・厚生年金
平成11(1999)年の制度改正により、これまで 34.5%と見込まれていた最終保険料率が2025年度以降27.6%(国庫負担割合2分の1の場合は2020年度以降25.2%)と見込まれ、制度の安定化が図られた。
将来の被保険者数は将来推計人口や就業構造の変化により異なってくるため、今後とも幅をもった複数のケースを想定して財政見通しを示していく必要がある。
・国共済
国共済の最終保険料率は、職域部分を除くと厚生年金とほぼ同程度の水準と見込まれているが、組合員数はここ数年微減しており、また、定員の削減方針が示されていることから、今後の組合員数の動向に十分な注意を払う必要がある。
2000年度の総合費用率は農林年金に次いで高く、組合員数の動向や積立金の運用状況によって受ける影響が大きい財政状況といえる。
・地共済
地共済の最終保険料率は職域部分を除くと厚生年金より1割程度低くなると見込まれているが、総合費用率は、今後20年間くらいはその増加が各制度の中で最も大きい。また、組合員数はここ数年微減しており、現時点の財政状況が比較的良いとはいえ、今後は楽観できない。
・私学共済
私学共済の最終保険料率は職域部分を除くと厚生年金より1割程度低くなると見込まれており、総合費用率は、2000年度では他の共済制度と比べて最も低いが、2050年度には最も高くなると見込まれている。また、現在の保険料率は平準保険料率の6割未満であり、他制度と比較して低くなっている。学齢人口の減少に伴い組合員数が減少傾向になることが予測されており、現時点の財政状況が各制度の中で良いとはいえ、将来は楽観できない。
・農林年金
農林年金の最終保険料率は職域部分を除くと厚生年金とほぼ同程度の水準と見込まれているが、この保険料率は、組合員数が直近3年間では減少しているにもかかわらず、今後10年間くらいは組合員数一定という見通しを基に算出されたものであり、組合員数の直近の傾向を反映していない。
総合費用率は最も高くなっており、2020年度までの約半数の年度で積立金の取崩しという状況が見込まれている。また、保有積立金は、これまでの組合員期間に係る年金の給付に必要な財源の2割を下回っており、将来の保険料に依存する割合が高い。
こうしたことから、農林年金の財政状況は各制度を通じて最も厳しいといえる。今後組合員数が見通しより減少すれば、保険料率をさらに高くしなければならない。
|