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歯科疾患実態調査

調査の概要

調査の目的

 この調査は、わが国の歯科保健状況を把握し、歯科口腔保健の推進に関する基本的事項及び健康日本21(第二次)において設定した目標の評価等、今後の歯科保健医療対策を推進するための基礎資料を得ることを目的とする。

調査の対象

 全国を対象として、平成28年国民健康・栄養調査において設定される地区(平成22年国勢調査の調査区から層化無作為抽出した全国計475地区)からさらに抽出した150地区内の満1歳以上の世帯員を調査客体とする。ただし、熊本地震の影響により、熊本県の全域を除く。

主な調査事項

  1. 1)性別
  2. 2)生年月日
  3. 3)歯や口の状態
  4. 4)歯をみがく頻度
  5. 5)歯や口の清掃状況
  6. 6)フッ化物応用の経験の有無
  7. 7)顎関節の異常
  8. 8)歯の状況
  9. 9)補綴の状況
  10. 10)歯肉の状況
  11. 11)歯列・咬合の状況

調査票等

調査の時期

 平成28年10月及び11月(国民健康・栄養調査の身体状況調査と共に実施)

調査の実施および診査基準

調査の実施

調査票記入要領の定めるところにより、次の事項を調査票に記入した。

  1. 1)被調査者本人が記入する事項(各質問に対して該当する選択肢に○を記入する。低年齢児等については本人に口頭で質問し調査員又は保護者等が記入する。)
  2. 2)調査員が被調査者に質問して記入する事項(低年齢児等については保護者等に質問し記入する。)
  3. 3)調査員が被調査者の口腔内診査を実施して、その結果を記入する事項

調査の実施にあたっては次の点に留意した。

  • (1)診査に用いる器具等は清潔に取り扱い、特に繰り返し使用する器具は消毒を行う。
  • (2)診査にあたっては、一時的な混雑で性急に診査がされることのないよう注意する。
  • (3)混合歯列においては、永久歯と乳歯を同時に診査することになるので、注意深く診査し、間違いなく記録を行う。
  • (4)歯に付着物が存在し診査が困難と考えられる時は、歯の清掃をするなどしたうえで診査する。また、義歯装着者については、義歯を外してから口腔内診査を行う。
  • (5)可撤性補綴物の鉤歯や隣接歯に発生したう蝕は、見落としやすいので注意すること。また、これらの場合は、補綴物を離脱させて残根の有無など、十分に注意して診査する。
  • (6)インプラントは、見落としやすいので問診を併せて行うなど、十分に注意して診査する。

なお、調査年次による調査項目の差異については表1 [37KB] に示した。

診査基準

診査は、次に掲げる基準に従った。

  • 1)現在歯
    1. (1)現在歯は、(i)健全歯 (ii)未処置歯 (iii)処置歯の3種に分類する。現在歯とは、歯の全部または一部が口腔に現れているものをいう。
    2. (2)過剰歯は含めないこととし、癒合歯は1歯として取り扱い、その場合の歯種名は上位歯種名をもってこれにあてる。(例:乳中切歯と乳側切歯の癒合歯は、乳中切歯とする。)
    3. (3)現在歯の診査は、視診を原則とするが、充分な照明が得られない等の診査環境の場合には、レジン充填等の確認などに際し、必要があれば歯科用探針※を用いること。
      ※歯科用探針は、口腔内診査の際の補助的器具として使用し、探針の刃先は鋭利なものでなく、また探針は歯面に対して水平的に動かし、垂直的な圧力を加えて歯面を傷つけることがないように、注意を払って口腔内診査を行うこととする。
    1. (i)健全歯
      • ◆健全歯とは、う蝕あるいは歯科的処置の認められないもの(以下に記す未処置歯および処置歯の項に該当しないもの)をいう。
      • ◆咬耗、摩耗、斑状歯、外傷、酸蝕症、発育不全、形態異常、エナメル質形成不全、着色、歯周炎等の歯であっても、それにう蝕のないものは健全歯とする。
        • (注)歯質の変化がなく、単に小窩裂溝が黒褐色に着色しているもの、平滑面で表面的に淡褐色の着色を認めるが歯質は透明で滑沢なもの、エナメル質形成不全と考えられるものなどは、すべて健全歯とする。
      • ◆健全歯のうち、脱灰、再石灰化等に関連し白濁、白斑、着色部が認められる歯は、白濁・白斑・着色歯とする。
        • (注)白濁・白斑・着色歯にはテトラサイクリン、ニコチン、金属、外来性色素等による着色等は含まないものとする。
      • ◆健全歯を予防填塞(フィッシャー・シーラント)の有無により、次のように分類する。
        • ア.健全歯0
          予防填塞(フィッシャー・シーラント)がされていない歯
        • イ.健全歯t
          予防填塞(フィッシャー・シーラント)がされている歯
        • (注)予防填塞と処置歯との鑑別を行う場合、一般的に予防填塞はレジン充填に比べ
          (1)色調が異なること
          (2)填塞物の辺縁の形態が裂溝状で細く、不揃いなこと
          (3)填塞物表面の粗ぞう感が少ないこと
          が多いことを考慮する。
    2. (ii)未処置歯
      • ◆未処置歯は乳歯、永久歯とも次のとおり分類する。なお、調査年次によるう蝕の診断基準の差異については表2 [39KB]に示した。
        • ア.軽度う蝕(Ci:Caries incipient)
        • イ.重度う蝕(Ch:Caries high grade)
        • (注)1.同一歯に2か所以上にう蝕のある場合には、病状の進んでいる方をとること。
          2.フッ化ジアンミン銀(サホライド)のみを塗布したと考えられる歯は未処置歯とする。
        • ア.軽度う蝕(Ci)
           歯冠部のう蝕については、明らかなう窩、脱灰・浸蝕されたエナメル質、軟化底、軟化壁が探知できる小窩裂溝、平滑面の病変をう蝕とする。また、根面部のう蝕については、病変部にソフト感あるいはざらついた感じがあればう蝕とする。なお、視診のうえ確認する場合にはWHOプローブを用いる。
        • イ.重度う蝕(Ch)
           重度う蝕とは、歯髄まで病変が波及しているものまたは、それ以上に病変が進行しているものをいう。
        • ◆C4の残根は未処置歯とする。
    3. (iii)処置歯
      • ◆処置歯とは歯の一部または全部に充填、クラウン等を施しているものをいう。
      • ◆歯周炎の固定装置、矯正装置、矯正後の保定装置、保隙装置及び骨折治療に用いる整復固定装置(三内式線副子等)は含まない。
      • ◆治療が完了していない歯、二次う蝕や他の歯面で未処置う蝕が認められた処置歯は未処置歯として取り扱う。
      • ◆予防填塞(フィッシャー・シーラント)の施してある歯については、可能な限り問診して、う蝕のない歯に填塞を施したものは健全歯tとするが、明らかにう蝕のあった歯に填塞したものは処置歯とする。
      • ◆根面板等を施してある歯は、処置歯とする。
      • ア.充填(F)
         セメント充填、レジン充填、アマルガム充填、ポーセレンインレー、金銀パラジウム合金(インレー、アンレー及び3/4冠を含む)等により、充填または一部歯冠修復しているものはこれに含める。架工義歯の支台歯であっても、一部修復しているものはこれに含める。
      • イ.クラウン(K)
         全部金属冠、陶材焼付鋳造冠、レジン前装金属冠、ジャケット冠等、歯冠のすべてを修復しているものをいい、架工義歯の支台歯であってもこれに含める。
  • 2) 喪失歯
    1. 抜去または脱落により喪失した永久歯をいう。ただし、智歯は含めない。
    • (注)・受診者の年齢を考慮する。
      ・乳歯は診査対象としない。
      ・インプラントは喪失歯とする。
      ・先天性欠如または何らかの理由で歯を喪失したことが明らかであっても、歯列等の関係から補綴処置の必要性が認められないものについては喪失歯に含まない。
      • ◆なお、インプラントを埋入しているか、必ず口頭にて確認する。
  • 3) 補綴の状況
     永久歯の欠損部における補綴物装着の有無を診査する。補綴物は、架工義歯、部分床義歯および全部床義歯に分類する。補綴物にクラスプ等による鉤歯がある場合は記録する。架工義歯については、支台歯を診査する。部分床義歯および全部床義歯については日常使用しているものであれば、診査時に装着していなくてもよい。また、一部破損している、あるいは欠損部の状況と一致していないものは装着していないものとする。なお、乳歯の義歯・保隙装置は含まない。
  • 4) 歯肉の状況
    1. (1)歯周ポケット  永久歯列について
      図
      の各歯の歯肉の状況(20歳未満の場合、第2大臼歯を除外)をWHOのCPI(Community Periodontal Index, 地域歯周疾患指数)により、WHOプローブを用いて、上顎、下顎とも頬・唇側面(近・遠心)および舌側面(近・遠心)の4点について以下の基準で診査する。ただし、同顎、同側の第1、第2大臼歯については、両歯の最高点を記入する。
    2. (2)歯肉出血
      プロービング後10〜30秒以内に出血が認められる場合、有を○で囲む。出血を認めない場合は、無を○で囲む。
      • ◆5〜14歳未満の者については、プロービングを行い出血の有無について確認するが、歯周ポケットの深さが4mm以上の場合は、歯周ポケットの深さの測定を行わないものとする。
      • ◆対象中切歯の欠損により診査が不能な際は、反対側同名歯を診査する。
        両側とも欠損している場合、あるいは臼歯部で2歯とも対象歯が欠損している場合には、検査対象外として「×」を該当する代表歯の欄に記入する。
      • ◆プロービングは、WHOプローブ先端の球を歯の表面に沿って滑らせる程度の軽い力(20g)で操作し、遠心の接触点直下から、やさしく上下に動かしながら近心接触点直下まで移動させる。
  • 5) 歯列・咬合の状況(12歳から20歳の者を対象とする)
     12歳から20歳の者に対して、次の(1)から(4)の内容について診査をする。
    1. (1)前歯部の叢生および空隙
      上下顎の前歯12歯について、捻転歯や正常な位置からの転移歯の有無を診査し、前歯部の叢生の有無及び空隙の有無を上下顎それぞれについて、該当するものを○で囲む。叢生には、側切歯の舌側転移、犬歯の低位および唇側転移を含む。
      • 無:無し
      • 上有:上顎のみに有り
      • 下有:下顎のみに有り
      • 上下有:上下顎ともに有り
    2. (2)オーバージェット
       中心咬合位における上下顎中切歯の切端間の水平的な距離を診査するため、WHOプローブを用いて切歯の最大突出部から対応する切歯唇面までの距離を咬合平面に対して平行に保ちながら計測し、mm(ミリメートル)単位で記録する。反対咬合の場合は、マイナスの測定値となる。±0.5mm(プローブの小球の直径を参照)以内は、0mmとする。
      (例:3mm → 3、−2mm → −2)
    3. (3)オーバーバイト
       中心咬合位における上下顎中切歯の切端間の垂直的な距離を診査するため、WHOプローブを用いて上下顎中切歯の切端間の距離を計測し、mm(ミリメートル)単位で記録する。開咬の場合は、マイナスの測定値となる。±0.5mm(プローブの小球の直径を参照)以内は、0mmとする。
      (例:3mm → 3、−2mm → −2)
    4. (4)正中のずれ
       中心咬合位における上下顎中切歯正中のずれを診査するため、上下顎中切歯の正中の距離を計測し、mm(ミリメートル)単位で記録する。±0.5mm(プローブの小球の直径を参照)以内は、0mmとする。
      (例:3mm → 3)

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