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7.血液事業

(1)献血の推進・普及

 
現状
  ○ 少子高齢社会の一層の進展により、血液製剤の使用量の増加が見込まれる一方で、献血の担い手である若年層が減少することが予想されていることから、今後、若年層を中心とした国民各層への成分採血、400ml全血採血を主体とした献血の推進をより一層展開する必要がある。
  ○ こうした事情を踏まえ、国は、昨年7月に施行された「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(以下「血液法」という。)」第10条第1項に基づき、「献血推進計画」を定めることとしている。
  ○ 平成16年度献血推進計画(事務局案)については、年末・年始にかけ一般への意見募集を行ったところであり、その結果を踏まえ、今月末に開催される平成15年度第4回血液事業部会において、御審議いただく予定。
  ○ 本計画は、部会の審議結果を踏まえ、速やかに公布することとしている。

 
都道府県への要請
  ○ 各都道府県においては、献血推進計画に基づき、的確な都道府県献血推進計画の策定を行うなど管下市町村及び各血液センターと十分な連携を図りつつ、献血制度推進特別事業に係る国庫補助金の活用等により若年層対策など効果的な献血推進運動を実施されたい。
  ○ また、献血活動の普及、推進を一層全国的な運動として展開することが重要であることから、献血推進運動に携わる関係者の協議の場として平成11年度に設置した「献血推進運動中央連絡協議会」の趣旨を御理解の上、同協議会及び都道府県献血推進協議会の積極的な活用をお願いする。


(2)原料血漿の確保

 
現状
  ○ すべての血液製剤の国内自給の達成に必要な原料血漿を確保するため、毎年度、都道府県別原料血漿確保目標量を設定しその達成をお願いしてきているが、平成16年度の目標量は、108万Lと設定し、昨年10月の血液事業担当者会議において示したところである。
  ○ 原料血漿確保目標量及び平成16年度に製造・輸入すべき血液製剤の目標量については、血液法第25条第1項に基づく「需給計画」に規定することとされており、年度末にかけて、血液事業部会において御審議いただく予定。なお、原料血漿確保目標量については、他の事項に先行して同部会で審議し、了承を得た。
  ○ 本計画は、部会の審議結果を踏まえ、速やかに公布することとしている。

 
都道府県への要請
  ○ 平成16年度の原料血漿確保目標量の確実な達成をお願いする。


(3)血液製剤の安全性確保対策の推進

 
現状
  ○ 安全な血液製剤を供給するためには問診や各種ウイルス等の検査の充実、製造工程の厳格な管理等が必要であることから、次のような取組を進めている。
 「血漿分画製剤のウイルスに対する安全性確保に関するガイドライン」の策定(平成11年8月)
 輸血用血液製剤に関するHBV、HCV、HIVの検出精度を高めるため、NAT(核酸増幅検査)の導入(平成11年10月)
 輸血用血液製剤及び血漿分画製剤の原料となる血液及び原血漿について、HBV、HCV、HIVのNATを義務化(平成12年12月)し、平成13年3月以降製造又は輸入される製剤に適用。
  ○ 自己血輸血については、医療機関における採血、保存等に当たって、専門的技術を有する血液センターの協力を得つつ、その普及に努めている。
  ○ ウエストナイル熱等の輸入感染症対策について、国外からの帰国者の採血禁止期間等を設定(平成15年3月)。
  ○ 輸血によるvCJD発症の可能性は科学的に未知であるが、理論的感染のリスクを減らす観点から、当分の間の予防措置として、献血時の欧州渡航歴に関する問診の強化を実施(平成15年6月)しており、血液センターの協力を得つつ国民の理解を得られるよう努めている。
  ○ 日本赤十字社に対し、供血者からの遡及調査の徹底を指導(平成15年6月)するとともに、新たな安全対策の検討を指示(平成15年7月)。これに対し、同社から以下のとおり、7項目の安全対策を実施する旨の報告があり、薬事・食品衛生審議会血液事業部会に定期的に実施状況が報告されている。
 (1) 遡及調査自主ガイドラインの作成
 (2) 新鮮凍結血漿(FFP)の貯留保管
 (3) 輸血用血液の感染性因子の不活化技術の導入
 (4) 核酸増幅検査(NAT)の精度向上
 (5) 医療機関での輸血後感染症に関する全数調査
 (6) E型肝炎ウイルス(HEV)対策
 (7) 保存前白血球除去の開始
  ○ また、昨年12月24日付け「厚生労働大臣医療事故対策緊急アピール」において、輸血療法の安全性を向上させるため、輸血医療を行う医療機関での責任医師及び輸血療法委員会の設置、特定機能病院等での輸血部門の設置により、輸血の管理強化を図ることが盛り込まれた。
  ○ 遡及調査の進展とともに、HBV、HCV、HIVがNATをすり抜けている実態が明らかになった。NATをすり抜けるのは、感染して間もない時期の供血であって、その背景にはエイズ等の検査を目的とした献血があるものと考えられる。なお、従前から、感染症の検査を目的とする献血の危険性を周知するとともに、検査については保健所等を活用するように広く住民への呼びかけを行っているところである。

 
平成16年度以降の予定
  ○ 検査目的の献血者の排除のための問診の強化策についての検討
  ○ NAT実施方法に関するガイドラインの策定
  ○ 日本赤十字社の安全対策の進捗状況の確認及び指導

 
都道府県への要請
  ○ 各都道府県においては、引き続き、エイズ等の検査を目的とする献血の危険性の周知徹底及び検査に係る保健所等の活用について広く住民へ呼びかけるとともに、自己血輸血について管下血液センターから医療機関への適切な支援がなされるよう特段の御協力をお願いする。


(4)血液製剤の適正使用の推進

 
現状
  ○ 平成11年度に、「血液製剤の使用指針」及び「輸血療法の実施に関する指針」を策定した。
  ○ 各都道府県において、地域医療の代表者及び医療機関の管理者等の委員からなる血液製剤の使用に関する懇談会が設置され、多くの都道府県において、当該懇談会を通じて血液製剤の使用に係る問題点の整理が進んでいる。
  ○ 血液法第3条第3項では、血液製剤の適正使用の推進を、法の基本理念として掲げている。また、参議院厚生労働委員会の附帯決議には、「血液製剤の過剰使用等の原因調査」及び「使用指針普及等の実施」が規定されている。
  ○ 「使用指針普及等の実施」については、適正使用指針に基づく取組みについての評価方法を現在検討中であり、平成15年度には「血液製剤の標準使用量」を設定するための調査研究を実施。

 
都道府県への要請
  ○ 各都道府県におかれては、血液製剤の適正使用に関する医療機関への働き掛けについて、特段の御協力をお願いする。


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