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補論3 痴呆性高齢者ケアについて


 痴呆性高齢者の現状と今後

 痴呆性高齢者の実態については、一部自治体で行われた専門医の在宅訪問調査に基づく推計がこれまでも公表されているが、高齢者の所在(居宅、施設等)や痴呆の程度といった痴呆性高齢者の地域生活を考える上で必要な情報が必ずしも含まれていなかった。他方、「専門医による医学的判定」とは異なるが「介護に必要な手間」という観点からの情報として、介護認定審査会資料には、痴呆性老人自立度、障害老人自立度(寝たきり度)等の情報が含まれている。月間の要介護認定データは全国規模で集積されるため、他のデータとも組み合わせて一定の推計を行うことが可能である。
 本研究会の求めに応じ、厚生労働省が、介護保険第1号被保険者について、2002(平成14)年1月から12月の各月間の要介護認定データ等を基に推計した結果は、以下のとおりである。

(1) 要介護(要支援)認定者(第1号被保険者)の痴呆性老人自立度・障害老人自立度に関する推計

単位 万人
  要介護
(要支援)
 認定者
認定申請時の所在(再掲)
居宅 特別養護
老人ホーム
老人保健
施設
介護療養型
医療施設
その他の
施設
総数 314 210 32 25 12 34
うち痴呆性老人
自立度II以上
149 73 27 20 10 19
うち痴呆性老人
自立度III以上
79
(25)
28
(15)
20
(4)
13
(4)

(1)
11
(2)
(注) 2002(平成14)年9月末についての推計(端数処理のため合計が合わない箇所あり)。
「その他の施設」は、ここでは、医療機関(療養病床(医療保険適用)、一般病床及び精神病床等)、グループホーム、ケアハウス等。 カッコ内は、運動能力の低下していない痴呆性高齢者の再掲(痴呆性老人自立度が「III」、「IV」又は「M」かつ、障害老人自立度が「自立」、「J」又は「A」)。

この推計によれば、例えば、
要介護(要支援)認定者のおよそ2人に1人は、「何らかの介護・支援を必要とする痴呆がある高齢者」(痴呆性老人自立度II以上)。
およそ4人に1人は、「一定の介護を必要とする痴呆がある高齢者」(痴呆性老人自立度III以上)。
居宅にいる要介護(要支援)認定者のおよそ3人に1人は、「何らかの介護・支援を必要とする痴呆がある高齢者」。
およそ8人に1人は、「一定の介護を必要とする痴呆がある高齢者」。
介護保険3施設にいる要介護(要支援)認定者のおよそ8割は、「何らかの介護・支援を必要とする痴呆がある高齢者」。
およそ6割は、「一定の介護を必要とする痴呆がある高齢者」。
要介護(要支援)認定者で「一定の介護を必要とする痴呆がある高齢者」のうち、およそ3人に1人は「運動能力の低下していない者」(いわゆる「動ける痴呆性高齢者」)。
そのおよそ6割は居宅にいる。

(2) 要介護(要支援)認定者(第1号被保険者)における痴呆性高齢者の将来推計

単位 万人
西暦 2002 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045
痴呆性老人自立度
II以上
149

(6.3)
169

(6.7)
208

(7.2)
250

(7.6)
289

(8.4)
323

(9.3)
353

(10.2)
376

(10.7)
385

(10.6)
378

(10.4)
参考:
痴呆性老人自立度
III以上
79

(3.4)
90

(3.6)
111

(3.9)
135

(4.1)
157

(4.5)
176

(5.1)
192

(5.5)
205

(5.8)
212

(5.8)
208

(5.7)
(注) カッコ内は65歳以上人口比(%)。
2002(平成14)年9月末について推計した「要介護(要支援)認定者における痴呆性高齢者」と「日本の将来推計人口(平成14年1月推計)」から算出したもの(治療や介護に関する技術の発達など政策的な要素は織り込まれていない)。

この推計によれば、例えば、
要介護(要支援)認定者について、「何らかの介護・支援を必要とする痴呆がある高齢者」(痴呆性老人自立度II以上)は、2015(平成27)年までにおよそ100万人増えて250万人に。2025(平成37)年には323万人に。


 痴呆ケアモデル構築へ向けて

 前述のように、「何らかの介護・支援を必要とする痴呆がある高齢者」(痴呆性老人自立度II以上)は、その所在(介護保険施設、居宅等)に関わらず、要介護(要支援)認定者の相当の割合を占めている。このため、施設、在宅を問わず、介護保険サービス全般を通じ、痴呆性高齢者への対応が図られる必要がある。また、高齢者介護のメインシステムである介護保険に対し、サブシステムとしての機能を果たす成年後見制度や地域福祉権利擁護事業の主たる対象は、痴呆性高齢者である。
 今後、介護・支援を要する痴呆性高齢者が大幅に増加することを見越した場合、介護保険サービスを含む地域の高齢者介護全体を、介護予防から終末期に至る全ステージで、痴呆性高齢者を標準とした仕様に転換していくことが、21世紀初頭の大きな課題である。

(1) 痴呆の原因診断の重要性

 痴呆の原因は一様ではなく、アルツハイマー型痴呆、脳血管性痴呆、レビー小体病、前頭側頭型痴呆などがある。現時点では、痴呆の原因別のケアガイドラインは整備されていないが、原因となる疾患が異なるという認識は必要である。グループホーム等の利用開始時に適切な診断がされることで、入院せざるを得ないような行動障害を防ぐことができる例も少なくないため、このことは、痴呆ケアモデル構築の上で欠かすことのできない視点である。痴呆の診断とその原因疾患の特定は、適切なケアを行うためのケアプランを作成する上で欠かせない情報であり、医療の大きな役割である。

日本での痴呆性疾患の頻度
 
地域 宮城県田尻町 島根県
研究方法 疫学 剖検例
対象者数 65歳以上の1654人 122例
アルツハイマー型痴呆 65% 34%
血管性痴呆 19% 35%
混合性痴呆   11%
その他の痴呆 16% 20%
備考 疫学調査でMRIを使った診断が行われた唯一の報告 1976-1992年の剖検例であるため、平均値では血管性痴呆の割合がアルツハイマー型痴呆のそれを若干上回っているが、前半と後半を比べるとアルツハイマー型痴呆の占める割合が増加している。
出典:
 1. Meguro K et al: Prevalence of dementia and dementing diseases in Japan: the Tajiri project. Arch Neurol. 2002; 59 :1109-14.
 2. Seno H et al: A neuropathological study of dementia in nursing homes over a 17-year period in Simane prefecture, Japan. Gerontology 1999; 45: 44-48.

(2) 地域の痴呆ケアシステム

(健康づくりと痴呆介護予防)
 脳血管性痴呆の予防については、まずはその原因となる脳卒中(脳血管障害)の予防が重要である。アルツハイマー型痴呆の予防については、現時点で確実なものはないが、食事、運動、休養などの生活習慣がリスク要因として関与しているという報告が増えてきている。
 痴呆の介護予防を健康づくり関連施策の中で積極的に推進するため、例えば、2005(平成17)年度から始まる老人保健事業第5次計画の中にも位置づけていくことを検討すべきである。
 また、行政が痴呆介護予防活動の立ち上げを図ることは必要であるが、痴呆のリスクの高い高齢者の早い段階からの参加を可能とし、活動自体も長続きさせるためには、住民が主体となった運営がなされる必要がある。住民主体の介護予防活動の展開は、後述する家族・地域住民の認識の転換を図っていく上でも極めて重要である。

(参考)
 「世田谷における痴呆発症遅延活動の事例」
   アルツハイマー型痴呆のリスク要因には遺伝的な要因以外にも、社会的なつながりの多寡などのライフスタイルが含まれることが最近示されている。世田谷区内の2か所での痴呆発症遅延活動では、これまでに10グループ80人の高齢者が有酸素運動を中心とした運動プログラムとパソコンを使ったミニコミ誌づくり、旅行、料理などの余暇活動プログラムに参加して約1年が経過した。
 この80人の中には、一定の基準で診断されたAACD (Ageing-Associated Cognitive Decline: 加齢関連認知機能低下)の人たちが16人含まれている。有酸素運動を無理のない程度に習慣化し、痴呆になり始めの時に低下する記憶力(エピソード記憶)や注意力(注意分割機能)、計画力を鍛える知的な行動習慣をつけることを目的としている。
 最終的な結果として、活動への参加群と非参加群でアルツハイマー型痴呆の発生率を比較し、参加群で低ければ介入効果が示されたことになる。これまでの研究では、参加群と非参加群でいくつかの認知機能に差が認められており、例えば、簡便な認知機能検査を活動前と半年後に行った得点の比較では、参加群でより大きな改善が示されている。今後、世田谷区では32グループの活動を目指している。
(早期発見の意義と課題)
 痴呆性高齢者への対応において早期発見は重要であり、徘徊等の行動 障害が頻発してどうにもならなくなって初めて医療機関等へ行くという一般的な状況を変えていくことが、生活や介護に関する本人、家族、関係者の負担を大幅に軽減する。

(参考)
 「早期発見の意義」
 1.  治療可能な痴呆の原因を見いだし、治療をすること
 65歳以上ではアルツハイマー型痴呆が原因疾患としては最も多いが、近年、治療薬の出現により対症療法ではあるが、治療の対象となっている。アルツハイマー型痴呆を含めると65歳以上の痴呆のおよそ7割は何らかの治療の対象になる。
 2.  自己決定権を尊重できること。
 早期に診断することができれば、痴呆が進行したときの対応を自分であらかじめ決めておくことが可能になる。
 3.  痴呆性高齢者本人と介護者の生活の質(QOL)を維持できること
 早期発見によって様々なサービス利用に本人と介護者ともに慣れることができ、様々な知識を習得する時間的な余裕ができる。この時間は介護に余裕をもたらすが、このことは痴呆性高齢者本人にも好影響を与える。
 「高齢者本人からの受診やサービス利用が期待できない」、「受診のタイミングが家族の都合で決まる」といった痴呆の臨床的特徴に照らし、特に家族とかかりつけ医、さらには、地域住民や介護スタッフ等における痴呆に関する正しい知識と理解を推進することが必要である。
 他方、痴呆が発見された後に高齢者を適切に支える地域のサービスがなければ、早期発見は推進できない。後述するように、痴呆の程度にきめ細かく対応できる通所系サービス、グループホーム的ケアなど痴呆性高齢者に適したサービスが普及することが、早期発見推進の前提であるとともに、体制面の整備だけでなく、効果的な介護サービスの内容の明確化等を図っていくことも必要である。

(介護サービス体系の再構築)
 在宅の痴呆性高齢者を支援する上で、通所系サービスの位置づけは重要である。痴呆の程度が進んだ高齢者に対するサービス(現在の痴呆専用単独型デイサービス)の普及が求められるばかりでなく、ごく軽度の痴呆性高齢者も参加しやすい(家族も高齢者の参加を躊躇しないですむ)サービスや住民による介護保険外の自主的活動を地域でつくっていくことが必要である。
 また、高齢者のそれまでの生活や個性を尊重しながら、生活そのものをケアとして組み立てていくグループホーム的ケアのアプローチ(住み慣れた地域、なじみの人間関係、小規模な居住空間、家庭的なしつらえ・暮らし方、それらの環境条件を活かした個別ケア)は、痴呆性高齢者はもとより、これからの高齢者の地域ケア全般に通じるものとして、発展させていくことが必要である。報告書本文にある「小規模・多機能サービス拠点」、「施設機能の地域展開」、「ユニットケアの普及」など新しい介護サービス体系は、地域での高齢者の生活の継続性や個別的処遇を高めるものとして、推進する必要がある。
 さらに、主としてかかりつけ医による「医療」は、「生活」とともに痴呆ケアの不可欠の要素である。在宅か施設かを問わず、適切なケアには、身体的な状態の安定が必要である。例えば、脱水や便秘あるいは軽度の心不全など身体の不具合によって精神症状や行動障害が発現することは珍しくないし、ターミナルケアにおいては医療のバックアップが必要となる。また、痴呆の精神症状や行動障害は、環境やケアの方法で大きく変化する。生活環境の変化が及ぼす精神症状への影響は大きく、入院をできるだけ避け、往診又は通所系サービスの利用を含む外来治療によって対応することが望ましいが、一部には精神科治療病棟などでの専門医による入院治療が必要な行動障害もあり、これらを適切に見極める必要がある。痴呆性高齢者の生活全体に配慮しながら、他の関係機関とともに地域ケアの一翼を担っていくことが、医療関係者に求められる。

(連携とコーディネートのための仕組み)
 地域で痴呆性高齢者を支える取組は、地域の関係者(医師、保健師、在宅介護支援センター、ケアマネージャー、施設・在宅サービス関係者、家族の会等)の足並みがそろわなければ有効に機能しない。このためには痴呆に関する共通認識を持つことが大前提となり、地域の痴呆ケア関係者のネットワーク会議を普及し、連携や専門性を向上させる仕組みを築いていく必要がある。
 また、適切なケアプランは、アセスメントが適切に行われることから生まれてくる。高齢者痴呆介護研究・研修センター(東京・仙台・大府)が策定する「痴呆性高齢者に適したアセスメントとケアプランの作成指針(第1版)」は、今後、全国で使用され有効性が検証される予定であり、アセスメント情報を関係者が共有し、利用者中心の継続的支援を行うためのケアプランを作成するツールとして効果が期待されている。このように、第一線の日常業務そのものの中に連携の仕掛けを作っていくことも重要である。

(参考)
 「痴呆性高齢者に適したアセスメントとケアプランのあり方に関する調査研究」
   利用者本位の継続的な痴呆ケアを推進するため、在宅、施設を通して使用可能なケアプラン作成手法の開発が望まれる。このため、高齢者痴呆介護研究・研修センターでは、利用者本位のケアを行う上での課題を、現在に至るまでの経過並びに 24時間にわたる行動及び状態の把握と分析を通して明らかにすることができる「痴呆性高齢者に適したアセスメント・ケアプラン票試案」を作成した。現在、予め選定したモニター事業所における実際の試行結果をもとに、試案の改善に向けた意見集約と有効性の検証を進めている。
(相談・告知・権利擁護)
 高齢者本人及び家族に向けて地域ケアについての適切な情報提供と助言が行える仕組みを整備することは、特に早期発見を進める際には不可欠である。在宅介護支援センター、老人保健事業の健康相談や訪問指導など、地域のレベルでの相談機能の強化が必要である。
 また、早期発見の推進に合わせ、軽度の痴呆の段階での告知のルールについて専門家による議論を本格的に開始すべき時期に来ている。
 さらに、高齢者本人にまだ判断能力がある段階での権利擁護対応(地域福祉権利擁護事業、任意後見制度)の可能性が、早期発見によって拡大される。こうした対応を普及させることは、痴呆が進行した段階での本人を含む関係者全般の負担の軽減につながることから、権利擁護分野における在宅介護支援センター等の相談機能の強化や国民に向けた啓発活動が重要である。
 意思能力が無い者に対する医的侵襲行為(注射、輸血、手術等)に関する同意の問題は、特に独居高齢者の今後の増加を考えた場合、痴呆ケアの現場にとって大きな問題となることが予想される。インフォームドコンセントについての議論の展開等を踏まえながら、痴呆ケアの文脈においても十分に議論していく必要がある。

(専門的人材の育成)
 早期発見から終末期に至る痴呆性高齢者の地域生活全般において、かかりつけ医は幅広い役割を担う存在である。痴呆及び地域ケアに関するかかりつけ医の知識と理解を高めるため、研修等の仕組みを構築していく必要がある。
 また、かかりつけ医では対応が困難なケースを扱う地域の痴呆専門医の養成も課題である。専門医は、地域の痴呆ケアシステムの一員として、かかりつけ医をバックアップするばかりでなく、地域の介護サービス関係者全般と連携することが求められる。

(参考)
 「学会等の状況」
   日本老年精神医学会  2005(平成17)年に約1500人の専門医
   日本アルツハイマー型痴呆研究会  会員約1500人
合計では約2500人

 「痴呆(物忘れ)相談医リスト
   北海道釧路市、沖縄県浦添・那覇・南部地区医療圏等では、市の医師会等が「痴呆(物忘れ)相談医リスト」、「もの忘れ(痴呆)相談医一覧」のリーフレットを作成し、広く住民に配布している。

 「痴呆ケア専門医のイメージの例」
   痴呆に関する豊富な医学的知識、痴呆ケアや痴呆性高齢者の置かれている現状、関連する福祉制度に関する知識を持っていること、これらの医学的知識に基づいての痴呆のレベルを含めた正確な診断を下せる医師であること、医学的治療の限界をわきまえ、適切なケアや援助が受けられるよう、その人の生活に関する幅広いアドバイスができること
(「痴呆性高齢者グループホームの将来ビジョン」1999(平成11)年より)
 施設等が小規模であればあるほど、サービスの水準にとって、スタッフの技術が決定的な要素となる。介護事業者や介護スタッフの専門性の向上については、高齢者痴呆介護研究・研修センターの研修の一層の充実を図るほか、介護支援専門員やホームヘルパーの研修の充実を継続的に図っていく必要がある。前述の「痴呆性高齢者に適したアセスメントとケアプランの作成指針」はそのための重要な教材の一つとなる。

(3) 効果的な介護サービスの内容の明確化と普及

 「痴呆ケアモデルの構築」を図る上では、これまでに述べたような、システムのレベルでの地域の痴呆ケアの体系整備に加え、痴呆性高齢者のニーズに効果的に応えることができる個別の介護サービスの内容の明確化や普及のための取組を、合わせて進めることが求められる。そのためには、例えば、一定の程度類型化された痴呆性高齢者の状態像に応じた介護サービスのパッケージやプロセスの開発等が進められる必要がある。
 痴呆の原因疾患に応じたケアの技法については、ようやく医療関係者により部分的にエビデンスの集積が始められた段階にあり、また、前述の「痴呆性高齢者に適したアセスメントとケアプランの作成指針」の普及と検証も介護サービス現場でエビデンスの集積を図るための第一歩に位置づけられるところであるが、系統的かつ効率的なエビデンスの収集と評価が可能となるよう、行政、第一線関係者、研究者が一体となった取組を早期に確立することが必要である。
 他方、痴呆性高齢者の個別特性は多様であり、画一的なサービス提供に陥ることは、痴呆性高齢者の混乱に拍車をかける危険をはらんでいる。適切なアセスメントに基づいて、標準化されたサービスを柔軟に使いこなせる専門的人材を合わせて育成していく必要がある。


 痴呆ケアモデルの存立基盤

 家族や地域住民の痴呆に関する無理解と偏見は、地域の痴呆ケアにとっての大きな阻害要因である。家族や地域住民が痴呆に関する正しい知識と理解を有し、痴呆性高齢者と適切に関わることができれば、「時として痴呆性高齢者を追い詰めてしまう存在」から「痴呆性高齢者を地域で支援する担い手」へ転換することができる。
 国民運動としての広報啓発キャンペーンの実施や優良なグループホーム等を地域における啓発拠点と位置づけるなど、戦略的な取組が必要である。
 また、教育現場とも連携し、児童と要介護高齢者の交流の機会を広げていくことは、痴呆ケアに限らず、わが国の社会の将来にとって大変に重要な意義を有する。


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