5. 牛海綿状脳症(BSE)対策について

1. 国内対策について
 ○  平成13年9月、国内において初めてBSEの発生を確認したことから、同年9月27日、生後12ヵ月以上の牛の頭蓋(舌、頬肉を除く。)及びせき髄並びにすべての牛の回腸遠位部(盲腸の接続部分から2メートル以上)を除去、焼却するよう指導を開始し、同年10月18日にはと畜場における牛の特定部位(頭部(舌及び頬肉を除く。)、せき髄、回腸遠位部)の除去・焼却を法令上義務化した。また、(1)牛の月齢が必ずしも確認できなかったこと、(2)国内でBSE感染牛が初めて発見され、国民の間に強い不安があったこと等の状況を踏まえて同日、食用として処理されるすべての牛を対象としたBSE検査を全国一斉に開始した。
 ○  その後、平成16年9月には、食品安全委員会においてBSE国内対策に関する科学的な評価・検証の結果がとりまとめられ、厚生労働省及び農林水産省は、この評価・検証の結果を踏まえ、同年10月15日に国内対策の見直しについて食品安全委員会に諮問した。平成17年5月6日に答申を受け、これを踏まえてと畜場におけるBSEに係る検査の対象となる牛の月齢を規定する厚生労働省関係牛海綿状脳症対策特別措置法施行規則第1条のBSE検査の対象月齢を0ヵ月齢以上から21ヵ月齢以上に改正し、同年8月1日から施行した。
 ○  なお、制度変更に伴い生じかねない消費者の不安な心理を払拭し、生産・流通の現場における混乱を回避する観点から、20ヵ月齢以下の牛について地方自治体が自主検査を行う場合は、経過措置として引き続き平成17年度も補助を行うとともに、検査に必要な主要設備、機器、公営と畜場の衛生設備の整備に対しても保健衛生施設等設備整備費による補助対象とするほか、民営と畜場には償却資産に係る固定資産税の軽減措置を講じている。

2. 米国産及びカナダ産牛肉の輸入再開について
 ○  米国産及びカナダ産の牛肉等の輸入停止
 米国については平成15年12月24日、カナダについては平成15年5月21日、それぞれの国内でBSE感染牛が確認されたため、厚生労働省及び農林水産省は食品衛生法及び家畜伝染病予防法に基づき、同日から牛肉及び牛肉製品等の輸入を暫定的に認めない措置をとった。
 ○  米国産及びカナダ産の牛肉輸入再開に向けた協議
 米国でのBSE感染牛の確認後、厚生労働省、農林水産省及び食品安全委員会事務局(オブザーバー)は直ちに専門家を現地に派遣し、BSE感染牛の由来、同居牛の取扱い等のBSEに係る事実関係や、サーベイランス体制、飼料給与禁止措置等のBSE対策の調査を行い、平成16年1月、その結果を公表した。その後日米事務レベル協議、局長級協議、日米の科学者・学識者による専門的・科学的な協議を重ね、平成17年5月24日の食品安全委員会に対する諮問に至った。
 一方、カナダについても、米国と同様、BSE感染牛の確認後の現地調査、BSE発生状況やBSE対策等に関する情報収集等を経て、昨年5月24日の食品安全委員会に対する諮問に至った。
 諮問を受けた食品安全委員会においては、10回にわたるプリオン専門調査会での審議、4週間の意見募集を経て、昨年12月8日に答申がとりまとめられ、「輸出プログラム(全頭からのSRM除去、20ヶ月齢以下の牛等)が遵守されるものと仮定した上で、米国・カナダの牛に由来する牛肉等と我が国の全年齢の牛に由来する牛肉等のリスクレベルについて、そのリスクの差は非常に小さいと考えられる」と結論づけられた。
 この答申を受けて、昨年12月12日、厚生労働省は、農林水産省と連名で、米国及びカナダに対し、両国産の牛肉及び内臓の輸入再開を決定した旨を通知するとともに、食品安全委員会によるリスク評価過程で議論となった事項である
 ア. せき髄除去の監視強化を図ることが必要であること
 イ. 米国及びカナダにおけるBSEの汚染状況を正確に把握し、適切な管理対応を行うため、十分なサーベイランスの継続が必要であること
 ウ. 米国及びカナダにおけるBSEの増幅を止めるためには、SRMの利用の禁止が必須であり、牛飼料への禁止のみならず、交差汚染の可能性のある他の動物の飼料への利用も禁止する必要があること
について申し入れを行った。
 さらに、米国及びカナダにおける対日輸出施設の査察を行うため、同年12月13日から12月24日(カナダについては23日)までの間、厚生労働省及び農林水産省の担当者を両国に派遣した。米国においては11ヶ所、カナダにおいては4ヶ所の対日輸出食肉処理施設とこれらの関連施設において査察を行い、牛の月齢の確認、特定危険部位の適正な除去、日本向け牛肉の適切な識別等、対日輸出プログラムの遵守について特段問題はなかったとことが確認された。
 今後も、残された対日輸出施設に対して査察を継続し、その結果を公表していくこととしている。

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