最近の調剤医療費(電算処理分)の動向
平成21年12月
1.概要
(1) 平成21年12月の処方せん1枚当たり調剤医療費(電算処理分に限る。以下同様。)は8,272円であり、伸び率(対前年同期比)は6.3%となっている。大きな制度改正や診療報酬改定の影響を受けていない平成19年度と比較すると、その差は、0.6%ポイントとなっている。<表1>
(2) 処方せん1枚当たり調剤医療費の内訳をみると、技術料が2,034円で24.6%、薬剤料が6,225円で75.3%を占めている。
伸び率は、技術料が1.1%、薬剤料が8.1%となっており、平成19年度と比較すると、その差は、技術料が0.0%ポイント、薬剤料が0.7%ポイントとなっている。<表2−1>
(3) 処方せん1枚当たり調剤医療費を年齢階級別にみると、年齢とともに高くなっており、75歳以上では、10,501円と、0歳以上5歳未満の3,354円の約3倍となっている。<表3>
(4) 薬剤料の約85%を占める内服薬の処方せん1枚当たり薬剤料5,265円を、処方せん1枚当たり薬剤種類数、投薬日数、1種類数1日当たり薬剤料の3要素に分解すると、各々2.93、19.9日、90円となっている。
また、内服薬の処方せん1枚当たり薬剤料の伸び率7.8%を3要素に分解すると、各々▲1.2%、5.2%、3.7%となっている。
伸び率について、平成19年度と比較すると、その差は、処方せん1枚当たり薬剤種類数が▲1.0%ポイント、投薬日数が0.8%ポイント、1種類1日当たり薬剤料が0.5%ポイントとなっている。<表5〜8>
(5) 内服薬の処方せん1枚当たり薬剤料を薬効大分類別にみると、循環器官用薬が1,546円と最も高く、次いで中枢神経系用薬が680円となっている。<表10−1> 伸び率について、平成19年度と比較すると、合成抗菌剤(薬効中分類)が▲6.3%ポイントで、マイナス幅が最も大きくなっている。<表10−2>
(6) 内服薬の後発医薬品割合を薬効大分類別にみると、ビタミン剤が最も高く、45.0%、次いで呼吸器官用薬が14.2%となっている。<表14>
(7) 内服薬の処方せん1枚当たり薬剤料を都道府県別にみると、石川県が7,579円と最も高く、処方せん1枚当たり薬剤種類数、投薬日数、1種類1日当たり薬剤料の3要素に分解すると、3.30、24.1日、95円となっている。一方、佐賀県が4,122円と最も低く、3要素に分解すると、各々2.95、15.8日、88円である。特に投薬日数の長短が内服薬の処方せん1枚当たり薬剤料の差に影響している。<表17-1>
(8) 都道府県別に後発医薬品割合をみると、薬剤料、数量ベースともに沖縄県が最も高く、11.1%、31.1%となっている。一方、薬剤料、数量ベースともに徳島県が最も低く4.8%、15.0%となっている。<表18-1>
(参考1)
○ 後発医薬品割合(平成21年12月)
薬剤料ベース:
7.0%(対前年同期差+0.5%ポイント)
数量ベース:
19.0%(対前年同期差+0.7%ポイント)
後発医薬品調剤率注):
45.3%(対前年同期差+0.9%ポイント)
注)全処方せん枚数のうち後発医薬品を調剤した処方せん枚数の割合
○ 後発医薬品調剤率が30%以上の保険薬局の割合(平成21年12月)
85.7%
2.利用上の留意点
(1) 分析対象レセプトの特徴
○ 審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険団体連合会)において、レセプト電算処理システムで処理された調剤報酬明細書のデータを分析対象としている。
○ 平成21年12月現在の電算処理割合は、処方せん枚数ベース、医療費ベースともに約99%である。処方せん1枚当たり調剤医療費について、審査支払機関で処理された調剤報酬明細書の全数を集計対象とした数字と、電算処理分のみを集計対象とした数字を比較した場合、その差は0.0%で非常に小さい。
(2) 表章期間
○ 平成16年10月調剤分からデータは収集しているが、伸び率の分析を主眼としているため、統計表上の表章期間は平成17年10月以降とした。