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検査の信頼性の確保について
都道府県等の食品衛生検査施設が行う製品検査及び法第28条第1項の規定により収去した食品等の試験については、検査の信頼性の確保に資するため、食品衛生法に基づき検査又は試験に関する事務を管理する必要がある。
しかし、一部の食品衛生検査施設において、検査データを誤認したことや公定法によらない検査を実施したことに起因する誤った検査成績書を発出したことから、本来問題とならない食品等の製品の回収等を行った事例があった。
ついては、食品衛生検査施設における検査について、引き続き、「食品衛生検査施設における検査等の業務管理について」(平成16年3月23日付け食安監発第0323007号)に定める「食品衛生検査施設における検査等の業務管理要領」に基づき適切に実施されるようお願いする。
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HACCPシステムによる衛生管理の推進について
HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)による衛生管理については、都道府県等の協力の下、食品衛生法に基づく総合衛生管理製造過程の厚生労働大臣承認制度等により、国内の食品関係施設に対する導入を推進している。
また、厚生労働省では、各都道府県等の食品衛生監視員を対象としたHACCP施設への監視指導に関する講習会を国立保健医療科学院の特別課程(食品衛生監視指導コース)において実施しているので、担当職員の研修への派遣について御配慮をお願いする。
なお、総合衛生管理製造過程承認施設は、平成17年11月30日現在、乳156施設・230件、乳製品173施設・246件、食肉製品82施設・143件、魚肉練り製品25施設・34件、容器包装詰加圧加熱殺菌食品35施設・41件、清涼飲料水92施設・139件となっている。
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農林漁業者等による農林漁業体験民宿施設の取扱いについて
農林漁業者が農林漁業体験施設において、食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる場合は、食中毒発生防止の観点から、食品衛生法に基づく飲食店営業の許可が必要であるが、昨年7月21日の副大臣会議において、都市と農山漁村の共生・対流の一層の観点から、農林漁業体験民宿の取組みの円滑化を図るとされたところである。
ついては、農林漁業体験施設に係る各都道府県等が定める施設基準等の許可要件については、各都道府県において関係部局と十分に協議を行い、施設の規模、提供される食事の種類、数量等を考慮し、必要に応じて条例改正の検討や弾力的運用を行うなど、適切に対応されるようお願いする。
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アレルギー表示について
アレルギー物質を含む旨の表示に係る違反事例が継続して報告されているので、引き続き本件に係る監視指導の徹底及び違反事例の報告をお願いする。なお、収集された違反事例については、消費者への情報提供及び意識の向上のため、定期的に厚生労働省ホームページにて公表している。
また、最近では、原材料としてアレルギー物質を使用していない食品であっても、製造工程におけるアレルギー物質のコンタミネーションが原因でアレルギー症状を惹起する可能性が指摘されているため、製造ラインの洗浄等のコンタミネーションの防止対策の実施及び注意喚起のための表示を行うよう貴管下の関係営業者に対する指導方よろしくお願いする。
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ダイオキシン対策について
ダイオキシン類は、廃棄物の焼却等で非意図的に発生すること、強い毒性を示すこと、難分解物質であることと、生物及び人体への蓄積性が高いこと等から、健康影響を避ける上で、暴露量を最小限にする必要がある。
ダイオキシン類の人体への取込みについては、その90%が食品由来とされているため、厚生労働省では食品別の汚染状況を把握するための汚染実態調査及びトータルダイエット方式による標準的な食事から摂取されるダイオキシン類量の調査を実施している。
このうち、ダイオキシン類の推定一日摂取量調査については、平成8年から開始している。平成15年度における食品からのダイオキシン類の一日摂取量は、1.33pgTEQ/kg体重/日と推定され、これは、耐容一日摂取量の4pgTEQ/kg体重/日を下回っているが、偏りのないバランスの良い食生活が重要であり、これを奨励しているところである。
なお、平成16年度の結果についても、まとまり次第公表を行うこととしている。
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輸出水産食品に係る衛生要件について
EU域内及び米国に輸出される水産食品については、その加工施設等がEUや米国の定めた要件に適合しなければならないこととされている。これらの輸出水産食品取扱施設の認定に係る現地調査等については、各都道府県等の指名食品衛生監視員を中心に行われており、現在までに対EU輸出水産食品の認定施設は15加工施設及び2保管施設、対米輸出水産食品の認定施設は85加工施設及び49保管施設となっている。
今後とも、これらの施設の所在する都道府県におかれては、対EU及び対米輸出水産食品に係る施設認定事務等について、各地方厚生局の食品衛生担当部局とも連携の上、実施方よろしくお願いする。
また、昨年より、新たに対中国輸出水産食品及び対マレーシア輸出畜水産食品の衛生証明書発行事務等についても各都道府県等の食品衛生監視員により、実施いただいているが、地域振興支援の観点からも水産食品取扱施設の登録、衛生証明書の発給事務等の実施について御協力をお願いする。 |