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地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律案要綱

第一 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律関係

  • 題名

    「障害者自立支援法」を「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(以下「障害者総合支援法」という。)とするものとすること。(題名関係)

  • 目的

    この法律の目的の実現のため、障害福祉サービスに係る給付に加えて、地域生活支援事業その他の必要な支援を総合的に行うものとする旨を明記すること。(第一条関係)

  • 基本理念

    この法律の基本理念を、障害者及び障害児が日常生活又は社会生活を営むための支援は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、全ての障害者及び障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられることにより社会参加の機会が確保されること及びどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと並びに障害者及び障害児にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去に資することを旨として、総合的かつ計画的に行わなければならないこととするものとすること。(第一条の二関係)

  • 障害者の範囲

    この法律に規定する「障害者」に、治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である者であって十八歳以上であるものを加えるものとすること。(第四条第一項関係)

  • 重度訪問介護の対象拡大

    障害福祉サービスのうち、重度訪問介護の対象となる者を、「重度の肢体不自由者その他の障害者であって常時介護を要するものとして厚生労働省令で定めるもの」とするものとすること。(第五条第三項関係)

  • 共同生活介護の共同生活援助への一元化

    障害福祉サービスのうち、共同生活介護(ケアホーム)を共同生活援助(グループホーム)に一元化し、共同生活援助において、日常生活上の相談に加えて、入浴、排せつ又は食事の介護その他の日常生活上の援助を行うものとすること。(第五条第十五項関係)

  • 指定障害福祉サービス事業者等の指定の欠格要件

    指定障害福祉サービス事業者、指定障害者支援施設、指定一般相談支援事業者及び指定特定相談支援事業者の指定の欠格要件に、労働に関する法律の規定であって政令で定めるものにより罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるときを加えるものとすること。(第三十六条第三項等関係)

  • 指定障害福祉サービス事業者等の責務

    指定障害福祉サービス事業者、指定障害者支援施設等の設置者、指定一般相談支援事業者及び指定特定相談支援事業者は、その行う支援を、障害者等の立場に立って行うように努めなければならないものとすること。(第四十二条第一項等関係)

  • 地域生活支援事業の追加
    1. 1市町村が行う地域生活支援事業
      市町村が行う地域生活支援事業として、障害者等の自立した日常生活及び社会生活に関する理解を深めるための研修及び啓発を行う事業、障害者等、障害者等の家族、地域住民等により自発的に行われる障害者等が自立した日常生活及び社会生活を営むことができるようにするための活動に対する支援を行う事業、障害者に係る民法に規定する後見、保佐及び補助の業務を適正に行うことができる人材の育成及び活用を図るための研修を行う事業並びに手話通訳等を行う者を養成する事業を加えるものとすること。(第七十七条第一項関係)
    2. 2都道府県が行う地域生活支援事業
      都道府県が行う地域生活支援事業として、手話通訳等を行う者を養成する事業のうち、広域的な対応が必要な事業として厚生労働省令で定める事業を加えるものとすること。(第七十八条第一項関係)
  • 相談支援の連携体制の整備

    基幹相談支援センターを設置する者は、指定障害福祉サービス事業者等、医療機関、民生委員、身体障害者相談員、知的障害者相談員その他の関係者との連携に努めなければならないものとすること。(第七十七条の二第五項関係)

  • 十一基本指針の見直し
    1. 1基本指針の内容の見直し
      基本指針に定める事項に、障害福祉サービス、相談支援及び地域生活支援事業の提供体制の確保に係る目標に関する事項を加えるものとすること。(第八十七条第二項関係)
    2. 2基本指針への障害者をはじめとする関係者の意見の反映
      厚生労働大臣は、基本指針の案を作成し、又は変更しようとするときは、あらかじめ、障害者等及びその家族その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとすること。(第八十七条第三項関係)
    3. 3実態を踏まえた基本指針の見直し
      厚生労働大臣は、障害者等の生活の実態等を勘案して、必要があると認めるときは、速やかに基本指針を変更するものとすること。(第八十七条第四項関係)
  • 十二障害福祉計画の見直し
    1. 1障害福祉計画の内容の見直し
      市町村及び都道府県が障害福祉計画に定めるよう努める事項に、指定障害福祉サービス等及び地域生活支援事業の提供体制の確保に係る医療機関、教育機関、公共職業安定所その他の職業リハビリテーションの措置を実施する機関その他の関係機関との連携に関する事項を加えるものとすること。(第八十八条第三項及び第八十九条第三項関係)
    2. 2実態を踏まえた障害福祉計画の作成
      市町村は、当該市町村の区域における障害者等の心身の状況、その置かれている環境その他の事情を正確に把握した上で、これらの事情を勘案して、市町村障害福祉計画を作成するよう努めるものとすること。(第八十八条第五項関係)
    3. 3障害福祉計画の調査、分析及び評価
      市町村及び都道府県は、定期的に、障害福祉計画について、調査、分析及び評価を行い、必要があると認めるときは、障害福祉計画を変更することその他の必要な措置を講ずるものとすること。(第八十八条の二及び第八十九条の二関係)
  • 十三自立支援協議会の見直し
    1. 1名称の変更
      自立支援協議会の名称を地方公共団体が地域の実情に応じて変更できるよう、協議会に改めるものとすること。(第八十九条の三第一項関係)
    2. 2構成員
      協議会を構成する者に障害者等及びその家族が含まれる旨を明記すること。(第八十九条の三第一項関係)
    3. 3協議会の設置
      協議会の設置をさらに進めるため、地方公共団体は協議会を設置するよう努めなければならないものとすること。(第八十九条の三第一項関係)
  • 十四その他所要の改正を行うこと。

第二 児童福祉法関係

  • 障害児の範囲

    この法律に規定する「障害児」に、治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって障害者総合支援法第四条第一項の政令で定めるものによる障害の程度が同項の厚生労働大臣が定める程度である児童を加えるものとすること。(第四条第二項関係)

  • 指定障害児通所支援事業者等の指定の欠格要件

    指定障害児通所支援事業者、指定障害児入所施設及び指定障害児相談支援事業者の欠格要件に、労働に関する法律の規定であって政令で定めるものにより罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるときを加えるものとすること。(第二十一条の五の十五第二項等関係)

  • 指定障害児事業者等の責務

    指定障害児事業者等、指定障害児入所施設等の設置者及び指定障害児相談支援事業者は、その行う支援を、障害児及びその保護者の立場に立って行うように努めなければならないものとすること。(第二十一条の五の十七第一項等関係)

  • その他所要の改正を行うこと。

第三 身体障害者福祉法関係

  • 身体障害者相談員

    身体障害者相談員は、その委託を受けた業務を行うに当たっては、身体に障害のある者が、障害福祉サービス事業、一般相談支援事業その他の身体障害者の福祉に関する事業に係るサービスを円滑に利用することができるように配慮し、これらのサービスを提供する者その他の関係者等との連携を保つよう努めなければならないものとすること。(第十二条の三第四項関係)

  • その他所要の改正を行うこと。

第四 知的障害者福祉法関係

  • 知的障害者相談員

    知的障害者相談員は、その委託を受けた業務を行うに当たっては、知的障害者又はその保護者が、障害福祉サービス事業、一般相談支援事業その他の知的障害者の福祉に関する事業に係るサービスを円滑に利用することができるように配慮し、これらのサービスを提供する者その他の関係者等との連携を保つよう努めなければならないものとすること。(第十五条の二第四項関係)

  • 後見等に係る体制の整備

    市町村及び都道府県は、後見、保佐及び補助の業務を適正に行うことができる人材の活用を図るため、後見等の業務を適正に行うことができる者の家庭裁判所への推薦その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。(第二十八条の二関係)

  • その他所要の改正を行うこと。

第五 施行期日

この法律は、平成二十五年四月一日から施行するものとすること。ただし、第一の五(重度訪問介護の対象拡大)及び六(共同生活介護の共同生活援助への一元化)は、平成二十六年四月一日から施行するものとすること。

第六 検討

  • 政府は、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、障害者等の支援に係る施策を段階的に講ずるため、この法律の施行後三年を目途として、障害者総合支援法第一条の二に規定する基本理念を勘案し、常時介護を要する障害者等に対する支援、障害者等の移動の支援、障害者の就労の支援その他の障害福祉サービスの在り方、障害程度区分の認定を含めた支給決定の在り方、手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて、所要の措置を講ずるものとすること。
  • 政府は、一の検討を加えようとするときは、障害者等及びその家族その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとすること。

第七 経過措置等

この法律の施行に関し、必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の規定の整備を行うこと。

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