置に天井からスクリーンを固定し、喫煙はスクリーンよりも換気扇側でのみ行うこととした。 |
![]() |
||
天井スクリーンよりも換気扇側で喫煙 | 入口から1.5mは禁煙 |

喫煙室内を二つに分けて出入口に近い部分を禁煙とした場合
同じ喫煙室で出入口から1.5mの場所の天井からスクリーンを下げ、喫煙はスクリーンよりも換気扇側で行った場合のシミュレーション。 |
【 | 結果】 改善前は、喫煙室全体で自由に喫煙していた。その状態でも喫煙室の手前(出入口側)は奥に比べて粉じん濃度が3分の1以下であったことから、喫煙室が細長いことによるプッシュ・プルの効果が確認された。 天井にスクリーンを設置し、手前を禁煙区域としてスクリーンよりも奥で喫煙することで、さらに出入口付近の濃度を低く抑えられ漏れ防止に有効であった。 また、排気風量(1,160m3/h)と時間あたりの喫煙本数が同じであれば、喫煙室の容積、換気回数に関係なく平均濃度は同じとなる。しかし、喫煙室全体(26.9m3)を使用していた時(換気回数43回)の平均濃度0.41mg/m3よりも、スクリーン奥の空間(17.9m3)のみを使用した時(換気回数65回)の平均濃度は0.15mg/m3と3分の1に低下していた。換気扇に近いところで喫煙することでたばこの煙が直接排気される局所排気の効果が得られるためである。排気風量が限られた喫煙室で配慮すべき事柄であると考えられた。 |

粉じん濃度の平均値(単位:mg/m3)は以下のとおりであった。 |
改善前 | 改善後 | ||||
喫煙室奥 | 0.41 | → | 0.15 | ||
喫煙室手前 | 0.12 | → | 0.06 | ||
喫煙室外 | 0.01 | → | 0.01 |