III 身体拘束廃止に向けた取組
(1)都道府県における取組
平成14年5月現在、推進会議はほとんどの都道府県(45)で設置されているが、その開催状況には、都道府県によって大きな差が見られるところである。
また、相談窓口を設置しているのは33都道府県、昨年度に施設職員等に対する研修会を実施したのは31都道府県と、これらの面でも、都道府県の取組姿勢の差が表れている。(別添参照)
幅広い取組の一環として、ポスターの作成・配布、実態調査の実施、事例集の取りまとめなどを行っている都道府県もあるところであり、未だ取組が低調な都道府県にあっては、こうした積極的な取組を進めている都道府県の状況も参考にしながら、身体拘束ゼロに向けた具体的な施策を講じていただきたい。
なお、先日発出した平成14年度の身体拘束廃止推進事業の実施要綱において、家族支援事業の実施を追加したところである。これは、身体拘束ゼロへの取組を進める上で施設入所者の家族等の理解を得ることが極めて重要であることにかんがみたものであり、各都道府県におかれては、家族や住民向けの講習会の開催などにも力を入れていただきたい。
(2)総務省からの勧告について
先般、総務省において、介護保険の運営状況に関する実態調査が行われ、その結果、身体拘束については、以下のような勧告がなされたところである。
介護保険の運営状況に関する実態調査結果に基づく勧告(平成14年4月 総務省) (抜粋) 「・・・・したがって、厚生労働省は、介護サービス等の適切化等を図る観点から、次の措置を講ずる必要がある。 (1)・(2) (略) (3) 介護保険施設等において身体的拘束等を行うことは原則として禁止されていること及びその趣旨について周知徹底を図ること。 |
身体拘束の廃止は、高齢者にとってより良い介護サービスを提供するための出発点であり、都道府県におかれても、介護の現場で施設職員等が一丸となって身体拘束の廃止に向けて努力し、あるべきケアの実現を目指していくことに対して支援を行っていただくことが必要である。
ついては、総務省の勧告を受けたこの機会に、介護保険施設等において原則として身体拘束が禁止されている趣旨を再確認いただき、「『身体拘束ゼロ作戦』の推進について」(平成13年4月6日老発第155号厚生労働省老健局長通知)でお示しした事項にも留意しながら一層の取組を進めていただくようお願いする。
また、「緊急やむを得ない場合」として身体拘束を行ったときの記録の作成及び保存は、各施設における身体拘束の状況を把握し、その廃止に向けた取組を一層推進するためにも重要であるので、重ねてその周知徹底を図っていただくようお願いする。
身体拘束ゼロ作戦推進状況
(別添)
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(注1)推進会議及び相談窓口の設置については本年5月24日現在の状況。研修会の実施については昨年度の状況。
(注2)「*」は推進会議又は相談窓口の事務局が自部局以外(外部委託)となっているもの。「・」は民間団体において設置している相談窓口に対して都道府県として支援を行っているもの。
(注3)研修会の実施状況並びに13年12月のアンケート調査以降の推進会議及び相談窓口の設置状況については、14年5月に行った電話調査によるもの。