厚生労働省

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医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の一部を改正する省令及び通知の一部改正に関するQ&A

質問 回答
○制度の見直し全般について  
Q1)今回の制度改正の趣旨を教えてください。 今回の臨床研修制度の見直しは、制度の導入後、研修医が選ぶ将来のキャリア形成に必ずしもうまくつながっていない、大学病院の医師派遣機能が低下して医師不足が顕在化するきっかけとなったなどの指摘があったことから、研修医の将来のキャリア形成にスムーズにつなげる、大学病院等の医師派遣機能を強化する、研修の質の一層の向上を図る観点から見直しを行うこととしたものです。
Q2)制度の見直しに当たってどのような検討が行われましたか。 医師の診療科の偏在、地域の偏在の問題に対応するため、臨床研修制度のあり方を見直すべきとの指摘を受け、有識者で構成される「臨床研修制度のあり方等に関する検討会」を文部科学省と合同で開催し、21年2月に意見が取りまとめられました。検討会においては、大学病院関係者、臨床研修病院関係者等からのヒアリング、医学生、研修医等に対するアンケート、関係団体からの意見等を参考に議論が行われました。
この検討会の意見のとりまとめや医道審議会医師臨床研修部会での議論等を踏まえ、制度の見直し案をとりまとめ、パブリックコメントの手続きを行い、寄せられた意見を踏まえて、制度の見直しを行いました。
   
○研修プログラムについて  
   
Q3)救急部門の研修期間はどのように設定したらよいですか。 救急部門の研修については、救急部門に関する到達目標を達成できるよう、原則として1年目に3月以上を行うことが必要です。
研修の方法としては、病院ごとの救急医療体制の状況を踏まえ、例えば1年目に2か月、2年目に1か月研修を行うことは差し支えありません。また、一定期間まとまった研修を行った上で、例えば週1回の救急外来を特定の期間を通じて実施し、合計3月相当以上の研修期間にすることも差し支えありません。このような場合は、研修プログラムにおいて救急外来で研修を特定の期間、一定の頻度により行う旨を明記しておくことが必要です。
   
Q4)選択必修となる外科は、例えば脳神経外科や整形外科などの外科系の診療科からさらに選択できるようにしてよいのでしょうか。 選択必修となる外科は、いわゆる一般外科(あるいは腹部外科)を基本と考えていますが、到達目標を達成することができるように一般外科以外の外科系の診療科(整形外科、脳神経外科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、眼科等)を含んでも差し支えありません。ただし、これら外科系の診療科の研修を行う際には、あまり専門的な内容を研修させることは適当ではありません。
   
Q5)選択必修科目の1科目当たりの研修期間はどのように設定すればよいでしょうか。 選択必修科目の研修期間は特に定めておりませんので、到達目標を達成するために必要な期間を、病院が定めることになります。
   
Q6)選択必修科目の各診療科について、研修医の希望に応じて到達目標の達成に必要な体制を確保するためにはどのような対応が必要ですか。 選択必修科目である外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科のいずれの診療科においても到達目標の達成ができるよう、受け持ちの入院患者について指導できる体制を確保することが必要です。
従来の基準に沿った研修プログラムを実施する体制が確保されている場合は、特別の対応は必要ありません。
   
Q7)選択必修科目の全部または一部を必ず研修する診療科目として扱う場合はどのようにすればよいですか。 選択必修科目については、各病院の判断であらかじめ適切な研修期間を設定する必要があります。選択必修科目の全部を必修とする場合は各診療科の研修期間をそれぞれ設定して下さい。
選択必修科目の一部を必修とする場合は、必修とする診療科の研修期間及びその他の選択必修科目の研修期間を設定する必要があります。これは、各病院が必修とした診療科目以外の診療科を研修医が選択必修科目として選択する可能性があるためです。
   
Q8)これまでに地域保健・医療の研修として実施していた保健所、介護老人保健施設などでの研修はどのような取扱いになりますか。 保健所や介護老人保健施設などの地域保健の現場における研修は、到達目標に掲載されており、引き続き行うことが望ましいと考えていますが、必修項目については特段の定めを設けていません。
   
Q9)従来と同じ研修プログラムを引き続き実施する場合、救急部門の研修や地域保健・医療の研修についてどのような変更が必要ですか。 救急部門の研修は、救急部門に関する到達目標を達成できるよう適切な指導体制の下に救急医療に係る十分な症例を確保する必要があります。救急部門での研修を麻酔科のみで行うことは不適切と考えていますが、救急部門に関する到達目標を達成するために麻酔科や集中治療室(ICU)において救急医療に関する手技などの修得をすることは差し支えありません。いわゆる手術麻酔の修得を目的とする研修については麻酔科の研修として独立した研修期間を設けることが適切であると考えています。
地域医療の研修については、患者が営む日常生活や居住する地域の特性に即した医療(在宅医療を含む)について理解し、実践するという考え方に基づいて、へき地・離島診療所、中小病院、診療所等において行うものです。このため、地域医療として1か月以上研修を行うことが必要であり、保健所や福祉施設等での研修を行う場合には、地域医療の研修とは別の時期に行うことが必要です。
   
Q10)到達目標を達成するために、外科症例や認知症の入院患者を受け持つ必要がありますか。外科や精神科での研修が必要でしょうか。 到達目標には、外科症例を1例以上受け持ち、症例レポートを提出すること、また、認知症などのA疾患について入院患者を受け持ち、症例レポートを提出することが必修項目に含まれています。
各病院では、このような必修項目について目標を達成できるよう研修プログラムを設定することが必要です。外科症例や認知症の入院患者を受け持つため、必要に応じ、外科や精神科での研修を行うことも考えられます。各病院において、研修プログラムを工夫することにより対応をお願いします。
   
Q11)研修医の募集定員が20名以上の基幹型臨床研修病院は、将来小児科医や産科医になることを希望する研修医を対象とした研修プログラムを必ず設けなければなりませんか。また、病院の募集定員との関係はどうなりますか。 小児科医、産科医の確保に資するよう、研修医の募集定員が20名以上の病院には、将来小児科医になることを希望する研修医を対象とした研修プログラム及び産科医になることを希望する研修医を対象とした研修プログラムを必ず設けていただくこととしています。募集定員についてはそれぞれ2人以上で、病院全体の募集定員の上限の範囲内で設定します。
ただし、当分の間は、将来小児科医になることを希望する研修医又は将来産科医になることを希望する研修医のいずれかを対象とした研修プログラムを募集定員2人以上で設けることで差し支えありません。
   
Q12)プログラムを管理する病院において8ヶ月以上研修を行うという従来の考え方に変更はありませんか。 原則として、研修期間全体の8月以上は、基幹型臨床研修病院で研修を行うものであることは従来どおりです。
   
Q13)平成21年度から実施している大学病院におけるモデル事業については、とのような取扱いになるのでしょうか。 研修プログラムの基準の弾力化に伴って、22年度からは大学病院におけるモデル事業を行いません。ただし、21年度から研修を開始した研修医については22年度まで適用します。
   
○臨床研修病院の指定基準について  
   
Q14)臨床研修病院の指定基準にある「救急医療を提供していること」の定義を教えて下さい。 「救急医療を提供していること」とは、救急告示病院又は医療計画上、初期救急医療機関、第二次救急医療機関若しくは第三次救急医療機関として位置付けられている病院であって、初期救急医療を実施しており、適切な指導体制の下に救急医療に係る十分な症例が確保できるものであることをいいます。
   
Q15)年間入院患者数の定義について、教えてください。 年間入院患者数とは、前年度の繰越患者数に当該年度の新規入院患者数を加えた数になります。
   
Q16)各診療科における指導医の配置はどのようにしたらよいのでしょうか。指導医が指導医養成講習会を受講していない場合、どのようにしたらよいでしょうか。 指導医は、原則として、内科、外科、小児科、産婦人科及び精神科の診療科に1名以上配置されており、個々の指導医が、勤務体制上指導時間を十分に確保できることが必要です。
基幹型臨床研修病院においては、指導医は、担当する分野における研修期間中、研修医5人に対して1人以上配置されている必要があります。
また、指導医は指導医養成講習会を受講していることが必要です。講習会未受講の場合は、速やかに受講されるようお願いします。
   
Q17)基幹型臨床研修病院に剖検に至る症例がない場合、協力型臨床研修病院の症例を用いて臨床病理検討会(CPC)を開催すれば良いでしょうか。 基幹型臨床研修病院で剖検に至る症例を確保できない場合は、協力型臨床研修病院で症例を確保しても差し支えありませんが、基幹型臨床研修病院の主催の下に臨床病理検討会(CPC)が適切に開催されることが必要です。
   
Q18)基幹型臨床研修病院の指定基準を満たさない場合、直ちに基幹型臨床研修病院の指定が取り消されるのでしょうか。 今回の見直しに伴って基幹型臨床研修病院とみなされた単独型・管理型臨床研修病院が基幹型臨床研修病院の指定の基準を満たさない場合は、地域の実情や研修医の受入実績等を十分に考慮して指定の取消を行うか否かを決定することとしています。
   
Q19)都道府県内の病院の募集定員の合計が、都道府県の募集定員の上限を上回っている場合も基幹型臨床研修病院の新規指定を受けることができるのでしょうか。 都道府県内の病院の募集定員の合計が都道府県の募集定員の上限を上回っている場合も、協力型臨床研修病院として一定の実績があることなど、基幹型臨床研修病院の指定基準を満たす場合は新規指定を行います。
   
Q20)基幹型臨床研修病院の指定基準にある「協力型臨床研修病院として研修医に対して臨床研修を行った実績があること」とは、どのような実績ですか。 新たに基幹型臨床研修病院の指定を受けるためには、研修医に対して2年間臨床研修を行ったことに相当する実績があることが必要です。例えば、研修医2名に対して各1年間ずつ臨床研修を行った場合なども該当します。
   
○研修医の募集定員について  
   
Q21)過去3年間の研修医の受入実績とは、具体的にはいつからいつまでですか。 研修医の受入実績とは、研修医の募集を行う年度を起点として過去3年間を指します。
例えば、平成22年度から臨床研修を開始する研修医の募集定員を設定する場合は、21年度に募集を行うので平成19年度から21年度の3年間となります。
   
Q22)研修医の募集定員に関して算出した数値の小数点の取扱いはどうなりますか。 都道府県の募集定員の上限や各病院の募集定員の上限の値を算出する場合に、小数点以下の端数を生じた場合は、切り上げた値とします。
   
Q23)過去3年間の受入実績の最大値が1名の場合、募集定員はどのような取扱となるのでしょうか。 原則として研修プログラムごとに2人以上の研修医を継続的に受け入れることができる体制であることが必要であり、過去の受入実績が1名の場合は募集定員を2人とします。
   
Q24)過去3年間の受入実績がない場合は、募集定員は0となるため基幹型臨床研修病院の指定が取消しとなるのでしょうか。 当該病院の所在する都道府県内にある病院が希望する募集定員の合計が当該都道府県の募集定員の上限を超えない場合には、地域の実情等一定の条件の下に、募集定員の設定が認められる場合があります。
   
Q25)病院の所在する都道府県以外へ医師を派遣している場合についても、医師派遣等の実績として勘案されるのですか。 病院の所在する都道府県以外へ医師派遣等を行っている場合についても派遣実績等として勘案します。なお、平成23年度以降に研修を開始する研修医の募集定員に関しては、各都道府県に設置されている地域医療対策協議会や関係する地方公共団体などの意向を踏まえた医師派遣等であることが必要です。
   
Q26)県立病院間など同一開設者間で医師派遣、受入を行っている場合、「医師派遣等」に該当するのでしょうか。 県立病院間など同一開設者間での医師派遣等については、募集定員の加算の対象となる「医師派遣等」には該当しません。
   
Q27)病院の募集定員は自由に希望できるのですか。 各病院の募集定員は、原則として各病院の過去3年間の受入実績の最大値に医師派遣等の実績を勘案して一定の数を加算した値が上限となります。
各病院が希望する募集定員の合計が都道府県の募集定員の上限を超えない場合は、当該病院の研修医の受入実績や地域の実情等、一定の条件の下に募集定員の増員ができます。
   
Q28)募集定員を増員したいのですが、どのような場合に、どの程度認められるのですか。 当該病院の所在する都道府県内にある病院が希望する募集定員の合計が当該都道府県の募集定員の上限を超えない場合には、当該病院の研修医の受入実績や地域の実情等、一定の条件の下に、募集定員の増員ができます。一定の条件については別途定める予定です。
   
Q29)各病院の募集定員は、最終的にいつごろどのようにして決まるのでしょうか。 各基幹型臨床研修病院は、研修プログラムの届出期日(21年度は6月末)までに各地方厚生局に対して募集定員も含めて届出を行うこととなります。
その後、各地方厚生局において募集定員の状況を把握し、21年度の場合、8月中を目途に募集定員を決定します。
   
○手続き等について  
   
Q30)制度の見直しに伴って、基幹型臨床研修病院は研修プログラムの変更届出を必ず行わなければならないのですか。 ほとんどの基幹型臨床研修病院においては、研修プログラムの内容に変更がない場合でも、募集定員に変更の必要があり、研修プログラムの変更の届出が必要になると考えています。このため、地方厚生局と相談しながら必要な手続きを行ってください。
   
Q31)募集定員が決まらない状態で、研修医の募集、面接はどのようにしたらよいでしょうか。 研修医の募集に当たっては、地方厚生局に研修プログラム(募集定員を含む)を変更する届出を行っており、募集定員の変更がありうる旨を公表すれば、研修プログラムの内容や募集定員が確定する前に募集や面接を行うことができます。

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