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IV 指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設、指定介護療養型医療施設の入所(入院)者に関する運営基準の見直し

(1)指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)については、都市部を中心として各施設への入所申込者数が増加しているとの指摘があるが、これは、施設への入所が「措置」から「契約」に変わって入所申込みが各施設に直接行われることになり、1人の高齢者が複数の施設に申し込んでいたり、直ちには入所の必要の無い高齢者も申込みを行っていたりすることが影響しているものである。
 一方、特別養護老人ホームへの入所については、要介護度を理由にサービスの提供を拒否することを禁ずる旨が運営基準の解釈通知に明記されていることもあり、一般的に各施設では申込順で入所者を決定するという取扱いが行われている実態にある。
 その結果、真に入所の必要な者の入所が、直ちには入所の必要の無い者より後になったり、いわば予約的な趣旨でのとりあえずの申込みを助長したりしているという問題を惹起している。

(2)特別養護老人ホームへの入所に関しては、昨年9月の全国介護保険担当課長会議において、個別の申込者の状況を把握して入所の必要性を評価する必要があることなど基本的な考え方をお示ししたところであるが、更に昨年12月には、上記のような問題に照らして介護の必要度の高い者が優先的に入所できる取扱いとすることについてどう考えるかということを、社会保障審議会介護給付費分科会(第3回)において御議論いただいたところである。
 そして去る5月23日には、標記に関する見直し案を別添2のとおり、同分科会(第10回)にお示しし、年度内できるだけ早く実施したい旨を御説明したところである。

(3)各都道府県等におかれては、今回の見直しのこうした趣旨等について十分に御了知いただくとともに、その円滑な施行に向けて所要の準備を進めていただきたい。
 この場合、特別養護老人ホームに係る今回の見直し後の運営基準の運用に当たっては、都道府県や指定都市、中核市などの単位で、特別養護老人ホームを設置・運営する社会福祉法人等が協議の場を持ち、そこに行政の参加も得ながら、運営基準に示す勘案事項を更に具体化したものを、その地域の施設に共通のものとして作成することが望ましいと考えており、今後、関係団体との連絡・調整などに御協力願いたい。

(参考)既にこうした取組みを行っている自治体:福島市、相模原市、神戸市等


第10回社会保障審議会介護給付費分科会(平成14年5月23日)提出資料

(別添2)

指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設、指定介護療養型医療施設の入所(入院)者に関する運営基準の見直し案


現行

【運営基準】

1 指定介護老人福祉施設

 (入退所)

第6条 指定介護老人福祉施設は、身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難な者に対し、指定介護福祉施設サービスを提供するものとする。

2 指定介護老人福祉施設は、正当な理由なく、指定介護福祉施設サービスの提供を拒んではならない。

2 介護老人保健施設

 (入退所)

第7条 介護老人保健施設は、その心身の状況及び病状並びにその置かれている環境に照らし看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療等が必要であると認められる者を対象に、介護保健施設サービスを提供するものとする。

2 介護老人保健施設は、正当な理由なく介護保健施設サービスの提供を拒んではならない。

3 指定介護療養型医療施設

 (入退院)

第8条 指定介護療養型医療施設は、長期にわたる療養が必要であると認められる要介護者を対象に、指定介護療養施設サービスを提供するものとする。

2 指定介護療養型医療施設は、正当な理由なく、指定介護療養施設サービスの提供を拒んではならない。


【解釈通知】

 原則として、利用申込に対して応じなければならないことを規定したものであり、特に、要介護度や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。



見直し案

○ 各施設は、入所(入院)希望者が多い場合において、入所(入院)者を決定するに当たっては、それぞれ以下の事情を勘案。[現行の運営基準に追加]

1 指定介護老人福祉施設

  •  介護の必要度や家族等の状況

2 介護老人保健施設

  •  医学的管理の下における介護及び機能訓練の必要度

3 指定介護療養型医療施設

  •  長期にわたる療養及び医学的管理の下における介護の必要度

○ 今年度内できるだけ早く実施。



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