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II 痴呆性高齢者に対する支援

(1)痴呆性高齢者グループホームの第三者評価

 痴呆性高齢者グループホームの第三者評価については、平成14年5月30日付事務連絡により、別添資料のとおり各都道府県に対してその骨子をお示しし、併せてその体制整備に関する方針についての調査を行ったところである。
 ついては、各都道府県は以下の事項に留意の上、本年10月から実施予定の第三者評価について準備願いたい。
 なお、本件に関する通知改正は、各都道府県の体制整備の方針に関する調査結果を踏まえ、6月末を目途に発出する予定である。

(留意事項)

○ 第三者評価を行う評価機関の要件は骨子にお示ししたとおりであり、各都道府県はその選定方針について速やかに検討願いたいこと。
 なお、各都道府県において所要の体制を整えるには相当の期間を要し、現状ではそれぞれの管内に適当な評価機関がないことも多いと考えられることから、平成16年度末までの間は痴呆介護研究・研修東京センター(以下、「東京センター」という。)が都道府県からの依頼を受けて評価機関となる経過措置も講じることとしていること。

○ 東京センター以外の管内の法人を評価機関として選定する場合は、評価調査員の確保、評価審査委員会(仮称)の設置、諸規程の整備等、第三者評価の実施に必要な体制の整備について、準備願いたいこと。

○ 東京センターに評価機関の業務を依頼する場合には、第三者評価を円滑に実施するための協力機関を設置する必要があることから、その選定等について協力願いたいこと。


(2)痴呆介護研修事業

 痴呆性高齢者グループホームの管理者及び計画作成担当者については、指定申請前に本研修の基礎課程の受講を義務づけることについて既にお示ししているところである。
 この義務化については、「平成14年度以降は、都道府県における研修の実施状況等を勘案した上で、所要の通知改正を行う」こととしているが、サービスの質の確保及び向上を図る観点から、本通知改正は第三者評価に係る通知改正と併せ発出予定としている。
 この場合、都道府県の実情に応じ経過措置を設ける予定であるが、その趣旨にかんがみ、期限は平成14年度限りとする方向で検討している。
 各都道府県においては、関係者に周知を図るとともに改正後の通知の適用を受けるグループホーム事業予定者の当該研修の受講に対し配慮願いたい。


別添資料

痴呆性高齢者グループホームにおいて提供される
サービスに対する第三者評価について


1.グループホーム事業者については、都道府県の定める基準に基づいてサービス自己評価を行うことが平成13年度から義務づけられているところであるが、新たに、その客観性を高めるため、都道府県が選定した評価機関の実施するサービス評価(以下「第三者評価」という。)を受け、その評価結果を参考とした上で自己評価を行うことを義務づけることとする。

<ねらい>

 グループホーム事業者が、第三者評価を受ける前に行った自己評価の結果と、第三者評価の結果とを対比し、両者の異同について考察することとし、これによって事後の自己評価の客観性を高めることをねらいとする。

<実施時期>

 平成14年10月〜 (予定)


2.既に自己評価については少なくとも年に1回は行うこととしていることにかんがみ、第三者評価についてもこれと同様、少なくとも年に1回は受けることとする。
 ただし、各都道府県において所要の体制を整えるには相当の期間を要し、現状ではそれぞれの管内に適当な評価機関がないことも多いと考えられることから、平成16年度末までの間は、次の経過措置を講じる。

(1)管内に適当な評価機関がない都道府県の依頼を受けて、「高齢者痴呆介護研究東京センター」が、評価機関となること。

(2)平成16年度末までの間に少なくとも1回は第三者評価を受ければ足りること。


3.第三者評価結果の開示については、次のとおりとする。

(1)インターネットを利用して、広く公開する。

(2)評価調査員のコメント等を添付した詳細版については、

(1) 利用申込者又はその家族に対する説明の際に交付する重要事項を記した文書に添付の上、説明する。

(2) グループホーム内の見やすい場所に掲示するほか、入居者の家族に送付等を行う。


4.都道府県に対しては、

(1)評価機関の要件及び選定の手続き、評価調査員の養成、評価手続きなど、基本的な事項について示すとともに、

(2)第三者評価の円滑な実施を図る観点から、

  • 第三者評価項目の参考例
  • 第三者評価の実施要領の参考例(評価機関向け)
  • 評価機関とグループホームの間の契約書のひな形

などについても、あわせて示すこととする。

→ 評価機関の要件及び選定手続、東京センターに評価機関の業務を依頼する場合の留意事項並びに第三者評価の実施要領として示すことを予定している内容(未定稿)は、それぞれ別紙1及び別紙2のとおり。


(イメージ図)

イメージ図



別紙1

評価機関の要件及び選定手続等について


I.評価機関の要件

1 法人であること(国及び地方公共団体を除く)。


2 評価を適切に行う能力を有する評価調査員を、必要数確保していること。

(1)評価調査員は、その養成を目的として評価機関が自ら又は他者に委託して実施する研修(標準的なカリキュラム:別添)を受講しているものであること。ただし、関連の研修(痴呆介護実務者研修、介護相談員研修等を含む。)を修了した者にあっては、カリキュラムの一部の受講を免除することが可能な場合もあること。

(2)評価調査員は、現にグループホームに従事する職員ではないことなど客観的な評価を実施することができると認められる者でなければならないこと。

(3)各都道府県管内のグループホーム設置箇所数及び介護保険事業支援計画等に基づく見込み数を基礎として、1つのグループホームに対して複数の評価調査員が共同で評価を実施することとしていることにも留意しつつ、管内のすべてのグループホームについて少なくとも1年に1回の第三者評価を実施することが可能な数の評価調査員を確保していること。ただし、

(1) 平成16年度末までの間にあっては、経過措置に照らして、管内の全てのグループホームについてこの間に少なくとも1回の第三者評価を実施することが可能な数の評価調査員を確保していることで足りること。

(2) 管内において複数の評価機関(平成16年度末までは高齢者痴呆介護研究東京センターを含む。)が業務を行う場合には、各評価機関の規模等を勘案した上でそれぞれが適切と認められる数の評価調査員を確保し、全体として管内のすべてのグループホームに対する第三者評価が円滑に行われるようにすることで足りること。


3 痴呆介護に関する学識経験者、グループホーム事業者、痴呆性高齢者の家族代表等から成る評価審査委員会(仮称)を設置していること。


4 評価結果をインターネットにおいて公表するために、評価機関としての評価結果を電子情報化すること、及び当該情報をインターネット上に掲載するための手続きを行う担当者が配置されていること。


5 第三者評価の実施に関して次のような規程等を定め、それらに基づき適切に業務を実施する体制となっていること。

(1)第三者評価の実施要領(評価依頼の受付から評価手続、評価審査委員会(仮称)の手続き及びインターネットにおける情報公開までを含む。詳細は別紙2を参照。)

(2)第三者評価の実施に関して評価を受けるグループホーム事業者との間で締結する契約書のひな形

(3)その他都道府県において必要と定める書類


6 上記1〜5の要件に加え、当該機関において公正中立な立場で第三者評価を実施することが困難な状況があるなど、都道府県として当該機関に第三者評価を行わせることが不適当と認める事由が無いこと。

(例)

  •  評価機関自らがグループホームを設置・運営しているとき。

  •  評価機関の意思決定を行う理事会等の構成員の多数がグループホーム事業者によって占められているとき。

  •  第三者評価事業を行う上で十分な資金計画が立てられていないなど、安定的な事業運営の可能性に疑義があるとき。


II.協力機関の業務について

1 評価機関は、対象地域の規模やグループホームの数等に照らして第三者評価事業を効果的に遂行する上で必要と認めるときは、評価調査員の業務を支援することができる知見を有する者又は法人を協力機関として選定し、必要に応じて対象地域を分割してその地域ごとに、次の業務を行わせることができること。

(ア)評価実施の日程や評価調査員の組み合わせ等の調整を行うこと

(イ)担当地域における評価調査員の養成研修を責任を持って行うこと、また、他地域における養成研修についても適宜協力すること

(ウ)評価の実務に関し、評価調査員の一般的な相談に応じること


2 協力機関は、各グループホームの評価結果の決定に関与してはならないこと。


III.評価機関の選定手続等

1 都道府県から評価機関としての選定を受けようとする法人は、次の書面を都道府県の所管課に提出するものとすること。

(1)評価機関選定申込書

(2)法人の定款及び登記簿の謄本

(3)評価調査員名簿及び今後の養成に係る計画

(4)評価調査員の研修の内容を示した文書

(5)評価審査委員会(仮称)の委員名簿及び各委員の就任承諾書

(6)評価手数料の額及び算定根拠

(7)協力機関を選定する場合にはその旨及び当該機関の名称、代表者及び連絡先

(8)その他都道府県において必要と認めた書類

 また、選定後に(2)〜(8)のいずれかの事項に変更が生じた場合は、遅滞なく変更後の書面を都道府県の所管課に提出するものとすること。


2 各都道府県は、評価機関を選定した場合には、当該評価機関の名称、連絡先、審査手数料等の情報を管内のグループホームに通知するものとすること。


3 都道府県は、選定した評価機関がその要件を欠くに至った場合、その他公正中立な立場で評価を行うのにふさわしくないと思われる状況が生じた場合には、選定を撤回するものとすること。


IV.東京センターに評価機関の業務を依頼する場合の留意事項

 各都道府県において、東京センターに対して第三者評価の実施を依頼する場合には、次のような手続きによるものとすること。

(1)あらかじめ、管内のグループホームに係る第三者評価の実施計画を策定し、同計画を添えて東京センターに対して依頼し、その同意を得た上で、管内グループホームに対して東京センターにより第三者評価が実施される旨、その連絡先、費用負担の仕組等を通知する。

* 東京センターは、1件当たりの評価手数料として○万円を受領する。

(2)東京センターが評価機関としての業務を実施する場合には、事業を円滑に実施するために各都道府県の区域ごとに協力機関の設置が必要であり、各都道府県において、

(1) 協力機関の選定への協力

(2) 協力機関が中心となって実施する評価調査員養成研修への協力(例:評価調査員養成研修の場所の提供、講師の手配等)

等を行うものとする。


(別添:評価調査員が履修すべきカリキュラム)

(1)高齢者痴呆及び痴呆介護に係る理解

(1) 痴呆の人に現れる症状、障害等
(2) 痴呆の一次要因と増悪要因
(3) 痴呆の人に関する理解
(4) 痴呆介護の役割

(2)グループホームに係る理解

(1) グループホームの歴史及び現状
(2) グループホームの理念、期待される役割等
(3) グループホームに係る制度(介護保険制度、グループホームに係る運営基準、介護報酬の内容等)
(4) グループホームに係るケアの基本的視点、グループホームの直面している課題等

(3)グループホームの自己評価について

(1) 自己評価の目的及び必要性
(2) 自己評価項目それぞれの内容、背景等

(4)グループホームの第三者評価について

(1) 第三者評価の目的及び必要性
(2) 評価調査員の役割と義務
(3) 第三者評価項目ぞれぞれの内容、背景等
(4) 第三者評価手続

(5)第三者評価の模擬実習

* 痴呆介護実務者研修及び介護相談員研修を受講している者については、上記のうち(1)に係る研修を行うことは要しないものとする。

* その他介護に係る研修を受講している者については、当該研修のカリキュラム等を確認した上での各都道府県の判断により、上記(1)〜(4)のうち一部の研修を受けることを免除することができる。



別紙2

グループホームの第三者評価実施要領(ひな形)


 [評価機関の名称](以下、「当機関」という。)におけるグループホームの第三者評価の実施については、本実施要領に定める。

1.グループホームの第三者評価の目的と基本方針

 (各評価機関において記入)


2.第三者評価の体系及び評価項目

 別添1によるものとする。
 なお、評価を受けるグループホームが複数のユニットで構成されている場合には、特別な事情がある場合を除き、下記の評価手続はすべてのユニットについてまとめて行った上で、最終的な評価はグループホーム全体を単位として行うものとする。


3.第三者評価の構成

 第三者評価は、「書面調査」と「訪問調査」の結果を総合した上で、当機関としての決定に基づき行う。


4.書面調査

 当機関は、グループホームより第三者評価の依頼を受けた場合には、所定の手続きに基づき契約の締結、評価手数料の受領を行った後に、「グループホーム現況調査」と「自己評価調査」を目的として、次の書面の提出を求める。

(1)グループホーム現況調査

 評価を受けるグループホームから、「痴呆性高齢者グループホームの適正な普及について」(平成13年3月12日老計発第13号)に定めた情報公開項目(別添2)について記した文書その他グループホームの運営やサービス提供に係る文書の送付を受けることにより行う。

(2)自己評価調査

 評価を受けるグループホームから、「痴呆性高齢者グループホームの自己評価項目の参考例等について」(平成14年1月28日老計発第3号)に沿って各都道府県において定められた自己評価項目(別添3)について、当該グループホームを設置・運営する法人の代表者の責任の下に、管理者が介護従業者と協議しながら実施した直近の自己評価結果について記した文書の送付を受けることにより行う。


5.訪問調査

(1)訪問調査は、書面調査を実施した後に、評価調査員がグループホームを訪問することにより、別添1の評価項目についての調査を行うことにより実施する。

(2)訪問調査は1日間とし、当該グループホームの運営状況の概要等について評価調査員全員が管理者等から説明を受けた後、現状の確認及び所定の評価項目に関する状況の調査を行う。

(3)所定の調査作業を終了した後、管理者等を交えて全体的な総括と確認を行い訪問調査を終了する。

(4)緊急を要する事項(明らかな基準省令違反により、入居者に対するサービスの質が著しく低下している場合等)があった場合には、評価調査員は、当機関を通じて都道府県の担当部局に通報するなど、適切な対応を行う。


6.評価結果の確定

(1)評価調査員は、書面調査及び訪問調査の結果を総合的に判断し、別添1の評価項目について、訪問調査を行った評価調査員全員の合意により評価を行い、評価報告書を当機関あて提出する。

(2)当機関は、上記の報告書の提出を受けたときは、評価を受けたグループホームに対して、郵送又は電子メールにより同報告書の写しを送付し、意見等がある場合には当該文書の受領後○○日以内に当機関あて提出するよう求める。
 なお、評価を受けたグループホームへの同報告書の写しの送付に際しては、当機関としての評価結果の決定に向けた下記(3)の手続についても当該グループホームにあわせて告知するものとする。

(3)当機関は、評価を受けたグループホームからの意見等の受領後又は評価を受けたグループホームに告知していた期間の経過後に、評価調査員の作成した報告書及び評価を受けたグループホームからの意見等を踏まえて、当機関としての評価結果を決定する。
 なお、評価を受けたグループホームからの意見等の提出がある場合には、原則として挙証資料が添付されているもののみを考慮するものとする。


7.結果の通知等

 当機関は、評価結果を決定したときは、これを評価を受けたグループホームに通知するとともに、定められた様式及び方法に従い、当該評価結果をインターネット上に公開する。


8.その他

 本実施要領は、評価を受けるグループホームからの求めに応じて開示することとする。

(別添1)第三者評価項目
(別添2)情報公開項目
(別添3)自己評価項目
(別添4)評価審査委員会委員名簿
* 別添1〜別添3については、各都道府県において定めた項目を添付。


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