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1.医薬分業と薬剤師

(1)医薬分業の動向について

 
現状

   ○ 医薬分業は順調に進展しており、特に、最近の伸びは著しく、平成14年度の処方せん枚数は約5億8千万枚、医薬分業率は48.8%、対前年度比4.3ポイント増となっている。

 ○ 医薬分業の進展を支援するとともに、かかりつけ薬局の育成を図り、医薬分業のメリットがさらに広く国民に受け入れられるよう、平成15年度において、次の事業を実施している。

ア) 医薬分業推進支援センターの施設・設備整備費
 使用頻度の低い医薬品の備蓄・薬局への譲渡、医薬品情報の収集・提供、休日・夜間時の調剤等の業務を行う医薬分業推進支援センターの施設・設備の整備に対する補助事業(平成4年度〜)

イ) 薬局機能評価検討事業
 医薬分業の質の向上を目指すとともに、国民がそのメリットを十分享受できる理想的な薬局像について検討し、また、質の高い医療を効率的に提供するために薬局機能を評価する仕組みの導入に向けた検討を行う事業(平成15年度までの2ヵ年事業)

ウ) 医薬分業啓発普及費
 医薬分業を広く国民に普及させるためのポスター等を作成するの経費であり、特に「薬と健康の週間」において、医薬品の適正使用、かかりつけ薬局等についての啓発を通じて、医薬分業を推進。(昭和50年度〜)

 平成14年度の医薬分業率の上位・下位10都道府県(日本薬剤師会調べ)

 
上位10都県 (%)
順位 都県名 分業率
秋田県 70.8
佐賀県 67.2
神奈川県 65.9
東京都 61.7
沖縄県 61.1
宮城県 60.2
新潟県 57.8
長崎県 57.3
青森県 57.1
10 福岡県、宮崎県 56.8
  下位10都県 (%)
順位 都県名 分業率
47 福井県 15.0
46 和歌山県 21.8
45 石川県 23.3
44 京都府 25.7
43 徳島県 29.9
42 富山県 30.1
40 大阪府 32.0
愛媛県 32.0
39 奈良県 32.6
38 群馬県 35.4

 
平成16年度以降の予定事項

   ○ 質の高い医療を効率的に提供するための薬局機能評価を第三者により実施するためには、地域的な問題点等の実施を踏まえ、円滑な導入に向けた周辺環境の整備が必要であることから、個々の薬局が評価項目をもとに自主点検を行い、結果を公表することにより薬局全体のレベルアップを図るための事業を行う。

 
都道府県への要請

   ○ 各都道府県においては、引き続き地域に応じた定着促進策や医薬分業の質的向上に関する積極的な取組をお願いしたい。


(2)薬剤師の資質の向上について

 
現状

   ○ 医療の高度化・複雑化、医薬分業の急速な伸展、医薬品由来の医療事故の社会問題化など、医療を取り巻く環境の大きな変化に伴い、国民から患者本位の医療が求められており、医療現場において、医療人としての薬剤師に対する期待が高まっている。このため、より高度な能力や高い使命感、倫理観を兼ね備えた「国民から信頼される薬剤師」を養成することが必要となってきている。

 ○ これまで、薬剤師の資質向上のため、(財)日本薬剤師研修センターが実施する「研修認定薬剤師制度事業(同センター独自事業、平成6年〜)」や「薬剤師実務研修事業(厚生労働省の補助事業、平成9年度〜)」等、各種施策が進められてきている。

 ○ 薬学教育の延長(薬学教育6年制)等、薬剤師養成に係る諸問題については、文部科学省等の関係者とともに、平成8年より薬剤師養成問題懇談会(6者懇)において議論を行ってきたが、平成14年1月に薬剤師の質の向上を目指した具体的な課題が提示されたため、これら具体的な課題について必要な検討を行い、もって薬剤師のさらなる資質の向上を図ることを目的として、6月に『薬剤師問題検討会』を設置し、検討を行った。その結果、昨年10月に「薬剤師養成としての薬学教育は最低6ヶ月程度の実務実習を含む六年間の学部教育が基本である」旨の中間報告書が取りまとめられた。

 ○ また、文部科学省においても、平成14年10月より『薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議』を開催し、薬学教育の改善・充実について検討を行い、昨年8月に「薬剤師養成のための薬学教育には、トータルの期間として6年間必要。なお、薬剤師の養成のためには6年間の学部教育を基本とする」旨の中間まとめが取りまとめられた。

 ○ これらにより、薬学教育を現行の4年から6年に延長することについて、関係者の合意がなされたところである。

 
平成16年以降の予定事項

   ○ 本年は、薬学教育6年制を実現するため、法律改正を含めた各種整備がなされるものと思われるが、厚生労働省としては、文部科学省をはじめとした関係者とも一層連携を図りながら、薬剤師の資質のより一層の向上が図られるよう、薬剤師国家試験の見直し等、必要な検討を行う予定である。

 
都道府県への要請

   ○ 各都道府県においては、引き続き、日本薬剤師研修センターが実施している「研修認定薬剤師制度事業」、「薬剤師実務研修事業」の地域薬剤師への周知等、薬剤師の資質向上を目的とした各種研修事業への御協力をお願いする。


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