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連絡事項

総務課

1.原爆被爆者対策等

 原爆被爆者対策については、被爆者の高齢化に伴う保健、医療、福祉にわたる総合的な施策を引き続き推進することとしている。
 平成16年度においては、特に以下の点に留意し、その円滑な実施に努められたい。

(1 )各種手当の支給額等について
 平成16年度の健康管理手当等の各種手当の支給額については、物価スライドの特例措置として平成15年の消費者物価の下落分(マイナス0.2%〜0.4%の見込み)の額の改定とする法律案を第159回通常国会に提出する予定である。
 なお、平成16年4月以降の介護手当の上限額については、平成15年度の人事院勧告(△1.07%)をもとに、重度 106,100円以内から104,970円以内に、中度 70,730円以内から 69,970円以内に額の改定を行うこととしている。

(2 )在外被爆者に対する支援について
 在外被爆者に対する支援については、平成15年8月より「在外被爆者渡日支援等事業」の手帳交付渡日支援及び渡日治療支援等の事業実施主体を全都道府県に拡大したところであるので、積極的に事業を実施していただくよう御協力をお願いする。
 なお、平成16年度においては、この事業の一環として「在外被爆者保健医療助成事業」を構築し、在外被爆者の医療費等の助成を行うこととしているので御了知願いたい。

(3 )原爆被爆者追悼事業等の推進について
 原爆死没者追悼平和祈念館は、国が原爆死没者の尊い犠牲を銘記し、恒久の平和を祈念するため広島及び長崎に設置するものであり、広島の祈念館は平成14年 8月、長崎の祈念館は平成15年7月に開館し、平成15年12月末までに両館合わせて42万人の来館を頂いているところである。
 この広島、長崎両祈念館においては、原爆死没者の氏名及び遺影(写真)を遺族の申し出に基づき収集・登録し、入館者の閲覧に供することとしている。
 収集数は、平成15年12月末現在、広島祈念館8,844件、長崎祈念館4,368件、両祈念館合わせて13,212件となっている。
 各都道府県においては、原爆死没者の遺影収集に係る広報について、その遺族等に対して一層の周知を図っていただくよう御協力をお願いしたい。
 また、地域及び職域で行われる慰霊式典等に対する助成についても、引き続き行うこととしているので、これについても事業の実施に御協力をお願いする。

(4 )被爆二世健康診断の実施について
 被爆二世(以下「二世」という。)に対する健康診断については、各都道府県、広島市及び長崎市への委託事業として引き続き16年度においても実施するので、御協力をお願いする。
 なお、被爆二世健康診断は、二世の健康不安解消を目的とするものであるので、各都道府県、広島市及び長崎市におかれては、年度の早い時期から実施できるよう、当該健診の目的に沿った受診の周知に努めていただくようお願いしたい。

(5 )毒ガス障害対策
 第二次大戦中、広島県大久野島にあった旧陸軍造兵廠忠海製造所等、福岡県北九州市にあった同曾根製造所及び神奈川県寒川町にあった旧海軍相模海軍工廠において毒ガス製造に従事していた方の中には、毒ガスによる健康被害が多く見られたことから、厚生労働省は、国との雇用関係に基づかない動員学徒等の被害者(旧令共済組合等の組合員であった者については財務省)に対して広島県、福岡県及び神奈川県に委託して健康診断、医療費、各種手当の支給等の救済措置を講じているところであり、平成15年3月末現在における救済措置対象者数は、2,606人となっている。各都道府県においては、高齢者に対し、毒ガスによる健康被害を有する方々に対する事業の周知に努めていただくようお願いしたい。
 なお、平成16年度の各種手当の支給額については、平成15年の消費者物価の下落分(マイナス0.2%〜0.4%の見込み)の額の改定を行う。
 また、平成16年4月以降の介護手当の上限額については、原爆被爆者に対する手当と同様の額の改定を行うこととしている。


2.地域保健対策

(1 )地域保健の推進
 地域保健対策については、地域保健法及び同法に基づいて策定されている「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(平成6年12月1日厚生省告示第374号、以下「基本指針」という。)に基づき、進められているところである。平成12年3月には基本指針の一部改正が行われ、地域における健康危機管理体制の確保、介護保険制度の円滑な運用のための地域保健対策としての取組の強化、ノーマライゼーションの推進、21世紀における国民健康づくり運動の推進等を定めたところである。
 さらに、平成15年5月1日から健康増進法(平成14年法律第103号)が施行され、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針(平成15年厚生労働省告示第159号)が告示されたことにあわせて、平成12年の改正以降、精神障害者対策、児童虐待防止対策、生活衛生対策等、新たな事項について対策が講じられるようになったことから、平成15年5月1日に、これらの状況に対応する基本指針の一部改正を行い、更に、平成15年12月26日に「地域保健従事者の資質の向上に関する検討会」の報告書を受け、人材の確保及び資質の向上について、所要の改正を行ったところである。
 各地方公共団体においては、引き続き、これらに基づき地域保健対策の一層の推進を図られたい。
 なお、保健所は、地域における広域的、専門的かつ技術的拠点としての機能強化が求められているところであり、適切かつ円滑な施設、設備の整備及び保健所や市町村等において独自に創意工夫を凝らして実施する先駆的、モデル的事業により地域保健対策の一層の推進を図る地域保健推進特別事業等についても、平成16度年予算(案)において必要な額を計上したところであるので、各地方公共団体におかれても当該補助金の趣旨に添った有効な活用をお願いする。
 おって、精神保健対策費補助金(保健所業務費)については、今般、三位一体改革による国庫補助・負担金の廃止・縮減等の方針に基づいて、平成16年度からは地方交付税措置により一般財源化をすることとしているので、その旨御承知いただくとともに、今後とも当該事業の円滑な運営を図るようお願いする。

(2 )地方衛生研究所の機能強化について
 地方衛生研究所については、基本指針により、地域における科学的かつ技術的な中核機関として位置づけられ、その専門性を活用した地域保健に関する総合的な調査及び研究を行うとともに、当該地域の地域保健関係者に対する研修を実施することが規定されており、地域保健対策の推進に大きな役割が期待されている。
 今後とも、基本指針、平成9年の「地方衛生研究所の機能強化について」(平成9年3月14日厚生省発健政第26号:事務次官通知)、平成13年3月の「地域健康危機管理ガイドライン」、平成15年12月19日の「感染症の予防の総合的推進を図るための基本的な指針」(平成11年厚生省告示第115号)の改正等を踏まえ、精度管理及びリファレンス活動の推進、健康危機管理の観点からの体制づくり、調査研究等の企画調整及び組織強化、情報関連機能の充実強化等を通じ、地方衛生研究所の機能強化につき、特段の御配慮をお願いする。

(3 )地域における健康危機管理体制の推進
 近年、地域における健康危機事例が頻発し、地域における健康危機管理の在り方が問われている。このため、各地方公共団体においては、基本指針や「地域における健康危機管理について〜地域健康危機管理ガイドライン〜」(平成13年3月30日健総発第17号:健康局総務課長通知)を踏まえて、健康危機管理における保健衛生部門の役割分担の明確化や健康危機情報の収集・伝達体制の整備に努めるとともに、保健所と本庁、地方衛生研究所等の関係機関、関係団体との連携の強化等を一層推進していただきたい。
 また、平成14年10月の関係閣僚会議により、各種テロ対策について改めて再点検するとともに、今後ともテロ情勢に的確に対応して、引き続き強化推進することが確認され、これを受けて「国内でのテロ事件発生に備えたテロ対策の再点検等について」(平成14年10月29日健発第1029006号:健康局長通知)を通知したところである。おって、昨年12月にテロ対策関係省庁会議が開催され、現下の情勢を踏まえ、関係省庁が一体となって、テロ関連情報の収集・分析に努めると共にテロ対策の一層の徹底を図ることが確認されたことを受け、改めて、これらのテロ情勢に的確に対応し、万全を期する必要があることから、「国内でのテロ事件発生に係る対応について」(平成15年12月15日健発第1215001号:健康局長通知)及び「病原性微生物等の管理の強化について」(平成15年12月17日健発第1217001号:健康局長通知)を通知したところである。各地方公共団体におかれては、これらの通知の趣旨等を踏まえ、引き続き地域における健康危機管理体制の充実強化に努められたい。
 なお、健康危機管理に関する資質の向上のため、平成13年度より実施している「健康危機管理保健所長等研修」について、未受講の保健所長においては、今後の研修において受講をお願いするとともに、平成15年度より保健所管理職員、地方衛生研究所長等にも対象を拡大して実施しているので、受講に際し特段の御配慮をお願いする。
 さらに、平成14年度に、地域における健康危機管理対応のための支援を行う「健康危機管理支援情報システム」を構築し、運用を開始しているところである。
 平成16年度以降は随時、より有効なシステムとなるよう整備及び機能強化を図ることとしているので、各地方公共団体におかれても同システムを有効に活用して頂きたい。
 なお、同システムは、都道府県等衛生主管部局、保健所、地方衛生研究所に加えて、昨年末から検疫所、地方厚生局においても利用できるようになりったので御承知願いたい。
 また、同システム内には既に緊急メール機能が稼働しているが、各地方自治体所管の保健所、地方衛生研究所等においても迅速な健康危機管理体制を可能とするため、緊急メールアドレスの登録をお願いする。

(4) 保健師等の人材確保及び資質の向上
.保健師の確保
 保健師の確保については、介護予防事業・老人保健事業・児童虐待予防等の実施に必要な保健師を計画的に増員するため、平成13年度の地方財政計画において、平成13年度から16年度までにかけて、都道府県73人、市町村1,282人、総数1,355人の増員を行うものとされ、平成16年度においても計画に沿った増員が措置されることとなっている。
 また、健康づくりの推進(ヘルスアッププラン)として、平成14年度から地方公共団体における健康づくり・疾病予防対策の取り組みに対して、地方財政措置が講じられており、平成16年度も引き続き措置されることとなっている。この事業例としては、地方健康増進計画の策定・推進、青壮年層を対象とした健康教育の充実などが挙げられており、これらの事業を推進するための非常勤保健師等の雇い上げ経費が事業費に含まれている。
 なお、地域における健康増進活動の推進を図るため、平成15年度に「ヘルスアッププラン活用検討会」を開催して、事業の施策化に関する方策の検討及び今後推進する事業例の収集を行っているところである。
 各地方公共団体においては、定員削減の方向にある中ではあるが、地域保健ニーズに対応した対策の推進が実施されるよう、保健師の増員計画に沿った人材確保について特段の御配慮をお願いする。
 また、都道府県においては、増員計画に沿った市町村の人材確保及び市町村合併が行われる市町村で、合併後も住民のニーズに基づいた地域保健対策が充実されるよう保健師の確保について管下市町村への適切な助言方をよろしくお願いする。

.小規模町村対策
 保健師の未設置町村及び1人設置町村は年々減少してきているが、いまだ未設置町村が4であり、1人設置町村が119(平成14年3月31日現在の保健師の設置状況)と人材確保の困難な町村も存在している。
 都道府県においては、各都道府県の人材確保支援計画に基づき、今後ともこれら保健師等の人材確保が困難な町村と十分連携を図り、「特定町村人材確保対策事業」を活用して人材の確保及び保健所等を中心とした専門分野の資質の向上に努めていただきたい。

.地域保健関係職員等の資質の向上
 新たな健康課題に対応した地域保健対策の推進を図るためには、人材の確保ととともに資質の向上が重要な課題である。このため、平成14年度に「地域保健従事者の資質の向上に関する検討会」を開催して、現任教育の体系や新任時期の研修のあり方、少人数配置職員の教育体制、効果的、効率的な教育方法等について検討を行ったところである。
 また、平成15年度においては、「新任時期における地域保健従事者の現任教育に関する検討会」を開催して、新任者の現任教育として適切に実践している事例の収集や新任時期の現任教育に関する到達目標、教育方法等及び指導者の育成について検討を行っているところである。
 各地方公共団体においては、新たな健康課題に対応するため、健康増進法に基づく健康づくり活動の推進や現任教育を行う指導者育成、保健指導技術の向上、児童虐待予防やC型肝炎に関する保健指導従事者研修等「地域保健関係職員等研修事業」を活用し、管下市町村を含めた地域保健関係職員等の資質の向上のための事業の実施に特段の御配慮をお願いする。

.保健師の保健活動について
 地域における保健活動については、基本指針により実施されてきたところであるが、健康増進法の制定、介護保険制度の施行及び地方分権の推進等の社会環境が変化していることから、地域保健対策の主要な担い手である保健師の保健活動のあり方も大きく変容しているところである。
 このため、平成15年10月10日に「地域における保健師の保健活動指針」を全部改正し、(1)保健活動を企画、実施、評価の周期で実施すること、(2)資質の向上については、人材育成指針に基づき連携、調整及び行政運営に関する能力を養成すること、(3)保健福祉サービスの総合的な提供の観点から、保健、福祉、介護等の部門に適切に配置すること、(4)福祉分野及び介護保険における保健師活動の指針などを策定したところである。
 各地方公共団体においては、地域における保健師の保健活動の充実強化を図られるようお願いするとともに、都道府県においては、管下市町村への助言方をよろしくお願いする。

(5 )地域・職域の保健活動の推進
 生活習慣病の予防のためには、個人の主体的な健康づくりへの取り組みが重要であり、そのためには保健事業による生涯を通じた継続的な健康管理の支援が必要であることから、平成13年度に「生活習慣病予防のための地域・職域連携保健活動検討会」を開催して健診情報の総合管理及び活用、効果的、効率的な地域・職域連携保健事業の推進等に関する検討を行い、平成15年5月1日に改正した基本指針に地域保健と職域保健との連携を図り、継続的な健康管理の支援が可能となるような体制整備を図っていく必要があることを盛り込んだところである。
 また、平成13年度から実施している地域・職域健康管理総合化モデル事業については、平成15年度に「地域・職域健康管理総合化モデル事業評価検討会」を設置し、本モデル事業の評価を行い、今後の普及方策について検討しているところである。
 さらに、平成14年度、15年度において地域保健・職域保健の連携による健康教育や健康相談等の保健事業をモデル事業として実施している地域・職域連携共同モデル事業については、平成16年度にモデル事業の分析・評価を行い、地域の実態にあった地域保健と職域保健の連携の推進方策について検討することとしている。
 なお、健康増進法第9条に基づく健康診査の実施等に関する指針の策定に当たり、平成15年9月22日に設置した「健康診査の実施等に関する指針検討会」において、健診後の効果的な保健事業の実施体制として、地域保健と職域保健の連携について検討が行われているところである。
 各地方公共団体においては、これまでに作成されている地域保健と職域保健の連携に関する検討会報告書等を活用していただき、地域保健と職域保健の保健活動の連携の推進に努められたい。

(6 )ホームレスの保健対策
 ホームレス自立支援法に基づき行われた実態調査では、身体不調を訴える者は5割弱、そのうち治療を受けていない者は7割弱となっていることから、ホームレスに対する保健・医療の確保が自立支援の上で重要な課題となっている。このため、平成16年度予算(案)において、健康に不安を抱えるホームレスに対し、保健所等の保健師等が、健康相談等の保健サービスを実施する「ホームレス保健サービス支援事業」を新たに計上しているところである。
 ホームレスの多い各地方公共団体におかれては、ホームレスに対する保健対策を推進するよう特段の御配慮をお願いする。

(7 )市町村保健センターの整備
 市町村保健センターについては、国民の健康づくりに対する関心が年々高まる中、住民に密着した健康教育、健康相談、健康診査等の対人保健サービスを総合的に行う拠点として、また、地域住民の自主的な保健活動の場として、その役割が増大してきているところである。
 このため、市町村保健活動の重要な拠点となる市町村保健センターの適切かつ円滑な施設、設備の整備促進を図る観点から、平成16年度予算(案)においても必要な額を計上したところである。
 各都道府県におかれても、整備の促進について特段の御配慮をお願いする。

(8 )保健所長の医師資格要件の検討について
 保健所長の医師資格要件については、平成14年10月30日に地方分権改革推進会議より保健所長の医師資格要件の廃止を求める「事務・事業の在り方に関する意見 −自主・自立の地域社会をめざして−」が出され、平成14年12月24日「国と地方に係る経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(閣議決定)の中で「保健所長への医師の必置を維持しつつ、保健所長の医師資格要件の廃止について、平成14年度中に保健所長の職務の在り方に関する検討の場を設ける。」が示されたところである。
 厚生労働省においては、地方分権改革推進会議の意見等を踏まえ保健所長の資格要件に関する検討を行うため、平成15年3月25日に学識経験者等からなる「保健所長の職務の在り方に関する検討会」を設置し、これまで7回にわたり保健所長の業務、資質及び資格要件並びに関係団体等からのヒアリング等を行い、検討を行ってきたところである。
 また、保健所長の医師資格要件の廃止については、平成15年6月27日「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」(閣議決定)で、三位一体改革の重点検討項目とされているところであり、平成15年度中に結論を得ることとしている。


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