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病院会計準則(改正案)

 
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V.病院会計準則(改正案)

1.病院会計準則(改正案)について

 病院会計準則は、昭和40年10月13日(医発第1233号厚生省医務局医務局長通知)に制定され、昭和58年8月22日(医発第824号厚生省医務局医務局長通知改正)の全面的な改正を経て、現在に至り、病院経営の改善向上に資することを第一義の目的としている。
 前回の改正からすでに20年が経過し、医療施設機能の類型化、介護保険制度の創設並びに医療機関の体制整備に関する情報提供の推進などの病院経営環境の変化、会計基準等の国際的調和化等の潮流による企業会計制度の改革及び公会計や非営利組織会計分野での会計基準の新設・見直しあるいは改廃などの諸事情を勘案し、国民に信頼される医療提供体制の担い手として、効率的で透明な医業経営の確立を目指すという必要性から、病院会計準則(改正案)を作成するものである。
 (改正案)の取りまとめにあたっては、病院会計準則の性格として、非営利性、公益性を前提とする非営利組織会計の基準であること、病院という施設に関する会計基準であること、異なる開設主体のすべてに適用され、開設主体間の比較可能性を確保する会計基準であること及び制定当初から企業会計方式を採用した会計基準であること、を基本的認識とした。
 (改正案)の主たる内容は、まず、財務諸表体系の見直しである。施設の会計においても資金の状況を正確に把握する必要性が高まっていることから、キャッシュ・フロー計算書を財務諸表の体系の一つとして新たに位置付けた。一方で、従来組み込まれていた利益処分計算書については、施設としての病院においては配当等、利益の処分が予定されていないことから、財務諸表の体系から除外した。したがって、病院が作成すべき財務諸表は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、附属明細表となる。また、財務諸表の機能を検討し、表示内容についても整備を行った。貸借対照表については非営利組織会計における資産・負債差額の本質を再確認し、従来の資本の部にかえて、純資産の部に変更した。さらに、財務諸表の表示項目については、集約化を図り、一覧性を担保することに重点を置くとともに、必要な会計情報の詳細性を確保するために、附属明細表を整備し、充実させた。
 (改正案)の取りまとめにあたっては、企業会計をはじめ近時の会計制度の改革にかんがみ、リース会計、研究開発費会計、退職給付会計等を導入することとした。これによって、財務諸表を通じて病院経営の実態をより適切に把握できるよう配慮を行うとともに、重要な会計方針をはじめ必要な脚注等を充実させて、会計情報を補完し、利用者の理解を深めることを意図したわけである。
 病院会計準則(改正案)は、現時点での会計理論及び実務にもとづき、病院施設が準拠すべき会計処理の原則及び手続き並びに財務諸表の表示方法を定めたものである。今後、急速な環境変化が起きた際には、速やかに見直しをすべきであるとともに、病院会計の理論及び実務の進展と相俟って病院会計準則が改善され、より充実すべきと認識する。
 病院会計準則(改正案)は、病院施設を有する開設主体すべてに適用され、異なる開設主体間の経営比較をも可能にし、経営管理に資する有用な会計情報を提供するという役割を担っている。今後、病院会計準則を普及・浸透させるために、様々な施策が提供されるとともに、実務上必要な事項について別途、実務指針等を整備し、円滑に適用を図る準備がなされなければならない。
 病院会計準則(改正案)は規模の大小を問わず、すべての病院施設において採用され、これに準拠した財務諸表を作成することが期待される。その制度上の位置付け、適用時期、適用の範囲及び適用移行時に必要な経過措置等については、さらなる検討が必要と考えられる。

 病院会計準則の改正が行なわれる際には、施設会計基準として相互に密接な関係を持つ介護老人保健施設会計・経理準則(平成12年3月31日老発第378号厚生省老人保健福祉局長通知)及び指定老人訪問看護の事業及び指定訪問看護の事業の会計・経理準則(平成7年6月1日老健第122号・保発第57号厚生省老人保健福祉局長・保険局長通知)の改正も必要となることを付言する。



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