厚生労働省

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都道府県労働局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等の評価について(平成21年度)

厚生労働省大臣官房地方課

 平成22年1月28日付け地方課長通達「平成21年度における内部点検の実施方法について」の記の2に基づき、各労働局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等について、下記のとおり総括的に評価する。

1 法令遵守の徹底について(定期的な内部点検を踏まえた評価)

 定期的な内部点検として、平成21年度「法令遵守チェックリスト」(以下「チェックリスト」という。)を用いて、各労働局の実施状況について点検と検証が実施され、各労働局長より報告されたところである。

 その報告をみると、都道府県労働局法令遵守要綱(平成20年12月19日制定)に基づき、法令遵守の徹底について各労働局とも総じてその取組が適正に実施されているものと評価される。

 しかしながら、項目ごとに詳細にみると、以下のように、一部の労働局において問題のある点が認められた。

公務員倫理の徹底と綱紀保持
公務員倫理や法令遵守に関する研修について、全ての職員が受講できる措置を講じていない、また、外部講師を活用した研修が実施されていない局が散見された。
適正な会計経理事務等の徹底
  • 会計組織における適正な管理体制の確立
    本省で作成した会計事務取扱マニュアルについて有効に活用されておらず、管理者の理解も不十分の局が散見された。
  • 公共調達の適正化
    一般競争入札等への移行を予定していた契約について、一部の契約が競争性のある契約方法による調達が実施されていない。また、競争性のある契約方法に移行できないものについて、移行困難な事由等をホームページに公表していない。さらに、事務処理上の煩雑さを理由に電子入札システムによる入札を実施していない。
  • 物品の購入等に係る会計事務手続等の適正化
    物品の紛失に気づかず対処が遅れた局があった。また、物品管理簿等への記載が不十分で適正な物品管理が行われていない。
  • 勤務時間管理及び超過勤務手当の支給の適正化
    出勤簿の押印漏れが確認された、超過勤務命令簿をまとめて記載している。また、超過勤務手当に係る年間予算の執行計画を作成していない。
職員管理の徹底
  • 職員団体との交渉が行われた場合、その交渉内容の議事概要をホームページで公開していない。
法令遵守に係るチェック体制の強化
  • 内部監査の徹底
    労働局と継続的な取引関係にある業者の関係帳簿等の確認を行っていない。
  • 都道府県労働局法令遵守委員会の効果的な運営
    都道府県労働局における法令遵守委員会の開催回数が1〜2回と予定よりも少ない。
内部通報制度の活用
本省地方課への内部通報制度について、周知・徹底が図られていない、また、非常勤職員を含む新規採用職員の採用時の周知が図られていない。

2 会計経理の適正化の状況について(会計事務監査指導に基づく評価)

 全労働局に対する平成21年度の監査指導結果をみると、是正等を要するものとして指摘された件数は平成20年度に比し減少しているが、前回指摘されたものが是正されていないなど、適正な会計経理事務について一層の徹底が必要である。

出納管理等の任命において、任命に当たって、所掌事務の範囲を明らかにした書面を交付していない。
支出手続等において、検査又は監督の職務を命じられていない職員が検査又は監督を行っている。
収入官吏等の事務処理において、歳入歳出外現金出納官吏の小切手帳等の検査、確認が適切に行われていない。
随意契約締結に係る事務処理において、随意契約締結に係る決裁体制について、会計機関の事務を処理する担当者以外の者の決裁を経ていない。また、随意契約見直し計画において一般競争入札等への移行を予定していた契約について、監査時点においても引き続き競争性のない随意契約により処理されていた。
物品管理に関して、物品管理簿等に記載されている台数と現有台数が一致していない。また、物品管理簿の記載が適切に行われていない。

3 中央監察結果の概要に基づく評価について

 平成21年度都道府県労働局の管理事務及び企画調整事務に係る中央監察は、26労働局において実施されたところ、綱紀の保持、適正な予算執行の体制等、健全な労働環境の整備等、非常勤職員の適正な採用及び配置、また、法令遵守の取組など各労働局における管理事務は、一部の局においてであるが、基本的な事務処理に問題が認められたことから、やや適正に欠くものと言わざるを得ない。

各部署が実施する研修において法令遵守研修を実施することとしているが、総務課においてその受講実績を把握しておらず、また、各種の研修を受講する予定のない職員に対して、研修の受講のための対応策が明確にされていないなど、適切な研修計画となっていないものがあった
公務員倫理や法令遵守に関する研修については、平成22年度までにすべての職員が受講できるよう努めることとされているにもかかわらず、計画的に実施されておらず、今後の実施についても検討されていない。
業務の急増に伴い、局全体として超過勤務が増加しており、一部の職員には月100時間を超える超過勤務が認められるにもかかわらず、1.その状況を的確に把握していないもの、2.その原因及び具体的な対応策について検討していないもの、3.疲労の蓄積が見られる職員に対して医師の面接指導の実施等所要の措置が講じられていない。
文書管理規程について、本省の通達に基づく改正が行われていない。また、保存年限が記載されていない文書が散見されるなど、改正された文書管理規程に基づいた適正な文書管理が行われていない。
非常勤職員の採用に際して、1.公募、面接を行わないまま採用しているもの、2.面接記録が保存されていないもの、3.不採用とされた者の履歴書を返却するなど適正な処理がなされていないものなど、非常勤職員の適正な採用及び管理が行われていない。
通勤手当の届出について、自動車を利用する場合には駐車場の賃貸借契約書の写し等、電車又はバスで通勤している場合には通勤用定期乗車券の提示等、認定時における事実確認が十分ではない。
管理事務等の監察について、1.監察の主眼、監察事項等について監察実施前に十分な調整を行っていないもの、2.監察の結果について、署・所共通の問題があるにもかかわらず、所に対する指摘事項は署に伝達されておらず、逆に署のものは所に伝達されていない状況が認められるなど、局全体としての視点に欠けるもの、3.総務課長、企画室長等の総務部幹部が監察復命書について決裁を行っておらず、署・所の管理事務等の実施状況を的確に把握していない。

4 本省における評価について

上記1から3を踏まえ、本省においては、各労働局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等について、次のように総括的に評価するとともに、改善措置を講ずるよう指示することとする。

(1) 総括的な評価について

 各労働局において、不正経理が行われている事実は確認されていないが、法令遵守の徹底に係る取組は、内部点検による局の認識と本省による監察結果に差が見られることから、チェックリストの見直しも含め、引き続き法令遵守の徹底に向けた取組の強化が必要である。
 なお、問題点がみられる労働局においては、次の改善措置を始め、所要の対策を講ずることとする。

(2) 具体的な改善措置について
[1] 研修計画の見直しなどにより公務員倫理や法令遵守に関する研修を全ての職員が受講できるように努めること、会計経理事務担当者を対象とした研修等を実施する際には、法令遵守要綱の内容について周知徹底を図ること、また、外部講師の活用を図るなど研修の充実に努めること。【公務員倫理の徹底と綱紀保持】
[2] 本省で作成した会計事務取扱マニュアルについて、管理者及び会計経理事務担当者に研修の場を活用するなど周知徹底を図り、基本的な内容を十分に理解させること。【会計組織における適正な管理体制の確立】
[3] 随意契約見直し計画において、随意契約とせざるを得ない案件以外は、全て競争性のある契約方法により調達すること、競争性のある契約方法に移行できないものについては、移行困難な事由、移行予定年限をホームページで公表すること、公共調達審査会及び公共調達監視委員会の審議結果等をホームページに公表すること、電子入札システムによる入札を実施すること。【公共調達の適正化】
[4] 物品管理官等に対して、物品管理簿への正確な記載を徹底するよう指導すること。【物品の購入等に係る会計事務手続等の適正化】
[5] 勤務時間管理員に対して、出勤簿はその都度押印し、超過勤務命令簿への記載はその都度行うよう指導すること、適正な勤務時間管理及び業務調整等による業務処理体制の確保等について、超過勤務に係る問題点の把握・分析の上、必要な措置を講ずること、また、超過勤務手当に係る年間予算の執行計画を作成すること。【勤務時間管理及び超過勤務手当の支給の適正化】
[6] 内部監査の実施においては、労働局と継続的な取引関係にある業者の関係帳簿等の確認を行うなど、効果的で実効性のある内部監査を実施すること、また、内部監査の結果等は、局長をはじめ管理者に速やかに報告するとともに、各部署に対する改善指示を監査実施後速やかに通知すること。なお、法令遵守委員会の開催においては効果的な開催回数の確保を図ること。【法令遵守に係るチェック体制の強化】
[7] 平成20年4月1日付け事務連絡「厚生労働省における内部の職員等からの法令違反行為に関する通報制度の周知について」に基づき、新規採用者や非常勤職員を含む全ての職員へ周知の徹底を図ること。【内部通報制度の活用等】
[8] 会計事務監査指導や中央監察において、是正等を要するものとして指摘された事案は、その後の会計事務監査指導等で同様の指摘を受けることのないよう徹底を図ること。

以上の改善措置の取組状況を確認するため、問題が特に認められた局について、地方支分部局法令遵守室員が今年度内に実地にて検分することとする。



地方支分部局法令遵守委員会における委員の指摘

 平成21年度に係る各労働局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等については、別添1のとおり本省地方課において、総括的に評価を行ったところである。
 当該評価結果については、平成22年7月27日に外部の有識者が参画する「第14回地方支分部局法令遵守委員会」を開催し、委員会委員より、「法令遵守の徹底に係る取組は概ね行われているという印象は受けられる」という評価をいただいたものの、下記のような幾つかの改善点や今後の取り組みへのアドバイスをいただいたところである。

引き続き、会計経理の適正化を重視し、徹底させていく仕組みが重要であること
管理者への意識づけ、教育が重要であること
規程やマニュアルがアップツーデートに改訂されていない状況を改める必要があること

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