厚生労働省

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コーデックス規格とWTO協定との関係

〜コーデックス規格はなぜ重要なのか?〜

1.SPS措置

私たちが普段商店街やスーパーに食べ物を買いに行くと、様々な種類の食べ物を見つけることができます。その中には日本で生産されたものの他に、日本では生産していないようなものもたくさんあります。日本で生産していない食べ物は、外国から輸入することにより手に入り、私たちの食卓に並びます。

ところで、海外との貿易によって日本に輸入される食べ物や植物には、場合によりますが日本にはいない病害虫が付着していたり、人体に有害な物質が含まれていたりする可能性があります。日本を含めて各国には、このような食べ物が国内で流通することによって国民の健康や生命が害されることのないよう、それぞれ国内にある食べ物や植物への付着物や残留物の基準を設定して適用する権限があります。そして輸入国は、そのような基準に基づき、海外から農産物や植物が入ってくることを制限することができます。
輸入国がとるこのような措置を「衛生植物検疫措置(SPS (sanitary and phytosanitary)措置)」といいます。

このように輸入される食べ物や植物の国内での流通を制限するSPS措置には、人の生命・健康を守るという大切な目的があります。
しかし、このSPS措置を、輸入国が国内産業を保護するための口実として乱用すると、貿易において不当な非関税障壁(輸入国が行う関税に基づかない貿易上の障害と見なされる制度のこと)となりかねません。
そこで、SPS措置の適切なルールについて話し合われることとなりました。

2.SPS協定とコーデックス規格

国民の生命・身体の安全や健康の保護と自由な貿易の推進という2つの目的のため、貿易についての国家間の問題を取り扱う国際機関である世界貿易機関(World Trade Organization: WTO)でSPS措置に関する協定(SPS協定)が結ばれました。このSPS協定では、WTO加盟国が、科学的見地から行われたリスク評価の結果作られた国際規格に基づかないでSPS措置を行うことは認められていません。更に、この科学的見地から行われたリスク評価の結果作られた国際規格がコーデックス規格であるとされています(*1 )。

すなわちWTOのルールの下においては、コーデックス規格がある場合、輸入食品に対し自国内での食品の安全のためにとる措置については、コーデックス規格に基づいて取ることを考慮しなければなりません。ただし、コーデックスで決められた基準に、加盟国が従う義務は必ずしもありません。
しかし仮にコーデックス規格よりも厳しい規格を輸入食品に課す場合には、その規格に科学的な正当性が示されない限り、非関税障壁と見なされ、WTOに訴えられる可能性があります。

このようにコーデックス委員会で作られる食品規格は、貿易を通じた食品の国際取引のルールとして扱われるようになり、国内で流通する食品の安全管理に大きな影響を及ぼすため、非常に重要なものと考えられています。このため、各国とも自国の規格ができる限り反映されるよう規格を策定するための様々な会議に臨んでいます。

日本においても主に厚生労働省と農林水産省が関係府省・機関と連携しつつ、主体的にコーデックス委員会における規格の策定に取り組んでいます。

*1 WTOのSPS協定では、WTO加盟国は、「自国の食品安全の基準を国際基準と調和させるよう努める必要がある」とされています。ここでいう国際基準とは、コーデックス委員会がつくる添加物、動物用医薬品、農薬、汚染物質、分析・サンプリング法、衛生実施規範の基準であるとSPS協定の付属書A「定義」3aに明示されています。

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