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歯科医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の施行について

医政発第0628012号
平成17年6月28日
(一部改正 平成19年 医政発第0223005号)
(一部改正 平成19年 医政発第0330081号)
(一部改正 平成22年 医政発 0604第1号)
各都道府県知事 殿
厚生労働省医政局長

歯科医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の施行について

歯科医師の臨床研修については、医療法等の一部を改正する法律(平成12年法律第141号。以下「改正法」という。)による歯科医師法(昭和23年法律第202号。以下「法」という。)の一部改正により、平成18年4月1日から必修化されることとなった。これにより、診療に従事しようとするすべての歯科医師は、臨床研修を受けなければならないこととされ、また、これに併せて、臨床研修の内容の検討を進め、歯科医師が、適切な指導体制の下で、歯科医師としての人格をかん養し、全ての歯科医師に求められる基本的な診療能力を効果的に身に付けることができるものとすることとされたところである。

これを受け、平成17年6月28日に、歯科医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令(平成17年厚生労働省令第103号。以下「省令」という。)が公布・施行されたところである。

新たな歯科医師臨床研修制度は、歯科医師が、歯科医師としての基盤形成の時期に、患者中心の全人的医療を理解した上で基本的な診療能力を修得することにより、歯科医師としての資質の向上を図ることを目的としており、地域の医療提供体制の整備に当たっても、重要な役割を果たすことが期待されるものである。ついては、貴職におかれても、省令の趣旨、内容等について御了知の上、貴管内の保健所設置市、特別区、医療機関、関係団体等に対して周知に努めるとともに、情報や意見交換等により各地方厚生局との連携を図り、新たな歯科医師臨床研修制度の円滑な実施に御協力をお願いする。

また、本制度の円滑な実施を図るため、各地方厚生局において、臨床研修施設に関する指定申請等の手続きの窓口を設置することとしているので、ご了知願いたい。

第1  省令の趣旨

法第16条の2第1項に規定する臨床研修については、改正法による法の一部改正により、平成18年4月1日から、診療に従事しようとするすべての歯科医師に義務付けられるところであるが、省令は、法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関して、臨床研修の基本理念、臨床研修施設の指定の基準等を定めるものであること。

なお、改正法附則11条(臨床研修修了歯科医師の登録に係る経過措置)の規定により、同日前に歯科医師免許を受けている者及び同日前に歯科医師免許の申請を行った者であって同日以後に歯科医師免許を受けたものは、改正法による改正後の法第16条の4第1項の規定による臨床研修修了者の登録を受けた者とみなされること。

第2  省令の内容及び具体的な運用基準

1  用語の定義

(1) 「臨床研修」
法第16条の2第1項に規定する臨床研修をいうものであること。
(2) 「臨床研修施設」
法第16条の2第1項の指定を受けた病院又は診療所をいうものであること。
(3) 「単独型臨床研修施設」
臨床研修施設のうち、単独で又は研修協力施設と共同して臨床研修を行う病院又は診療所をいうものであること。
(4) 「管理型臨床研修施設」
臨床研修施設のうち、他の病院又は診療所と共同して臨床研修を行う病院又は診療所(単独型臨床研修施設を除く。)であって、当該臨床研修の管理を行うものをいうものであること。
(5) 「協力型臨床研修施設」
臨床研修施設のうち、3月以上他の病院又は診療所と共同して臨床研修を行う病院又は診療所(単独型臨床研修施設を除く。)であって、管理型臨床研修施設でないものをいうものであること。
(6) 「連携型臨床研修施設」
他の施設と共同して臨床研修を行う病院又は診療所(単独型臨床研修施設を除く。)であって、管理型臨床研修施設及び協力型臨床研修施設に該当しないものであること。
(7) 「研修協力施設」
臨床研修施設と共同して臨床研修を行う施設であって、臨床研修施設及び歯学若しくは医学を履修する課程を置く大学に附属する病院(歯科医業を行わないものを除く。)以外のものをいうものであること。
 なお、研修協力施設としては、例えば、へき地・離島診療所、病院、診療所、保健所、介護老人保健施設、社会福祉施設、赤十字社血液センター、各種検診・健診の実施施設等が考えられること。
(8) 「臨床研修施設群」
共同して臨床研修を行う管理型臨床研修施設、協力型臨床研修施設及び連携型臨床研修施設をいうものであること。研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、研修協力施設も臨床研修施設群に含まれること。
(9) 「大学病院」
歯学若しくは医学を履修する課程を置く大学に附属する病院(歯科医業を行わないものを除く。)をいうものであること。
(10) 「研修管理委員会」
臨床研修を行う病院又は診療所において臨床研修の実施を統括管理する機関をいうものであること。
なお、研修管理委員会は、単独型臨床研修施設又は管理型臨床研修施設に設置されること。
(11) 「研修プログラム」
臨床研修の実施に関する計画をいうものであること。
(12) 「プログラム責任者」
研修プログラムの企画立案及び実施の管理並びに研修歯科医に対する助言、指導その他の援助を行う者をいうものであること。
なお、プログラム責任者は、単独型臨床研修施設又は管理型臨床研修施設に配置されること。
(13) 「研修実施責任者」
協力型臨床研修施設、連携型臨床研修施設又は研修協力施設において、当該施設における臨床研修の実施を管理する者をいうものであること。
なお、研修実施責任者は、臨床研修指導歯科医を兼務しても差し支えないこと。
(14) 「臨床研修指導歯科医」
研修歯科医に対する指導を行う歯科医師をいうものであること。以下「指導歯科医」という。
(15) 「研修歯科医」
臨床研修を受けている歯科医師をいうものであること。
(16) 「研修期間」
臨床研修を行っている期間をいうものであること。

2  臨床研修の基本理念

歯科医師については、単に専門分野の負傷又は疾病を治療するのみでなく、全人的医療を理解した上で患者の健康と負傷又は疾病を診ることが期待され、歯科医師と患者及びその家族との間での十分なコミュニケーションの下に総合的な診療を行うことが求められていること。また、医療の社会的重要性及び公共性を考えると、臨床研修は、歯科医師個人の技術の向上を超えて、社会にとって必要性の高いものであること。

このため、臨床研修については、患者中心の全人的医療を理解した上で、歯科医師としての人格をかん養し、総合的な診療能力(態度・技能・知識)を身につけ、臨床研修を生涯研修の第一歩とすることのできるものでなければならないこと。

3  臨床研修施設の指定

(1) 法第16条の2第1項の指定は、次に掲げる区分に応じて行うこと。

  • ア 単独型臨床研修施設
  • イ 管理型臨床研修施設
  • ウ 協力型臨床研修施設
  • エ 連携型臨床研修施設

(2) 単独型臨床研修施設、管理型臨床研修施設及び協力型臨床研修施設は、それぞれ他の区分の臨床研修施設となることができること。

4  臨床研修施設の指定の申請

(1) 単独型臨床研修施設の指定の申請

ア 単独型臨床研修施設の指定を受けようとする病院又は診療所の開設者は、臨床研修を開始しようとする年度の前年度の6月30日までに、当該病院又は診療所に関する臨床研修施設申請書1(様式1)を厚生労働大臣に提出しなければならないこと。なお、既に単独型臨床研修施設の指定を受けている病院又は診療所であっても、他の病院又は診療所とともに臨床研修施設群を構成しようとする場合は、新たに管理型臨床研修施設又は協力型臨床研修施設の指定申請を行わなければならないこと。

イ 臨床研修施設申請書1には、次に掲げる書類を添付しなければならないこと。

  • (ア) 当該指定に係るすべての研修プログラム
  • (イ) 研修協力施設と共同して臨床研修を行おうとする場合にあっては、研修協力施設となる施設に係る研修協力施設概況表(様式2)

ウ 臨床研修施設申請書1及び添付書類は、当該病院又は診療所の所在地を管轄する地方厚生局健康福祉部医事課あてに送付すること。

(2) 管理型臨床研修施設の指定の申請

ア 管理型臨床研修施設の指定を受けようとする病院又は診療所の開設者は、臨床研修を開始しようとする年度の前年度の6月30日までに、当該病院又は診療所に関する臨床研修施設申請書1を厚生労働大臣に提出しなければならないこと。なお、既に管理型臨床研修施設の指定を受けている病院又は診療所であっても、臨床研修施設群の臨床研修施設の構成を変更しようとする場合は、新たに管理型臨床研修施設の指定申請を行わなければならないこと。

イ 臨床研修施設申請書1には、次に掲げる書類を添付しなければならないこと。

  • (ア) 当該指定に係るすべての研修プログラム
  • (イ) 研修協力施設と共同して臨床研修を行おうとする場合にあっては、研修協力施設となる施設に係る研修協力施設概況表(様式2)

ウ 管理型臨床研修施設の指定を受けようとする病院又は診療所の開設者は、当該病院又は診療所に関する臨床研修施設申請書1及び添付書類と、協力型臨床研修施設及び連携型臨床研修施設として共同して臨床研修を行うこととなる病院又は診療所に関する臨床研修施設申請書2(様式2)及び添付書類とを一括して、当該管理型臨床研修施設の所在地を管轄する地方厚生局健康福祉部医事課あてに送付すること。

(3) 協力型臨床研修施設又は連携型臨床研修施設の指定の申請

ア 協力型臨床研修施設又は連携型臨床研修施設の指定を受けようとする病院又は診療所の開設者は、臨床研修を開始しようとする年度の前年度の6月30日までに、当該病院又は診療所に関する臨床研修施設申請書2(様式2)を、管理型臨床研修施設として共同して臨床研修を行うこととなる病院又は診療所の開設者を経由して厚生労働大臣に提出しなければならないこと。なお、既に協力型臨床研修施設の指定を受けている病院又は診療所であっても、現に指定を受けている臨床研修施設群以外の臨床研修施設群において臨床研修を行おうとする場合は、新たに協力型臨床研修施設の指定申請を行わなければならないこと。

イ 連携型臨床研修施設として臨床研修を行う場合にあっては、プログラム責任者等から推薦状を添付すること。

5  臨床研修施設の指定の基準

(1) 単独型臨床研修施設の指定の基準

厚生労働大臣は、単独型臨床研修施設の指定を受けようとする病院又は診療所の開設者から指定の申請があった場合において、当該病院又は診療所が次に掲げる事項に適合していると認めるときでなければ、単独型臨床研修施設の指定をしてはならないこと。

ア 省令第2条に規定する臨床研修の基本理念にのっとった研修プログラムを有していること。

(ア) 研修プログラムには、次に掲げる事項が定められていること。

  • [1] 当該研修プログラムの特色
  • [2] 臨床研修の目標

    「臨床研修の目標」は、「歯科医師臨床研修の到達目標」(別添)を参考にして、臨床研修施設が当該研修プログラムにおいて研修歯科医の到達すべき目標として作成するものであり、「歯科医師臨床研修の到達目標」を達成できる内容であること。

  • [3] プログラム責任者の氏名
  • [4] 臨床研修を行う分野及び臨床研修施設又は研修協力施設ごとの研修期間

    「臨床研修を行う分野」とは、当該研修プログラムにおいて研修科医の到達すべき目標として示される項目をいうものであること。

  • [5] 研修歯科医の指導体制
  • [6] 研修歯科医の募集定員並びに募集及び採用の方法
  • [7] 研修歯科医の処遇に関する事項
    次に掲げる事項をいうものであること。
    • (i) 常勤又は非常勤の別
    • (ii) 研修手当、勤務時間及び休暇に関する事項
    • (iii) 時間外勤務及び当直に関する事項
    • (iv) 研修歯科医のための宿舎及び病院又は診療所内の室の有無
    • (v) 社会保険・労働保険(公的医療保険、公的年金保険、労働者災害補償保険、雇用保険)に関する事項
    • (vi) 健康管理に関する事項
    • (vii) 歯科医師賠償責任保険に関する事項
    • (viii) 外部の研修活動に関する事項(学会、研究会等への参加の可否及び費用負担の有無)

(イ) 研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合には、研修協力施設の種別及び名称、研修協力施設が行う研修の内容及び期間並びに研修実施責任者及び研修歯科医の指導を行う者の氏名が研修プログラムに明示されていること。

(ウ) 研修プログラムに定められた臨床研修を行う分野及び臨床研修施設又は研修協力施設ごとの研修期間が次に掲げる事項を満たすものであること。

  • [1] 研修期間は、原則として合計1年とすること。
  • [2] 研修歯科医が積極的に研修プログラムを選択し、臨床研修に取り組むことができるよう、地域や施設の特色をいかし、更に臨床研修を充実させるために活用すること。
  • [3] 地域保健・医療については、病院、診療所、へき地・離島診療所、保健所、介護老人保健施設、社会福祉施設、赤十字社血液センター、各種検診・健診の実施施設等を適宜選択して研修を行うこと。
  • [4] 研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合には、原則として、研修協力施設における研修期間を合計1月以内とすること。

イ 常に勤務する歯科医師が3人以上であり、指導歯科医を常勤で置くこと。
なお、「常に勤務する歯科医師」とは、非常勤歯科医師も含め当該施設で定めた歯科医師の勤務時間のすべてを勤務する歯科医師をいうこと。

ウ 歯科又は歯科口腔外科を標榜していること。

エ 当該医療機関の開設歴が3年以上であること。

オ 臨床研修を行うために必要な症例があること。ただし、共同して臨床研修を行う研修協力施設が医療機関である場合にあっては、当該病院又は診療所と研修協力施設の症例とを合わせて、必要な症例があること。
 「臨床研修を行うために必要な症例があること」とは、「臨床研修の到達目標」を達成するために必要な症例が確保されていることをいうものであること。

カ 入院若しくは外来患者に対する全身管理の研修又は在宅歯科医療において、主治の医師との連携を図った研修ができること。
 なお、全身管理の研修は、鎮静・全身麻酔等を用いた歯科治療における全身管理に係る適切な研修を修了した指導歯科医の指導の下で実施されることが望ましいこと。

キ 臨床研修の実施に関し必要な施設及び設備を有していること。
 「臨床研修の実施に関し必要な施設及び設備を有していること」とは、臨床研修の実施に関し必要な歯科主要設備(例:歯科診療台、歯科用エックス線装置、パノラマエックス線装置、オートクレーブ、超音波歯石除去器、生体モニター、口腔内画像処理システム、吸入鎮静装置等)のほか、臨床研修に必要な図書又は雑誌を有しており、また、原則として、インターネットが利用できる環境( Medline 等の文献データベース、教育用コンテンツ等が利用できる環境)が整備されていることをいうものであること。さらに、次に掲げる施設及び設備を備えていることが望ましいこと。

  • (ア) 研修歯科医のための歯科診療台
  • (イ) 研修歯科医のための宿舎及び病院又は診療所内の室
  • (ウ) 医学・歯学教育用シミュレーター(ファントム、切開及び縫合、一次救命処置( Basic Life Support:BLS)、心音又は呼吸音の聴診等の訓練用機材等)、医学・歯学教育用ビデオ等の機材

ク 患者の病歴に関する情報を適切に管理していること。
 「患者の病歴に関する情報を適切に管理していること」とは、病歴管理者が選任されており、診療に関する諸記録(診療録、病院日誌、各科診療日誌、処方せん、手術記録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真、紹介状、退院した患者に係る入院期間中の診療経過の要約等)の管理が適正になされていることをいうものであること。

ケ 医療に関する安全管理のための体制を確保していること。
 「医療に関する安全管理のための体制を確保していること」とは、医療法施行規則第1条の11第1項及び第2項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を満たすことをいうものであること。

(ア) 医療に係る安全管理を行う者(以下「安全管理者」という。)を配置すること。
  安全管理者は、当該病院又は診療所における医療に係る安全管理を行う部門(以下「安全管理部門」という。)の業務に関する企画立案及び評価、当該病院又は診療所内における医療安全に関する職員の安全管理に関する意識の向上や指導等の業務を行うものであり、次に掲げる基準を満たす必要があること。

  • [1] 医師、歯科医師、薬剤師、看護師又は歯科衛生士のうちのいずれかの資格を有していること。
  • [2] 医療安全に関する必要な知識を有していること。
  • [3] 病院においては、当該病院の安全管理部門に所属していること。
  • [4] 当該病院又は診療所の医療に係る安全管理のための委員会(以下「安全管理委員会」という。)の構成員に含まれていること。

(イ)病院においては、安全管理部門を設置すること。
 安全管理部門とは、安全管理者及びその他必要な職員で構成され、安全管理委員会で決定された方針に基づき、組織横断的に当該病院内の安全管理を担う部門であって、次に掲げる業務を行うものであること。

  • [1] 安全管理委員会で用いられる資料及び議事録の作成及び保存、その他安全管理委員会の庶務に関すること。
  • [2] 事故等に関する診療録や看護記録等への記載が正確かつ十分になされていることの確認を行うとともに、必要な指導を行うこと。
  • [3] 患者や家族への説明など事故発生時の対応状況について確認を行うとともに、必要な指導を行うこと。
  • [4] 事故等の原因究明が適切に実施されていることを確認するとともに、必要な指導を行うこと。
  • [5] 医療安全に係る連絡調整に関すること。
  • [6] 医療安全対策の推進に関すること。

(ウ)患者からの相談に適切に応じる体制を確保すること。
  「患者からの相談に適切に応じる体制を確保すること」とは、病院又は診療所においては、当該病院又は診療所内に患者相談窓口を常設し、患者等からの苦情や相談に応じられる体制を確保するものであり、次に掲げる基準を満たす必要があること。また、これらの苦情や相談は当該病院又は診療所の安全対策等の見直しにも活用されるものであること。

  • [1] 患者相談窓口の活動の趣旨、設置場所、担当者及びその責任者、対応時間等について、患者等に明示されていること。
  • [2] 患者相談窓口の活動に関し、相談に対応する職員、相談後の取扱い、相談情報の秘密保護、管理者への報告等に関する規約が整備されていること。
  • [3] 患者や家族等が相談を行うことにより不利益を受けないよう、適切な配慮がなされていること。
    なお、診療所においては、意見箱等の患者からの意見を適切に収集する体制をもって代えてよいこと。この場合も上記[1]〜[3]に準ずる体制を確保すること。

コ 研修管理委員会を設置していること。
 研修管理委員会は、6(1)を満たすものであること。

サ プログラム責任者を適切に配置していること。
 「プログラム責任者を適切に配置していること」とは、6(3)を満たしたプログラム責任者が、研修プログラムごとに配置されていることをいうものであること。ただし、20人以上の研修歯科医が一つの研修プログラムに基づいて臨床研修を受ける場合には、原則として、プログラム責任者とともに、副プログラム責任者を配置し、プログラム責任者及び副プログラム責任者の受け持つ研修歯科医の数が1人当たり20人を超えないようにすること。

シ 適切な指導体制を有していること。ただし、研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、当該病院又は診療所と研修協力施設とを合わせて、その指導体制が適切なものであること。

(ア) 「適切な指導体制を有していること」とは、6(4)アを満たした指導歯科医が、原則として臨床研修を行う各分野に配置されており、個々の指導歯科医が、勤務体制上指導時間を十分に確保できることをいうものであること。また、指導歯科医は研修歯科医に対する指導に関する責任者又は管理者の立場にあるものであり、指導歯科医が研修歯科医を直接指導することだけでなく、指導歯科医の指導監督の下、上級歯科医(研修歯科医よりも臨床経験の長い歯科医師をいう。以下同じ)が研修歯科医を直接指導すること(いわゆる「屋根瓦方式」)も想定していること。また、指導歯科医が配置されていない研修を行う分野についても、適切な指導力を有している者が研修歯科医の指導に当たること。

(イ) 休日・夜間の当直における指導体制については、電話等により指導歯科医又は上級歯科医に相談できる体制が確保されるとともに、研修歯科医1人で対応できない症例が想定される場合には、指導歯科医又は上級歯科医が直ちに対応できるような体制(オンコール体制)が確保されていること。また、休日・夜間の当直を研修歯科医が行う場合については、原則として指導歯科医又は上級歯科医とともに、2人以上で行うこと。

(ウ) 診療補助に従事する歯科衛生士又は看護師(准看護師を含む。以下「歯科衛生士等」という。)が適当数(常に勤務する歯科医師と概ね同数又は当該年度に募集する研修歯科医と同数)確保されていること。また、歯科衛生士を1人以上置くこと。
  なお、歯科衛生士等の数の算定に当たっては、非常勤の者は、当該施設の定めた歯科衛生士等の勤務時間により常勤換算し、算入すること。

(エ) 研修歯科医手帳を作成し、研修歯科医が当該手帳に研修内容を記入するよう指導すること。
  また、研修歯科医が担当した患者の病歴や手術の要約を作成するよう指導すること。

ス 受け入れる研修歯科医の数が、臨床研修を行うために適切であること。

(ア) 受け入れる研修歯科医の数は、基本的な診療能力を習得するのに必要な症例を十分確保できる適当な人数であること。

(イ) 同時に受入れる研修歯科医数が、指導歯科医数の2倍を超えないこと。

(ウ) 原則として、研修プログラムごとに研修歯科医を毎年継続して受け入れることができる体制であること。

セ 研修歯科医の募集及び採用は、原則として、公募により行われること。

ソ 研修歯科医に対する適切な処遇を確保していること。ただし、研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、当該病院又は診療所及び研修協力施設のそれぞれにおいて、研修歯科医に対する適切な処遇が確保されていること。

タ 病床を有さない診療所においては、臨床研修施設群の協力型臨床研修施設又は従前の複合研修方式の従たる施設として指定を受けており、原則として2年以上連続して臨床研修の実績があること。

(2) 管理型臨床研修施設の指定の基準

厚生労働大臣は、管理型臨床研修施設の指定を受けようとする病院又は診療所の開設者から指定の申請があった場合において、当該病院又は診療所が次に掲げる事項に適合していると認めるときでなければ、管理型臨床研修施設の指定をしてはならないこと。
  なお、アからツまでの各項目については、以下に特に定めるもののほか、(1)の各項目において示した内容に準じること。

ア 省令第2条に規定する臨床研修の基本理念にのっとった研修プログラムを有していること。

(ア) 原則として、連続した3月以上の研修を管理型臨床研修施設で行うこと。ただし、3月を超える期間については、1月を単位として、連続しなくてもよいこと。

(イ) 協力型臨床研修施設の名称、協力型臨床研修施設が行う研修の内容及び期間並びに研修実施責任者及び指導歯科医の氏名が研修プログラムに明示されていること。

(ウ) 連携型臨床研修施設として臨床研修を行う場合にあっては、連携型臨床研修施設の名称、連携型臨床研修施設が行う研修の内容及び期間並びに研修実施責任者及び指導歯科医の氏名が研修プログラムに明示されていること。

イ 常に勤務する歯科医師が2人以上であり、指導歯科医を常勤で置くこと。

ウ 歯科又は歯科口腔外科を標榜していること。

エ 当該医療機関の開設歴が3年以上であること。

オ 当該病院又は診療所と協力型臨床研修施設及び連携型臨床研修施設の症例とを合わせて、臨床研修を行うために必要な症例があり、かつ必要な分野の研修が可能であること。ただし、共同して臨床研修を行う研修協力施設が医療機関である場合にあっては、臨床研修施設群を構成する臨床研修施設と研修協力施設の症例とを合わせて、必要な症例があること。

カ 入院若しくは外来患者に対する全身管理の研修又は在宅歯科医療において、主治の医師との連携を図った研修ができること。
 なお、全身管理の研修は、鎮静・全身麻酔等を用いた歯科治療における全身管理に係る適切な研修を修了した指導歯科医の指導の下で実施されることが望ましいこと。

キ 臨床研修の実施に関し必要な施設及び設備を有していること。ただし、共同して臨床研修を行う研修協力施設が医療機関である場合にあっては、当該病院又は診療所及び研修協力施設が、それぞれの担当する臨床研修の実施に関し必要な施設及び設備を有していること。

ク 患者の病歴に関する情報を適切に管理していること。

ケ 医療に関する安全管理のための体制を確保していること。

コ 研修管理委員会を設置していること。
 なお、研修管理委員会は、6(1)を満たすものであること。

サ 当該病院又は診療所において、プログラム責任者を適切に配置していること。

シ 適切な指導体制を有していること。ただし、研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、臨床研修施設群における指導体制が適切なものであること。

ス 受け入れる研修歯科医の数が、臨床研修を行うために適切であること。
 受け入れる研修歯科医の数は、臨床研修施設群を構成する臨床研修施設ごとに適切な数である必要があること。

セ 研修歯科医の募集及び採用は、原則として、公募により行われること。

ソ 研修歯科医に対する適切な処遇を確保していること。ただし、研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、当該病院又は診療所及び研修協力施設のそれぞれにおいて、研修歯科医に対する適切な処遇が確保されていること。

タ 病床を有さない診療所においては、臨床研修施設群の協力型臨床研修施設又は従前の複合研修方式の従たる施設として指定を受けており、原則として2年以上連続して臨床研修の実績があること。

チ 協力型臨床研修施設及び連携型臨床研修施設との間で緊密な連携体制を確保していること。また、地域医療の研修を幅広く確保する観点から、原則として、臨床研修施設群の中に研修の実施に必要と考えられる相当数の民間医療機関を含めること。
 「緊密な連携体制」とは、歯科医師の往来又は患者の紹介が組織的に行われている等、診療及び臨床研修について機能的な連携が具体的に行われている状態をいうものであること。

ツ 協力型臨床研修施設及び連携型臨床研修施設として共同して臨床研修を行う病院又は診療所が、(3)の協力型臨床研修施設及び(4)連携型臨床研修施設の指定の基準に適合していること。

(3) 協力型臨床研修施設の指定の基準

厚生労働大臣は、協力型臨床研修施設の指定を受けようとする病院又は診療所の開設者から指定の申請があった場合において、当該病院又は診療所が次に掲げる事項に適合していると認めるときでなければ、協力型臨床研修施設の指定をしてはならないこと。
  なお、アからシまでの各項目については、以下に特に定めるもののほか、(1)の各項目において示した内容に準じること。

ア 省令第2条に規定する臨床研修の基本理念にのっとった研修プログラムを有していること。

(ア) 各協力型臨床研修施設において、連続した3月以上の研修を行うこと。

(イ) (ア)の規定に関わらず、複数の臨床研修施設が共同して次に掲げる基準を満たす研修を実施する場合には、各協力型臨床研修施設において、3月以上の研修を連続して行わないこととしても差し支えないこと。ただし、各協力型臨床研修施設において、合計3月以上の研修を行うこと。

  • [1] 5以下の臨床研修施設が共同して実施されること。
  • [2] 各臨床研修施設の所在地が研修歯科医の負担にならないように配慮されていること。
  • [3] 各臨床研修施設が研修を行う期間が、協力型臨床研修施設にあっては(3)ア(イ)、連携型臨床研修施設にあっては(4)ア(ア)に適合していること。
  • [4] 効果的な研修が実施できるよう、適切な研修期間を設定されていること。また、連携型臨床研修施設と共同して実施される場合は、各連携型臨床研修施設における研修期間の合計が各協力型臨床研修施設における研修期間の合計を上回らないようにすること。
  • [5] 協力型臨床研修施設は、管理型臨床研修施設と協議の上、当該研修の運営を行うこと。
     なお、複数の協力型臨床研修施設が当該研修を実施する場合は、当該研修を運営する協力型臨床研修施設を選定する。

イ 常に勤務する歯科医師が2人以上であり、指導歯科医を常勤で置くこと。

ウ 歯科又は歯科口腔外科を標榜していること。

エ 当該医療機関の開設歴が3年以上であること。

オ 臨床研修の実施に関し必要な施設及び設備を有していること。

カ 患者の病歴に関する情報を適切に管理していること。

キ 医療に関する安全管理のための体制を確保していること。
  「医療に関する安全管理のための体制を確保していること」とは、特定機能病院並びに医師臨床研修病院を除く病院又は診療所において、(1)ケの(ア)の事項を満たし、(イ)及び(ウ)の事項については体制整備に努めることをいう。
 なお、当該病院又は診療所内に患者からの相談に適切に応じる体制が確保されない場合にあっては、管理型臨床研修施設等に患者相談窓口を確保し、その活動の趣旨、設置場所、担当者及びその責任者、対応時間等について、患者等に明示すること。

ク 適切な指導体制を有していること。
当該施設における臨床研修の実施を管理する研修実施責任者を配置していること。

ケ 受け入れる研修歯科医の数が、臨床研修を行うために適切であること。

コ 研修歯科医の募集及び採用は、原則として、公募により行われること。

サ 研修歯科医に対する適切な処遇を確保していること。

シ 管理型臨床研修施設及び連携型臨床研修施設と共同して臨床研修を行う病院又は診療所が、(2)の管理型臨床研修施設及び(4)の連携型臨床研修施設の指定の基準に適合していること。

(4) 連携型臨床研修施設の指定の基準

厚生労働大臣は、連携型臨床研修施設の指定を受けようとする病院又は診療所の開設者から指定の申請があった場合において、当該病院又は診療所が次に掲げる事項に適合していると認めるときでなければ、連携型臨床研修施設の指定をしてはならないこと。
  なお、アからサまでの各項目については、以下の以下に特に定めるもののほか、(1)の各項目において示した内容に準じること。

ア 連携型臨床研修施設における研修プログラムは、臨床研修施設が策定する研修プログラムを補完する内容であること。なお、2以上の研修プログラムに基づいて臨床研修を行わないこと。

(ア) 当該施設で5日以上30日以内研修を行うことを目安とし、当該施設における研修方法は、(3)ア(イ)の内容を遵守すること。

(イ) 連携型臨床研修施設の名称、連携型臨床研修施設が行う研修の内容及び期間並びに研修実施責任者及び指導歯科医の氏名が研修プログラムに明示されていること。

イ 常に勤務する歯科医師が1人以上であり、指導歯科医を常勤で置くこと。

ウ 歯科又はこれに関連した診療科を置いていること。

エ 当該医療機関の開設歴が3年以上であること。

オ 臨床研修の実施に関し必要な施設及び設備を有していること。

カ 患者の病歴に関する情報を適切に管理していること。

キ 医療に関する安全管理のための体制を確保していること。
 「医療に関する安全管理のための体制を確保していること」とは、特定機能病院並びに医師臨床研修病院を除く病院又は診療所において、(1)ケの(ア)の事項を満たし、(イ)及び(ウ)の事項については体制整備に努めることをいう。
 なお、当該病院又は診療所内に患者からの相談に適切に応じる体制が確保されない場合にあっては、管理型臨床研修施設等に患者相談窓口を確保し、その活動の趣旨、設置場所、担当者及びその責任者、対応時間等について、患者等に明示すること。

ク 適切な指導体制を有していること。

(ア) 当該施設における臨床研修の実施を管理する研修実施責任者を配置していること。

(イ) プログラム責任者等から以下のいずれかに該当する旨について推薦を受けていること。

ア) 指導歯科医が臨床研修の到達目標に含まれる特定の分野について豊富な症例を経験しており、同分野について効果的な指導ができる。

イ) へき地医療若しくは在宅歯科医療又は障害者に対する歯科診療等を実践しており、これらの項目を含めた研修プログラムの計画・実施ができる。

ケ 受け入れる研修歯科医の数が、臨床研修を行うために適切であること。

コ 研修歯科医に対する適切な処遇を確保していること。

サ 管理型臨床研修施設及び協力型臨床研修施設として共同して臨床研修を行う病院又は診療所が、(2)の管理型臨床研修施設及び(3)の協力型臨床研修施設の指定の基準に適合していること。

(5) 厚生労働大臣は、臨床研修施設の指定の申請があった場合において、当該病院又は診療所が次に掲げる事 項のいずれかに該当するときは、臨床研修施設の指定をしてはならないこと。

ア 14(1)により臨床研修施設の指定を取り消され、その取消しの日から起算して2年を経過していないこと。

イ その開設者又は管理者に医事に関する犯罪又は不正の行為があり、臨床研修を行うことが適当でないと認められること。

(6) (1)から(4)までの臨床研修施設の指定の基準については、臨床研修施設において年間を通じて常に遵守されていなければならないこと。

6  研修管理委員会等の要件

臨床研修を実施している間、指導歯科医等の研修歯科医の指導に当たる者は、適宜、研修歯科医ごとの研修の進捗状況を把握・評価し、修了基準に不足している部分を補い、あらかじめ定められた研修期間(原則として1年間)内に臨床研修を修了することができるよう配慮しなければならないこと。

(1) 研修管理委員会

ア 単独型臨床研修施設の研修管理委員会は、次に掲げる者を構成員に含まなければならないこと。

(ア) 当該病院又は診療所の管理者又はこれに準ずる者

(イ) 当該病院又は診療所の事務部門の責任者又はこれに準ずる者

(ウ) 当該研修管理委員会が管理するすべての研修プログラムのプログラム責任者

(エ) 研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、すべての研修協力施設の研修実施責任者

イ 管理型臨床研修施設の研修管理委員会は、次に掲げる者を構成員に含まなければならないこと。

(ア) 当該病院又は診療所の管理者又はこれに準ずる者

(イ) 当該病院又は診療所の事務部門の責任者又はこれに準ずる者

(ウ) 当該研修管理委員会が管理するすべての研修プログラムのプログラム責任者

(エ) 臨床研修施設群を構成するすべての協力型臨床研修施設及び連携型臨床研修施設の研修実施責任者

(オ) 研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、すべての研修協力施設の研修実施責任者

ウ 研修管理委員会の構成員には、当該臨床研修施設及び研修協力施設以外に所属する歯科医師、有識者等を含むこと。

エ 研修管理委員会は、研修プログラムの作成、研修プログラム相互間の調整、研修歯科医の管理及び研修歯科医の採用・中断・修了の際の評価等臨床研修の実施の統括管理を行うこと。

オ 研修管理委員会は、必要に応じてプログラム責任者や指導歯科医から研修歯科医ごとの研修進捗状況について情報提供を受ける等により、研修歯科医ごとの研修進捗状況を把握・評価し、修了基準に不足している部分についての研修が行えるよう配慮しなければならないこと。

カ 研修管理委員会は、各臨床研修施設における研修の実施状況や研修歯科医の受入状況などを常時把握すること。
 なお、管理型臨床研修施設の研修管理委員会は、共同して臨床研修を行う協力型臨床研修施設及び連携型臨床研修施設の受入時期、受入人数及び他の臨床研修施設群への申請状況等を把握するとともに、協力型臨床研修施設における臨床研修が円滑に行われるよう、必要に応じて調整を図ること。

キ 研修管理委員会は、研修管理委員会に関する規約等において臨時の研修管理委員会の開催等に関する事項を定めるなど、研修期間中に緊急な対応を要する事案が生じた場合に迅速に対応できるような体制の整備に努めること。

ク 研修管理委員会は、会議に関する議事内容等を記録し、保管すること。

ケ 研修管理委員会は、定期的な研修会を開催する等、指導歯科医等の資質向上に努めることが望ましいこと。

(2) 単独型臨床研修施設又は管理型臨床研修施設の管理者

単独型臨床研修施設又は管理型臨床研修施設の管理者(以下この項及び18から20までにおいて「管理者」という。)は、責任をもって、受け入れた研修歯科医についてあらかじめ定められた研修期間内に臨床研修が修了できるよう努めなければならないこと。
 なお、研修歯科医に対して18(1)エの臨床研修中断証を交付するような場合においても、管理者は当該研修歯科医に対し、適切な進路指導を行うものであること。

(3) プログラム責任者

ア プログラム責任者は、単独型臨床研修施設又は管理型臨床研修施設の常勤の歯科医師であって、指導歯科医及び研修歯科医に対する指導を行うために必要な経験及び能力を有しているものでなければならないこと。

(ア) プログラム責任者は、研修プログラムごとに1人配置されることが望ましいが、複数の研修プログラムの管理を行ってもよいこと。また、研修実施責任者及び指導歯科医と兼務することは差し支えないこと。

(イ) 「指導歯科医及び研修歯科医に対する指導を行うために必要な経験及び能力を有しているもの」とは、指導歯科医の要件を満たす者であって、基本的・総合的診療についての指導を行うことのできる経験及び能力を有しているものをいうものであること。

イ プログラム責任者は、次に掲げる事項等研修プログラムの企画立案及び実施の管理並びに研修歯科医に対する助言、指導その他の援助を行うこと。

(ア) 研修プログラムの原案を作成すること。

(イ) 定期的に、さらに必要に応じて随時研修歯科医ごとに臨床研修の目標の達成状況を把握・評価し、研修プログラムにあらかじめ定められた研修期間の終了の時までに、修了基準に不足している部分についての研修が行えるよう指導歯科医に情報提供する等、すべての研修歯科医が臨床研修の目標を達成できるよう、全研修期間を通じて研修歯科医の指導を行うとともに、研修プログラムの調整を行うこと。

(ウ) 研修歯科医の臨床研修の休止に当たり、研修休止の理由の正当性を判定すること。

(エ) 研修プログラムにあらかじめ定められた研修期間の終了の際に、研修管理委員会に対して、研修歯科医ごとに臨床研修の目標の達成状況を報告すること。

(4) 指導歯科医等

ア 指導歯科医は、常に勤務する歯科医師であって研修歯科医に対する指導を行うために必要な経験及び能力を有しているものでなければならないこと。

(ア) 「研修歯科医に対する指導を行うために必要な経験及び能力を有しているもの」とは、一般歯科診療について的確に指導し、適正に評価を行うことができ、以下の[1]、[2]のいずれかの条件に該当する者であること。なお、臨床経験には、臨床研修を行った期間を含めて差し支えないこと。

[1] 7年以上の臨床経験を有する者であって、指導歯科医講習会(財団法人歯科医療研修振興財団主催又は「歯科医師の臨床研修に係る指導歯科医講習会の開催指針」(平成16年6月17日付け医政発第0617001号)にのっとって開催されたもの)を受講していること。なお、都道府県歯科医師会会長の推薦があることが望ましいこと。

[2] 5年以上の臨床経験を有する者であって、日本歯科医学会・専門分科会の認定医・専門医の資格を有し、指導歯科医講習会(財団法人歯科医療研修振興財団主催又は「歯科医師の臨床研修に係る指導歯科医講習会の開催指針について」(平成16年6月17日付け医政発第0617001号)にのっとって開催されたもの)を受講していること。

(イ) 指導歯科医は、臨床研修指導のための研さんを続けなければならないこと。

イ 指導歯科医は、担当する分野における研修期間中、研修歯科医ごとに臨床研修の目標の達成状況を把握し、研修歯科医に対する指導を行い、適宜、研修歯科医の評価をプログラム責任者に報告すること。

(ア) 指導歯科医は、研修歯科医の評価に当たっては、当該研修歯科医の指導を行い、又は研修歯科医と共に業務を行った歯科医師、歯科衛生士その他の職員と十分情報を共有し、各職員による評価を把握した上で、責任を持って評価を行わなければならないこと。

(イ) 指導歯科医は研修歯科医と十分意志疎通を図り、実際の状況と評価に乖離が生じないように努めなければならないこと。

(ウ) 研修歯科医による指導歯科医の評価についても、指導歯科医の資質の向上に資すると考えられることから、実施することが望ましいこと。

ウ 研修協力施設等における研修実施責任者や指導者についても、指導歯科医と同様の役割を担うものであること。

7  臨床研修施設指定証の交付

厚生労働大臣は、臨床研修施設を指定した場合にあっては、当該指定を受けた病院又は診療所に対して臨床研修施設指定証を交付すること。
  なお、臨床研修施設指定証の交付を受けた臨床研修施設の開設者は、当該指定が取り消されたときは臨床研修施設指定証を、当該病院又は診療所の所在地を管轄する地方厚生局健康福祉部医事課あてに送付すること。

8  臨床研修施設の変更の届出

(1) 単独型臨床研修施設又は管理型臨床研修施設の変更の届出

ア 単独型臨床研修施設又は管理型臨床研修施設の開設者は、当該病院又は診療所に関する次に掲げる事項に変更が生じたときは、その日から起算して1月以内に、臨床研修施設変更届出書1(様式1)をもって、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならないこと。

  • (ア) 開設者の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び主たる事務所の所在地)
  • (イ) 管理者の氏名
  • (ウ) 名称
  • (エ) 診療科名
  • (オ) 病床の種別ごとの病床数
  • (カ) 研修管理委員会の構成員
  • (キ) プログラム責任者
  • (ク) 指導歯科医及びその担当分野
  • (ケ) 研修歯科医の処遇に関する事項
  • (コ) 研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、当該研修協力施設に係る次に掲げる事項

    [1] 開設者の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び主たる事務所の所在地)

    [2] 管理者の氏名

    [3] 名称

    [4] 研修歯科医の処遇に関する事項

    [5] 研修歯科医の指導を行う者及びその担当分野

    [6] 研修協力施設が医療機関である場合にあっては、次に掲げる事項

    (i) 診療科名

    (ii) 病床の種別ごとの病床数

イ 臨床研修施設変更届出書1は、当該病院又は診療所の所在地を管轄する地方厚生局健康福祉部医事課あてに送付すること。

ウ 共同して臨床研修を行う協力型臨床研修施設及び連携型臨床研修施設から臨床研修施設変更届出書2の送付を受けた管理型臨床研修施設の開設者は、速やかに当該臨床研修施設変更届出書2を当該管理型臨床研修施設の所在地を管轄する地方厚生局健康福祉部医事課あてに送付すること。

(2) 協力型臨床研修施設及び連携型臨床研修施設の変更の届出

協力型臨床研修施設及び連携型臨床研修施設の開設者は、当該病院又は診療所に関する次に掲げる事項に変更が生じたときは、その日から起算して1月以内に、臨床研修施設変更届出書2(様式2)をもって、その旨を共同して臨床研修を行う管理型臨床研修施設の開設者を経由して厚生労働大臣に届け出なければならないこと。

  • ア 開設者の氏名及び住所(法人にあっては、名称及び主たる事務所の所在地)
  • イ 管理者の氏名
  • ウ 名称
  • エ 診療科名
  • オ 病床の種別ごとの病床数
  • カ 指導歯科医及びその担当分野
  • キ 研修歯科医の処遇に関する事項

9  研修プログラムの変更又は新設の届出

(1) 研修プログラムの変更

  研修プログラムの変更とは、研修プログラムのうち、次に掲げる事項を変更することをいうものであること。

  • ア 臨床研修の目標
  • イ 臨床研修を行う分野
  • ウ 臨床研修を行う分野ごとの研修期間
  • エ 臨床研修を行う分野ごとの臨床研修を行う病院、診療所又は施設
  • オ 研修プログラムの募集定員
  • カ 研修プログラムの名称

(2) 単独型臨床研修施設の研修プログラムの変更又は新設の届出

ア 単独型臨床研修施設の開設者は、研修プログラムを変更する場合又は新たに研修プログラムを設ける場合には、当該研修プログラムに基づく臨床研修を行おうとする年度の前年度の4月30日までに、当該研修プログラムに関し、次に掲げる書類を添えて、臨床研修施設変更届出書1(様式1)を厚生労働大臣に提出しなければならないこと。

(ア) 変更又は新設に係る研修プログラム(研修プログラムの変更の場合にあっては、変更前及び変更後の研修プログラム)

(イ) 研修プログラムの変更の場合にあっては、変更する箇所を記載した書類(変更部分に下線を付した変更前及び変更後の研修プログラムでも差し支えない。)

(ウ) 研修協力施設と共同して臨床研修を行おうとする場合にあっては、研修協力施設となる施設に係る研修協力施設概況表(様式2)

イ 臨床研修施設変更届出書1及び添付書類は、当該病院又は診療所の所在地を管轄する地方厚生局健康福祉部医事課あてに送付すること。

(3) 管理型臨床研修施設の研修プログラムの変更又は新設の届出

ア 管理型臨床研修施設の開設者は、研修プログラムを変更する場合又は新たに研修プログラムを設ける場合には、当該研修プログラムに基づく臨床研修を行おうとする年度の前年度の4月30日までに、当該研修プログラムに関し、次に掲げる書類を添えて、臨床研修施設変更届出書1(様式1)を厚生労働大臣に提出しなければならないこと。

(ア) 変更又は新設に係る研修プログラム(研修プログラムの変更の場合にあっては、変更前及び変更後の研修プログラム)

(イ) 研修プログラムの変更の場合にあっては、変更する箇所を記載した書類(変更部分に下線を付した変更前及び変更後の研修プログラムでも差し支えない。)

(ウ) 研修協力施設と共同して臨床研修を行おうとする場合にあっては、研修協力施設となる施設に係る研修協力施設概況表(様式2)

イ 管理型臨床研修施設の開設者は、当該病院又は診療所に関する臨床研修施設変更届出書1及び添付書類と、共同して臨床研修を行う協力型臨床研修施設及び連携型臨床研修施設に関する臨床研修施設変更届出書2(様式2)とを一括して、当該管理型臨床研修施設の所在地を管轄する地方厚生局健康福祉部医事課あてに送付すること。

(4) 協力型臨床研修施設又は連携型臨床研修施設の研修プログラムの変更又は新設の届出

協力型臨床研修施設又は連携型臨床研修施設の開設者は、研修プログラムを変更する場合又は新たに研修プログラムを設ける場合には、当該研修プログラムに基づく臨床研修を行おうとする年度の前年度の4月30日までに、当該研修プログラムに関し、臨床研修施設変更届出書2(様式2)を、共同して臨床研修を行う管理型臨床研修施設の開設者を経由して厚生労働大臣に提出しなければならないこと。

(5) 現に研修歯科医を受け入れている臨床研修施設は、当該研修歯科医が研修を修了し、又は中断するまでの間、当該研修歯科医が受ける臨床研修に係る研修プログラムの変更をしてはならないこと。

(6) (5)にかかわらず、やむを得ない場合にあっては、研修プログラムの変更を行うことも認められること。この場合において、臨床研修施設の開設者は、速やかに、(2)から(4)までの届出を行わなければならないこと。

10  臨床研修施設の行う臨床研修

臨床研修施設は、臨床研修施設の指定申請の際に提出し、又は研修プログラムの変更若しくは新設の届出を行った研修プログラム以外の研修プログラムに基づいて臨床研修を行ってはならないこと。

11  研修歯科医の募集の際の研修プログラム等の公表

臨床研修施設の管理者は、研修歯科医の募集を行おうとするときは、あらかじめ、研修プログラムとともに、次に掲げる事項を公表しなければならないこと。

  • (1) 研修プログラムの名称及び概要
  • (2) 研修歯科医の募集定員並びに募集及び採用の方法
  • (3) 研修の開始時期
  • (4) 研修歯科医の処遇に関する事項
  • (5) 臨床研修施設の指定について申請中である場合には、その旨
  • (6) 研修プログラムの変更又は新設の届出を行った場合(当該届出を行おうとしている場合を含む。)には、その旨

12 臨床研修施設の年次報告

(1) 単独型臨床研修施設の年次報告

ア 単独型臨床研修施設の開設者は、毎年4月30日までに、当該病院又は診療所に関する年次報告書1(様式1)に、現に行っている臨床研修に係る研修プログラムを添えて、これを厚生労働大臣に提出しなければならないこと。また、研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、研修協力施設概況表(様式2)を添付すること。

イ 年次報告書1及び添付書類は、当該病院又は診療所の所在地を管轄する地方厚生局健康福祉部医事課あてに送付すること。

(2) 管理型臨床研修施設の年次報告

ア 管理型臨床研修施設の開設者は、毎年4月30日までに、当該病院又は診療所に関する年次報告書1に、現に行っている臨床研修に係る研修プログラムを添えて、これを厚生労働大臣に提出しなければならないこと。また、研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、研修協力施設概況表(様式2)を添付すること。

イ 管理型臨床研修施設の開設者は、当該病院又は診療所に関する年次報告書1及び添付書類と、共同して臨床研修を行う協力型臨床研修施設及び連携型臨床研修施設に関する年次報告書2とを一括して、当該管理型臨床研修施設の所在地を管轄する地方厚生局健康福祉部医事課あてに送付すること。

(3) 協力型臨床研修施設又は連携型臨床研修施設の年次報告

協力型臨床研修施設又は連携型臨床研修施設の開設者は、毎年4月30日までに、当該病院又は診療所に関する年次報告書2(様式2)を、共同して臨床研修を行う管理型臨床研修施設の開設者を経由して厚生労働大臣に提出しなければならないこと。

13  臨床研修施設に対する厚生労働大臣の報告の徴収及び指示

(1) 厚生労働大臣は、臨床研修の実施に関し必要があると認めるときは、臨床研修施設の開設者又は管理者に対して報告を求めることができること。

(2) 厚生労働大臣は、研修プログラム、指導体制、施設、設備、研修歯科医の処遇その他の臨床研修の実施に関する事項について適当でないと認めるときは、臨床研修施設の開設者又は管理者に対して必要な指示をすることができること。

(3) 厚生労働大臣は、臨床研修施設群については、管理型臨床研修施設の開設者又は管理者に対し、協力型臨床研修施設及び連携型臨床研修施設に関する(1)の報告の徴収又は(2)の必要な指示をすることができること。

14  臨床研修施設の指定の取消し

(1) 厚生労働大臣は、臨床研修施設が次のいずれかに該当するときは、法第16条の2第2項の規定により臨床研修施設の指定を取り消すことができること。

ア 臨床研修施設の区分ごとに、5(1)から(4)までのそれぞれの臨床研修施設の指定の基準に適合しなくなったとき。

イ 5(5)イに該当するに至ったとき。

ウ 6及び8から12までに違反したとき。

エ その開設者又は管理者が、13(2)の指示に従わないとき。

(2) 臨床研修施設群を構成する臨床研修施設の指定の取消し

厚生労働大臣は、臨床研修施設群の臨床研修施設の構成に変化がある場合には、当該臨床研修施設群に係る一又は二以上の臨床研修施設の指定を同時に取り消すことができるものとすること。取消しを行う場合においては、関係する臨床研修施設の開設者は、16の手続に従い、臨床研修施設の指定の取消しの申請を行わなければならないこと。

15  臨床研修施設群の構成の変更

臨床研修施設群において協力型臨床研修施設又は連携型臨床研修施設の加除を行ったうえで、再度、同様の臨床研修を行おうとする管理型臨床研修施設の開設者は、臨床研修を開始しようとする年度の前年度の6月30日までに、当該管理型臨床研修施設に関する臨床研修施設申請書1(様式1)及び当該臨床研修施設群におけるすべての研修プログラムを添え厚生労働大臣に提出しなければならないこと。

なお、新たに研修協力施設として臨床研修を行おうとする施設がある場合には、研修協力施設概況表(様式2)を添付すること。

当該臨床研修施設群において新たに協力型臨床研修施設又は連携型臨床研修施設として臨床研修を行おうとする病院又は診療所の開設者は、既に臨床研修施設として指定を受けている場合であっても、当該病院又は診療所に関する臨床研修施設申請書2(様式2)を管理型臨床研修施設の開設者を経由して厚生労働大臣に提出しなければならないこととし、当該臨床研修施設群における協力型臨床研修施設又は連携型臨床研修施設の指定の取消しを受けようとする施設は16(3)の手続に従うこと。

この場合において、管理型臨床研修施設の開設者は、当該管理型臨床研修施設に関する臨床研修施設申請書1等に新たに研修協力施設として登録しようとする施設の研修協力施設概況表等を添付し、新たに共同して臨床研修を行うこととなる病院又は診療所に関する臨床研修施設申請書2等及び指定の取消しを受けようとする協力型臨床研修施設又は連携型臨床研修施設の指定取消申請書(様式3)とを一括して、当該管理型臨床研修施設の所在地を管轄する地方厚生局健康福祉部医事課あてに送付しなければならないこと。

16  臨床研修施設の指定の取消しの申請

(1) 単独型臨床研修施設の指定の取消しの申請

ア 単独型臨床研修施設の開設者は、臨床研修施設の指定の取消しを受けようとするときは、あらかじめ指定取消申請書(様式3)を厚生労働大臣に提出しなければならないこと。

イ 指定取消申請書は、当該病院又は診療所の所在地を管轄する地方厚生局健康福祉部医事課あてに送付すること。

(2) 管理型臨床研修施設の指定の取消しの申請

ア 管理型臨床研修施設の開設者は、臨床研修施設の指定の取消しを受けようとするときは、あらかじめ指定取消申請書(様式3)を厚生労働大臣に提出しなければならないこと。

イ 管理型臨床研修施設の開設者は、当該病院又は診療所に関する指定取消申請書と、共同して臨床研修を行う協力型臨床研修施設及び連携型臨床研修施設に関する指定取消申請書とを一括して、当該管理型臨床研修施設の所在地を管轄する地方厚生局健康福祉部医事課あてに送付すること。

(3) 協力型臨床研修施設又は連携型臨床研修施設の指定の取消しの申請

協力型臨床研修施設又は連携型臨床研修施設の開設者は、臨床研修施設の指定の取消しを受けようとするときは、あらかじめ指定取消申請書(様式3)を、共同して臨床研修を行う管理型臨床研修施設の開設者を経由して厚生労働大臣に提出しなければならないこと。

(4) 厚生労働大臣は、(1)から(3)までの申請があった場合において、当該臨床研修施設の指定を取り消すことが相当と認めるときは、その指定を取り消すことができること。

17  臨床研修の評価

(1) 研修期間中の評価

研修期間中の評価は、形成的評価により行うことが重要であり、研修歯科医ごとの知識・態度・技能に価値ある変容をもたらすことを主な目的とすること。

研修歯科医及び指導歯科医は、「臨床研修の到達目標」に記載された個々の項目について、研修歯科医が実際にどの程度履修したか随時記録を行うものであること。

研修の進捗状況の記録については、研修歯科医手帳を利用するほか、インターネットを用いた評価システムなどの活用も考えられること。

指導歯科医等は、定期的に、さらに必要に応じて随時研修歯科医ごとに研修の進捗状況を把握・評価し、研修歯科医が修了基準に不足している部分を研修できるよう配慮すると共に、評価結果を研修歯科医にも知らせ、研修歯科医及び指導スタッフ間で評価を共有し、より効果的な研修へとつなげるものであること。

(2) 研修期間終了時の評価

研修歯科医の研修期間の終了に際し、プログラム責任者は、研修管理委員会に対して研修歯科医ごとの臨床研修の目標の達成状況を報告し、その報告に基づき、研修管理委員会は研修の修了認定の可否についての評価を行うこと。

評価は、研修実施期間の評価及び臨床研修終了時の到達目標の達成度の評価(行動目標等の達成度の評価及び臨床歯科医としての適性の評価)に分けて行い、両者の基準が満たされた時に修了と認めるものであること。

18  臨床研修の中断及び再開

(1) 臨床研修の中断

ア 基本的な考え方

臨床研修の中断とは、現に臨床研修を受けている研修歯科医について研修プログラムにあらかじめ定められた研修期間の途中で臨床研修を中止することをいうものであり、臨床研修を再開する際には、原則として別の臨床研修施設の研修プログラムを改めて受けることを前提としたものであること。

研修プログラムを提供している管理者及び研修管理委員会には、あらかじめ定められた研修期間内に研修歯科医に臨床研修を修了させる責任があり、安易に中断の扱いを行ってはならないこと。

やむを得ず臨床研修の中断の検討を行う際には、管理者及び研修管理委員会は当該研修歯科医及び研修指導関係者と十分話し合い、当該研修歯科医の臨床研修に関する正確な情報を十分に把握するものであること。さらに、研修歯科医が臨床研修を継続できる方法がないか検討し、研修歯科医に対し必要な支援を行うものであること。

これらを通じて、中断という判断に至る場合にも、管理者及び研修管理委員会は当該研修歯科医が納得するよう努めなければならないこと。なお、このような場合においては、経緯や状況等の記録を残しておく必要があること。また、必要に応じて事前に管轄する地方厚生局健康福祉部医事課に相談をすること。

イ 中断の基準

中断には、「研修歯科医が臨床研修を継続することが困難であると研修管理委員会が評価、勧告した場合」と「研修歯科医から管理者に申し出た場合」の2通りがあること。

管理者が臨床研修の中断を認めるのは、以下のようなやむを得ない場合に限るものであり、例えば、臨床研修施設の研修歯科医に対する不満又は研修歯科医の臨床研修施設に対する不満のように、改善の余地があるものは認めるものではないこと。

(ア) 当該臨床研修施設の廃院、指定の取消しその他の理由により、当該研修施設が認定を受けた研修プログラムの実施が不可能な場合

(イ) 研修歯科医が臨床歯科医としての適性を欠き、当該臨床研修施設の指導、教育によっても改善が不可能な場合

(ウ) 妊娠、出産、育児、傷病等の理由により臨床研修を長期にわたり休止し、そのため修了に必要な研修実施期間を満たすことができない場合であって、臨床研修を再開するときに、当該研修歯科医の履修する研修プログラムの変更、廃止等により同様の研修プログラムに復帰することが不可能であると見込まれる場合

(エ) その他正当な理由がある場合

ウ 中断の手順

(ア) 研修管理委員会は、臨床歯科医としての適正を欠く場合等研修歯科医が臨床研修を継続することが困難であると認める場合には、当該研修歯科医がそれまでに受けた臨床研修に係る当該研修歯科医の評価を行い、管理者に対し、当該研修歯科医の臨床研修を中断することを勧告することができること。

(イ) 管理者は、(ア)の勧告又は研修歯科医の申出を受けて、当該研修歯科医の臨床研修を中断することができること。

エ 中断した場合
 管理者は、研修歯科医の臨床研修を中断した場合には、当該研修歯科医の求めに応じて、速やかに、当該研修歯科医に対して、当該研修歯科医に関する次に掲げる事項を記載した臨床研修中断証(様式4)を交付しなければならないこと。このとき、管理者は、研修歯科医の求めに応じて、他の臨床研修施設を紹介する等臨床研修の再開のための支援を行うことを含め、適切な進路指導を行わなければならないこと。さらに、管理者は、速やかに、臨床研修中断報告書(様式5)及び当該中断証の写しを管轄する地方厚生局健康福祉部医事課あてに送付すること。

(ア) 氏名、歯科医籍の登録番号及び生年月日

(イ) 中断した臨床研修に係る研修プログラムの名称

(ウ) 臨床研修を行った臨床研修施設(研修協力施設と共同して臨床研修を行った場合にあっては、臨床研修施設及び研修協力施設)の名称

(エ) 臨床研修を開始し、及び中断した年月日

(オ) 臨床研修を中断した理由

(カ) 臨床研修を中断した時までの臨床研修の内容及び研修歯科医の評価

(2) 臨床研修の再開

臨床研修を中断した者は、自己の希望する臨床研修施設に、臨床研修中断証を添えて、臨床研修の再開を申し込むことができること。この場合において、臨床研修再開の申込を受けた臨床研修施設の管理者は、当該研修歯科医の臨床研修中断証の内容を考慮した臨床研修を行わなければならないこと。

なお、当該管理者は、研修再開の日から起算して1月以内に、臨床研修の修了基準を満たすための履修計画表(様式6)を、管轄する地方厚生局健康福祉部医事課あてに送付すること。

19  臨床研修の修了

(1) 臨床研修の修了基準

ア 研修実施期間の評価
管理者は、研修歯科医が研修期間(原則として1年間)の間に、以下に定める休止期間の上限を減じた日数以上の研修を実施しなければ修了と認めてはならないこと。

(ア) 休止の理由
 研修休止の理由として認めるものは、傷病、妊娠、出産、育児その他正当な理由(研修プログラムで定められた年次休暇を含む)であること。

(イ) 必要履修期間等についての基準
 研修期間(原則として1年間)を通じた休止期間の上限は45日(研修機関(施設)において定める休日は含めない。)とすること。

(ウ) 休止期間の上限を超える場合の取扱い
 研修期間終了時に当該研修歯科医の研修休止期間が45日を超える場合には、未修了とするものであること。この場合、原則として引き続き同一の研修プログラムで研修を行い、45日を超えた日数分以上の日数の研修を行うこと。

(エ) プログラム責任者の役割
 プログラム責任者は、研修休止の理由の正当性を判定し、履修期間の把握を行わなければならないこと。研修歯科医が修了基準を満たさなくなる恐れがある場合には、事前に研修管理委員会に報告・相談するなどして対策を講じ、当該研修歯科医があらかじめ定められた研修期間内に研修を修了できるように努めなければならないこと。

イ 臨床研修の到達目標(臨床歯科医としての適性を除く。)の達成度の評価
 管理者は、研修歯科医があらかじめ定められた研修期間を通じ、各到達目標について達成したか否かの評価を行い、少なくとも到達目標に示されたすべての項目について目標を達成しなければ、修了と認めてはならないこと。
 基本習熟コースの到達目標については、研修歯科医が医療の安全を確保し、かつ、患者に不安を与えずに行うことができる場合に当該項目を達成したと考えるものであること。
 基本習得コースの到達目標については、臨床研修修了後、早期に習熟すべき項目であり、臨床研修中に頻度高く臨床経験した場合に当該項目を達成したと考えるものであること。

ウ 臨床歯科医としての適性の評価
 管理者は、研修歯科医が以下に定める各項目のいずれかに該当する場合は、修了と認めてはならないこと。
 臨床歯科医としての適性の評価は非常に困難であり、極めて慎重な検討が必要であること。なお、原則として、単一の臨床研修施設、特に一人の指導歯科医のみでは、その程度が著しい場合を除き臨床歯科医としての適性の判断を行うべきではなく、少なくとも複数の指導歯科医の評価、あるいは複数の臨床研修施設における臨床研修を経た後に評価を行うことが望ましいこと。

(ア) 安心、安全な医療の提供ができない場合
 医療安全の確保が危ぶまれる、又は患者との意志疎通に欠け不安感を与える場合等には、まず、指導歯科医が中心となって、当該研修歯科医が患者に被害を及ぼさないよう十分注意しながら、指導・教育するものであること。十分な指導にもかかわらず改善がみられず、患者に被害を及ぼすおそれがある場合には、研修管理委員会において未修了や中断と判断することもやむを得ないこと。
 一般常識を逸脱する、就業規則を遵守できない、チーム医療を乱す等の問題に関しては、まず当該臨床研修施設において、十分指導・教育を行うこと。原則として、あらかじめ定められた臨床研修期間を通じて指導・教育し、それでもなお医療の適切な遂行に支障を来す場合には、未修了や中断と判断することもやむを得ないこと。
 また、研修歯科医本人の重大な傷病によって適切な診療行為が行えず、医療安全の確保が危ぶまれる、又は患者に不安感を与える等の場合にも、未修了や中断と判断することもやむを得ないこと。なお、傷病又はそれに起因する障害等により当該臨床研修施設では研修不可能であるが、それを補完・支援する環境が整っている他の臨床研修施設で研修可能な場合には、管理者は、当該研修歯科医が現に受けている研修プログラムを中断し、引き続き、当該研修歯科医が研修可能な別の臨床研修施設の研修プログラムを受けることを可能とすること。

(イ) 法令・規則が遵守できない者
 医道審議会の処分対象となる者の場合には、歯科医師法(昭和23年法律第202号)第7条の2第1項の規定に基づく再教育研修を行うことになること。再教育にもかかわらず改善せず、患者に被害を及ぼす恐れがある場合には、未修了、中断の判断もやむを得ないものとすること 。

(2) 臨床研修の修了認定

ア 研修管理委員会は、研修歯科医の研修期間の終了に際し、臨床研修に関する当該研修歯科医の評価を行い、管理者に対し、当該研修歯科医の評価を報告しなければならないこと。この場合において、研修管理委員会は、臨床研修中断証を提出し臨床研修を再開した研修歯科医については、当該臨床研修中断証に記載された当該研修歯科医の評価を考慮するものとすること。

イ 管理者は、アの評価に基づき、研修歯科医が臨床研修を修了したと認めるときは、速やかに、当該研修歯科医に対して、当該研修歯科医に関する次に掲げる事項を記載した臨床研修修了証(様式7)を交付しなければならないこと。

(ア) 氏名、歯科医籍の登録番号及び生年月日

(イ) 修了した臨床研修に係る研修プログラムの名称

(ウ) 臨床研修を開始し、及び修了した年月日

(エ) 臨床研修を行った臨床研修施設(研修協力施設と共同して臨床研修を行った場合にあっては、臨床研修施設及び研修協力施設)の名称

(3) 臨床研修の未修了

ア 基本的な考え方
 臨床研修の未修了とは、研修歯科医の研修期間の終了に際する評価において、研修歯科医が臨床研修の修了基準を満たしていない等の理由により、管理者が当該研修歯科医の臨床研修を修了したと認めないことをいうものであり、原則として、引き続き同一の研修プログラムで研修を行うことを前提としたものであること。
 研修プログラムを提供している管理者及び研修管理委員会には、あらかじめ定められた研修期間内に研修歯科医に臨床研修を修了させる責任があり、安易に未修了の扱いを行ってはならないこと。
 やむを得ず未修了の検討を行う際には、管理者及び研修管理委員会は当該研修歯科医及び研修指導関係者と十分話し合い、当該研修歯科医の研修に関する正確な情報を十分に把握するものであること。
 これらを通じて、最終的に未修了という判断に至る場合にも、管理者及び研修管理委員会は当該研修歯科医が納得するよう努めなければならないこと。なお、このような場合においては、経緯や状況等の記録を残しておく必要があること。また、必要に応じて事前に管轄する地方厚生局健康福祉部医事課に相談をすること。

イ 未修了の手順
 管理者は、(2)アの評価に基づき、研修歯科医が臨床研修を修了していないと認めるときは、速やかに、当該研修歯科医に対して、理由を付して、その旨を文書(様式8)で通知しなければならないこと。

ウ 未修了とした場合
 当該研修歯科医は原則として引き続き同一の研修プログラムで研修を継続することとなるが、その場合には、研修プログラムの定員を超えてしまう事もあり得ることから、指導歯科医1人当たりの研修歯科医数や研修歯科医1人当たりの症例数等について、研修プログラムに支障を来さないよう、十分に配慮しなければならないこと。
 なお、未修了とした場合には、管理者は、研修を継続させる前に、当該研修歯科医が臨床研修の修了基準を満たすための履修計画表(様式9)を管轄する地方厚生局健康福祉部医事課あてに送付すること。

20  臨床研修施設の記録の保存

(1) 管理者は、帳簿を備え、臨床研修を受けた研修歯科医に関する次の事項を記載し、当該研修歯科医が臨床研修を修了し、又は中断した日から5年間保存しなければならないこと。

ア 氏名、歯科医籍の登録番号及び生年月日

イ 修了し、又は中断した臨床研修に係る研修プログラムの名称

ウ 臨床研修を開始し、及び修了し、又は中断した年月日

エ 臨床研修を行った臨床研修施設(研修協力施設と共同して臨床研修を行った場合にあっては、臨床研修施設及び研修協力施設)の名称

オ 修了し、又は中断した臨床研修の内容及び研修歯科医の評価

カ 臨床研修を中断した場合にあっては、臨床研修を中断した理由

(2) (1)に定める保存は、電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によっては認識することができない方法をいう。)による記録に係る記録媒体により行うことができること。

21  大学病院と共同して臨床研修を行う臨床研修施設の特例

大学病院と共同して臨床研修を行うことにより、管理型臨床研修施設、協力型臨床研修施設又は連携型臨床研修施設の指定を受けようとする者に対する5(2)から(4)までの臨床研修施設の指定の基準の適用については、当該大学病院を管理型臨床研修施設、協力型臨床研修施設又は連携型臨床研修施設の指定を受けようとする者とみなすこと。

22  国の開設する臨床研修施設の特例

国の開設する臨床研修施設の特例については、省令の定めによること。

23  施行期日等

(1) 省令は、公布の日から施行すること。

(2) 省令は、改正法附則第1条第2号に掲げる規定の施行の際現に改正法第5条の規定による改正前の法第16条の2第1項の規定による指定を受けている病院又は診療所が、改正法附則第1条第2号に掲げる規定の施行の際現に歯科医師免許を受けている者及び当該規定の施行前に歯科医師免許の申請を行った者であって当該規定の施行後に歯科医師免許を受けた者に対して臨床研修を行う場合には、適用されないこと。すなわち、次に掲げる臨床研修を行う場合には、省令は適用されないこと。

ア 平成18年4月1日前に開始される臨床研修

イ 平成18年4月1日以後に開始される臨床研修であって、同日前に法第16条の2第1項の指定を受けている病院又は診療所が、同日前に歯科医師免許を受けている者及び同日前に歯科医師免許の申請を行った者であって同日以後に歯科医師免許を受けた者に対して行うもの

(3) (2)ア及びイの臨床研修を行う場合における臨床研修施設の指定の申請手続、指定の基準等については、「歯科医師の臨床研修を行う施設の指定に係る手続等について」(平成14年6月26日付け医政発第0626002号)及び「歯科医師臨床研修施設の指定基準等について」(平成10年4月13日付け健政発第511号)によるものであること。

(4) 平成18年4月1日以後に開始される臨床研修であって、(2)イ以外のものを行う場合には、省令が適用されること。この場合においては、臨床研修施設の指定を受けようとする病院又は診療所の開設者は、省令の規定に従い、臨床研修施設の指定の申請を行わなければならず、また、同日前に法第16条の2第1項の指定を受けている病院又は診療所についても、省令の規定に従い、臨床研修を行わなければならないものであること。

(5) 平成18年4月1日前に法第16条の2第1項の規定による指定を受けている病院又は診療所については、改正法附則第12条(指定病院等に係る経過措置)の規定により、改正法による改正後の法第16条の2第1項の規定による指定を受けている病院又は診療所とみなされるものであること。具体的には、同日前に、単独で臨床研修施設の指定を受けている病院については省令に基づく単独型臨床研修施設と、主たる施設の指定を受けている病院については省令に基づく管理型臨床研修施設と、従たる施設の指定を受けている病院又は診療所については省令に基づく協力型臨床研修施設とみなされるものであること。

第3  検討規定

厚生労働大臣は、制度の検証及び実態把握に努め、省令の施行後5年以内に、省令の規定について所要の検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしたこと。

様式 略

別添 略

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