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パラチオン試験法
1.装置
アルカリ熱イオン化検出器,炎光光度型検出器(リン用干渉フィルター,波長526nm)又は高感度窒素・リン検出器付きガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ・質量分析計を用いる。
2.試薬・試液
次に示すもの以外は,第2 添加物の部C 試薬・試液等の項に示すものを用いる。
なお,「(特級)」と記載したものは,日本工業規格試薬の特級の規格に適合するものであることを示す。
- アセトニトリル
- アセトニトリル300mlをすり合わせ減圧濃縮器を用いて濃縮し,アセトニトリルを除去する。この残留物をn-ヘキサン5mlに溶かし,その5μlを電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフに注入して試験するとき,ガスクロマトグラム上のn-ヘキサン以外のピークの高さは,2×10−11gのγ-BHCが示すピークの高さ以下でなければならない。
- アセトン
- アセトン300mlをすり合わせ減圧濃縮器を用いて濃縮し,アセトンを除去する。この残留物をn-ヘキサン5mlに溶かし,その5μlを電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフに注入して試験するとき,ガスクロマトグラム上のn-ヘキサン以外のピークの高さは,2×10−11gのγ-BHCが示すピークの高さ以下でなければならない。
- 塩化ナトリウム
- 塩化ナトリウム(特級)。当該農薬等の成分である物質の分析の妨害物質を含む場合には,n-ヘキサン等の溶媒で洗浄したものを用いる。
- カラムクロマトグラフィー用シリカゲル(粒径63〜200μm)
- カラムクロマトグラフィー用に製造したシリカゲル(粒径63〜200μm)を130℃で12時間以上加熱した後,デシケーター中で放冷する。
- ケイソウ土
- 化学分析用ケイソウ土を用いる。
- 酢酸エチル
- 酢酸エチル300mlをすり合わせ減圧濃縮器を用いて濃縮し,酢酸エチルを除去する。この残留物をn-ヘキサン5mlに溶かし,その5μlを電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフに注入して試験するとき,ガスクロマトグラム上のn-ヘキサン以外のピークの高さは,2×10−11gのγ-BHCが示すピークの高さ以下でなければならない。
- n-ヘキサン
- n-ヘキサン300mlをすり合わせ減圧濃縮器を用いて5mlに濃縮し,この5μlを電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフに注入して試験するとき,ガスクロマトグラム上のn-ヘキサン以外のピークの高さは,2×10−11gのγ-BHCが示すピークの高さ以下でなければならない。
- 水
- 蒸留水を用いる。当該農薬等の成分である物質の分析の妨害物質を含む場合には,n-ヘキサン等の溶媒で洗浄したものを用いる。
- 無水硫酸ナトリウム
- 無水硫酸ナトリウム(特級)。当該農薬等の成分である物質の分析の妨害物質を含む場合には,n-ヘキサン等の溶媒で洗浄したものを用いる。
3.標準品
- パラチオン
- 本品はパラチオン97%以上を含む。
- 沸点
- 本品の沸点は375℃である。
4.試験溶液の調製
a 抽出法
- (1)穀類及び豆類の場合
検体を420μmの標準網ふるいを通るように粉砕した後,その10.0gを量り採り,水20mlを加え,2時間放置する。
これにアセトン100mlを加え,3分間細砕した後,ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り,アセトン50mlを加え,3分間細砕した後,上記と同様に操作して,ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ,40℃以下でアセトンを除去する。
これをあらかじめ飽和塩化ナトリウム溶液100mlを入れた300mlの分液漏斗に移す。酢酸エチル及びn-ヘキサンの混液(1:4)100mlを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い,洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,酢酸エチル及びn-ヘキサンの層を300mlの三角フラスコに移す。水層に酢酸エチル及びn-ヘキサンの混液(1:4)50mlを加え,上記と同様に操作して,酢酸エチル及びn-ヘキサンの層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え,時々振り混ぜながら15分間放置した後,すり合わせ減圧濃縮器中にろ過し,n-ヘキサン20mlを用いて三角フラスコを洗い,その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ,40℃以下で酢酸エチル及びn-ヘキサンを除去する。
この残留物にn-ヘキサン30mlを加え,100mlの分液漏斗に移す。これにn-ヘキサン飽和アセトニトリル30mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,アセトニトリル層をすり合わせ減圧濃縮器中に移す。n-ヘキサン層にn-ヘキサン飽和アセトニトリル30mlを加え,上記と同様の操作を2回繰り返し,アセトニトリル層をその減圧濃縮器中に合わせ,40℃以下でアセトニトリルを除去する。この残留物にアセトン及びn-ヘキサンの混液(1:1)5mlを加えて溶かす。 - (2)果実及び野菜の場合
検体約1kgを精密に量り,必要に応じ適量の水を量って加え,細切均一化した後,検体20.0gに相当する量を量り採る。
これにアセトン100mlを加え,3分間細砕した後,ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いてすり合わせ減圧濃縮器中に吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を採り,アセトン50mlを加え,3分間細砕した後,上記と同様に操作して,ろ液をその減圧濃縮器中に合わせ,40℃以下でアセトンを除去する。
これをあらかじめ飽和塩化ナトリウム溶液100mlを入れた300mlの分液漏斗に移す。酢酸エチル及びn-ヘキサンの混液(1:4)100mlを用いて上記の減圧濃縮器のナス型フラスコを洗い,洗液を上記の分液漏斗に合わせる。振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,静置し,酢酸エチル及びn-ヘキサンの層を300mlの三角フラスコに移す。水層に酢酸エチル及びn-ヘキサンの混液(1:4)50mlを加え,上記と同様に操作して,酢酸エチル及びn-ヘキサンの層を上記の三角フラスコに合わせる。これに適量の無水硫酸ナトリウムを加え,時々振り混ぜながら15分間放置した後,すり合わせ減圧濃縮器中にろ過する。次いでn-ヘキサン20mlを用いて三角フラスコを洗い,その洗液でろ紙上の残留物を洗う操作を2回繰り返す。両洗液をその減圧濃縮器中に合わせ,40℃以下で酢酸エチル及びn-ヘキサンを除去する。この残留物にアセトン及びn-ヘキサンの混液(1:1)5mlを加えて溶かす。
b 精製法
内径15mm,長さ300mmのクロマトグラフ管にカラムクロマトグラフィー用シリカゲル(粒径63〜200μm)5gをアセトン及びn-ヘキサンの混液(1:1)に懸濁させたもの,次いでその上に無水硫酸ナトリウム約5gを入れ,カラムの上端に少量のアセトン及びn-ヘキサンの混液(1:1)が残る程度までアセトン及びn-ヘキサンの混液(1:1)を流出させる。このカラムにa 抽出法で得られた溶液を注入した後,アセトン及びn-ヘキサンの混液(1:1)100mlを注入し,流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り,40℃以下でアセトン及びn-ヘキサンを除去する。この残留物にアセトンを加えて溶かし,正確に5mlとして,これを試験溶液とする。
5.操作法
a 定性試験
次の操作条件で試験を行う。試験結果はいずれの操作条件においても標準品と一致しなければならない。
操作条件1
- カラム
- 内径0.53mm,長さ10〜30mのケイ酸ガラス製の細管に,ガスクロマトグラフィー用メチルシリコンを1.5μmの厚さでコーティングしたものを用いる。
- カラム温度
- 80℃で1分間保持し,その後毎分8℃で昇温し,250℃に到達後5分間保持する。
- 試験溶液注入口温度
- 230℃
- 検出器
- 280℃で操作する。
- ガス流量
- キャリヤーガスとしてヘリウムを用いる。流速を至適条件に調整する。空気及び水素の流量を至適条件に調整する。
操作条件2
- カラム
- 内径0.32mm,長さ10〜30mのケイ酸ガラス製の細管に,ガスクロマトグラフィー用50%トリフルオロプロピル―メチルシリコンを0.25μmの厚さでコーティングしたものを用いる。
- カラム温度
- 70℃で1分間保持し,その後毎分25℃で昇温し,125℃に到達後は毎分10℃で昇温し,235℃に到達後12分間保持する。
- 試験溶液注入口温度
- 230℃
- 検出器
- 280℃で操作する。
- ガス流量
- キャリヤーガスとしてヘリウムを用いる。流速を至適条件に調整する。空気及び水素の流量を至適条件に調整する。
b 定量試験
a 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき,ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
c 確認試験
a 定性試験と同様の操作条件でガスクロマトグラフィー・質量分析を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。また,必要に応じ,ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
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