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4.医薬品・医療機器の承認審査等

(1)医薬品・医療機器の承認審査

 
平成15年までの実施事項

 (1) 審査体制等

 以下の取組により、平成12年4月以降に申請される新医薬品の承認審査期間(標準的事務処理期間)を12か月としている。
ア.承認審査事務を専門的に行う医薬品医療機器審査センター(以下「審査センター」という。)を設置(平成9年7月)し、薬学、医学、獣医学、統計学等を専門とする審査官によるチーム審査の実施や、審査レポートの作成を通じて、審査の質の向上や責任の明確化を図る。
イ.より効率的かつ十分な審査を行う観点から、中央薬事審議会(平成13年1月に薬事・食品衛生審議会に改組)の組織及び運営の見直しを実施(平成11年11月)。

 新医薬品の承認時点における有効性・安全性の評価等に関する十分な情報を迅速に医療関係者等に提供することにより、当該医薬品の適正使用を推進するため、全ての新医薬品について、審査報告書に当該医薬品の試験成績等をとりまとめた資料を加えた「新薬承認情報集」を作成し、承認後に公表している。


 (2) 医薬品の承認状況

 平成15年は新医療用医薬品として新有効成分30成分を承認した(平成15年11月末現在)。

 新医薬品の承認申請のための試験の標準的方法として、次のガイドラインを平成15年に公表した。(http://www.nihs.go.jp/dig/ich/ichindex.html)
ア.安定性試験ガイドライン(改定)
イ.安定性データの評価に関するガイドライン
ウ.気候区域III及びIVにおける承認申請のための安定性試験成績のためのガイドライン
エ.コモン・テクニカル・ドキュメントの電子化仕様について

【過去5年間の新医薬品承認状況及び新医療機器承認状況】

(参考)
過去5年間の新医薬品承認状況(新有効成分数)
(平成15年11月末現在)
年次 製造 輸入 合計
11年 12 28 * 39
12年 10 29 39
13年 8 15 23
14年 7 17 24
15年 9 21 30

注1.) *は、製造・輸入に同一成分があるため合計は一致しない。
注2.) 原薬の承認が含まれる場合には、その製造・輸入の別による。


過去5年間の新医療用具承認状況(品目数)
(平成15年11月末現在)
年次 製造 輸入 合計
11年 11 26 37
12年 3 10 13
13年 2 4 6
14年 6 4 10
15年 3 14 17


【医薬品等製造(輸入)承認・許可状況の推移】

(参考)
医薬品等製造(輸入)承認・許可状況の推移(平成15年11月末現在)
暦年 区分 製造(輸入)承認関係 製造(輸入)許可関係 合計
新規承認 一変承認 追加・変更 業許可 更新許可
平成13年 医薬品 2,376 6,425 8,801 202 5 45 252 9,053
医薬部外品 2,469 2,498 4,967 0 0 0 0 4,967
化粧品 117 18 135 0 0 0 0 135
医療用具 1,405 1,450 2,855 8 3 0 11 2,866
                 
合計 6,367 10,391 16,758 210 8 45 263 17,021
                 
平成14年 医薬品 1,829 4,416 6,245 154 8 11 173 6,418
医薬部外品 2,612 1,360 3,972 0 0 0 0 3,972
化粧品 0 0 0 0 0 0 0 0
医療用具 1,117 1,423 2,540 1 1 0 2 2,542
                 
合計 5,558 7,199 12,757 155 9 11 175 12,932
                 
平成15年 医薬品 1,464 2,137 3,601 21 3 1 25 3,626
医薬部外品 1,912 520 2,432 0 0 0 0 2,432
化粧品 0 0 0 0 0 0 0 0
医療用具 744 1,079 1,823 0 0 0 0 1,823
                 
合計 4,120 3,736 7,856 21 3 1 25 7,881
                 


 (3) 医療機器の承認状況

 平成15年は、新医療用具として17件を承認した(平成15年11月末現在)。

 JISについては、医療機器−リスクマネージメントの医療機器への適用(JISQ14971)の1件を新たに制定した。

 
平成16年以降の予定事項

   独立行政法人への移行に伴う承認申請の取扱い
 審査センター及び機構のFDシステムの統合、組織の移転及び業務再編を行うため、平成16年3月1日から4月9日までの間、製薬企業等に対して、承認・再審査申請/許可申請・届出等の自粛に協力をお願いしている。また、治験計画届についても、可能な限り当該期間中の提出を避けるよう指導しているところ。

 リスクの低い医療用具については、「規制改革推進3カ年計画」(平成13年3月30日閣議決定)に示されている考え方に基づき、第三者認証制度の導入を図るため、第三者認証機関が備えるべき要件や認証基準など必要なインフラの整備を順次進める。リスクの高い医療用具については、治験相談の他申請資料の信頼性確保等を図るためのマニュアル等の整備を進めていく予定である。

 平成16年度から、独立行政法人医薬品医療機器総合機構において、新医療用具及び改良医療用具に関する申請前相談及び事前の治験相談を開始する予定である。

 医薬品・医療機器の優先審査等について、昨年12月に「優先審査制度等に関する検討会」において、優先審査品目及び優先的な治験相談品目選定の考え方が中間報告書としてとりまとめられた。これを受けて、今後、適応疾病の重篤性と医療上の有用性とを総合的に評価して、優先審査及び優先的な治験相談に係る品目の選定を行う予定である。

 抗がん剤併用療法に関する検討会について

1)「がん」の治療法として、学会等でも複数の抗がん剤の併用療法が有効であるとされている。しかしながら、薬事法で承認された抗がん剤であっても、がんの種類等によっては効能が承認されていないため、事実上、併用療法に用いることができないものがあるという問題がある。この問題について検討するため、専門家・業界・行政参加した「抗がん剤併用療法に関する検討会」を設置した。

2)これまで適応外使用に係る抗がん剤の承認申請については、有効性及び安全性に関するエビデンスの収集などを関係企業の自主的な努力に依存してきたが、がん治療の社会的な重要性を考え、検討会が収集したエビデンスを用い、薬事・食品衛生審議会での事前評価を行うなど、産官学が共同して併用療法に必要な抗がん剤の効能の取得を迅速に進めるものである。

3)併用療法に使用される抗がん剤で、薬事法上の適応がないもののうち、有効性に十分なエビデンスがあるとされているものについては、年10〜15効能程度、順次、効能の取得を進めていく予定。

 
都道府県への要請

   平成16年3月1日から4月9日までの間、FD申請・審査システムの都道府県システム、地方厚生局システム等全ての機能が停止することになるため、関係企業に対して医薬品等の製造(輸入)の承認・許可申請等を自粛するよう指導いただきたい。

 承認申請については、平成16年4月12日から4月16日までに提出した場合に限り、平成16年3月1日に申請のあったものとしてタイムクロックを考慮することとする。(平成16年3月1日現在の承認申請中の品目については、当該期間中も通常通りのタイムクロックにより計算することとする。)

 平成16年4月12日以降の承認・許可申請が円滑に行われるよう、当該期間前後の申請は計画的に行うよう指導いただきたい。


(2)生物由来医薬品・医療機器等の品質及び安全性確保対策

 (1) ヒト・動物由来の医薬品等の対策

 
現状

   平成15年7月30日付けで改正薬事法に新たに規定された生物由来製品に関する規制が施行された。これにより、製品の感染症伝播のリスクに着目し、約1000品目が生物由来製品に指定された(うち特定生物由来製品約280品目)。

   平成15年10月30日施行の法第42条の規定による「生物由来原料基準」においては、指定生物由来製品のみならず、すべての医薬品、医療機器、医薬部外品、化粧品の原料に用いるドナー及び原材料に関しての最低限遵守すべき感染症防止の観点からの適格性の要件が規定され、製造・販売等の各段階においてその適合を求めている。

   ヒトや動物の細胞・組織から構成される医薬品や医療機器(細胞・組織利用医薬品等)については、人工培養皮膚や人工培養軟骨、分離や増殖を行った幹細胞、トランスジェニック動物を用いた移植用臓器などの開発が進展している状況にも対応する必要がある。

   これまでも、ヒト又は動物由来原料を使用する医薬品・医療機器等については、品質及び安全性を確保するため、製造・輸入業者に対し、平成12年12月の中央薬事審議会バイオテクノロジー特別部会でまとめられた「基本的考え方」に基づき、自主点検を行い、平成14年3月末までに承認書の整備に係る一部変更承認申請を指示したところ。

   平成12年の自主点検を実施していない品目等、生物由来原料基準の適合性を新たに確認するべき品目について、平成15年10月29日まで一部変更申請を実施するよう指導してきた。

   新たに生物由来製品の製造業者・輸入業者(原薬を取扱う者も含む。)については、生物由来製品製造管理者の設置を義務づけたところ。

   生物由来製品の原材料から使用までのトレーサビリティー確保のため、製造記録及び流通記録の保管を製造業者等に義務づけたところ。

   特定生物由来製品においては、医療機関における記録の保管を20年間義務づけたところ。

 
都道府県への要請

   これまで自主点検等の未対応の企業が見られるため、今後も貴管下関係業者に対して指導方お願い致したい。

   製造、流通の各段階での記録の保管について徹底されるよう貴管下関係業者に対して指導方お願い致したい。

   特定生物由来製品の医療機関での使用記録の取扱において、医療機関廃業時の取扱いについて患者の不利益になることのないよう、適切に対応いただきたい。

 (2) 医薬品等に係るBSE対策について

 
現状

   平成15年12月24日に米国ワシントン州においてBSE感染牛の発生が確認された。

   医薬品、医療用具等については、これまでも特定危険部位を含む14のリスクが高い部位について、原産国にかかわらずその使用を禁止してきたところであり、現在存在している製品についてBSEに関する公衆衛生上のリスクが直ちにあるものではなく、回収等の必要はないものである。

   ただし、予防的措置として、米国産ウシ由来原料の使用に係る具体的な措置の内容については現在検討中である。

   そのため、平成15年12月25日に、都道府県を通じて関係業者に対し通知を発出し、米国産ウシ原料の使用実態、仮に切り換えを行う場合等の製品毎の状況について平成16年1月9日までに自主点検を実施し、万一、医療上の影響があると考えられる場合には速やかに審査管理課宛報告するよう指導したところ。

   自主点検と並行して、医療上必要不可欠な製品の提供に支障のない範囲で、当面米国産ウシ原料の製造時の使用を差し控えるよう指導している。自主点検の結果をもとに、必要な対応を検討していくことになる。

 
都道府県への要請

   以上の趣旨について、貴管下関係企業に対する周知・指導等の協力をお願いしたい。また、自主点検未対応の企業がないよう万全を期されたい。


(3)医薬品等の再評価

 
現状

   医薬品の品質再評価については、平成7年4月以降に申請された医療用内服固型製剤の医薬品について、溶出規格の設定を行うこととし、当該医薬品の後発品について、既承認品目(先発品)との有効成分の同一性に加え、溶出性の同一性についても確認した上で承認することとしている。

   平成7年4月以前に申請された内服用医薬品についても品質の信頼性を確保するため、平成10年度より品質再評価を着実に実施している。既に、昨年8月の先発予試験通知で対象全857成分の指定が計画通り終了し、各成分ごとに後発予試験通知、再評価指定、公的溶出試験(案)通知のステップを経て、溶出試験規格を策定しているところである。その結果、品質再評価は、平成15年12月時点で316成分、全指定対結果成分数比でおよそ37%(生産金額ベース推計で約80%)について品質再評価が終了したところである。今後は、溶出試験規格の策定を順次進めていくこととなるが、基本的試験条件等の設定が困難なものについては別途検討を行うこととし、設定可能な成分について、平成20年度を目途に再評価結果を出したいと考えている。

   品質再評価にあたっては、国立医薬品食品衛生研究所及び10都府県(埼玉県、東京都、神奈川県、富山県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県)の衛生研究所の御協力を得て溶出試験規格を策定しているところであり、お礼申し上げたい。

   なお、品質再評価の結果については、18回にわたり関係者あて通知している(合計:316成分・処方、684規格、2768品目)。また、結果通知の都度「医療用医薬品品質情報集(日本版オレンジブック)」を公表するとともに、品目リストをインターネット(医薬品情報提供システムhttp://www.pharmasys.gr.jp/)において公開している。

   また、薬効再評価については抗菌薬の適応菌種及び効能・効果の見直しを進めているところであり、平成15年3月に再評価指定した成分について、今年(平成16年)中に結果を出す方向で検討を進めている。

 
都道府県への要請

   品質再評価の円滑な処理のため、申請期限後できるだけ速やかな進達に努めていただくようお願いする。また、業者が期限に遅れて申請し、又は申請を失念することなどのないよう適切な指導をお願いしたい。

   また、国立医薬品食品衛生研究所及び10都府県の衛生研究所におかれては、引き続き、溶出試験規格の策定にご協力をお願いしたい。


(4)承認審査に関する国際的調和の推進

 (1) 医薬品

 
現状

   医薬品規制の国際的調和については、「日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)」において、日、米、EUの規制当局及び産業界代表が参加して進めている。

   既存ガイドラインの一部改正を含め、これまでに56のガイドラインが作成・実施されている。

   平成15年11月には、大阪国際会議場において第6回会議(ICH6)が開催された。開発から市販後までの一貫した安全対策、バイオテクノロジー応用医薬品や遺伝子治療用医薬品等の新技術、GMPを含む品質システム、コモン・テクニカル・ドキュメント(CTD)の運用、ICHと非ICH地域との協力等が討議され、多くの事項について合意に到達した。

 
都道府県への要請

   平成15年7月1日より日米EU3地域で同時にCTDに基づく新医薬品の承認申請資料提出が正式に適用されたので、円滑な進達事務について十分配慮されたい。また、「ICH E2Cの補遺 臨床安全性データの取扱い:市販医薬品に関する定期的安全性最新報告について」、「安定性試験法ガイドラインの改定について」、「安定性データの評価に関するガイドラインについて」、「気候帯III及びIVにおける承認申請のための安定性試験成績に関するガイドラインについて」、「コモン・テクニカル・ドキュメントの電子化仕様について」及び「新有効成分含有医薬品のうち製剤の不純物に関するガイドラインの改定について」が施行されたので、これについても円滑な運用に努められたい。(http://www.nihs.go.jp/dig/ich/ichindex.html)

 (2) 医療機器

 
現状

   医療機器規制の国際的調和については、「医療機器規制国際整合化会合(GHTF)」において、日、米、EU、加及び豪の規制当局及び産業界代表が参加して進めており、平成15年11月には、サンフランシスコ市おいてGHTF運営委員会が開催されたところである。

   今後のGHTF活動として、共通のデータ(コモン・データ)の受け入れに係る調和・収束を図ること、各国の査察報告書の交換に関する議論を進めることが合意されている。その一環として、臨床試験データの受け入れに関するアド・ホック会合が開催される予定である。

 
都道府県への要請

   GHTFにおいて合意された文書は、順次、国内規制に活用していく方針であある。これらガイドラインの内容は、ホームページ「http://www.ghtf.org」に掲載されているので都道府県においても参考にされたい。


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