(3) 要介護認定の適正な実施について
要介護認定の適正な実施については、これまでにも平成12年3月開催の全国高齢者保健福祉関係主管課長会議、要介護認定二次判定変更事例集、本年6月開催の本会議等でお願いしているところである。
要介護認定を適正に実施するためには、本業務に従事する認定調査員、介護認定審査会委員及び主治医の資質の確保が必要不可欠であり、その研修については、現在、都道府県の補助事業として実施していただいている他に、各都道府県、市町村等において自主的に実施していただいているところである。
さらに、その資質の向上に資する研修の実施を目的として、厚生労働省においては、現在、平成15年4月からの一次判定ソフト改訂版に基づく要介護認定に向けて、各種研修に用いる標準的なテキストを作成しているところである。
このテキストでは、公平公正な要介護認定を行うのに必要な知識や技能について網羅する予定であるが、当然、各都道府県等において独自に作成したテキストと併用することを妨げるものではない。
なお、これらのテキストに基づいた研修の実施方法に対する研修を、都道府県職員を対象に本年中に実施する予定であるので、参加をお願いするとともに、各種研修の一層の充実をお願いしたい。
また、更新認定における有効期間については、原則6月間としながらも、市町村が認定審査会の意見に基づき特に必要と認める場合には、3月間〜12月間の範囲内で有効期間の延長又は短縮を可能としていることを、本会議等において周知してきたところである。
平成14年4月申請分について認定支援センターへ送信いただいた要介護認定等の結果の集計では、更新申請(n=231,722)のうち7割を超える事例で12ヵ月間に延長されているところであるが、引き続き、申請者の状態が安定して継続すると判断できる場合には、有効期間の延長について事務局から認定審査会に対して意見を求めるなど、延長の是非について検討されたい。
* 今後の予定について
既述のとおり、要介護認定の改訂に伴い、モデル事業の実施や都道府県における研修の実施について御協力いただくとともに、都道府県及び市町村における一次判定、認定支援ネットワーク接続等に係るシステムの変更についても御協力をいただきたい。
具体的には、システム変更については、既に昨年12月の「認定支援ネットワークに関する現況調査」による使用機器等の現況についての報告、本年5月の新システムに係る意見等をいただき、これらを踏まえて新システムの概要を作成し、現在お示ししているところである。
また、インタフェースについては今月中に示す予定であり、引き続き円滑な変更作業について協力願いたい。
なお、認定支援ネットワークは、報告内容については統計法(昭和22年3月26日法律第18号)第8条第1項による届出統計とされているところであるが、その目的は、要介護認定の適正な実施のための施策を講じる上で必要な基礎的な統計情報を収集することであり、個人を特定する情報の収集は目的ではないため、氏名、住所、生年月日等は、国への報告項目から除外されている。被保険者番号については、任意の報告項目としているが、これは同一者の経時的な状況の把握を行うことにより、要介護認定の有効期間の検討等を行うことが可能となることから、報告を依頼しているものである。
さらに、被保険者番号等の暗号化については、保険者からの送信時及び国の受信時の双方の段階で行われ、国における暗号化の方法は頻回に変更されており、本ネットワーク開始以降の既報告分についても暗号化されている点に御留意いただき、引き続き送信等の御協力願いたい。
要介護認定モデル事業(第一次)の結果について(概要)
1 結果概要
(1) 要介護認定モデル事業(第一次)は、全国34市町村(うち2広域連合)において本年5月〜7月のうち、任意の2週間で8,878人を対象に行った。
その結果、現行一次判定の平均要介護度が1.82であったのに対し、改訂一次判定の平均要介護度は1.87であった。
なお、同じ母集団(n=8,878)における現行二次判定の平均要介護度は1.96であった。
(2) 「運動能力の低下していない痴呆性高齢者」の目印は、障害性老人自立度が「自立」、「J」、「A」かつ痴呆性老人自立度が「III」、「IV」、「M」で改訂一次判定が要介護2以下の高齢者450人中340人(約77%)に付されており、この割合は、同じ母集団(n=450)において現行二次判定により重度変更されている者の割合(298人,約66%)よりも高かった。
(3) 新たに追加した調査項目(6項目)については、アンケート調査では9割以上の方が理解できる、選択できるとしており、調査項目として十分使用できるものと考えられた。
(4) 新たに作成した審査会資料の指標(○●など)については、アンケート調査では一部の項目で、今後、更に詳しい説明を用意する必要があると考えられた。
2 今後の予定
本モデル事業の結果を踏まえ、調査項目の判断基準の具体化、審査会資料の指標の明確化を図った上で、モデル事業(第二次)を実施する。さらに、認定調査員研修及び介護認定審査会委員並びに主治医意見書等に係る研修に用いるテキスト等を作成し、平成15年4月、一次判定ソフト改訂版の円滑導入に向け、充実を図っていきたい。
1.年齢階級・性別
2.現在の状況
3.要介護度別高齢者分布
4.運動能力の低下していない痴呆性高齢者の目印
※ | 母集団は、障害老人の日常生活自立度が自立、J又はAかつ痴呆性老人の自立度がIII、IV又はMの者。 |
5.追加6項目の回答状況
【追加項目】移動の回答構成 【追加項目】飲水摂取の回答構成 【追加項目】排尿の回答構成 【追加項目】排便の回答構成 【追加項目】電話の利用の回答構成 【追加項目】日常の意志決定の回答構成 |
審査会資料の指標
認定調査項目
要介護認定モデル事業(第二次)について(概要)
1 目的
要介護認定モデル事業(第二次)は、一次判定ソフト改訂版に基づく要介護認定について、その適正な実施についての検証等を行い、平成15年4月以降の円滑な移行を図ることを目的としています。
2 構成
本事業は、以下により構成されています。
(1)認定調査
現行制度に基づく基本調査項目に加え、別途指定する6項目(以下、「追加項目」といいます。)について調査を実施します。
(2)主治医意見書
現行制度に基づいて介護認定審査会の審査判定に用いられる主治医意見書を使用します。
(3)介護認定審査会
現行制度に基づいて審査判定を行います。
また、審査判定を行う際に、現行制度に基づく資料と共に、介護認定審査会資料(改訂案)(以下、「改訂案」といいます。)を、提示します。
なお、改訂案は、審査判定の参考資料としないでください。
(4)アンケート調査(様式は別途指定します)
3 留意事項
○ 改訂案に関連して、別途配布する本モデル事業用ソフトへの追加項目の入力、プリントアウト、結果の送信等の作業が必要となります。
○ 調査対象者は、11月〜12月のうち任意の連続する1週間(申請受付の実施の有無にかかわらず、土・日曜日を含む)内に要介護認定等の申請をされた方のうち、本事業の説明を受け、本事業への参加を同意された方のみであり、それ以外の方を別途選定していただく必要はありません。
○ 事業結果報告は、12月末までに、原則として市町村から厚生労働省へ、本モデル事業用ソフトを用いて認定支援ネットワークで送信してください。
送信不能の市町村については、都道府県で取りまとめの上、都道府県から厚生労働省へ認定支援ネットワークで送信してください。
○ アンケートは、事業結果報告をすべて送信後、12月末までに、原則として市町村から厚生労働省へ送信してください。
なお、アンケートの集計を行っていただく必要はございません。
4 事業のスケジュール
要介護認定事務に係る現況調査結果
(平成14年6月調査実施)
市町村数 | 3,241 |
○ 介護認定審査会に関すること
(1)介護認定審査会数(平成14年6月1日現在)
総数 | 1,174 | |
単独設置 | 694 | |
共同設置 | 480 | |
構成市町村数 | 2,489 | |
委託実施市町村数 | 58 |
(2)介護認定審査会委員長の資格(平成14年6月1日現在)
人数 | 構成割合 | ||
A | 医師 | 1,076 | 93.5% |
B | 歯科医師 | 8 | 0.7% |
C | 薬剤師 | 0 | 0.0% |
D | 保健師 | 1 | 0.1% |
E | 助産師 | 0 | 0.0% |
F | 看護師 | 1 | 0.1% |
G | 准看護師 | 0 | 0.0% |
H | 理学療法士 | 4 | 0.3% |
I | 作業療法士 | 0 | 0.0% |
J | 社会福祉士 | 6 | 0.5% |
K | 介護福祉士 | 0 | 0.0% |
L | 視能訓練士 | 0 | 0.0% |
M | 義肢装具士 | 0 | 0.0% |
N | 歯科衛生士 | 0 | 0.0% |
O | 言語聴覚士 | 0 | 0.0% |
P | あん摩マッサージ指圧師 | 0 | 0.0% |
Q | はり師 | 0 | 0.0% |
R | きゅう師 | 0 | 0.0% |
S | 柔道整復師 | 0 | 0.0% |
T | 栄養士(管理栄養士を含む) | 0 | 0.0% |
U | 精神保健福祉士 | 0 | 0.0% |
V | その他 | 55 | 4.8% |
総計 | 1,151 | 100.0% |
(3)介護認定審査会委員数(平成14年6月1日現在) | 48,979人 |
・ 1合議体当たりの委員数(平均) | 5.9人 |
(4)合議体数(平成14年6月1日現在) | 8,257 |
・ 介護認定審査会あたりの合議体設置数(平均) | 7.0 |
(5)平成14年6月の合議体開催総回数 | 13,634回 |
・ 1月あたりの合議体平均開催回数 | 1.7回 |
(6)平成14年6月の合議体での審査総件数 | 393,142件 |
・ 1合議体あたりの平均審査件数(月間) | 47.6件 |
・ 合議体1回あたりの平均審査件数 | 28.8件 |
(7)介護認定審査会委員の資格内訳数(延数)(平成14年6月1日現在)
人数 | 構成割合 | ||
A | 医師 | 19,065 | 38.9% |
B | 歯科医師 | 5,307 | 10.8% |
C | 薬剤師 | 3,033 | 6.2% |
D | 保健師 | 2,802 | 5.7% |
E | 助産師 | 39 | 0.1% |
F | 看護師 | 4,947 | 10.1% |
G | 准看護師 | 187 | 0.4% |
H | 理学療法士 | 1,713 | 3.5% |
I | 作業療法士 | 818 | 1.7% |
J | 社会福祉士 | 2,033 | 4.2% |
K | 介護福祉士 | 2,842 | 5.8% |
L | 視能訓練士 | 2 | 0.0% |
M | 義肢装具士 | 1 | 0.0% |
N | 歯科衛生士 | 40 | 0.1% |
O | 言語聴覚士 | 19 | 0.0% |
P | あん摩マッサージ指圧師 | 9 | 0.0% |
Q | はり師 | 28 | 0.1% |
R | きゅう師 | 6 | 0.0% |
S | 柔道整復師 | 119 | 0.2% |
T | 栄養士(管理栄養士を含む) | 87 | 0.2% |
U | 精神保健福祉士 | 149 | 0.3% |
V | その他 | 5,702 | 11.6% |
総計 | 48,948 | 100.0% |
○ 申請者に対する調査内容等の開示に関すること
(1)認定調査票(特記事項含)
市町村数 | 構成割合 | |
請求の有無にかかわらず基本的に提示・開示 | 125 | 3.9% |
請求があれば提供・開示(申請書不要) | 1,223 | 37.7% |
請求があれば提供・開示(申請書必要) | 1,746 | 53.9% |
非提供・非開示 | 116 | 3.6% |
未実施 | 31 | 1.0% |
合計 | 3,241 | 100.0% |
(2)一次判定結果
市町村数 | 構成割合 | |
請求の有無にかかわらず基本的に提示・開示 | 91 | 2.8% |
請求があれば提供・開示(申請書不要) | 1,308 | 40.4% |
請求があれば提供・開示(申請書必要) | 1,418 | 43.8% |
非提供・非開示 | 400 | 12.3% |
未実施 | 24 | 0.7% |
合計 | 3,241 | 100.0% |
(3)二次判定変更理由
市町村数 | 構成割合 | |
請求の有無にかかわらず基本的に提示・開示 | 124 | 3.8% |
請求があれば提供・開示(申請書不要) | 1,301 | 40.1% |
請求があれば提供・開示(申請書必要) | 1,334 | 41.2% |
非提供・非開示 | 457 | 14.1% |
未実施 | 25 | 0.8% |
合計 | 3,241 | 100.0% |
(4)主治医意見書
提供の前提として記載医師の提供同意について
市町村数 | 構成割合 | ||
提供・開示 | |||
同意が必要 | 2,767 | 85.4% | |
同意は不要 | 367 | 11.3% | |
未実施 | 107 | 3.3% | |
合計 | 3,241 | 100.0% |
市町村数 | 構成割合 | |
請求の有無にかかわらず基本的に提示・開示 | 93 | 2.9% |
請求があれば提供・開示(申請書不要) | 1,163 | 35.9% |
請求があれば提供・開示(申請書必要) | 1,799 | 55.5% |
非提供・非開示 | 160 | 4.9% |
未実施 | 26 | 0.8% |
合計 | 3,241 | 100.0% |
○ 主治医意見書記載医師に対する情報提供に関すること
提供の前提として申請者本人の同意について
市町村数 | 構成割合 | ||
いずれかの項目を提供・開示 | |||
同意が必要 | 2,820 | 87.0% | |
同意は不要 | 355 | 11.0% | |
未実施 | 66 | 2.0% | |
合計 | 3,241 | 100.0% |
(1)認定調査票(特記事項含)
市町村数 | 構成割合 | |
請求の有無にかかわらず基本的に提示・開示 | 305 | 9.4% |
請求があれば提供・開示(申請書不要) | 1,268 | 39.1% |
請求があれば提供・開示(申請書必要) | 1,069 | 33.0% |
非提供・非開示 | 575 | 17.7% |
未実施 | 24 | 0.7% |
合計 | 3,241 | 100.0% |
(2)一次判定結果
市町村数 | 構成割合 | |
請求の有無にかかわらず基本的に提示・開示 | 308 | 9.5% |
請求があれば提供・開示(申請書不要) | 1,316 | 40.6% |
請求があれば提供・開示(申請書必要) | 843 | 26.0% |
非提供・非開示 | 750 | 23.1% |
未実施 | 24 | 0.7% |
合計 | 3,241 | 100.0% |
(3)二次判定変更理由
市町村数 | 構成割合 | |
請求の有無にかかわらず基本的に提示・開示 | 300 | 9.3% |
請求があれば提供・開示(申請書不要) | 1,322 | 40.8% |
請求があれば提供・開示(申請書必要) | 810 | 25.0% |
非提供・非開示 | 784 | 24.2% |
未実施 | 25 | 0.8% |
合計 | 3,241 | 100.0% |
(4)認定結果
市町村数 | 構成割合 | |
請求の有無にかかわらず基本的に提示・開示 | 420 | 13.0% |
請求があれば提供・開示(申請書不要) | 1,892 | 58.4% |
請求があれば提供・開示(申請書必要) | 793 | 24.5% |
非提供・非開示 | 112 | 3.5% |
未実施 | 24 | 0.7% |
合計 | 3,241 | 100.0% |
都道府県別一次判定と二次判定の比較
|
都道府県別認定有効期間集計
|
今後の予定 |
モデル事業 | システム変更 | 研修事業 | |
平成14年 | |||
4月 | 要介護認定モデル事業(第一次) 担当者等打ち合わせ (26日) |
||
5月 | 要介護認定モデル事業(第一次) (34市町村) |
一部市町村と意見交換 | |
6月 | 経費に関する調べ | 実施要綱発出 | |
7月 | 調達仕様に関する意見収集 | ||
8月 | モデル(一次)意見交換会 (9日) |
概要公開・意見収集 | |
9月 | 全国介護保険担当課長会議 (9月4日) |
||
関係資料送付(9月中) | インタフェース仕様書公開 | ||
10月 | 全都道府県・市町村と協議 | ||
11月 | 要介護認定モデル事業(第二次) (全市町村) |
都道府県説明会 (予定) |
|
12月 | |||
平成15年 | |||
1月 | |||
2月 | 都道府県意見交換会 (2月〜3月予定) |
||
3月 | システムテスト(3月中完了) | ||
4月 | 一次判定ソフト(改訂版)に基づく要介護認定開始 |