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(10)その他

 苦情・事故事例活用研修事業
   介護保険制度の施行により、サービスの利用は措置から契約へ移行し、利用者・事業者双方において、互いの権利・義務関係が明確となったところである。
 このような背景の下、サービスにおける事故が大きく取り上げられるようになっており、事故防止対策を中心とした危機管理体制の確立が急務の課題である。
 こうしたことから本事業は、介護サービス事業者の管理者等を対象に、苦情や事故の背景となる要因を共有し、サービスの質の向上を図るための組織的な対応手法について事例を活用した研修を平成15年度から実施しているものである。
 平成16年度予算(案)においても所要の額を計上しており、各都道府県においては、当該事業への積極的な取組をお願いするとともに、平成15年度未実施の都道府県においては、本事業の活用について特段のご配意をお願いしたい。

 離島等サービス確保対策事業について
   介護サービスの提供体制の確保については、介護保険法において国及び都道府県の一定の責務が規定されているところである。
 本事業は、離島等地域に該当する地方公共団体における民間事業者の誘致を施策の中心として実施してきたところであるが、平成16年度予算(案)においては、離島等地域における介護サービス提供体制の一層の充実を図るため、都道府県が主導的な役割を担っていただくよう事業の見直しを行ったところである。
 ついては、離島等地域を有する都道府県は、これら地域における介護サービスの確保を図るための方策の検討に積極的に取り組まれ、管内の離島等地域におけるサービス確保対策の推進にご尽力願いたい。

離島等サービス確保対策事業実施要綱(案)
 目的
   本事業は、介護サービスの量、種類とも不足している離島や山間等の過疎地域 において、地域の特性に応じた施策を実施することにより、介護サービス提供体 制を確保することを目的とする。

 実施主体
   事業の実施主体は、「厚生労働大臣が定める特例居宅介護サービス費等の支給 に係る離島その他の地域の基準」(平成11年3月31日厚生省告示99号」に掲げる地域を管轄する都道府県及び市町村とする。
 都道府県及び市町村は、地域の実情に応じ、適切な事業運営が確保できると認 められる団体に委託することができる。
 なお、指定都市、中核市においては、3の(1)及び(2)の事業について、各市の実情に応じて一体的に行うものとする。

 事業内容
   本事業は、都道府県が委員会を設置し、離島等地域の実情を踏まえたサービス 確保等のための具体的な方策・事業を検討、提示し、これを受けて当該地域の市町村が地域の実情にあった事業を試行的に実施し、もって、介護サービスの確保 等を図る。
 
(1) 都道府県が行う事業
  都道府県担当者、離島等市町村担当者、学識経験者、事業者団体等で構成する サービス確保対策検討委員会を設置し、次の事業を実施
   状況調査(不足サービスの種類、量、先進事例 等)、阻害要因の把握、分析
   サービスの確保・充実のための具体的事業の提示
   市町村が本事業により実施した事業についての評価 等
(2) 市町村が行う事業
  市町村担当者、都道府県担当者、住民代表、社協、事業者等で構成する事業推 進委員会を設置し、次の事業を実施
   都道府県が設置するサービス確保対策検討委員会で提示された事業の実施に向けた検討・実施
   実施事業の有効性等を評価し、都道府県へ報告 等

 サービス事業者振興事業について
   本事業については、介護保険導入期における介護サービス事業者の振興及び健全育成を目的とした事業について、広く補助の対象としてきたところであるが、介護保険制度施行後、民間事業者をはじめとして多様な事業主体が参入し、指定事業所数も増加している状況に鑑みると、地域的な課題はあるものの、量的には概ね順調に増加しているものと考えている。
 しかし一方では、指定取消件数も増加しており、指導監査と並行して、事業の適切な実施に向けた予防的な研修等を引き続き実施していく必要がある。また、介護保険制度の見直しを間近に控えていることもあり、混乱を避けるため、事業者に対する研修や連絡会の開催等により、各種情報の共有を図り、良質かつ安定したサービス提供体制を図ることが重要である。
 このようなことから、今後は、以上のような視点で行われる事業を中心に採択する方針であるので、了知されたい。
 また、平成16年度からは、「介護予防・地域支え合い事業」のメニュー事業として実施することとしているので、ご留意願いたい。

サービス事業者振興事業実施要綱(案)
 事業の趣旨
   介護サービス事業者に対する研修等を通じて、制度の趣旨、良質な事業を展開 するうえでの必要な各種情報を伝えるとともに、連絡協議会の開催等により事業 者間の相互の連携を推進することにより、利用者に適切なサービスを提供できる 環境を整備することを目的とする。

 実施主体
   事業の実施主体は都道府県又は市町村(特別区を含む。以下同じ。)とする。 事業の全部又は一部を、都道府県においてはシルバーサービス地方振興組織等 に、市町村においては在宅介護支援センター等、事業を適切に行うことができる団体に委託して実施することができる。

 事業内容
 
都道府県又は市町村が行う次の事業
   介護サービス事業者に対する不適正事例等に関する研修
   管内における効果的な情報提供体制(事業者団体の育成等)の構築
   介護サービスの利用状況調査・情報提供 等

 訪問介護員養成研修事業者の指定事務について
   訪問介護員養成研修事業者の指定事務については、これまで以下のように指定取消等の事例が見受けられ、訪問介護員の養成に対する社会的な信頼も揺るがしかねない状況となっている。

指定取消事例

【平成13年度】
株式会社ベテル医療福祉専門学院(大阪府)
   指定を受けていない都道府県で研修を実施(兵庫県で指定を受け大阪府で研修実施)
   経営者は平成14年に詐欺罪で逮捕

【平成14年度】
株式会社ケアフル(京都府)
   未届けの研修実施(事業者としての指定は有り)
   研修時間の不足
   変更申請等の事務手続きの欠如
   講師の要件不足

京都介護福祉事業協同組合(京都府)
   未届けの講師による研修
   未届けの研修実施(事業者としての指定は有り)
   研修時間の不足
   変更申請等の事務手続きの欠如
   講師の要件不足

有限会社未来京都(京都府)
   未届けの講師による研修
   指定を受けていない講座の研修の受講者募集
   変更申請等の事務手続きの欠如

白美産業株式会社(神奈川県)
   指定を受けずに研修を実施
   県知事名の研修指定通知書を偽造(県は刑事告発)

NPO法人さくら訪問看護婦会(福島県)
   指定を受けずに研修を実施

【平成15年度】 
  なし(平成16年2月1日現在)

   各都道府県におかれては、訪問介護員養成研修事業者の指定を行った後においても、必要に応じて養成研修事業者に対する研修内容の確認を行い、不適正な内容と考えられる研修については速やかに是正を求めるとともに、必要な場合には厳正な対処を行うようお願いする。
 なお、平成14年12月に大阪府において大阪府訪問介護員養成研修事業者協議会が設立され、養成研修事業者の質の向上を図るため、事業者団体による倫理綱領の策定や研修活動を行うとともに、平成16年度には養成研修の内容の事前確認の体制等を整える予定としており、今後各都道府県においても参考とされたい。

   (参考資料(振興課)(15))大阪府訪問介護員養成研修事業者協議会の概要


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