○ |
我が国における薬物事犯は、覚せい剤事犯が最も多く、その検挙者数は平成16年において12,397人(前年:14,797人)と減少しているものの、密輸入事件が急増し、依然として相当量の押収があるなど、根強い需要が認められる。
また、大麻事犯やMDMA等の錠剤型合成麻薬事犯は、検挙人員がともに過去最高を記録し、特に若年層への乱用の拡大が顕著となっており、乱用薬物の多様化が進んでいる。
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○ |
平成16年における未成年の検挙者数は、覚せい剤事犯で395人(前年:528人)、大麻事犯で223人(前年:191人)、MDMA等錠剤型麻薬事犯で96人と高い水準にあり、薬物の入手可能性等の社会環境は改善されておらず、青少年の薬物乱用状況は、依然として厳しい情勢にある。 |
覚せい剤事犯検挙者の年次推移(昭和27年〜平成16年)
覚せい剤事犯における未成年検挙者の推移(人)
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平成12年 |
平成13年 |
平成14年 |
平成15年 |
平成16年 |
検挙者総数 |
19,156 |
18,110 |
16,964 |
14,797 |
12,397 |
うち未成年者 |
1148 |
954 |
749 |
528 |
395 |
注) |
厚生労働省・警察庁・海上保安庁の統計資料による。 |
大麻事犯における未成年検挙者の推移
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平成12年 |
平成13年 |
平成14年 |
平成15年 |
平成16年 |
検挙者総数 |
1,224 |
1,525 |
1,873 |
2,173 |
2,312 |
うち未成年者 |
105 |
180 |
192 |
191 |
223 |
注) |
厚生労働省・警察庁・海上保安庁の統計資料による。 |
MDMA等錠剤型麻薬事犯における未成年検挙者の推移
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平成12年 |
平成13年 |
平成14年 |
平成15年 |
平成16年 |
検挙者総数 |
83 |
113 |
138 |
272 |
450 |
うち未成年者 |
※ |
※ |
7 |
29 |
67 |
注1) |
厚生労働省・警察庁・海上保安庁の統計資料による。 |
注2) |
※の部分は、年齢についてMDMA単独で統計を取っていなかったため、不明 |
○ |
なお、平成17年上半期における覚せい剤事犯の検挙人員は平成16年の同時期と比べ増加しており、また薬物事犯全体の検挙人員も増加しており、依然として憂慮すべき状況にある。 |
(2) |
「薬物乱用防止新五か年戦略」に基づく政府の取組み |
○ |
薬物乱用対策推進本部が平成15年7月に策定した「薬物乱用防止新五か年戦略」に基づき、関係省庁が連携し、各種の薬物乱用対策を進めており、厚生労働省においても、取締りの強化、啓発活動の充実、再乱用防止対策の推進、国際協力の推進などの各種施策の充実強化に努め、引き続き総合的に取り組んでいる。
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○ |
また、政府の犯罪対策閣僚会議が平成15年12月に策定した「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」に基づき、誰もが安心して暮らせる安全な社会の実現のため、関係省庁が薬物犯罪を含む各種犯罪の予防、取締り等対策に取り組んでいる。 |
○ |
各都道府県に設置されている薬物乱用対策推進地方本部においても、国の取組みを踏まえて、取締りの徹底、啓発活動の充実、再乱用防止対策の推進等、一層効果的・積極的な取組みをお願いしたい。 |
○ |
最近の薬物事犯の特徴は、従来の暴力団に加え、イラン人等外国人犯罪組織による組織的密売の増加や検挙者の国籍の多様化のほか、携帯電話やインターネットを用いた密売など、複雑かつ巧妙化している。
また、我が国で乱用される薬物のほとんどが外国から密輸入されたものであるが、近年その密輸手口は更に巧妙化しており、国内外の関係機関による緊密な連携の下、薬物密売組織の壊滅を視野に入れた取締りを強化する必要がある。
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○ |
地方厚生局麻薬取締部においては、平成17年度に、インターネットを用いた薬物密売事犯に対応するため、全国の麻薬取締官14名を増員した。
また、平成18年度においては、巧妙化する薬物密輸出入事犯に機動的に対処すべく、関係機関との連携によるコントロールド・デリバリー(CD)捜査の体制強化等から、全国の麻薬取締官19人(鑑定官1人を含む)を増員することとしている。
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○ |
病院・診療所及び薬局における向精神薬の盗難・所在不明事故件数は、平成16年は63件(前年:58件)であり、麻薬、向精神薬、覚せい剤原料等の製造業、卸売業者、医療施設、研究施設等に対する各都道府県の麻薬取締員等による立入検査等は、正規薬物の不正ルートへの横流れを防止する上で重要となっている。 |
○ |
各都道府県に置かれている麻薬取締員について、麻薬取扱者等への立入検査に加え、麻薬等事犯の取締りについても積極的な対応をお願いしたい。
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○ |
麻薬取締官が行う犯罪捜査についても引き続き協力をお願いしたい。
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○ |
都道府県の麻薬取締員等により実施されている薬局、医療機関等の麻薬取扱者等への指導監督に当たっては、一層の管理徹底の周知をお願いしたい。
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○ |
医療用麻薬等については、薬剤師による不正譲り渡し事件、看護師による大量持ち出し事件など、医療関係者による事件も起きており、医療機関等への指導強化とともに、麻薬取締員による取締りの徹底について改めてお願いしたい。
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○ |
薬物犯罪の取締り及び医療用麻薬等の正規流通に係る指導監督体制の充実目的とした研修を今年度から実施しているので、引き続き都道府県の麻薬取締員の積極的な参加をお願いしたい。 |
○ |
薬物乱用の多くは、薬物に対する正しい知識が不十分でその恐ろしさを知らないことに起因しており、特に青少年に対しては、できるだけ早い時期から薬物乱用防止に関する啓発を行うことが重要である。
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○ |
「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」、「麻薬・覚せい剤乱用防止運動」の全国的な展開、薬物乱用防止キャラバンカー(8台)の学校、地域の場への派遣等を通じて、啓発活動の推進を図っている。
また、地域の中心的な指導員を養成するための研修会の開催や講演等に活用できるCD−ROMの作成とともに、指導員が主体となった地域での対話集会の開催等を通じて、薬物乱用防止指導員による地域における啓発活動の一層の推進を図っている。
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○ |
近年、特に青少年によるMDMA等の錠剤型合成麻薬や大麻の乱用が問題となっていることから、平成17年度に、これら薬物に特化した啓発リーフレットを全ての中・高校生に対して配布したところであり、平成18年度においては、中学1年生に対して配布することとしている。 |
○ |
全国の各地域で、薬物乱用防止キャラバンカーや啓発用読本等の啓発資材を活用するとともに、薬物乱用防止指導員による活動や麻薬・覚せい剤乱用防止運動等の実施に当たり、効果的な啓発活動の取組をお願いしたい。
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○ |
薬物乱用防止指導員に対する研修事業については、各都道府県における薬物乱用防止指導員の積極的な参加について、引き続き協力をお願いしたい。 |
○ |
薬物犯罪の大きな特徴は、再犯性が高いことであり、本人の再乱用を防止するのみならず、新たな薬物乱用者を作らないという意味においても、薬物依存の治療と社会復帰への取組を行い、再乱用の防止対策を充実することが必要である。また、薬物乱用者のみならず、その家族も含めた対策が重要である。
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○ |
保健所及び精神保健福祉センターにおける薬物相談窓口において、薬物乱用者本人とその家族に対して、相談事業を実施して、薬物関連問題の発生予防、薬物依存者の社会復帰の促進等を図っている。
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○ |
全国6ブロックにおいて「薬物中毒対策連絡会議」を昨年度に引き続き開催し、薬物依存・中毒者の治療、社会復帰支援に関る関係機関(医療機関、取締機関、行政機関等)の専門家による情報・意見交換を通じて地域における関係機関の強化を図ることとしている。 |
○ |
各都道府県及び薬物乱用対策推進地方本部におかれては、引き続き本事業の円滑な推進に努めるとともに、地方厚生局麻薬取締部、保健所、精神保健福祉センター、医療機関、保護観察所、警察等の関係機関間における薬物乱用・依存に関する相談・指導業務について、より綿密な連携を図るようお願いしたい。 |
○ |
「海外麻薬行政官研修」及び「開発途上国薬物乱用防止啓発活動研修」が開催されており、平成17年は東京都、埼玉県に御協力をいただいたところである。
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○ |
平成17年2月には、「第2回麻薬・覚せい剤原料の統制に関する国際フォーラム」を東京において開催し、一昨年に引き続き、麻薬等の原料となる物質の東南アジア地域における精算や流通の監視等に関して、アジア地域の原料供給国及び米国関係機関、国連機関の担当者積極的な意見交換を行った。
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○ |
在宅医療を推進する上で、特に疼痛緩和のために使用される麻薬が適切かつ円滑に提供される体制整備を進めることは、これらを必要とする方々が、住み慣れた家庭や地域で療養し、また、自宅で終末期医療を受けるために極めて重要である。このことは、社会保障審議会医療部会が平成17年12月8日に取りまとめた「医療提供体制に関する意見」でも指摘されている。
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○ |
このため、麻薬が適切かつ円滑に提供される体制の整備が図られるよう、平成18年度以降、以下の措置を講じる予定である。
(1) |
医療関係者に対する医療用麻薬の使用の推進のための講習会の充実 |
(2) |
麻薬を取り扱う薬局(麻薬小売業者)における麻薬の流通の迅速化を図るための措置の実施 |
(3) |
医療機関、薬局における麻薬の取扱いに関するマニュアルの改訂による麻薬利用の適正化 |
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○ |
麻薬取締員等により実施されている麻薬取扱者等に対する指導監督に当たっては、引き続き、麻薬の管理の適正化のための指導をお願いしたい。
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○ |
流通の迅速化を図るための措置の実施、麻薬取り扱いに関するマニュアルの改訂に当たっては、当方から改めて依頼するので、現場の意見をお寄せいただきたい。
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○ |
「がん疼痛緩和と医療用麻薬の適正使用推進のための講習会」については、(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターが各都道府県をはじめ関係団体の協力を得て、医療関係者や麻薬担当行政職員等を対象として各地で開催しているところであるが、引き続き関係団体への周知や担当者の積極的な参加をお願いしたい。
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○ |
改訂マニュアルが完成した後は、その周知・普及に努めていただき、また指導監督をそれに則ったものとしていただくようお願いしたい。 |