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先進医療の各技術の概要
第2項先進医療【先進医療A】 (25種類)
○令和4年4月1日現在
番号 | jRCT登録ID番号 https://jrct.niph.go.jp |
先進医療技術名 | 適応症 | 技術の概要 |
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1 | 高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術 | 子宮腺筋症 | 子宮腺筋症は、これまで子宮全摘術によって治療されてきた。腺筋症組織は、子宮筋層の中に複雑に入り込んでいることから、従来、腺筋症組織のみを正常の子宮筋層と分離して切除することは困難であったが、本技術は開腹後、新たに開発されたリング型の高周波切除器を用いることにより腺筋症組織のみを切除(核出)するものである。 | |
2 | 陽子線治療 | 頭頚部腫瘍(脳腫瘍を含む。)肺・縦隔腫瘍、消化管腫瘍、肝胆膵腫瘍、泌尿器腫瘍、乳腺・婦人科腫瘍又は転移性腫瘍(いずれも根治的な治療法が可能なものに限る。) | 放射線の一種である粒子線(陽子線)を病巣に照射することにより悪性腫瘍を治療する。 | |
3 | 重粒子線治療 | 肺・縦隔腫瘍、消化管腫瘍、肝胆膵腫瘍、泌尿器腫瘍、乳腺・婦人科腫瘍又は転移性腫瘍(いずれも根治的な治療法が可能なものに限る。) | 重粒子線(炭素イオン線)を体外から病巣に対して照射する治療法。 | |
4 | 抗悪性腫瘍剤治療における薬剤耐性遺伝子検査 | 悪性脳腫瘍 | 手術中に得られた組織からPCR法にて抗がん剤耐性遺伝子を測定し、腫瘍に対する抗がん剤の感受性を知ることができる。これに基づいて抗がん剤を使用することにより、より高い効果を得、不必要な副作用を避けることができる。 | |
5 | 家族性アルツハイマー病の遺伝子診断 | 家族性アルツハイマー病 | 家族性アルツハイマー病の原因遺伝子の変異に対する診断を行う。正確な診断により、個々の患者ごとに、遺伝的背景の差異に基づく病気の特徴を踏まえた予後の推定を可能にし、将来に向けた療養方針やリハビリ計画を患者やその家族に示すことができる。 | |
6 | 腹腔鏡下膀胱尿管逆流防止術 | 膀胱尿管逆流症(国際分類グレードVの高度逆流症を除く。) | 腹腔鏡下に膀胱外アプローチにより尿管を膀胱筋層内に埋め込み、逆流防止を行う。 | |
7 | 末梢血単核球移植による血管再生治療 |
慢性閉塞性動脈硬化症又はバージャー病(従来の内科的治療及び外科的治療が無効であるものに限り、三年以内に悪性新生物の既往歴を有する者又は未治療の糖尿病性網膜症である者に係るものを除く。) | 慢性閉塞性動脈硬化症等の末梢血管障害のある患肢に対して、末梢血単核球を局所注射することによって、末梢血管の再生を図る技術。 | |
8 | jRCTc060190032 | 自己腫瘍・組織及び樹状細胞を用いた活性化自己リンパ球移入療法 | がん性の胸水若しくは腹水又は進行がん | 末梢血から採取した自己リンパ球と、自己の腫瘍と混合培養するなどして接触させた樹状細胞、もしくは、既に体内で腫瘍と接触のあったと考えられる腫瘍浸潤リンパ節由来樹状細胞とを、体外でインターロイキン2などの存在下で培養し、腫瘍に特異的と期待されるキラー細胞を誘導し、増殖させ、再び体内に戻す療法。 |
9 | ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法) | 豚脂様角膜後面沈着物若しくは眼圧上昇の症状を有する片眼性の前眼部疾患(ヘルペス性角膜内皮炎又はヘルペス性虹彩炎が疑われるものに限る。)又は網膜に壊死病巣を有する眼底疾患(急性網膜壊死、サイトメガロウイルス網膜炎又は進行性網膜外層壊死が疑われるものに限る。) | ヘルペス性角膜内皮炎、ヘルペス性虹彩炎が疑われる片眼性の前眼部疾患。急性網膜壊死、サイトメガロウイルス網膜炎、進行性網膜外層壊死が疑われる網膜壊死病巣を有する眼底病変は、ヒトヘルペスウイルスが病因と疑われる。このような症例の前房水を前房穿刺、あるいは硝子体液を手術時に採取して、これらの眼内液からDNAを抽出し、 本診断法によりHSV-1,HSV-2,VZV,EBV,CMV,HHV-6,HHV-7,HHV-8のDNAの同定と定量を おこなう。この診断に基づいて適正な抗ウイルス治療をおこなう。当院眼科においては年間約100〜150例の患者が本検査の対象となる。 当該技術(難治性ウイルス眼感染疾患に対する包括的迅速PCR診断)は、必要なプライマーとプローブを作製して研究室にて用いている。プライマーとプローブは現時点ではキット化できていないため、院内で調整する。 |
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10 | 細菌又は真菌に起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法) | 前房蓄膿、前房フィブリン、硝子体混濁又は網膜病変を有する眼内炎 | 内眼手術直後からの眼痛、前房蓄膿、硝子体混濁を呈する外因性眼内炎、体内に感染巣があり眼痛、前房蓄膿、硝子体混濁を呈する内因性眼内炎では早急に細菌感染を疑い検査する必要がある。このような症例の前房水を前房穿刺、あるいは硝子体液を手術時に採取して、これらの眼内液からDNAを抽出し、本診断により細菌16SrDNAの定量をおこなう。この診断に基づいて適正な抗生剤投与、硝子体手術をおこなう。当院眼科においては年間約30例の患者が本検査の対象となる。 経中心静脈高栄養法や各種カテーテルの留置に伴った真菌血症が全身的にあり、網膜後局部に網膜滲出斑、硝子体混濁、牽引性網膜剥離、前眼部炎症を呈する眼内炎では早急に真菌感染を疑い診断を付ける必要がある。このような症例の前房水を前房穿刺、あるいは硝子体液を手術時に採取して、これらの眼内液からDNAを抽出し、本診断により真菌28SrDNAの定量をおこなう。この診断に基づいて適正な抗生剤投与、硝子体手術をおこなう。当院眼科においては年間約20例の患者が本検査の対象となる。従来の検査で眼科検体を用いた真菌の検査法の中で、現在保険でおこなわれているものは、培養があるが感度と特異度は本検査法よりも劣る。 当該技術(難治性細菌・真菌眼感染疾患に対する包括的迅速PCR診断)は、必要なプライマーとプローブを作製して研究室にて用いている。プライマーとプローブは現時点ではキット化できていないため、院内で調整する。 |
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11 | 多項目迅速ウイルスPCR法によるウイルス感染症の早期診断 | ウイルス感染症が疑われるもの(造血幹細胞移植(自家骨髄移植、自家末梢血幹細胞移植、同種骨髄移植、同種末梢血幹細胞移植又は臍帯血移植に限る。)後の患者に係るものに限る。) | 1)移植後多項目迅速ウイルスPCR 検査のタイミング 造血幹細胞移植を受けた患者においてa)発熱、b)咳・呼吸困難、c)黄疸・肝障害、d)出血性膀胱炎、e)意識障害、f)発疹、g)下痢・血便および腹痛の症状が出現した際に、血中ウイルス検査を実施する。 2)多項目迅速ウイルスPCR 検査の方法 ・分離した血漿から自動核酸抽出装置でDNA を抽出後、あらかじめ、12 種類のウイルスに対するprimer-mix を含むPCR 試薬と混合し、PCR 反応を行う。PCR 終了後、LightCycler®を用いた解離曲線分析により各ウイルスを識別する。これにより12 種類のウイルスの有無が同時に決定できる。検査時間がDNA ウイルスであれば75 分で検出できる。また、同じ12 種類のウイルスに関してリアルタイムPCR 法(定量検査)を同時に行い、多項目迅速定性ウイルスPCR 法における正確度を、陽性的中率、および陰性的中率を算出することによって評価する。 3)ウイルス感染症の診断 ウイルスが検出されたら、臨床症状、身体所見、画像診断、および臨床検査(血液、尿、髄液、喀痰、および肺胞洗浄液などの検査)により、ウイルス血症かウイルス病かの診断を行う。 |
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12 | CYP2D6遺伝子多型検査 | ゴーシェ病 | 1)xTAG CYP2D6 kit v3 RUO によるCYP2D6 遺伝子多型検査のタイミング ゴーシェ病患者において、経口投与治療薬の投与が適切であると研究責任者が判断し、患者も希望した場合に、経口投与治療薬の投与前に本検査を実施する。 2)xTAG CYP2D6 kit v3 RUO によるCYP2D6 遺伝子多型検査の流れ [1]治療医から本研究への参加を希望する被験者の紹介を受けて、研究責任者は、個人情報管理補助者、及び中央検査部に被験者の来院日を連絡する。 [2]研究責任者又は研究分担者が被験者に対して倫理委員会で承認された患者用の説明文書を用いて、本研究の説明を行い、文書同意を取得する。 [3]個人情報管理補助者は被験者から採血し、匿名化ID ラベルを採血管に添付し、中央検査部へ送る。データの管理については、10. 試料・情報の保管及び廃棄の方法に基づいて管理を行う。 [4]個人情報管理補助者は個人情報分担管理者に院内患者識別番号と匿名化ID を連絡する。 [5]個人情報分担管理者は対応表を作成し、管理する。 [6]中央検査部技師又は小児科学講座研究補助者は、検査を行い、結果を個人情報分担管理者へ報告する。 [7]個人情報分担管理者は、匿名化ID と結果を統合する。 [8]研究責任者又は研究分担者からの匿名化解除の依頼を受けて、個人情報分担管理者は研究責任者又は研究分担者へ、結果を開示する。 [9]研究責任者又は研究分担者は、治療医、被験者に結果を連絡する。 3)xTAG CYP2D6 kit v3 RUO によるCYP2D6 遺伝子多型検査の方法 CYP2D6 遺伝子多型検査キット、xTAG CYP2D6 kit v3 RUO を使用する。詳細は取扱説明書に準ずる。 [1]抗凝固剤EDTA またはクエン酸塩存在下で採血した全血から、ゲノムDNA を抽出、精製する(本キットで使用するDNA サンプル量の範囲: 24 ng - 1800 ng)。 [2]マルチプレックスPCR を行う。精製したDNA を用い、PCR A と、PCR B の2 種類のPCR を行う。 [3]2 種のPCR 産物、PCR (A)とPCR (B)を混合する。 [4]dNTP とプライマー不活化のため、混合したPCR 産物を、アルカリフォスファターゼ(SAP;Shrimp Alkaline Phosphatase)/エクソヌクレアーゼ処理(SAP-EXO 処理)する。 [5]SAP-EXO 処理したPCR 産物を用いて、マルチプレックスプライマーエクステンション(ASPE; Allele Specific Primer Extension)を行う。 [6]ASPE 反応液とビーズミックスをハイブリダイゼーションする。 [7]ビーズハイブリダイゼーション後、Streptavidin R-Phycoerythrin(SA-PE)で蛍光標識する。 [8]Luminex 100/200 システムを用いて検出、解析する。 4)xTAG CYP2D6 kit v3 RUO によるCYP2D6 遺伝子多型検査結果の解析 研究責任者又は研究分担者は遺伝子型から判断して表現型を特定する。表現型がIntermediate metabolizer (IM)又はExtensive metabolizer (EM)の場合には、経口治療薬1 回100mg、1 日2 回の投与が可能となる。Ultra Rapid Metabolizer (URM) 、及びPoorMetabolizer(PM)の患者には投与を避けることが望ましい。経口治療薬の用法用量は、添付文書の記載に従う。 5)研究責任者又は研究分担者はCYP2D6 遺伝子多型から判断された表現型を被験者に伝える。被験者のゴーシェ病の治療医が研究責任者(又は研究分担者)ではない場合、研究責任者(又は研究分担者)は治療を担当する医師にも伝える。電子媒体で伝える場合は、パスワードを設定し電子媒体の暗号化を図る。パスワードは電子媒体とは別に連絡する。 6)本研究によって得られた日本人患者におけるCYP2D6 遺伝子多型の分布の傾向を過去に報告されている日本人データ4) 5) と比較を行い、傾向の類似性を確認する。これらのデータは海外データと共に薬事申請時の資料とすることを計画している。 |
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13 | 糖鎖ナノテクノロジーを用いた高感度ウイルス検査 | インフルエンザ | ウイルス(インフルエンザウイルスA型、B型)を対象とし、未承認の検査用試薬として供給されている糖鎖を固定化した磁性金ナノ粒子(SMGNP)で処理したもの)を使用して、遺伝子を定量的リアルタイム PCR により測定する。検体(唾液、または鼻汁、または喀痰)を等張リン酸緩衝液で希釈し、SMGNPを加える。SMGNPは固定化されている糖鎖を介してウイルスに結合し、磁力により分離する。分離したウイルスとナノ粒子の混合物にSDS(高性能石けん水)を加えてウイルス粒子を破壊し、遊離してくる遺伝子を定量的リアルタイムPCRで検出する。なお、患者診療時には、患者が発熱などのインフルエンザ症状が現れてから診断するまでの時間を記録する。保険診療として医師の判断によってイムノクロマト法である迅速診断キットを用いても検査する。これらのデータを総合的に統計処理する事によって、本法が現行のイムノクロマト法に比べて陽性率が優れている時間帯を決定することを主たる評価項目とする。検査後は、医師と患者(または家族)に以下の項目のアンケート調査を行い、近い将来にPMDAへの認可申請の際の参考データとする。医師へのアンケート項目(5段階評価とする):(1)診療に役立ったか;(2)院内感染対策に役立ったか;(3)隔離を行ったか;(4)薬を処方したか;(5)検体採取は容易だったか;(6)検査は迅速だったか;(7)従来法と比べて有用か患者(家族)へのアンケート項目(5段階評価とする):(1)従来法に比べて良い検査法か;(2)検査費用は妥当か | |
14 | 腹腔鏡下スリーブ状胃切除術及び十二指腸空腸バイパス術 | 重症肥満症(内科的治療に抵抗性を有するものであって、糖尿病である者に係るものに限る。) | 手術は全身麻酔下に腹腔鏡下に施行する。まず腹部に 5 箇所にポートを挿入し炭酸ガスにて気腹したのち、通常のスリーブ状胃切除術を施行する。次いで十二指腸を球部で自動縫合器にて離断、さらにトライツ靭帯から約 100-150cm 肛門側の空腸を同様に自動縫合器にて離断する。離断した空腸の肛門側を挙上し十二指腸の近位断端と吻合したのち、十二指腸空腸吻合部から約100-150cm 肛門側の空腸に Y 吻合を行う手術である。 | |
15 | 血中TARC濃度の迅速測定 |
汎発型の皮疹(皮膚科専門医(公益社団法人日本皮膚科学会が認定したものをいう。以下同じ。)が重症又は重症化の可能性があると判断したものであって、薬疹が疑われるものに限る。) | 1)血清TARC 迅速検査の対象患者の選択 ・ 皮膚科専門医は「皮膚科専門医が重症あるいは重症化の可能性があると判断した汎発型皮疹の患者で、かつ薬疹が疑われるもの」を選択し、院内検査室に血清TARC 迅速検査を依頼する。 2)血清TARC 迅速検査の実施 ・ 対象患者の静脈採血から分取された血清成分の一部(30μl)を自動免疫測定装置HISCL とHISCL®TARC 試薬を用いて血清TARC 濃度の自動測定(17 分)を行う。 3)皮膚科専門医へ測定結果の迅速報告 ・ 臨床検査技師は血清TARC 検査と一般血液検査(好酸球数、好中球数、白血球数、CRP、肝機能、腎機能等))の結果をまとめ、採血から1 時間半程度で臨床医に報告する。 4)皮膚科専門医による迅速な総合診断 ・ 皮膚科専門医は、病歴・薬歴・臨床所見に加え本TARC 検査、一般血液検査を総合的に鑑みて診断を行い、治療法を選択する。 |
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16 | 細胞診検体を用いた遺伝子検査 |
肺がん |
MINtS は、画像的に肺がんが疑われる患者、画像的に肺がん再発・増悪が疑われる患者で、、肺がん診断のため採取した検体の細胞診検体部分、または増悪・転移病変から採取した細胞診検体を用いて、次世代シークエンサーにより、多遺伝子の変異検索を行う。検出対象遺伝子は、現時点で保険収載されている肺がん分子標的薬の効果を予測可能な変異遺伝子 すなわち、変異 EGFR 遺伝子(一部)、変異 BRAF 遺伝子(一部)、変異ALK 融合遺伝子(一部)、変異 ROS1 融合遺伝子、変異 NTRK 融合遺伝子である。付属データとして、将来保険収載が期待され、その際には直接有効性を予測可能と考えられる変異ERBB2遺伝子、変異 RET 融合遺伝子、間接的に他の薬剤の有効性を予測可能な変異 KRAS 遺伝子、変異 BRAF 遺伝子(一部)、現在使用されている分子標的薬の効果を修飾する二次変異として変異 EGFR 遺伝子(一部)、変異 ALK 融合遺伝子(一部)の検索を行う。 数百遺伝子を検索可能な遺伝子パネル(大遺伝子パネル)と比較し、コンパニオン診断薬 対象遺伝子、およびその候補となるごく少数の遺伝子に対象を絞ったことで、(1)多数患者の同時検索による低下価格化、(2)遺伝子あたりのデータ量の増加による高精度化が可能になった(4000 検体以上を用いた先行研究の結果,大遺伝子パネルと比較し,サンプルあたり 1/10程度の低価格化、10 倍以上の感度向上が期待できると推定される)。 |
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17 | 内視鏡的憩室隔壁切開術 |
Zenker憩室 |
本治療は、軟性内視鏡を使用し、全身麻酔管理下で施行される。本治療に用いる高周波ナイフは、早期消化管癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)に用いられるもので、「内視鏡的組織の切断、切除、切開、焼灼、止血、凝固、蒸散、剥離等を行うため」の使用に薬事承認されている。 手順の概要は以下のとおりである。 1. 全身麻酔を施行する。 2. 軟性内視鏡を挿入する内視鏡は送水機能付きのものを使用し、送気には炭酸ガスを用いる。 3. 回収ネット等を使用し、憩室内残渣を全部摘出する。 4. 軟性内視鏡を用いてガイドワイヤーを胃内まで挿入し留置する。 5. 先端フードを装着し内視鏡を挿入。憩室隔壁を確認する。 6. 憩室隔壁に生理的食塩水を局注。 7. 高周波ナイフを用いて、憩室隔壁中央やや食道管腔よりの部分より粘膜切開を開始。 8. 粘膜下層に切開を進め、筋層を同定する。 9. 輪状咽頭筋を切開する。 10. 切開部をクリッピングで縫縮して終了。 |
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18 | 内視鏡的胃局所切除術 |
胃粘膜下腫瘍(長径が一・一センチメートル以上であり、かつ、三センチメートル以下のものに限る。) | 全身麻酔下に経口内視鏡で胃内から病変を切除する。Endoscopic full thickness resection (EFTR) による切除を行う。EFTRは内視鏡の鉗子口から挿入した電気メスで病変周囲の粘膜切開を行った後、腫瘍の筋層付着部を露呈させ、筋層を切開して胃壁の全層切除を行い病変を切除する。腫瘍が筋層浅層までに位置している場合は胃壁を穿孔させずに腫瘍を切除する。穿孔した創はクリップや留置スネアを用いて閉鎖する。 | |
19 | 子宮内膜刺激術 |
胚移植を必要とする不妊症 | 対象:胚移植を必要とする不妊症 方法: 体外受精により作出された受精卵を体外で5〜6 日間培養し、得られた胚盤胞は一旦凍結保存する。この際に体外培養に使用された培養液(当院ではSAGE 1-Step メディウムを約50~100μl使用)を、胚盤胞とは別の容器に封入した後に凍結保存しておく。この培養液(リンス液という)の中に、受精卵が成長する過程に排出される伝達物質が含まれていると考えられる。 胚盤胞移植(凍結融解胚移植)は自然排卵周期またはホルモン補充周期で行う。 自然排卵周期の場合は月経開始10 日目頃より数回の診察を経て排卵日が確定すれば、排卵後2〜3 日目にリンス液を子宮内に注入する。さらに排卵後4〜5 日目に凍結保存した胚盤胞を1 個融解して移植を行う。 ホルモン補充周期では月経開始2 日目から卵胞ホルモン製剤の投与を開始し、月経12〜14 日目の診察でホルモン値や子宮内膜厚の確認後問題なければ月経15 日目より黄体補充を開始する。黄体補充開始後2〜3 日目に、リンス液を子宮内に注入する。さらに黄体補充開始後4〜5 日目に、凍結保存しておいた胚盤胞を1 個融解して移植を行う。 排卵または黄体補充開始後15 日目頃に血中hCG を測定し妊娠判定を行う。妊娠判定が陰性であれば、観察は終了とする。 妊娠判定が陽性となれば、引き続き経過を観察し超音波検査により胎嚢が確認できれば臨床妊娠と判定し観察終了とする。胎嚢が確認できなければ化学流産として観察は終了とする。 |
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20 | タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養 |
胚移植を必要とする不妊症 |
1)対象:胚移植を必要とする不妊症 2)各症例への実施: 体外受精や顕微授精後の卵子をタイムラプス装置搭載型培養器と従来型培養器を用いて培養し、Pronucleus(PN)出現、細胞分裂様式、多核、割球間のサイズ、胚盤胞の細胞数、卵割に要する時間などを比較検討する。 3)分析結果の評価: タイムラプス搭載型培養器で得られた胚の形態的評価と従来型培養器での胚の形態学的観察による評価をもとに選択した胚を移植し、生産率等を比較する。 |
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21 | 子宮内膜擦過術 |
胚移植を受ける不妊症患者のうち、これまで反復して着床・妊娠に至らないもの | 胚移植を行う予定の前周期の黄体期に、婦人科用剥離子(子宮内膜細胞採取具)を子宮頸管より挿入し、子宮の形状に沿って子宮内膜腔にゆっくりと進め、デバイスを同じ方向に数回回転させることによりスクラッチを行う。 翌周期に胚移植を行い、胚移植後10〜14 日後頃に血中hCG を測定し妊娠判定を行う。妊娠 判定が陰性であれば、観察は終了とする。 妊娠判定が陽性となれば、引き続き経過を観察し超音波検査により胎嚢が確認できれば臨床妊娠と判定し観察終了とする。胎嚢が確認できなければ化学流産として観察は終了とする。胚移植当たりの臨床妊娠率を算出し、日本産科婦人科学会より報告されている胚移植による妊娠率との比較を行い有用性の検証を行う。 |
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22 | ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術 |
胚移植を受ける不妊症患者(胚移植後に反復して流産を認めたもの、あるいは奇形精子を伴うものに限る) | 1)対象及びランダム化 ・ICSI 適応患者で、ICSI 後に反復流産や着床不全がみられた患者。または、夫が奇形精子症の患者を対象とする。説明後同意が得られた対象をICSI 群とPICSI 群の2 群にランダムに振り分ける。 2)卵子・精子の処理 ・採卵の3 時間後にヒアルロニダーゼを使用して裸化を行い。第一極体が放出されている卵子を成熟卵とし、ICSI の対象とする。 ・採卵の朝に採精してもらい15〜30 分液化させた後マクラーカウンティングチャンバーで一般精液検査を行う。正常形態率は精液の塗抹標本作成後にDiff-Quik で染色を行い、strict criteria に準じて求める。 ・精子の処理はIsolate2 層法で行い、再度洗浄した後に沈渣を0.5ml に調整してインキュベートしておく。 3)HBA アッセイ ・調整後精子はICSI の前にHBA○R Assay を使用してHBA スコアを求める。 ・ヒアルロン酸がコーティングされているスライドガラスに調整後精子を5〜10μl滴下し、カバーガラスを被せる。 ・室温またはインキュベーターでしばらく静置し、ヒアルロン酸に結合している運動精子の割合を求める。 4)ICSI 手技と胚培養 ・精子の選別、不動化、インジェクションピペット内への充填はICSI 群ではPVP をPICSI 群ではSpermSlowTM を使用する。 ・ICS 群の精子選別は、PVP の上端まで泳ぎ上がった中で形態の良好な精子を培養士が目で見て行う。 ・PICSI 群の精子選別は、SpermSlowTM とGamete Buffer のドロップの境界でヒアルロン酸の3 次元ネット構造に捕まり限りなくゆっくり動いている精子を選んでいく。 ・精子の注入を終えた卵子は、single step medium を使用し30μlでドロップ培養を行う。 5)胚凍結と胚移植 ・培養5 日目から6 日目に胚盤胞になった胚をvitrification 法で凍結保存する。 ・胚移植は原則として凍結融解単一胚移植にて行い、移植の際はグレードの高い胚盤胞から優先的に移植し両群に偏りが生じないように注意して行う。 6)評価項目と評価タイミング ・評価する項目と評価するタイミングは以下の通り行う。 @ Day1 正常受精の確認。雌性前核と雄性前核の両方が確認できた胚(2PN 胚)を正常受精卵と判断する。受精率は、正常受精卵数/MU卵子数×100 (%)で算出する。 A Day3 形態評価によりグレード1 胚率を求める。Veeck の分類に基づきDay3 における胚の分割速度も考慮し、割球の数は6 細胞以上、割球の大きさが均等でfragment の無い胚をグレード1 胚とする。グレード1 胚率は、グレード1 胚数/正常受精卵数×100 (%)で算出する。 B Day5 Gardner の分類に基づき、胚盤胞の形態評価を行う。3BB 以上の胚盤胞へ発生した割合を求める。胚盤胞到達率は、3BB 以上の胚盤胞数/継続培養数×100 (%)で算出する。 C 妊娠率と流産率 移植後14 日目前後の血中hCG 濃度が陽性で、移植から6〜8 週の時点で胎嚢(GS)が確認できた時点で臨床的妊娠と判断し、妊娠率を求める。妊娠率は、臨床的妊娠数/移植数×100 (%)で算出する。臨床的妊娠後、流産が起きた場合は流産率として記録する。流産率は、流産数/臨床的妊娠数×100 (%)で算出する。 DHBA スコア 処理後の精子をICSI またはPICSI に使用する前にHBA○R Assay を用いてHBA スコアを求める。 HBA スコアは合計で200 個の精子をカウントし、ヒアルロン酸に結合した運動精子/ヒアルロン酸に結合した運動精子+ヒアルロン酸に結合していない運動精子×100(%)で算出する。 |
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23 | 子宮内膜受容能検査 |
胚移植を受ける不妊症患者(これまで反復して着床・妊娠に至らないものに限る) | 吸引用子宮カテーテルを用いて、子宮内膜を採取する。 ホルモン補充周期の場合は、エストロゲン投与により一定の厚さに子宮内膜を肥厚させ、その後、プロゲステロン投与開始後6 日目(120 時間目)で子宮内膜採取を行う。自然採卵周期の場合はLHサージ後7 日目またはhCG 投与後の6 日目に採取するが、自然周期では、血中LH が不規則に上昇する症例もあり、医師により判断が異なる症例があるため、ホルモン補充周期のみでERAを実施とする。 採取した子宮内膜を検体とし、次世代シークエンサーをもちいて236 遺伝子を網羅的に解析し、内膜組織がReceptive(受容期)かNon-receptive(非受容期)かを評価する。 また、Non-receptive の際はどのくらいReceptive までに差があるかも評価を行う。 子宮内膜が着床を受容する期間に周期を同期させ、胚移植を行うことで着床率の向上を目指す。 |
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24 | 子宮内細菌叢検査 |
慢性子宮内膜炎疑い | 検査は外来検査である。子宮体部がん検診のように子宮内から内膜を吸引して提出する。検査のタイミングとしては、受精卵が着床する時期の細菌叢を調べることを目的としているため、月経周期の15-25 日頃の黄体ホルモン作用後を推奨している。また、十分な検体量が得られるよう、内膜の厚さは7mm 以上が望ましい。 このような点に注意して行うため手技としては以下の方法で行う。 @経腟超音波にて子宮内膜厚を測定し、子宮の方向性を確認する。 A腟鏡診を腟に挿入し、腟内細菌の混入を防ぐため、腟内を生理食塩水を用いて洗浄する。 B吸引式子宮内膜組織採取器を用いて、子宮内膜を含む子宮内腔液を採取する。 C採取した検体を検査試薬に注入し、10℃以下で4時間以上保存する。 D検体をクール便で検査会社に発送。 E検体到着後はDNA 抽出を行い、次世代シークエンサー(new generation sequencer:NGS)を用いて、子宮内腔液に含まれる細菌の16S リボソーム RNA 解析を行うことで、Lactobacillus 属の占める割合及び、その他細菌叢の分布を明らかにする。 |
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25 | 強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術 |
顕微授精を受ける不妊症患者 | ・対象:本研究の対象は、 1) 1回以上の体外授精を実施しても受精卵や移植可能胚を得られず 2) 下記の性状不良精液(精子)所見のうち、2つ以上を満たしており、顕微授精の実施が必要と判断された患者さまを対象にしています。 A) 精子濃度:1mLあたりの精子数3000万未満 B) 運動率:40%未満 C) クルーガーテスト:正常形態精子率 3%未満 D) 精子DNA断片化:30%以上 本研究の概要や計画を説明し、同意を得られた後、コンピューターで発生・作成した乱数表に従い、無作為に300例ずつをIMSI群と従来法(ICSI)群に振り分け、研究対象とする。 ・精子の選別:最大倍率6000倍の顕微鏡下に精子を観察し、頭部内における空胞等の異常構造の有無を確認する。異常構造を認めない形態良好精子のみをガラスピペットに吸引して回収する。 ・強拡大顕微鏡により選別した形態良好精子を用いる顕微授精(IMSI):上記の様にして回収した形態良好精子を、卵細胞質内に直接、注入する。 ・受精卵の培養:IMSI後、精子を注入した卵を培養液内にて培養する。注入の翌日に雌雄両前核の存在を確認し、受精卵とする。注入から5日間、着床直前の段階である胚盤胞期胚まで培養する。 ・胚移植:胚盤胞期に達した胚を新鮮胚移植または凍結融解胚移植で子宮内に移植する。 |
第3項先進医療【先進医療B】(59種類)
番号 | jRCT登録ID番号 https://jrct.niph.go.jp |
先進医療技術名 | 適応症 | 技術の概要 |
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1 | jRCTs041180023 | ペメトレキセド静脈内投与及びシスプラチン静脈内投与の併用療法 | 肺がん(扁平上皮肺がん及び小細胞肺がんを除き、病理学的見地から完全に切除されたと判断されるものに限る。) | PEM+CDDP併用療法は、1日目にPEMは500mg/m2とCDDPは75 mg/m2を投与し、3週毎に4回投与する。進行非扁平上皮非小細胞肺癌に対する有効性、および安全性が確立した治療であり、さらには術後補助化学療法としても期待されている治療法である。 |
2 | jRCTs032180229 | 経皮的乳がんラジオ波焼灼療法 | 早期乳がん(長径が一・五センチメートル以下のものに限る。) | 全身麻酔導入後、通常は、RFA治療前にセンチネルリンパ節生検を施行する。RFAの手技はUSで腫瘍を確認し穿刺部位を決定したのち、穿刺予定部位を消毒、局所麻酔を行なう。US画像をガイドとして電極針を腫瘍に刺入して、ジェネレーターというラジオ波発生装置に接続し、通電を開始する。1回の通電につき通常10分前後でインピーダンスが上昇し、通電完了する。通電終了後は電極針を抜去する。USを再度撮像し、治療効果および合併症の有無を観察し、治療終了となる。治療時間は検査、準備も含めて約20分である。 RFA施行後、数週間後より通常の乳房照射を追加し局所治療を終了する |
3 | jRCTs031180169 | インターフェロンα皮下投与及びジドブジン経口投与の併用療法 | 成人T細胞白血病リンパ腫(症候を有するくすぶり型又は予後不良因子を有さない慢性型のものに限る。) | くすぶり型と慢性型成人T 細胞白血病リンパ腫(ATL)に対してIFNα/AZT 療法群とWatchful waiting群の2群に無作為割り付けを実施。主要評価項目として無イベント生存期間を両群で比較する多施設共同無作為割り付け試験。組み込み予定症例は片群37例、両群74例。登録期間3年、追跡期間2年、総試験期間5年である。IFNα/AZT 療法群に割りつけられた症例には、レトロビル®カプセル(600 mg)を連日経口投与する。また、IFNαとしてスミフェロン®注DS 300万単位を1サイクル目には1日1回連日皮下投与し、day8から600万単位に増量する。2サイクル目以降はday1から600万単位を投与する。1治療サイクルを28日(4週)とし、 第4治療サイクルからはレトロビル®カプセル(400 mg)を連日経口投与、スミフェロン®注DS 300万単位を連日皮下投与に減量する。当初10日間入院し、以後外来治療を増悪または毒性中止まで継続する。この間、2週毎に外来受診し、日和見感染予防薬の連日内服と定期的な診察と血液/画像検査を行う。 |
4 | jRCTs031180432 | 腹腔鏡下センチネルリンパ節生検 | 早期胃がん | 本試験は術前診断T1N0M0、腫瘍長径4cm以下と診断された単発性の早期胃癌症例を対象として、「SNをLN転移の指標とした個別化手術群」を行い、その根治性・安全性を検証する第U相多施設共同単群試験である。すべての症例にSN生検を行い、術中SN転移陰性の場合にはSN流域切除を原則とした縮小胃切除(噴門側胃切除、幽門保存胃切除、胃部分切除、分節切除)を行って「縮小手術群」(A群)とする。流域切除範囲によって縮小手術が困難な場合には従来通りの胃切除術(幽門側胃切除術・胃全摘術)(B群)を実施する。また、SN転移が陽性の場合にはD2LN郭清と定型胃切除(幽門側胃切除術・胃全摘術)(C群)を行う。 |
5 | jRCTs071180052 | 全身性エリテマトーデスに対する初回副腎皮質ホルモン治療におけるクロピドグレル硫酸塩、ピタバスタチンカルシウム及びトコフェロール酢酸エステル併用投与の大腿骨頭壊死発症抑制療法 | 全身性エリテマトーデス(初回の副腎皮質ホルモン治療を行っている者に係るものに限る。) | 全身性エリテマトーデス患者を対象に、初回ステロイド治療開始と同時に、抗血小板薬(クロピドグレル硫酸塩)、高脂血症治療剤(ピタバスタチンカルシウム)、ビタミンE(トコフェロール酢酸エステル)の3剤を3ヶ月間併用投与することによる大腿骨頭壊死の発生抑制効果を検討する多施設共同単群介入試験である。 |
6 | jRCTs031180254 | 腹膜偽粘液腫に対する完全減量切除術における術中のマイトマイシンC腹腔内投与及び術後のフルオロウラシル腹腔内投与の併用療法 | 腹膜偽粘液腫(画像検査により肝転移及びリンパ節転移が認められないものであって、放射線治療を行っていないものに限る。) | 腹膜偽粘液腫の患者を対象に、CRS(右壁側腹膜切除、右半結腸切除、左壁側腹膜切除、骨盤腹膜切除、低位前方切除、子宮・付属品切除、右横隔膜下腹膜切除、肝被膜切除、胆摘、左横隔膜下腹膜切除、大網切除、脾摘、小網切除、胃切除等の組み合わせ)を行う。残存病変の大きさが2.5mm以下となった場合を完全減量切除とする。完全減量切除が達成できた症例に、MMC10mg/m2を2000〜3000mLの41℃〜42℃の温生食に溶解し、高温を維持したまま1時間腹腔内に還流させる(HIPEC)。HIPEC終了後閉腹する。術翌日より、腹腔内に5-FU15mg/kg/NS1000mLを腹腔内に投与し、24時間毎に薬剤の入れ替えを行う。これを4日間連続で繰り返す。 |
7 | jRCTs031180006 | 術前のS-1内服投与、シスプラチン静脈内投与及びトラスツズマブ静脈内投与の併用療法 | 切除が可能な高度リンパ節転移を伴う胃がん(HER2が陽性のものに限る。) | HER2過剰発現が確認された高度リンパ節転移を有する胃癌に対するトラスツズマブ併用術前化学療法(S-1+CDDP+トラスツズマブ併用療法)が、術前化学療法(S-1+CDDP併用療法)に対してprimary endpointである全生存期間において有意に上回るかどうかを判断する。 |
8 | jRCTs032180100 | LDLアフェレシス療法 | 閉塞性動脈硬化症(薬物療法に抵抗性を有するものであり、かつ、血行再建術及び血管内治療が困難なものであって、フォンタン分類IIB度以上のものに限る。) | 現在までの研究成果により、デキストラン硫酸カラム吸着法によるLDLアフェレシス療法が、慢性腎不全に合併した従来治療抵抗性の高コレステロール血症を伴わない閉塞性動脈硬化症に対し、酸化ストレスの抑制、血管内皮特異的NO合成酵素の活性化を伴う血管内皮細胞の機能改善を介し持続的に臨床症状を改善させることが明らかになっている。そこで、本療法では、20歳以上80歳未満の閉塞性動脈硬化症患者のうち、Fontaine分類UB度以上の症状を有し、血中総コレステロール値220 mg/dL以下、かつLDLコレステロール値 140 mg/dL以下の正コレステロール血症の者であって、膝窩動脈以下の閉塞又は広範な閉塞部位を有する等、血管内治療や血管外科的治療による血行再建が困難で、かつ従来の薬物療法では十分な効果を得られない従来治療抵抗性の閉塞性動脈硬化症患者に限定して、デキストラン硫酸カラム吸着法によるLDLアフェレシス療法を行う。本療法の治療手技は、本療法一回における血漿処理量は3〜4リットルとし、血液流量50〜100ml/minのうち約30%を血漿流量とするため、一回の治療時間は約2-3時間である。副作用も重篤なものはなく低血圧などであり低侵襲である。原則週1日もしくは2日の頻度で本療法を施行し、1回目開始から3ヶ月以内に1クール10回のスケジュールで施行するものとする。この1クール10回のLDLアフェレシス療法の施行が完了した時点で、プロトコル治療の完了とする。原則初回施行時のみ、入院治療とする。 |
9 | jRCTb041190076 | 骨髄由来間葉系細胞による顎骨再生療法 | 腫瘍、顎骨骨髄炎、外傷等の疾患による広範囲の顎骨又は歯槽骨欠損(上顎にあっては連続した三分の一顎程度以上の顎骨欠損又は上顎洞若しくは鼻腔への交通が認められる顎骨欠損に限り、下顎にあっては連続した三分の一顎程度以上の歯槽骨欠損又は下顎区域切除以上の顎骨欠損に限り、歯槽骨欠損にあっては歯周疾患及び加齢による骨吸収を除く。) | 顎顔面外傷、顎骨腫瘍摘出術、嚢胞摘出術等による顎骨欠損を有する患者を対象とし、MSCsを培養・分化誘導した骨髄由来間葉系細胞による骨造成を行い、その有効性及び安全性を検討する。以下の手順で臨床試験を実施する。 1. 骨髄由来間葉系細胞の調製(間葉系細胞群のみ) 2. 多血小板血漿(PRP)の調製 3. 試験製剤(対照群:PRP+ヒトトロンビン+塩化カルシウム+β-TCP、間葉系細胞群:骨髄由来間葉系細胞+PRP+ヒトトロンビン+塩化カルシウム+β-TCP)の作製 4. 試験製剤を骨欠損又は骨移植部位に移植 5. 移植後所定の評価項目を評価する。 |
10 | jRCTs031180083 | テモゾロミド用量強化療法 | 膠芽腫(初発時の初期治療後に再発又は増悪したものに限る。) | 初回再発および増悪膠芽腫に対して、用量強化テモゾロミド療法とその再発後のベバシズマブ療法の優越性を標準治療であるベバシズマブ療法とのランダム化比較試験にて検証する。 ■ A群(ベバシズマブ療法群) 14日(−1日〜+3日以内)を1コースとしてベバシズマブ10 mg/kgをday 1に静脈内点滴 注射、中止規準に該当するまで継続する。 ■ B群(用量強化テモゾロミド、再発後ベバシズマブ療法群) 1) 一次治療 Day1〜7テモゾロミド120 mg/m2/day、1日1回内服投与 14日(−1日〜+3日以内)を1コースとして最大48コース繰り返す。 *3コース目に増量規準を満たした場合150 mg/m2/dayに増量する。 2) 二次治療 ・一次治療完了後、または原病の増悪以外による一次治療中止後で、増悪を認めない場合は増悪を認めるまで無治療経過観察とする。 ・一次治療完了後、または原病の増悪以外による一次治療中止後、MRI画像上で再発・増悪が認められた場合、二次治療としてベバシズマブ療法を行う。 ・ベバシズマブの投与方法は、A群での治療法と同じ投与方法とする。 ・ただし、再発・増悪後の治療のため、コース開始規準はA群とは異なる。 14日(−1日〜+3日以内)を1コースとしてベバシズマブ 10 mg/kgをday 1に静注する。 |
11 | jRCTs042180103 | ハイパードライヒト乾燥羊膜を用いた外科的再建術 | 再発翼状片(増殖組織が角膜輪部を超えるものに限る。) | 翼状片は結膜の下のTenon 嚢の線維芽細胞が異常増殖し、角膜に侵入したために起こる疾患であり、重篤になると不正乱視、矯正視力低下を引き起こす。高齢者、紫外線暴露の多い労働従事者に多く発症するが、原因は明確でなく、予防し難い疾患である。悪性ではなく進行も遅いが、若年において発症した場合には、再発する可能性がきわめて高く、再発例では外見だけでなく眼運動の制限をともなうなど患者のQOLを著しく低下させる可能性が高い。 本法では、従来利用されていた自己結膜や凍結保存羊膜に代わり、切除した再発翼状片の部位にHD羊膜を添付し、Tenon嚢からの再度の結合組織伸展を抑制する。すなわち、再発翼状片基部の結膜、Tenon嚢を剥離し、強膜を露出した後、翼状片を切除する。切除部を0.04%マイトマイシンで処理後、翼状片切除後に露出した強膜上に切除面に相応の形状に成形したHD羊膜を添付する。この際に強膜面を羊膜間質面、結膜面を羊膜上皮面と接着するように装着する。HD羊膜は剥離結膜上皮内に収まるように装着する。 なお、翼状片切除部位の形状に合わせたHD羊膜を添付する点、HD羊膜の上皮面、間質面を考慮して添付することで結合組織の再伸展を抑制する処置を施行可能である。 |
12 | 自家嗅粘膜移植による脊髄再生治療 | 胸髄損傷(損傷後十二月以上経過してもなお下肢が完全な運動麻痺(米国脊髄損傷協会によるAISがAである患者に係るものに限る。)を呈するものに限る。) | 自家嗅粘膜移植では、全身麻酔下に患者自身の鼻腔内に存在する嗅粘膜組織を内視鏡下に摘出する。そして摘出した嗅粘膜を手術室内で洗浄、細切後、脊髄損傷部位に存在する瘢痕組織を摘出して作製した移植床に直ちに移植する。嗅粘膜移植技術には、[1]損傷高位の脊椎を安全に切削し損傷脊髄を露出する、[2]損傷脊髄を顕微鏡下に正確に見極め瘢痕組織を切除する、[3]採取した嗅粘膜を母床に適切に移植する技術が必要である。移植後は少なくとも1年間は週35 時間程度のリハビリテーションを遂行し、軸索再生と新たに獲得された神経回路の維持の為訓練を行っていく。 | |
13 | jRCT1032200036 |
重粒子線治療 | 肝細胞がん(初発のものであって、肝切除術、肝移植術、エタノールの局所注入、マイクロ波凝固法又はラジオ波焼灼療法による治療が困難であり、かつChild―Pugh分類による点数が七点未満のものに限る。) | 本試験では、切除不能かつ穿刺局所療法不適の肝細胞癌のうち、初発、単発、腫瘍径12cm 以下、門脈および胆管一次分枝もしくは下大静脈への浸潤がない、肝機能がChild Aの患者を対象とする。重粒子線治療は、重粒子線照射装置を用いて1日1回行う。 1回15.0Gy(RBE)、合計4 回、総線量60.0Gy(RBE)(週4回法)。ただし、門脈一次分枝、門脈本幹、消化管の少なくとも1つと主病変との距離が10mm以下の場合は、1回5.0Gy(RBE)、合計12回、総線量60.0Gy(RBE)(週4 回法)の線量分割を用いることも許容する。本研究では、多施設共同臨床試験で重粒子線治療の有効性および安全性の評価を目指す。 |
14 | 重粒子線治療 | 非小細胞肺がん(ステージがI期であって、肺の末梢に位置するものであり、かつ肺切除術が困難なものに限る。) | 医用重粒子加速器および照射装置を用い、1日1回15.0GyE、計4回、総線量60.0GyEの重粒子線治療を行う。照射法は1日2門以上、総照射門数4門以上の呼吸同期照射、治療期間は15日以内とする。 本研究では、多施設共同で肺野末梢型I期非小細胞肺癌患者に対する重粒子線治療の有効性および安全性の評価を目指すものである。 |
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15 | jRCT1031190131 | ゲムシタビン静脈内投与及び重粒子線治療の併用療法 | 膵臓がん(遠隔転移しておらず、かつ、TNM分類がT4のものに限る。) | 治療法は、炭素イオン線治療は各実施医療機関に設置された医用重粒子加速器および照射装置を用い、1日1回4.6Gy(RBE)、合計12回、総線量55.2Gy(RBE)【週4回法】を照射する。ただし、週4回以内を原則とし、週5回以上の照射は許容されない。重粒子線治療開始と同時に、ゲムシタビン(GEM)治療を開始する。GEMは1回1000mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。 |
16 | jRCTs031180095 | ゲムシタビン静脈内投与、ナブ―パクリタキセル静脈内投与及びパクリタキセル腹腔内投与の併用療法 | 腹膜播種を伴う膵臓がん | 腹膜播種を伴う膵癌症例を対象として、ゲムシタビン/ナブ-パクリタキセル点滴静注+PTX 腹腔内投与併用療法を施行し、導入相試験にて推奨投与量の決定と安全性の確認をし、探索相試験にて有効性および安全性の評価を行うことを目的とする。探索相試験の主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は抗腫瘍効果(奏効率・病勢制御率)、安全性、無増悪生存期間、投与完遂性、腹水細胞診陰性化率とし、登録症例数は導入相試験で推奨投与量に決定されたコホートを含む35例とする。 |
17 | 治療抵抗性の子宮頸がんに対するシスプラチンによる閉鎖循環下骨盤内非均衡灌流療法 | 子宮頸がん(術後に再発したものであって、同時化学放射線療法に不応かつ手術が不能なものに限る。) | 一般的に化学療法は薬物最大血中濃度と薬物血中濃度−時間曲線下面積の増減が治療効果に影響を及ぼすとされている。また、抗腫瘍効果の指標としてIC50(50%の割合で腫瘍が縮小するのに必要な抗がん剤濃度)が用いられている。過去に抗がん剤治療を受けた患者ではこのIC50が治療前と比較し5〜10倍へ上昇するため治療抵抗性となる。既存の投与方法では投与可能な抗がん剤濃度に限界があり、高い抗腫瘍効果を得るための新たな抗がん剤治療システムを考案する必要性があった。本治療法は動注化学療法に体外循環を組み合わせた体外循環動注化学療法であり、骨盤内悪性腫瘍の薬剤流入路である動脈と、薬剤流出路である静脈を制御することで標的領域を閉鎖循環下に管理することで全身への抗がん剤漏出を防ぐことが可能である。このため、標的領域に対して高濃度の抗がん剤曝露が可能となり、非常に高い治療効果を得ている。また薬剤を回路上から除去するシステムが本治療技術には含まれ、抗がん剤に関連する副作用の低減を図ることが出来る。本療法は手術不能な進行がん患者においても有効性が期待できる。 | |
18 | jRCTs031180352 | 水素ガス吸入療法 | 心停止後症候群(院外における心停止後に院外又は救急外来において自己心拍が再開し、かつ、心原性心停止が推定されるものに限る。) | 成人院外心停止後患者のうち、自己心拍再開後も昏睡が持続する患者を対象とし、集中治療室で18時間2%水素添加酸素を人工呼吸器下に吸入する。この間、ガイドラインに準拠した集中治療を行う。 |
19 | jRCTs031180008 | 術後のカペシタビン内服投与及びオキサリプラチン静脈内投与の併用療法 | 小腸腺がん(ステージがI期、II期又はIII期であって、肉眼による観察及び病理学的見地から完全に切除されたと判断されるものに限る。) | 治癒切除後病理学的Stage I/II/III小腸腺癌を対象に、手術単独群に対し術後化学療法群の無再発生存期間(RFS:relapse-free survival)が優位に優るかを判断する。 |
20 | jRCTs051180199 | S−1内服投与並びにパクリタキセル静脈内及び腹腔内投与の併用療法 | 膵臓がん(遠隔転移しておらず、かつ、腹膜転移を伴うものに限る。) | 他臓器に遠隔転移のない画像上局所進行膵癌に対して審査腹腔鏡検査もしくはバイパス手術を行い、腹膜播種や腹腔洗浄(腹水)細胞診陽性を病理学的に診断する。腹腔内投与ルート作成のために、腹壁ポートを留置する治療開始後21日間を1コースとし、S-1は80mg/m2を14日間内服、7日間休薬。パクリタキセルは第1, 8日目に50mg/m2を経静脈投与、20mg/m2を腹腔内投与。1週間休薬後コースを繰り返す。プロトコールを遵守して、治療を継続する。病勢悪化、重篤な有害事象、患者の希望などのあるときにはプロトコール治療を中止もしくは終了する。試験期間中に根治切除が行われた場合、術後も当該治療を継続する。 |
21 | jRCTs041180079 | S−1内服投与、シスプラチン静脈内投与及びパクリタキセル腹腔内投与の併用療法 | 腹膜播種を伴う初発の胃がん | 本試験は、腹膜播種陽性の初発胃癌症例を対象として、S-1/シスプラチン+パクリタキセル腹腔内投与併用療法の有効性と安全性を評価することを目的とする。35日を1コースとして、S-1 80mg/m2を21日間内服、14日間休薬し、シスプラチン60mg/m2を第8日目に点滴静注、パクリタキセル20mg/m2を第1, 8, 22日目に腹腔内投与する。本療法は腫瘍進行が確認されるか、有害事象により継続困難となるまで反復する。 |
22 | jRCT1032180197 | 陽子線治療 | 根治切除が可能な肝細胞がん(初発のものであり、単独で発生したものであって、その長径が三センチメートルを超え、かつ、十二センチメートル未満のものに限る。) | 根治切除可能な初発・単発・結節型肝細胞癌患者を対象として、標準治療である外科的切除に対して、試験治療である陽子線治療が全生存期間で劣っていないことを非ランダム化同時対照試験により検証する。 |
23 | jRCTc071190041 | シクロホスファミド静脈内投与及び自家末梢血幹細胞移植術の併用療法 | 全身性強皮症(ステロイド又は少なくとも一種類のステロイド以外の免疫抑制剤に抵抗性を有するものに限る。) | 全身性硬化症のうち高度のびまん性皮膚硬化と内臓病変を有する重症例の5年生存率は50−60%と予後不良であり、また皮膚硬化や間質性肺炎による呼吸困難などのため日常生活の質は著しく低下する。これらの症例を治癒、寛解に導くために全身性硬化症において病態形成に大きな役割を持つ、自己反応性リンパ球を体内より一掃するため、大量免疫抑制療法に引き続き自己造血幹細胞移植を行う。具体的には、まずシクロホスファミド4g/m2と顆粒球・コロニー刺激因子(G-CSF)を用いて、造血幹細胞の骨髄より末梢血中への動員を行う。アフェレーシスによって造血幹細胞を含む末梢血単核球を採取後、自己反応性リンパ球を除去する目的でCliniMACSシステムを用いてCD34陽性細胞すなわち造血幹細胞を免疫学的に分離する。移植前治療としてシクロホスファミド200mg/kgの投与を行う事により自己反応性リンパ球の根絶を目指す。シクロホスファミドの大量免疫抑制療法は骨髄破壊的であるため、アフェレーシスで採取したCD34陽性細胞(2x106/kg以上)の移植によって骨髄レスキューを行う。このようにCD34陽性細胞に純化した後に移植すると、CD34陽性細胞すなわち造血幹細胞より再構築された免疫系は自己寛容が回復する(自己に反応しない)と考えられる。自己造血幹細胞移植は九州大学病院内の無菌病棟において、造血幹細胞移植に習熟した血液専門医と膠原病専門医が共同で行う。 |
24 | jRCTb050190082 |
自家骨髄単核球移植による下肢血管再生治療 | バージャー病(従来の治療法に抵抗性を有するものであって、フォンタン分類III度又はIV度のものに限る。) | 薬物治療や運動療法、血行再建術などの現在保険収載されている標準治療に難治性の閉塞性血栓血管炎(バージャー病)に伴う重症虚血肢を対象とし、組織皮膚灌流圧(SPP値)や組織酸素分圧(TcpO2)の改善や潰瘍径の縮小等の重症虚血肢のおける組織治癒評価項目を測定し、骨髄単核球細胞を用いた血管再生療法の有効性を評価する。 |
25 | jRCTs031180331 | ニボルマブ静脈内投与及びドセタキセル静脈内投与の併用療法 | 進行再発非小細胞肺がん(ステージがIIIB期、IIIC期若しくはIV期又は術後に再発したものであって、化学療法が行われたものに限る。) | [1] 既治療の進行・再発と診断された非小細胞肺癌症例に対して文書同意を得た後、本研究 に登録する。 [2] データセンターで、標準治療(A 群:ニボルマブ単剤療法)又は試験治療(B 群:ニボ ルマブ+ドセタキセル併用療法)に無作為割り付けされる。 [3] 標準治療(A 群:ニボルマブ単剤療法)に割り付けられた場合、ニボルマブを2 週間毎 で投与を行う。 [4] 試験治療(B 群:ニボルマブ+ドセタキセル併用療法)に割り付けられた場合、ドセタ キセルを4 週間毎、ニボルマブを2 週間毎で投与を行う。 [5] この治療を中止規準に該当するまで繰り返す。 |
26 | jRCTs031180009 | 術後のアスピリン経口投与療法 | 下部直腸を除く大腸がん(ステージがIII期であって、肉眼による観察及び病理学的見地から完全に切除されたと判断されるものに限る。) | Stage III(UICC-TNM 第 7 版)の下部直腸を除く大腸癌[結腸(C、A、T、D、S)、直腸 S 状部(RS)、上部直腸(Ra)]の治癒切除患者を対象とし、術後補助療法として低用量アスピリンを併用することが、プラセボに対して、無病生存期間において優れていることを検証する。 治療:術後補助化学療法+プラセボ/アスピリンプラセボ/アスピリン:1 日 1 回 1 錠(100 mg)、連日内服する。内服期間は 3 年とする。pStage IIIA/IIIB ではカペシタビン療法、pStage IIIC ではオキサリプラチン併用療法(mFOLFOX6療法、または CAPOX 療法)を行うことを原則とする。ただし、患者希望により、pStage IIIA/IIIB に対するオキサリプラチン併用療法(mFOLFOX6 療法、または CAPOX 療法)、pStage IIIC に対するカペシタビン療法も許容する。 |
27 | jRCTs031180038 | TRPV2阻害薬経口投与療法 | 心不全(十三歳以上の患者に係るものであって、筋ジストロフィーによるものに限る。) | 本研究に同意した心不全筋ジストロフィー患者(BNP100pg/ml 以上)20 例に、トラニラスト300mg/day を28 週間投与、28 週時点で継続投与の同意を再確認できた患者ではさらに116 週間投与を継続。BNP 低下や心機能改善、心イベント減少などの効果が見られるか、安全性に問題が無いか非盲検単群試験で評価する。 |
28 | jRCT1032190165 | 重粒子線治療 | 直腸がん(術後に再発したものであって、骨盤内に限局するものに限る。) | 本試験は、遠隔転移が無い直腸癌術後骨盤内再発で、治癒切除の適応のない症例を対象とし、重粒子線治療の有効性および安全性を評価することを目的とした、多施設共同非盲検単群試験である。炭素イオン線治療(重粒子線治療)は各施設に設置された医用重粒子加速器および照射装置を用い、1 日1回4.6GyE、2 週間で6-8回を原則とし、合計16 回、総線量73.6GyE を照射する。 |
29 | 腎悪性腫瘍手術により摘出された腎臓を用いた腎移植 | 末期腎不全(慢性維持透析が困難なものに限る。) | 修復腎移植を希望する腎不全患者を登録する。病気腎を有し、腎摘出を希望する患者が摘出腎を提供する意思が確認できた場合、修復(再建)術を実施した腎を登録患者より公正公平に選定された腎不全患者(レシピエント)に移植する。 | |
30 | jRCTs032180138 | 反復経頭蓋磁気刺激療法 | 薬物療法に反応しない双極性障害の抑うつエピソード |
反復経頭蓋磁気刺激は、刺激装置本体と刺激コイルから構成される。8 の字型の刺激コイルに約 200 μsの瞬間的な電流が流れ、コイル周囲に磁場が生じる。その磁場に伴って渦電流が生じ、この渦電流が脳内のニューロンを発火させる。うつ病、双極性うつ病では、情動に関連した領域である扁桃体や脳梁膝下部の過活動が認められ、それに引き続き、左前頭前野が機能不全となると考えられる。反復経頭蓋磁気刺激は、右前頭前野に連続した低頻度刺激を行うことで、膝下部帯状回、前頭葉眼窩野などの情動に関連した領域の脳血流を減少させ、うつ症状を改善させるとの報告がある。 当該治療法は、薬物療法に反応しない単極性のうつ病への有効性が示唆されている。治療抵抗性を示す双極性うつ病は、単極性のうつ病よりも患者数が少なく、エビデンスも少ないものの、有効性を示す報告もある。 本試験は日本うつ病学会のガイドラインで推奨される薬物療法に反応しない双極性障害の抑うつエピソードの患者を対象とする。患者の一次運動野で運動誘発電位を測定し、それを基準に刺激部位、刺激強度を決定する。1 日約 30 分、週 5 日、4 週間の治療を行い、観察期間に移行する。一般的な副作用としては、頭痛、刺激部位の痛み、不快感、筋収縮が 20〜40%の頻度で認められる。 |
31 | jRCTb030190166 | 自己軟骨細胞シートによる軟骨再生治療 | 変形性膝関節症(軟骨欠損を伴うものであって、高位脛骨骨切り術の適応となるものに限る。) |
本技術は、変形性膝関節症(高位脛骨骨切り術適応患者)の軟骨欠損に対する治療法である。 @一次登録後、関節鏡検査で軟骨欠損部の面積及びグレードについての適格基準を確認。 A@の基準を満たした被験者を二次登録し、軟骨細胞シート作製のために必要な、膝関節大腿側の非荷重部より患者自身の軟骨組織、滑膜組織を採取する。 B採取組織は、東海大学医学部付属病院からセルシード社 CPCへ運搬し、細胞を単離、3〜4週間の培養期間を経て、軟骨細胞シートが作製され、手術日に東海大学医部付属病院へ運搬される。 C高位脛骨骨切り術に併用して RMSC法 (※) により変形性膝関節症の軟骨欠損部を治療する。 D検査スケジュールに従って軟骨欠損部の修復具合を定期的に確認する。 (※) RMSC法 ・不良組織の切除 (Resection of unhealthy tissue) ・骨髄刺激法でMSCsを誘導 (Marrow Stimulating = MSCs Recruitment) ・軟骨細胞シートで被覆 (covered by Chondrocyte sheets) |
32 | jRCTb030190142 | 自家末梢血CD34陽性細胞移植による下肢血管再生療法 | 下肢閉塞性動脈硬化症(疼痛又は潰瘍を伴う重症虚血を呈するものであって、維持透析治療を行っているものに限る。) |
維持透析患者で、下肢血管造影にて閉塞性動脈硬化症と診断され、虚血重症度 (Rutherford )分類で 4〜5群に属し、血管形成術 /バイパス術の適応外と診断された症例 を対象とする。再生療法は、予めG-CSF 製剤 400 μg/ m2を 5日間(または白血球数が 75,000/μL 以上に増加するまで)皮下投与し、投与 5日目(または 75,000/μL 以上に増加した日)にアフェレシス (末梢血からの幹細胞等の分離・採取 )を行い、磁気細胞分離機器を用いて CD34 陽 性細胞を分離し調整し、分離細胞 2×102×106個/kg kg(2×102×6個/kg 未満であれば分離細胞の全て)を治療対象肢に筋肉内投与し、移植後 定期的に虚血重症度の改善、疼痛評価、潰瘍サイズの変化をみるものである。 |
33 | jRCTs032190083 | 不可逆電気穿孔法 | 肝細胞がん(肝内における長径三センチメートル以下の腫瘍が三個以下又は長径五センチメートル以下の腫瘍が一個であって、肝切除術又はラジオ波焼灼療法による治療が困難であり、かつChild-Pugh分類による点数が九点以下のものに限る。) | 肝細胞癌の治療として肝切除術や RFA は有効な治療法であり、本邦において広く行われている。しかし肝機能が悪い症例や高齢者では肝切除の適応にならないことが多い。また RFA も胆嚢、胆管、消化管等の熱に脆弱な組織が腫瘍の近傍にある場合には適応とならない。それらの症例には肝動脈塞栓療法(TACE)が広く行われているが、その治療効果は肝切除やRFAと比べ低いのが現状である。そのためTACEは繰り返し行う必要がある。IRE は RFA と異なり、治療により熱がほとんど発生しないため、それらの熱に脆弱な組織の近傍にある肝細胞癌に対しても実施が可能である。本研究では、肝切除および RFAが困難で、標準治療としてはTACE が適応となる難治性肝細胞癌を対象とし、IRE の有効性を過去の TACE の治療成績と比較することで評価する。 |
34 | jRCTs031190135 | プローブ型共焦点レーザー顕微内視鏡による胃上皮性病変の診断 | 胃上皮性病変 | 本試験は、先進医療Bの制度下で多施設共同前向き臨床試験にて胃上皮性病変に対するpCLEの診断能を評価し、pCLEの有用性とフルオレセイン静脈投与の適応拡大につながるエビデンスを構築することを目的とする。本試験の適応は、上部消化管内視鏡検査にて組織学的に早期胃癌と診断または疑われる(生検にてGroup4または5)、または、早期胃癌に対して内視鏡治療後(EMRまたはESD)後、40週以上経過している、のずれかを満たす患者である。 |
35 | jRCTs031190132 | ボツリヌス毒素の膀胱内局所注入療法 | 神経因性排尿筋過活動による膀胱機能障害(五歳以上十八歳未満の患者に係るものに限る。) |
(1) 抗菌薬 全ての被験者は治療薬投与前に抗菌薬投与を行う。 抗菌薬の投与は担当主治医の判断に基づいて行うが、投与は施術前、および、施術後 1〜 3日間実施する。 (2) 麻酔 麻酔は麻酔医による管理の上、全身麻酔で行う。 (3) 試験薬の準備 A型ボツリヌス毒素を生理食塩水 10mL で溶解する。 (4) 試験薬の投与 カテーテルを挿入し、膀胱内を空にする。 膀胱鏡を尿道から挿入し、三角部の約 1cm 上から試験薬の注射を開始する。 針先は膀胱壁に約2mm 挿入して投与する。膀胱頂部・三角部への投与は避け、少なくとも1cm 以上離す。 1ヶ所につき 0.5mL の試験薬を、合計 20 ヶ所投与する。それぞれの投与間隔は約 1cm を開けて膀胱壁に注入する。 最後の注入部では生理食塩水で注射針に残っている試験薬をフラッシュし、試験薬の規定量が被験者に完全に投与されるようにする。 |
36 | jRCTs031190202 | イマチニブ経口投与及びペムブロリズマブ静脈内投与の併用療法 | 進行期悪性黒色腫(KIT遺伝子変異を有するものであって、従来の治療法に抵抗性を有するものに限る。) | KIT 遺伝子変異を有する進行期悪性黒色腫患者のうち、既存治療に抵抗性を示す患者に対してKIT 阻害薬(イマチニブ )、抗PD-1 抗体(ペムブロリズマブ)を併用した治療を行い、ペムブロリズマブ投与量を固定した際のイマチニブ の用量を検討し、推奨用量を決定する(第I 相試験)。さらに、推奨用量の併用療法の症例集積を継続し、その有効性と安全性を検討する(第II 相試験)。22 例を対象とした単群・オープン試験である。なお、無効でない症例に関しては継続投与を許容する。 |
37 | jRCTs052190096 | 偽腔拡大に対する血管内治療 | 大動脈解離(術後に偽腔が拡大したものに限る。) | 大動脈解離術後の開存した偽腔の血栓化を促進する方法としては、コイル塞栓術や薬物による血栓化も考えられるが一般化していない。一方、腹部大動脈内に残存するエントリーからの血流による胸部大動脈の偽腔の拡大を防止する目的で横隔膜直上の遠位下行大動脈の偽腔内に、鼓状の短いステントグラフトを留置する方法(Candy-Plug 法)が開発された。同法には既存の胸部もしくは腹部用の短いステントグラフトの中央部に展開を制限するように小さな輪となる結紮糸をかけてから留置するのが一般的で、細く残存する内腔はVascular Plug による閉鎖が試みられている。同様の方法として、真腔内に大口径のステントグラフトを留置してバルーンにより偽腔を圧迫もしくは閉塞するまで拡大させる方法(Knickerbocker 法)もあるが一般化していない。 今回の申請する残りのエントリーの閉鎖方法は、エントリーが腹部主要分枝(腹腔動脈、上腸間膜動脈、腎動脈)の起始部や頸部分枝(頸動脈、鎖骨下動脈)や腸骨動脈内に存在する場合の治療法である。この場合には、小口径のステントグラフトにより閉鎖する方法がすでに報告されており、有用だと考えられている。ただし、本邦での適応は、外傷性の血管損傷、もしくは閉塞性動脈硬化症における浅大腿動脈領域に限定されており、エントリー閉鎖としての適応は取られていないのが現状である。 |
38 | jRCTs051190048 |
糞便微生物叢移植 | 再発性Clostridioides difficile関連下痢症・腸炎 | Clostridioides difficile 関連下痢症・腸炎(Clostridioides difficile infection: CDI)は日和見感染であり、一般的に抗菌薬の投与に関連して発生する腸炎である。抗菌剤の投与によって腸内微生物叢が菌交代現象を起こし、異常増殖した Clostridioides difficileの産生する毒素(CD toxin)により発生する。CDI の治療には原因抗菌薬の投与中止、全身状態の管理に加えて、Clostridioides difficile に感受性を有する抗菌薬の経口投与が行われるが、再燃を来し再発となる症例も存在する。これらの再発性もしくは治療抵抗性 CDI に対する治療選択肢として、海外を中心に糞便微生物叢移植(fecal microbiota transplantation: FMT)の有用性が報告されている。一方で、本邦ではこれまでに十分な検討がなされていない。 本研究では、治療に難渋する再発性 CDI に対する FMT の有効性・安全性を検討する。FMT にはドナー便より抽出した微生物叢抽出液を用いる。 |
39 | jRCTs031190223 |
周術期デュルバルマブ静脈内投与療法 | 肺尖部胸壁浸潤がん(化学放射線療法後のものであって、同側肺門リンパ節・縦隔リンパ節転移、同一肺葉内・同側の異なる肺葉内の肺内転移及び遠隔転移のないものに限る。) | 肺尖部胸壁浸潤癌(superior sulcus tumor:SST)に対する術前化学放射線療法後の術前後デュルバルマブ療法および手術不能例のデュルバルマブ維持療法の集学的治療の安全性と有効性を検証する。現在の標準治療では、SST の半数以上の患者において増悪が認められる。しかし、SSTが稀少な疾患であるため、積極的な治療開発が行われてこなかった。本試験では、術前後にデュルバルマブを追加することにより、治療成績の向上を期待するものである。 |
40 | マルチプレックス遺伝子パネル検査 | 進行再発固形がん(非小細胞肺がん、乳がん、胃がん、大腸がん、膵がん又は胆道がんに限る。) | 進行期または再発の悪性腫瘍病変を有し、薬物療法の対象となる非小細胞肺癌、胃癌、大腸癌、乳癌、膵癌、胆道癌の患者を対象として、初回治療時に包括的ゲノムプロファイル検査(OncoGuide TM NCC オンコパネルシステム)を行うことの臨床的有用性を評価する。 | |
41 | jRCTs052200017 | 肺動脈自律神経叢除神経療法 | 肺高血圧症(薬物療法に抵抗性を有するものに限る。) | PADNはカテーテル室にて局所麻酔下で実施される。 大腿静脈からリングカテーテルを挿入し、 Ensite システム Velocity を用いてマッピングし、肺動脈の構造を確認する。パルス刺激を与えて自律神経叢の位置を確認し、 TactiCath SE イリゲーションカテーテル(Ampere 高周波発生装置で高周波を発生)を用いて自律神経叢及び解剖学的に自律神経叢があるとされる肺動脈近位部を焼灼する。その際、安全性を高めるため、イリゲーションポンプで尖端を冷却とカテーテルの接触圧を測定し手技を行う。焼灼の際には 5W から出力開始し、肺動脈圧や動脈圧、本人の疼痛を参考に 40W までを目安に出力を増やし焼灼をする。合併症としては 肺動脈穿孔、肺動脈解離、心タンポナーデ、肺動脈内血栓症、輸血を要するような大出血、反回神経麻痺が予測されるが、これまでの報告からも危険性は非常に低い。 |
42 | jRCTs072200039 | 腎血管筋脂肪腫に対する腎腫瘍凝固・焼灼術(冷凍凝固によるものに限る。) | 腎血管筋脂肪腫(結節性硬化症によるものに限る。) | 1cm 以上、 4cm 以下の AML に対して、 CT ガイド下にて局所麻酔のもと経皮的に凍結療法を施行する。 プロトコ ールは、凍結 15分間、自然解凍 5分間、凍結 15分間と する。マージンは最低 5mm とる。各々15分間の凍結中もしくは直後にCT を撮像し、低吸収域として描出される Ice ball にて凍結範囲の確認を行う。mTOR 阻害薬内服中の患者は、薬剤による TSCTSC-AML への影響を除外するため、凍結療法 7日前から効果判定までの期間休薬する。 なお、小径腎悪性腫瘍に対する凍結療法では出血予防などの目的で凍結療法前に血管塞栓術が行われる場合があるが、この処置による腫瘍縮小効果はないと考えられるため、術者の判断による施行については制限しない。 |
43 | jRCTs061200016 | 内視鏡的エタノール局所注入療法 | 膵神経内分泌腫瘍(長径が一・五センチメートル以下のものに限る。) | 膵神経内分泌腫瘍に対するEUS ガイド下エタノール注入療法の安全性および有効性を検討する多施設共同研究である。対象は15mm 以下かつ組織学的Grade 1 の膵神経内分泌腫瘍(Pancreatic neuroendocrine neoplasm; PNEN)とし主要評価項目として有効性および安全性が外科切除成績(ヒストリカルデータ)と比較して優越であることとした。 手技の実際としては、まず超音波ガストロビデオスコープを挿入し、膵臓の腫瘍を描出する。その後カラードップラーモードで穿刺ライン上に主要な血管がないことを確認の上、試験機器(単回使用吸引用針)を用い腫瘍を穿刺し、試験薬(無水エタノール)を注入する。カラードップラーモードおよび、内視鏡画像で出血がないことを確認し終了する。 |
44 | jRCTs051200076 | 遺伝子組換え活性型血液凝固第Z因子製剤静脈内投与療法 | 脳出血(発症から二時間以内のものに限る。) | 急性期脳出血の治療法は確立しておらず、脳梗塞に比べて劇的な転帰改善効果を示す治療法を欠く。日米加独西英の6か国共同の研究者主導RCTによって、発症後2時間以内の脳出血患者に対する遺伝子組換え活性型第VII因子(rFVIIa)と偽薬投与の治療効果を比較し、rFVIIaの有効性と安全性を検証する。 |
45 | jRCT1062200037 | マルチプレックス遺伝子パネル検査 | 進行再発固形がん(治療法が存在しないもの又は従来の治療法が終了しているもの若しくは従来の治療法が終了予定のものに限る。) | 病理組織学的に悪性腫瘍と診断され、治癒切除不能または再発の病変を有し、標準治療がない・標準治療が終了している、もしくは標準治療終了が見込まれる固形がんの患者を対象として、マルチプレックス遺伝子パネル検査試薬(TruSight Oncology 500:TSO500)を用いた解析を行い、actionableな遺伝子異常を有する患者の割合を求めることで、遺伝子プロファイリング検査の臨床的有用性を検証する。 TSO500は523遺伝子をターゲットとするDNA+RNA アッセイであり、遺伝子変異やコピー数異常、融合遺伝子、またMicrosatellite Instability(MSI)やTumor Mutation Burden(TMB)のような免疫療法バイオマーカーの測定も可能である。さらに、国内の解析機関において解析とデータ収集をおこなうことにより、診断の迅速化、日本人のデータ利用が可能であり、がん治療における個別化の推進に寄与できることが期待されている。 |
46 | jRCTc031200283 | 抗腫瘍自己リンパ球移入療法 | 子宮頸がん (切除が不能と判断されたもの又は術後に再発したものであって、プラチナ製剤に抵抗性を有するものに限る。) | 本先進医療で実施する腫瘍浸潤リンパ球(tumor infiltrating lymphocyte : TIL )を用いた養子免疫療法(TIL療法)は、転移病巣等の子宮頸癌組織を外科的に切除し、腫瘍に浸潤しているリンパ球を約4週間かけて高速大量培養した後に、再度体内に輸注する治療法である。輸注の際にシクロホスファミド、フルダラビンによる化学療法によって強力に骨髄抑制を行うとともに、輸注したTILを刺激するためにIL-2の投与を行う。 なお、TIL培養時に多量の同種異系末梢血単核球(allogenic PBMC)が必要となることから、あらかじめPBMCを健常成人より募集して採取する。 |
47 | jRCTs031200326 | メトホルミン経口投与及びテモゾロミド経口投与の併用療法 | 膠芽腫(初発のものであって、テモゾロミド経口投与及び放射線治療の併用療法後のものに限る。) | 初発膠芽腫に対する開頭腫瘍摘出術後の初期治療であるテモゾロミド併用放射線治療終了後のテモゾロミド維持治療にメトホルミンを併用する。メトホルミン併用テモゾロミド維持治療6コース施行後、メトホルミン単独治療をメトホルミン投与開始から365日まで継続する。本試験はphase I部分でメトホルミンの推奨用量を決定し、phase II部分ではphase Iで決定された推奨用量で症例数を重ね、安全性と有効性のデータを収集する。 |
48 | jRCTs031200375 | シクロホスファミド静脈内投与療法 | 成人T細胞白血病(末梢血幹細胞の非血縁者間移植が行われたものに限る。) | 本先進医療は、成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia/lymphoma:ATL)に対する移植後シクロフォスファミド(post-transplant cyclophosphamide:PTCY)を用いた非血縁のヒト白血球抗原(human leukocyte antigen:HLA)適合または1〜2アリル不適合ドナーからの末梢血幹細胞移植について、安全性と有効性を検討するための第II相試験である。 |
49 | jRCTs032200430 | 人工内耳植込術 | 一側性感音難聴(高度又は重度のものに限る。) | 一側性の高度〜重度感音難聴患者に対し、書面を用いて十分な説明の上同意を取得し行う。手術は保険診療で実施されている人工内耳埋込術と同様に、全身麻酔下で耳後部を切開し側頭骨を削開、蝸牛を開窓し電極アレイを挿入、固定する手法にて行う。手術手法自体は、適応が異なる点以外は、すでに保険診療で実施されている通常の人工内耳挿入術と同一である。 |
50 | jRCTs032200423 | 腫瘍治療電場療法 | 膠芽腫(当該疾病が発症した時点における年齢が十八歳未満の患者に係るものであって、テント上に位置するものに限る。) | 腫瘍治療電場療法は、電荷を帯びた腫瘍成分に物理的影響を及ぼす低強度の交流電場を脳内で発生させ、腫瘍細胞にみられる急速な細胞分裂を阻害し、細胞死を誘導することで、腫瘍細胞の成長を抑制する治療方法である。NovoTTF-100A を使用した治療の実際は、セラミックディスクを配列した「INE トランスデューサーアレイ」と呼ばれる粘着性シートを剃毛した頭皮に前後・左右 4 枚貼付し、腫瘍磁場産生装置と接続し、脳内に200kHz の交流電場を形成して行う。NovoTTF-100A を用いて機器取扱説明書に従って治療を実施する。28 日間を 1 コースとして繰り返す。26 コース(約 24 ヵ月)完了時、またはプロトコール治療中止規準に抵触する日のいずれか早い日までプロトコール治療を継続する。 |
51 | マルチプレックス遺伝子パネル検査 | 進行再発固形がん(食道がん、胃がん、大腸がん、膵がん、胆道がん、肺がん、乳がん、卵巣がん若しくは子宮がん又は悪性黒色腫であって、化学療法又は放射線治療を行っていないものに限る。) | がん遺伝子パネル検査は 2019 年6月から保険診療で実施できるようになったが、その適応は標準治療がない、もしくは終了した(終了見込み含む)症例に限られている。一方で、Precision Medicine のコンセプトからは、初回治療の段階から症例毎にがん細胞の遺伝子異常に合わせた治療を選択したほうが、より効果的である可能性が考えられてきた。 本研究では、腫瘍組織検体から作成されたホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)検体を米国 Foundation medicine 社に提出し解析を行い、解析結果のレポートを得る。レポートをもとにエキスパートパネルにおいて、Actionable/Druggable な遺伝子異常の割合等を求め、初回治療法選択における遺伝子プロファイリング検査の臨床的有用性を検証する。 |
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52 | 自家骨髄単核球移植による血管再生治療 | 全身性強皮症(難治性皮膚潰瘍を伴うものに限る。) | 全身性強皮症の皮膚潰瘍の原因は毛細血管の障害に伴う末梢循環不全であり、血流の改善が治療の目標となる。既存治療として血管拡張作用のある薬剤や抗血小板薬の内服・点滴治療が実施されているが、血管障害の程度が強いあるいは範囲が広い場合には十分な血流改善効果が得られないことがあり、難治性となる。 血管再生療法は、自己の骨髄液中から血管内皮に分化しうる血管内皮前駆細胞を含んだ単核球細胞分画を取り出して虚血肢の骨格筋内へ移植することにより、新たな毛細血管を作りだす治療法である。 本試験では、全身性強皮症に伴う難治性皮膚潰瘍に対して、既存治療にadd-on する形で自家骨髄単核球移植による血管再生療法を行い、その安全性と有効性を多施設共同シングルアーム試験により検証する。 |
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53 | jRCTs032210291 | シスプラチン静脈内投与及び強度変調陽子線治療の併用療法 | 頭頸部扁平上皮がん(喉頭がん、中咽頭がん又は下咽頭がんであって、ステージがU期(p16陽性中咽頭がんに限る。)、V期又はW期のものに限る。) | 局所進行頭頸部扁平上皮癌(喉頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌)を対象とした強度変調陽子線治療(Intensity Modulated Proton Beam Therapy: IMPT)の治療後の患者QOLに影響する晩期有害事象発生割合を、X 線による強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy: IMRT)のヒストリカルデータと比較することにより、IMPT の晩期有害事象低減効果を評価する。 |
54 | jRCTs051210055 | テネクテプラーゼ静脈内投与療法 | 脳梗塞(発症から四・五時間以内のものに限る。) | 脳梗塞急性期に対して、血栓溶解薬テネクテプラーゼの有効性と安全性を確立する。具体的には、発症後4.5 時間以内の脳主幹動脈閉塞による脳梗塞急性期患者におけるテネクテプラーゼの安全性(症候性頭蓋内出血の有無及び凝固線溶系マーカー)を少数例で確認(安全性検討フェーズ)する。その後、有効性(脳主幹動脈閉塞の再開通効果)及び安全性をアルテプラーゼを対照として非マスキング無作為化並行群間比較試験にて検討し、試験薬開始後早期の良好な血管再開通に関するテネクテプラーゼのアルテプラーゼに対する優越性を証明する。 |
55 | jRCT1052210112 | 遺伝子パネル検査による遺伝性網膜ジストロフィーの遺伝子診断 | 遺伝性網膜ジストロフィー | 本研究では、遺伝カウンセリングを行い遺伝子検査の同意を得た後、採血を行う。血液検体からDNA を抽出し、疾患原因遺伝子82 遺伝子の異常解析を行う。遺伝子異常解析結果は患者臨床情報とともにエキスパートパネルにて検討され、病的変異の同定とロービジョンケア計画を含む治療計画を策定する。実施者(主治医)を通して患者に遺伝子検査結果とエキスパートパネルからのレポートが返却される。遺伝情報に基づくより正確な遺伝カウンセリングや治療計画が実行される。 |
56 | jRCTs031210443 | アスピリン経口投与療法 | 家族性大腸腺腫症 | 本試験は家族性大腸腺腫症患者を対象にして、有効な大腸がんの発症抑制法の実用化に繋がるエビデンス構築を目的とする。多施設単一介入臨床試験にて、低用量アスピリン腸溶錠(100 mg/day)を2年間投与することによる大腸ポリープ発生割合の減少に対する有効性と安全性を検証する。 |
57 | jRCTb030210146 | 自己骨髄由来培養間葉系細胞移植による完全自家血管新生療法 | 閉塞性動脈硬化症(血行再建術が困難なものであって、フォンタン分類V度又はW度のものに限る。) | 本技術は患者自身より採取した骨髄間葉系細胞を、自己末梢血から調製した多血小板血漿を用い、細胞調製室で培養し、末梢動脈疾患患者の虚血下肢内へ筋肉注射にて移植を行うことで下肢の血流を改善させる治療法について、その有効性を検討するものである。 |
58 | ラメルテオン経口投与療法 | 悪性腫瘍(六十五歳以上の患者に係るものに限る。) | 高齢がん患者の術後せん妄の発症抑制に対するラメルテオンの内服の有効性と安全性について、プラセボを対照とする二重盲検ランダム化比較試験にて検証する。 試験薬(被験薬もしくは対照薬)を1日1回1錠(8mg)、手術4-8日前から術後4日目まで就寝前に経口もしくは経鼻胃管から投与する。手術後1日目から5日目まで毎日、精神腫瘍医がDSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders-5)を用いてせん妄の有無を評価する。 |
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59 | ベバシズマブ局所注入療法 | 重症未熟児網膜症 | @ 治療開始前にフルオレサイトによる蛍光眼底造影検査を行う。 A 1眼につき1回、ベバシズマブ0.01ml (0.25mg)または対照薬としてラニビズマブ0.02ml(0.2mg)を硝子体注射として投与する。 B 24週まで経過観察を行う。病状の悪化ないし再燃を認める場合は網膜光凝固を追加する。 C 両群においてプロトコル治療後24週目までに眼底所見が第三者判定により、ラニビズマブの追加投与またはレーザー治療を要する所見となった割合を比較する。 |
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