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1.平成16年度医薬関係予算(案)の概要


   平成16年度予算案  10,098 百万円
平成15年度予算額  10,677 百万円
差引増減額 △579 百万円
対前年度比率 94.6

I.医薬品・医療機器の安全対策等の充実
(15年度予算額)
百万円

6,552
 → (16年度予算案)
百万円
6,698

 
 平成16年4月に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、「新機構」という。)が設置(※別添)されることにより、安全対策業務については、副作用等報告の受理・収集業務を新機構にアウトソーシングするとともに、併せて集積情報に基づく解析等の調査を実施することなどにより安全対策の充実強化を図る。
 審査関連業務については、分散していた医薬品・医療機器等の審査業務を統合することで効率的に実施するとともに、改正薬事法実施体制の観点から、バイオゲノムに対応できる質の高い審査を行い、より有効でより安全性の高い医薬品・医療機器をより早く提供するための体制を整備する。
 また、救済業務については、新たに生物由来製品に起因する感染被害救済業務を開始する。

1.医薬品・医療機器の市販後安全対策等の充実強化
百万円
606
    百万円
672

 (1)新機構の設置による安全対策業務の充実強化
百万円
243
    百万円
288

  ○   医薬品副作用等報告受理収集業務経費
 従来国が実施していた企業、医療機関等からの副作用等報告の受理・収集業務を新機構において行う。
98 → 138

  ○   消費者・医療関係者情報提供業務経費
 医薬品と同様、医療機器に関する安全性等の情報提供を新機構で行うとともに、消費者に対する相談窓口を設置する。
89 →  84

  ○   医薬品等医療安全情報業務経費
 医薬品・医療機器に起因するヒヤリ・ハット等の事例について、第三者機関が収集し、分析した情報を新機構において、製品改良の必要性や注意喚起の方策等の検討を加える。
また、その結果をインターネットで広く情報提供を行う。
57 →  66

 (2)市販後安全対策等の充実強化
百万円
101
    百万円
129

  ○   医薬品等安全性情報報告制度推進費
 薬事法改正により医療機関や薬局からの副作用等報告が法定化されたことに伴い、報告の質的・量的拡大を図るための電子報告システムの開発や報告内容・範囲の標準化の検討等を行う。
0 →  12

  ○   医薬品使用実態調査・安全対策推進事業費
 慢性疾患の治療等に用いる医薬品の長期連用によって健康被害が引き起こされる場合があることから、医薬品の使用期間等の実態調査を行い、その結果を踏まえた適正使用推進事業や安全性評価を実施する。
0 →   8

  ○   医薬品表示コード化医療事故防止対策事業費
 医薬品の名称や外観が類似していることに起因する医療事故を防止する観点から、製品情報をコード表示化することを検討するとともに、医薬品の名称や外観に関する情報データベースを整備する。
0 →   8

 (3)生物由来製品感染等被害救済制度の創設
百万円
    百万円
20

  ○   生物由来製品感染等被害救済業務事務費補助
 医薬品副作用被害救済業務に加えて、新たに生物由来製品を介した感染等による疾病、障害又は死亡に対し、医療費等の救済給付等を行う。
0 →  20

2.医薬品・医療機器の審査体制等の整備
百万円
1,147
    百万円
1,480

 (1)新機構の設置による審査業務の充実
百万円
87
    百万円
563

  ○   カルタヘナ議定書国内担保法関係経費
 カルタヘナ議定書国内担保法における医薬品等に関する遺伝子組み換え生物等の使用の承認・確認業務のうち、承認審査業務に係る使用者からのヒアリングやデータの確認、現地調査等を新機構において実施する。
0 →  23

  ○   GMP査察業務経費
 従来、地方厚生局及び都道府県で実施していた大臣許可施設に対するGMP査察について、薬事法改正によるGMPの承認要件化等を踏まえ、専門的な知見の集約・一元化及び効率化等の観点から新機構において実施する。
0 →  51

 (2)審査体制等の整備
百万円
1,059
    百万円
917

  ○   第三者認証制度関係経費
 低リスク医療機器・体外診断薬のうち、厚生労働大臣が基準を定めて、登録認証機関が当該基準への適合性を認証する第三者認証制度の導入に当たり、登録認証機関の調査、研修等を実施する。
0 →   4

  ○   医薬品再評価推進費
 医療用医薬品の再評価について、対象成分の選定基準の明確化及びプロセスの迅速化を図るため、国内外の学会誌、臨床研究データ等の情報を取り込むデータベースを整備し、必要な情報収集を行うとともに、関係学会などの協力を得て、具体的な再評価基準案の作成等を行う。
3 →  30


3.医薬分業の推進等
百万円
62
    百万円
54

  ○   薬局機能評価制度導入整備事業費
 第三者による薬局機能評価の導入に向けて、個々の薬局が自己点検を実施し、その結果の評価を行うことにより薬局全体のレベルアップを図る。
0 →   5

  ○   指導薬剤師実務実習実施検討費
 薬剤師養成教育の修業年限延長に伴い、卒業前の長期実務実習を実施することとなるため、実習施設基準や指導薬剤師を養成するためのプログラムを検討する。
0 →   4


II.血液等対策
百万円
2,446
 → 百万円
 1,690

 
 「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」の円滑な実施に向けた取 組を実施するとともに、ワクチン・抗毒素類の安定供給を図る。

  ○   献血制度推進特別事業費
 血液製剤の安定供給と国内自給に向けた献血の推進を計画的に実施するため、都道府県、政令指定都市等における血液確保目標量の達成に向けた効果的な取組を一層推進する。
百万円
179
 →
百万円
 179


III.化学物質対策
百万円
744
 → 百万円
 751

 
 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の改正により、環境中の動植物への影響及び化学物質の放出可能性に着目した審査等が導入されたことから、新規化学物質及び既存化学物質の審査体制を強化するなどの安全対策を推進する。

  ○   化学物質情報基盤システムの構築に係る経費
 化学物質について、効率的な安全性評価の推進を図るため、審査情報、安全性点検情報及び事業者から報告された有害性情報等を一元的に管理する情報基盤システムを関係省庁と連携し、整備する。
百万円
 →
百万円
  50

  ○   難分解・高蓄積物質に関するスクリーニング毒性調査費
 平成15年5月に改正された化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づき、第一種監視化学物質として指定される難分解性・高蓄積性の既存化学物質(平成16年度4物質)について、簡易な毒性試験法による毒性調査を実施する。
58 →  79


IV.麻薬・覚せい剤等対策
百万円
845
 → 百万円
 848

 
 わが国における薬物事犯は、依然として高い水準で推移していることから、取締の徹底を図るとともに、薬物乱用の拡大が懸念される青少年に対する一層の予防啓発活動を実施し、薬物乱用防止対策を推進する。

  ○   青少年薬物乱用防止普及対策事業費
 児童生徒以外の青少年に対する薬物乱用防止の啓発活動の強化を図るため、新たに未成年労働者等を対象とした予防啓発活動を展開する。
百万円
 →
百万円
  12

  ○   取締体制の強化
 潜在化・巧妙化する外国人薬物密売組織や暴力団等による組織的な薬物密輸を摘発するため、取締体制を強化する。
(地方厚生局麻薬取締部計上)
(498 → 565)



(別添)

独立行政法人医薬品医療機器総合機構の概要について

新法人設立の趣旨
 1.特殊法人等整理合理化計画(平成13年12月19日閣議決定)
 特殊法人等整理合理化計画を受けて、(認)医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(以下「旧機構」という。)を廃止した上で、国立医薬品食品衛生研究所医薬品医療機器審査センター等と統合し、新たに独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「新法人」という。)を設置する。
 同計画を受けて昨年末に成立した独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成14年法律第192号)に基づき、平成16年4月1日に設立し業務を開始する。
(参考)統合する業務
 (1)国立医薬品食品衛生研究所医薬品医療機器審査センターの業務の全部
 (2)(認)医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構の業務の全部
 (3)(財)医療機器センターの業務の一部

 2.独立行政法人制度を活用した医薬関係業務の総合的・効率的な実施
 新法人において、旧機構が実施していた医薬品副作用救済業務及び研究開発振興業務を引き続き実施するほか、新たに生物由来製品を介した感染等に係る感染被害救済制度を開始する。
 改正薬事法の実施体制を確保し、「より優れた」製品を「より早く」、「より安全」に国民に提供するという課題に十分応えるため、新法人においては、審査センター及び旧機構等に分散していた医薬品・医療機器等の審査関連業務を総合的に実施するとともに、市販後の安全対策業務を強化する。

 3.国会審議における決議事項等の確実な反映
 法案審議における参議院厚生労働委員会決議(別紙)等を着実に反映し、中立性・透明性・効率性が確保された法人運営を目指す。

新法人の概要
 1.名称
 独立行政法人医薬品医療機器総合機構

 2.法人の目的
 医薬品の副作用又は生物由来製品を介した感染等による健康被害の迅速な救済
 医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の向上に資する審査・安全対策
 国民の健康の保持増進に寄与する医薬品技術等の研究及び開発の振興等の業務
の実施により、国民保健の向上に資すること。

 3.法人の種別
 非公務員型独立行政法人とし、役職員には所要の守秘義務等を課する。

 4.各業務のポイント

(1)健康被害救済業務の着実な推進
 旧機構が行う現行の医薬品副作用被害救済制度、受託・貸付業務(スモン関係)及び受託給付業務(HIV関係)は、引き続き、新法人において確実に実施する。
(ポイント)
(1)医薬品副作用被害救済業務
相談窓口・制度普及策の改善
判定申し出に係る調査の充実
医療機関等に対する資料請求の実施
(2)受託・貸付業務(スモン関係)及び受託給付業務(HIV関係)
新法人において引き続き確実に実施
 新たに、生物由来製品を介した感染等に係る感染被害救済制度を法人の設立と併せて実施する。
(ポイント)
  ・円滑な施行の確保
  ・安定的財政運営の確保

(2)審査関連業務の再編充実
 治験前段階から承認まで一貫した指導・審査体制を構築するため、人員、組織の強化、質の向上、効率化等に必要な所要の体制整備を行う。
(ポイント)
(1)治験相談・審査の一体的実施
組織として一貫性をもって対応
(2)審査の質の確保・向上、審査プロセスの透明化・期間短縮
専門性の高度化・国際基準との整合性確保
審査担当者の増員
生物由来製品、医療機器の専門審査体制の整備
審査プロセスの透明化
安全対策部門との連携
(3)ファストトラック治験相談(新設)・優先審査(拡充)の実施
検討会を設置し、本年度中に選定基準等を作成
新法人において、組織体制の整備に併せ、逐次実施

(3)安全対策業務の強化
 改正薬事法の趣旨に則り、審査関連業務の再編充実と併せ、承認審査から安全対策までを総合的に行う体制を構築するため、安全情報の質的向上、効率的・効果的提供等に必要な所要の体制整備を行う。
(ポイント)
(1)情報の収集・整理と漏れのない対応
新法人が情報収集を一元化し副作用報告等は、全て本省がリアルタイムでもれなく把握する体制を整備
重大案件は引き続き本省が迅速に対応
(2)安全情報の調査・分析・評価
相互作用等個々の製薬企業等では対応困難な安全情報の調査・分析・評価を実施
安全性情報に対する相談体制の充実
(3)安全情報の提供
調査・分析・評価等の成果を、広く、判りやすい形で情報提供し、医薬品・医療機器等の適正使用を促進

(4)研究開発振興業務の見直し
 現在、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構が行っている研究開発振興業務については、最先端医療技術の国際競争力を強化するとともに、事業の収益改善を図る観点から、出融資事業を見直し、バイ・ドール方式による委託事業を実施する。
(ポイント)
  ・実用化研究を加速
 業務の分離
(ポイント)
  ・平成17年度以降、(独)医薬基盤研究所(仮称)において実施予定

 5.組織体制
 医薬品副作用被害救済業務の拡充、生物由来製品感染等被害救済業務の新設等に係るもののほか、審査業務の充実・安全対策業務の拡充のため、審査センター・旧機構等において医薬品・医療機器等の審査等に従事している人員の概ね5割程度の増員を計画的に進める。
 審査等に従事する者の増員に当たっては、今後、新法人の業務の中立性等に配慮しながら、医工薬の分野の専門性が高い人材を公募等により採用する。
 (参考)各法人の現行定員数
  (1)医薬品機構157名(うち役員6人含む)
  (2)審査センター70名
  (3)医療機器センター8名(独法に移行する業務に係る定員数)
合計235名

 6.新法人関係予算案の概要【国費分】

(15年度予算額)

(16年度予算案)
(1)  救済業務

3.8億円  → 3.8億円
(2)  審査業務

1.9億円  → 2.9億円
(3)  安全対策業務

2.4億円  → 2.9億円
(4)  その他特殊要因的経費

0.2億円  → 3.1億円
小計

8.3億円  → 12.7億円
(5)  研究開発振興業務(産投分含む) 116.3億円  → 97.6億円
 (内訳)  
   (1)  一般会計分
103.3億円  → 91.6億円
    (希少疾病用医薬品開発研究事業、基礎研究推進事業)
   (2)  産業投資特別会計

13億円  → 6億円
合計 124.6億円  → 110.3億円


※15年度予算額は16年度予算案の事項に対応する予算額を計上している。



(別紙)

〜参議院厚生労働委員会決議(平成14年12月12日)〜


1.機構の業務が製薬企業等との不適切な関係を疑われることのないよう、役職員の採用及び配置に関し、適切な措置を講ずること。

2.研究開発振興業務については、機構を審査関連業務、安全対策業務及び健康被害救済業務に専念させるとともに、その一層の効果的展開を図る観点から、早急に同機構の業務から分離すること。

3.医薬品等の安全性を確保するため、審査を厳格に行うとともに、安全対策業務の実施に当たっては、医薬品の副作用等による健康被害の拡大を防止するため、迅速かつ的確に対応すること。

4.健康被害救済業務については、医薬品等による健康被害を受けた者の団体等との連携を図りつつ、現行の医薬品副作用被害救済制度の充実や、新たに実施する生物由来製品感染等被害救済制度の円滑な施行に努めること。


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