健政発第943号
平成8年10月30日
各都道府県知事 殿
厚生省健康政策局長
歯科医師臨床研修施設の指定基準等について
今般、平成8年10月14日の医療関係者審議会歯科医師臨床研修部会の意見具申を受けて、「単独研修方式による歯科医師臨床研修施設の指定基準」、「複合研修方式による歯科医師臨床研修施設の指定基準」、「単独研修方式による歯科医師臨床研修施設の指定基準及び複合研修方式による歯科医師臨床研修施設の指定基準の運用」を別添1から別添3のとおり定めることとしたので、当該指定基準等について貴管内の関係機関に対し周知徹底を図られるとともに、その遵守についてよろしく御指導願いたい。
別添1
単独研修方式による歯科医師臨床研修施設の指定基準
単独研修方式による歯科医師臨床研修は1年間とし、以下に掲げる内容を備えた施設であることが原則とされること。
第1 施設、人員等に関する基準
1. 当該医療機関の開設歴が3年以上であること。
2. 医療法施行令(昭和23年政令第326号)第5条の3に掲げる「歯科」を標榜していること。
3. 常に勤務する歯科医師が3人以上であること。
4. 受け入れる研修歯科医数の半数以上の指導歯科医数が確保されていること。
5. 歯科主要設備(パノラマエックス線装置、オートクレーブ等)を保有し、研修歯科医の診療台が確保されていること。
6. 歯科衛生士又は歯科診療に従事する看護婦(准看護婦を含む。)が適当数(概ね常に勤務する歯科医師と同数)確保されていること。
7. 研修・研究に必要な図書、雑誌が整備されており、研修・研究活動が活発に行われていること。
第2 研修プログラムに関する基準
1. 研修目標、研修計画、指導体制及びその他必要な事項を定めた研修プログラムを有すること。
2. 研修プログラムの管理及び評価を行うため、臨床研修全体についての研修責任者及び研修委員会を置いていること。
別添2
複合研修方式による歯科医師臨床研修施設の指定基準
「複合研修方式による指定」とは、歯科医師臨床研修を行う主たる施設(研修は原則8か月)と従たる施設(研修は原則4か月)とが連携して研修を行う場合、指定するものである。
第1 施設、人員等に関する基準
1.主たる施設
(1) 当該医療機関の開設歴が3年以上であること。
(2) 医療法施行令(昭和23年政令第326号)第5条の3に掲げる「歯科」を標榜していること。
(3) 常に勤務する歯科医師が3人以上であること。
(4) 受け入れる研修歯科医数の半数以上の指導歯科医数が確保されていること。
(5) 歯科主要設備(パノラマエックス線装置、オートクレーブ等)を保有し、研修歯科医の診療台が確保されていること。
(6) 歯科衛生士又は歯科診療に従事する看護婦(准看護婦を含む。)が適当数(概ね常に勤務する歯科医師と同数)確保されていること。
(7) 研修・研究に必要な図書、雑誌が整備されており、研修・研究活動が活発に行われていること。
2.従たる施設
(1) 主たる施設と連携できる施設であること。
(2) 当該医療機関の開設歴が3年以上であること。
(3) 医療法施行令(昭和23年政令第326号)第5粂の3に掲げる「歯科」を標榜していること。
(4) 常に勤務する歯科医師が2人以上であること。
(5) 受け入れる研修歯科医数の半数以上の指導歯科医数が確保されていること。
(6) 歯科主要設備(パノラマエックス線装置、オートクレーブ等)を保有し、研修歯科医の診療台が確保されていること。
(7) 歯科衛生士又は歯科診療に従事する看護婦(准看護婦を含む。)が適当数(概ね常に勤務する歯科医師と同数)確保されていること。
第2 研修プログラムに関する基準
1. 研修施設グループ内で、研修目標、研修計画、指導体制及びその他必要な事項を定めた合同の研修プログラムを有すること。
2. 合同の研修プログラムの管理及び評価を行うため、臨床研修全体についての研修責任者及び合同研修委員会を置くなど、主たる施設の研修における責任が明確であること。
別添3
単独研修方式による歯科医師臨床研修施設の指定基準及び
複合研修方式による歯科医師臨床研修施設の指定基準の運用
第1 施設の定義
基準における「歯科医師臨床研修施設」の定義は、施設全体として臨床研修の場としてふさわしい施設の機能と研修の機会を有していること。
第2 施設、人員等に関する基準の運用
1. 歯科医師数
基準において「常に勤務する歯科医師」とは、非常勤歯科医師も含め当該施設で定めた歯科医師の勤務時間の全てを勤務する歯科医師をいう。
2. 歯科衛生士又は歯科診療に従事する看護婦数
基準において「歯科衛生士又は歯科診療に従事する看護婦(以下「歯科衛生士等」という。)が適当数確保されていること」とは、概ね常に勤務する歯科医師と同数であること。 なお、歯科衛生士等の数の算定に当たって、非常勤の者は、当該施設の定めた歯科衛生士等の勤務時間により常勤換算し、数に算入することとする。
3. 指導歯科医の資格
基準において、十分な指導力を有する指導歯科医を置くことを規定しているが、指導歯科医の資格は原則として次の(1)及び(2)の条件に該当し、かつ(3)、(4)、(5)のいずれかの条件を満たしていることが望ましいものであること。
(1) 一般歯科診療について的確に指導し、適正に評価が行えること。
(2) 臨床経験年数が原則10年程度あること。
(3) 歯科医育機関での臨床教員歴を3年以上有すること。
(4) 指導歯科医講習会(財団法人歯科医療研修振興財団主催)を受講していること。
(5) 日本歯科医学会分科会の認定医であること。
4. 設 備
(1) 基準における「歯科主要設備」とは、卒後臨床研修目標の一般目標と具体的目標に掲げる研修の習得に必要な設備をいう。
(例:歯科診療台、歯科用エックス線装置、パノラマエックス線装置、吸入麻酔装置、超音波歯石除去器、マイオモニター、下顎運動解析診断装置、オートクレーブ、口腔内画像処理システム など)
(2) 基準において、「研修・研究に必要な図書、雑誌が整備がされており、研修・研究活動が活発に行われていること」としているが、その内容は、内外の専門図書及び雑誌を有し、かつ、年間において相当数の図書、雑誌の購入が行われていること。
(3) 充実した臨床研修を図るためには宿舎の整備が望ましいこと。
第3 研修プログラムに関する基準の運用
1. 研修目標
基準において、研修プログラムに研修目標を定めることを規定しているが、研修目標については、平成8年10月の歯科医師臨床研修部会の意見書に示された到達目標が達成されること。
2. 研修計画
基準において、研修プログラムに研修計画を定めることを規定しているが、この研修計画には研修目標を達成できるに足りる臨床研修の具体的な実施計画を定めていること。
3. 指導体制
基準において、研修プログラムに指導体制を定めることを規定しているが、指導歯科医の氏名、資格及び指導歯科医数を含め、指導体制について定めていること。
なお、複合研修方式による臨床研修において、主たる施設と従たる施設が研修プログラムを組む場合においては、研修施設全体についての研修責任者及び合同委員会を置き、かつ、各施設毎の研修計画等具体的な実施計画を定めること。
4. その他研修プログラムに定める事項
基準において、研修プログラムにその他必要な事項を定めることを規定しているが、研修の記録及び評価に基づいて具体的な研修歯科医の評価方法等について定めていること。 複合研修方式を導入する場合には、それぞれの施設の概要、具体的な実施計画等を定めていること。
5. 研修プログラムの公表
研修プログラムは、公表することを原則とすること。
6. 研修の記録及び評価
研修プログラムに基づいた臨床研修を実施するに当たりその記録及び評価を行うことは、研修歯科医の到達目標の達成の程度を判断するために重要な意義を持つものであることから、研修責任者は、研修歯科医について研修内容の記録及び評価を残すこと。